厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

平成30年8月3日(月)15:00~17:00

場所

労働委員会会館 講堂

議題

(1)酸化チタン(Ⅳ)に係る健康障害防止措置の検討
(2)マンガン及びその化合物に係る健康障害防止措置の検討
(3)その他

議事

議事内容
○大内評価係長 本日は、大変お忙しい中、また、暑い中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただ今より、「平成30年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」を開催させていただきます。
 本検討会につきましては、昨年度開催いたしました「平成29年度第5回化学物質による労働者の健康障害防止対策に係る検討会」及び「第2回管理濃度等検討会」の合同開催でお諮りしたとおり、管理濃度等検討会を化学物質による健康障害防止対策に係る検討会に統合し、開催することとしたものでございます。
 昨年度までの両検討会の委員の皆様には、本検討会でも引き続き御協力いただくこととなっておりますが、明星委員に代わりまして、産業医科大学産業生態科学研究所 職業性中毒学研究室教授の上野先生が就任されましたので、御報告させていただきます。
 また、委員の出席状況ですが、全員御出席されております。
 また、本日、特別参集者として、圓藤委員に参画いただいております。同じく、特別参集者である櫻井委員、清水委員からは、事前に御欠席との御連絡をいただいております。
 また、このたび事務局にも異動がありましたところ、出席者について御紹介をさせていただきます。
 化学物質対策課長の塚本でございます。
 化学物質評価室長の川名でございます。
 環境改善室長の西田でございます。
 環境改善室長補佐の寺島でございます。
 化学物質評価室長補佐の増岡でございます。
 環境改善係長の小岸でございます。
 私は、評価係長の大内と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日は平成30年度の第1回検討会でございますので、化学物質対策課長の塚本から御挨拶を申し上げます。
(塚本化学物質対策課長) こんにちは。あらためまして、7月31日付けで化学物質対策課に異動になりました塚本です。よろしくお願いいたします。
 本日は大変お忙しく、また、暑い中、この化学物質の健康障害防止措置に係る検討会にお集りいただきまして誠にありがとうございます。また、日ごろから厚生労働行政、特に安全衛生行政の推進に御理解、また、御指導を賜り、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 さて、皆様御承知のとおり、国によります化学物質のリスク評価につきましては、平成18年から始まり、リスク評価等の結果を踏まえまして、これまで18物質、特別有機溶剤を含めますと28物質につきまして、健康障害防止措置として特定化学物質への追加を行ってまいりました。その間、胆管がん事案、膀胱がん事案なども発生しており、これまで以上に、リスク評価とその結果に基づく健康障害防止措置が重要になっているかと思います。
 本検討会につきましては、化学物質に係る議論をより効率的に進める観点から、先ほども御紹介させていただきましたが、本年3月にお諮りいたしました行政検討会の見直し方針に基づきまして、管理濃度等検討会を従来の化学物質の健康障害防止に係る検討会に統合したものでございます。
 今後、化学物質のリスク評価検討会等におきまして、リスクが高く、健康障害防止の措置が必要と認められました化学物質につきましては、ばく露防止措置や、作業環境測定等につきまして御検討いただき、私ども行政におきましては、この検討結果を踏まえまして、必要な措置を着実に講じる予定でございます。
 本日は御参集の皆様方の各専門分野の知見、また、経験を併せました御検討、御審議をお願いしまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
〇大内評価課長 本検討会は座長を置くことになっております。事務局といたしましては、小野先生にお願いしたいと考えておりますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
 それでは、以下の進行は座長の小野先生にお願いいたします。
〇小野座長 労働安全衛生総合研究所の小野でございます。
 委員の先生方の中でも若輩者でございまして、この立場でいることに大変居心地の悪さを覚えておりますけれども、皆様の御協力をいただきながら進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
