冒頭発言

【河野外務大臣】おつかれさまでございます。私(大臣)の体調管理のまずさゆえ,各方面にいろいろご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げたいと思います。おかげさまで公務に復帰させていただきました。またしっかりやりたいと思います。

(1)ISIL最後の拠点解放について

【河野外務大臣】今般,シリアにおけるISILの最後の拠点が解放されることになりました。我が国は,シリアの平和と安定に向けた重要な一歩と評価し,歓迎するとともに,有志連合の勇敢な努力を評価したいと思います。他方,全ての拠点が解放され,ISILによる領域支配が終了したとしても,過激主義との闘いが終了したわけではありませんし,シリア危機というのは依然として継続しております。いまも多くの難民・国内避難民の方が存在するなど,深刻な人道状況に変わりはありません。このシリア危機の解決のためには,政治プロセスの進展がきわめて重要であります。日本として,シリアの平和と安定に向け,関係当事者の一層の努力を促していくとともに,国際社会と協力して,シリア及び周辺国への人道支援,それから難民受入れ国に対する支援を継続していきたいと思っております。/?P>

(2)春の海外安全強化キャンペーン

【河野外務大臣】これから春休み及び10連休となるゴールデンウィークになりますが,この間に海外渡航者が増えることが見込まれます。3月22日から5月13日までを「春の海外安全強化キャンペーン」期間と定めました。今月22日に,吉本興業所属の女性タレントであるおかずクラブの協力をいただいて,羽田空港でキック・オフ・イベントが開催されております。
 キャンペーン期間中の目標として,外務省及びケンドーコバヤシ「たびレジ」登録推進大使が,吉本興業全体と協力もしながら,(1)「たびレジ」新規登録者数及び(2)明日27日にリニューアル予定の「海外安全アプリ」,新規公開予定の「海外安全クイズ」等,キャンペーンへの総参加者数の合計で50万人の達成を目指していきたいと思っております。またケンドーコバヤシ大使にしっかり頑張っていただきたいと思っております。
 海外渡航を安全にするために,「自分の身は自分で守る」という心構えのもと,外務省海外安全ホームページでの渡航先の安全情報の収集ですとか,「たびレジ」への登録,あるいは海外安全アプリのダウンロード等,この期間中,海外に行かれる方におかれては,安全対策に万全を期していただきたいと思っております。

米国によるイスラエルのゴラン高原における主権承認

【共同通信 江藤記者】トランプ米大統領はゴラン高原のイスラエル主権を承認する文書に署名しました。この署名は国連安保理決議に整合するとお考えかどうか。また,今日午前の記者会見で菅長官は「我が国はゴラン高原の併合を認めない」と述べています。この日本の立場を米側に伝えるお考えがあるかどうか教えてください。

【河野外務大臣】日本の,ゴラン高原の併合は認めないという立場はこれまでもそういう立場でございますし,なんら変わりはございません。米国がどのような考えでこうしたことに踏み切ったかというのは,日本政府が説明をする立場にはありませんが,安保理決議その他との関係に関しては,米国政府がしっかりと説明されることと思っております。

【朝日新聞 鬼原記者】ゴラン高原の話でいまお答えがなかったですけれども,米国の安保理決議に違反しているかどうか,整合するかどうかについては改めてどうお考えですか。

【河野外務大臣】それは別に日本が説明するべきものでもございませんので,米国の説明をしっかりと聞きたいと思います。

【朝日新聞 鬼原記者】2017年にエルサレムを首都に認定したときには,その直後に国連総会が緊急に開かれて,米国の撤回を求めるという決議がなされたと思いますが,今回も同様に国連で何らかの対応が取られた場合の日本政府の対応について見通しを教えてください。

【河野外務大臣】まだそうした動きがあるかどうかも定かではありません。

河野大臣の中国訪問,「一帯一路」

【中国青年報 張記者】私の質問は2点ございます。1点目は先般,4月中旬に河野大臣が訪中の方向で調整に入ったとの報道がありました。もし確実であれば,その日程と議題,あるいは日本側の進捗で,お差し支えないところを教えていただければ幸いです。
2点目は,近日,中国と欧州のイタリア共和国の間で,「一帯一路」構想について覚書を交わしました。これについてご所感はいかがでしょうか。これからも日本側が「一帯一路」についてもう一歩踏み込める可能性はいかがでしょうか。

