1. 1 3月21日,我が国は,特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みの下で,自律型致死兵器システム(LAWS)に関する政府専門家会合(GGE)の2019年第一会期が同月25日から29日まで開催されるに当たり,作業文書(英文)(PDF)別ウィンドウで開くを提出しました。

    2 我が国は,通常兵器に関する軍備管理・軍縮に積極的に取り組んできました。今回の作業文書は,本年のGGEにおいて,人道と安全保障の観点も勘案したバランスの取れた議論を行い,国際社会が将来目指すべき取組の方向性を示すことに貢献すべく提出したものです。

    3 我が国としては,国際社会において共通認識が得られるよう,LAWSに関する議論を更に深めていく必要があると考えており,我が国の安全保障の観点も考慮しつつ,引き続き,国際的なルール作りに積極的かつ建設的に参加していく考えです。

    [参考1]作業文書のポイント

    (1)目的: 国際社会が将来目指すべき取組の方向性を示すことに貢献。

    (2)議論の整理: 過去の議論を踏まえ,関係者間で認識共有すべき事項を指摘。

    (3)日本の考え方:
       日本は,完全自律型の致死性を有する兵器を開発しないという立場。有意な人間の関与が確保された自律型兵器システムについては,ヒューマンエラーの減少や,省力化・省人化といった安全保障上の意義がある。

    • ア LAWSの定義: 致死性や人間の関与の在り方等の議論を深めることが必要。
    • イ 致死性: 致死性を有する自律型兵器システムのみについて議論を進めることが望ましい。直接的に人間を殺害する設計がなされた兵器システムをルールの対象とすることは一案。
    • ウ 有意な人間の関与: 致死性兵器には,使用される兵器に関する情報を十分に掌握した人間による関与を確保する等,有意な人間の関与が必須。兵器のライフサイクルにおいて有意な人間の関与が必要な段階と程度について議論を深めるべき。
    • エ ルールの対象範囲: 致死性兵器に用いられる可能性があるといった安易な理由で,自律化技術の研究・開発の規制は厳に慎むべき。ルールの対象範囲は,致死性があり,かつ有意な人間の関与がない完全自律型兵器とすべき。
    • オ 国際法や倫理との関係: LAWSを含め,武力の行使に当たっては,国際法,特に国際人道法を遵守することが必須。国際人道法違反に対しては,通常の兵器と同様に使用する国家や個人の責任が問われるべき。
    • カ 信頼醸成措置: 透明性の確保のため,兵器審査の履行体制をCCW年次報告に加える等,いかなる仕組みが適切か検討することが適当。

    (4)あり得べき成果: 主要国を含む,国際社会で広く共通認識を確保した上でルールについて合意するのが望ましいが,意見の相違があるため,法的拘束力のある文書を直ちに実効的なルール枠組みとすることは困難。現状においては,GGEにおける議論を踏まえた成果文書が適切なオプションの一つであり,今後,他の関係者と協力する。

    [参考2]LAWSに関する政府専門家会合(GGE)

    (1)2017年11月,特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みの下,LAWSに関する第1回政府専門家会合(GGE)が開催され,同システムに関する国際社会の共通認識の形成を目指し,技術,軍事的効果,法律・倫理といった諸側面に関する議論が行われた。

    (2)2018年は4月に第2回GGE,8月に第3回GGEが行われ,LAWSの特徴,その使用における人間の関与,国際人道法上の課題等について議論が行われた。我が国からは髙見澤將林(たかみざわ・のぶしげ)軍縮代大使を団長として外務省,防衛省関係者等が出席。会合最終日には,議長報告書が採択され,2018年の2回のGGEの議論の概要が取りまとめられるとともに,2019年もCCWの枠組みで議論を継続することが提言された。
     議長報告書は,2018年11月にジュネーブで行われたCCW締約国会議において承認され,2019年のGGEは,3月25日~29日,8月20日~21日に開催されることが決定された。