【河野外務大臣】最初の質問につきましては誤報ですと言うつもりはありませんが,何も決まったものはございません。いずれ近い内に訪中をして,日中ハイレベル経済対話もございますので,そこは日程の調整をしたいと思いますが,何か決まっているものはいまの段階ではございません。
 「一帯一路」あるいはそれに係わる様々なインフラプロジェクトにつきましては,これまでも透明性ですとか,あるいはライフサイクルを通じた経済合理性,あるいは受け手の側の債務の健全性といった,様々な国際スタンダードに合致しているものならば,これは非常に世界経済にも貢献をするものと考えております。そこについて変わりはございません。質の高いインフラであれば,それは世界的にも歓迎されるものと思います。

「一帯一路」

【読売新聞 梁田記者】今のイタリアと中国の「一帯一路」の覚書の関係で合わせて伺いたいんですけれども,来週にG7での外相会合が予定されていますが,やはりEUですとかアメリカが,中国との経済関係という意味でかなり態度が厳しくなっている面がある中で今回の覚書の件というのがG7の足並みを乱すようなことになるのか,あるいはどういった議論が想定されるか,現時点でのお考えを伺えればと思います。

【河野外務大臣】G7の中でどういう時間割でどんな議論をするかというのは,まだ確定しているわけではありません。当然に,中国というのも議論の対象になると考えております。中国の「一帯一路」プロジェクトに関して言えば,いま申し上げたとおり,様々な国際スタンダードに合致しているものならば,それは連結性の向上ということを通じて世界経済にプラスの影響を及ぼすものと思っておりますので,そうしたクライテリアに合致するものであるならば,世界的に歓迎されるものと思っております。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【NHK 奥住記者】韓国について伺います。徴用をめぐる裁判で,原告側が新日鉄住金の株式を現金化する先送りする方針を示しました。会社に対して賠償に応じる協議に応じるように,改めて求めているんですけれども,この受け止めをお願いしたいのと,あと,原告は企業だけでなく,日韓両政府に早期にも対応するよう訴えているんですけれども,この点,日本政府としてどうのように対応するか,改めて教えてください。

【河野外務大臣】韓国政府が国際法違反の状態を放置しているのは極めて深刻な問題と考えております。日本としては請求権協定に基づいた協議の申し入れをしておりますので,韓国側が誠意を持ってこれを受けるものと考えているところでございます。

【産経新聞 力武記者】今の質問に関連で,いわゆる徴用工の問題ですとか,挺身隊の訴訟で差し押さえの決定というのが相次いでいますけれども,日本政府はこれまでも韓国政府の対応を待ちたいという姿勢で来られたと思いますが,こうした中で,こういった決定が相次いでいて,今後もそういった政府の姿勢に変わりはないんでしょうか。

【河野外務大臣】交渉の手の内を明かすことは差し控えたいと思います。

中東の過激主義

【毎日新聞 秋山記者】最初に中東の過激主義について言及がありましたけれども,トランプ大統領の今回の決定が中東の過激主義をまた助長するのではないかという懸念があると思うんですけれども,この点については,河野大臣はどのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】中東の過激主義というのはISILが支配をする土地があるかどうかに関わらず,対処しなければならない問題と考えております。これについては,中東各国だけではなく,全世界をあげてしっかり連携をしていく必要があると思いますし,それに向けてG7を始めとする様々な枠組みでいろいろと対応しているところでございますし,日本もヨルダンとのアカバプロセスなどを通じて貢献できるところは今までもしっかりやってきたところでございます。
 おそらく,アメリカもこの過激主義対策というのは,しっかりやらなければならんというふうに考えているはずですから,このゴラン高原の今回のことについて,これが過激主義への対策とどう関係してくるかということは,当然にアメリカ政府も様々考えて行われていることだと思いますので,必要な対策は当然アメリカがとられることと思います。