〇大内評価係長) それでは資料の確認をさせていただきます。
 お配りしております議事次第の裏面にございます「配布資料一覧」に沿って御説明をさせていただきます。
 まず資料1といたしまして、「酸化チタン(Ⅳ)の健康障害防止措置検討に係る今後の対応について(案)」という資料でございます。続きまして資料2-1といたしまして、「「マンガン及びその化合物」の管理濃度等の見直しについて」という資料でございます。続きまして、資料2-2、「マンガン及びその化合物に係る健康障害防止措置に係るアンケート結果」という資料でございます。
 次からが参考資料でございます。
 参考資料1は、「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会開催要綱」という資料でございます。参考資料2-1、「ヒアリングでの事業者からの意見・要望」、参考資料2-2といたしまして、「酸化チタンの分類・用途」、参考資料2-3といたしまして、「労働安全衛生法における表面処理結晶性シリカの取扱いについて」、参考資料2-4といたしまして、「Committee for Risk Assessment Opinion」と記載している資料になります。最後に参考資料3といたしまして、「マンガンに関係する製鋼工程(概要)」という資料でございます。
 その他、委員の皆様方には机上配布資料、常備資料といたしまして紙ファイルを置かせていただいております。御検討の際には適宜御参照いただきますようお願いいたします。また、次回以降も使用いたしますので、検討会終了後そのまま席に置いていただきますようお願いいたします。
 資料は以上となりますが、過不足又は落丁などがございましたら、事務局にお知らせいただければと思います。
 よろしいでしょうか。
〇小野座長 大丈夫そうですね。
 では、本日の議題に移ります。
 本日の議題は、「酸化チタン(Ⅳ)に係る健康障害防止措置の検討について」と「マンガン及びその化合物に係る健康障害防止措置の検討について」となっております。
 まず、酸化チタン(Ⅳ)に係る健康障害防止措置の検討について、事務局から説明をお願いいたします。
〇川名化学物質評価室長 酸化チタンに関しまして、私、川名の方から御説明を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。酸化チタンの関係で使います資料につきましては、配布しております資料の1と参考資料の2-1から2-4まで、これが酸化チタン関係の資料でございます。委員の皆様の机上配布させていただいております紙ファイルの中にも、これまでの酸化チタンに係る関係資料をとじ込んでございます。
 本日は主に資料1に沿って御説明申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 資料1の「1 経緯」でございますが、酸化チタンにつきましては、平成21年度有害ばく露作業報告対象物質として選定され、その後リスク評価を進めてきたということでございます。そのリスク評価の結果、ナノ粒子については、酸化チタンを製造している作業場における充填又は袋詰め作業が、ナノ粒子以外の酸化チタンにつきましては、粉体塗装の作業がそれぞれリスクの高い作業として確認されたということで、それを踏まえ、平成29年の3月からこの措置検討会において御検討いただくということになった経緯がございます。
 29年3月から昨年度の措置検討会において御検討いただき、その中では業界団体へのアンケート、また、アンケートに回答いただいた中から御協力いただいて、ヒアリングを延べ8団体に対して実施していただいたところでございます。
 参考資料2-1に、そのときの業界の皆様から出された意見や要望の概要を整理しております。1つ目としては、酸化チタンといっても表面処理の有無や、表面処理剤の種類や大きさが異なる様々なものがあり、一括りで評価すべきではないのではないかと、あるいは国際がん研究機関で発がん性が評価された酸化チタンは表面処理されていないものであって、表面処理酸化チタンとは異なると、こういった御指摘がいろいろと出されました。次のページにもそのときの御指摘をまとめさせていただいております。
 そのような御意見等も踏まえ、当方でも検討した結果、酸化チタンには表面処理したものと未処理のものもあると、特に表面処理したものについては、EUにおいてもその取扱いについて検討が開始されているという新たな情報ももたらされたということでございまして、これらをどのように扱うべきなのか等、検討すべき課題が残されていることが明らかになったのではないかと考えた次第でございます。
 2番目としまして「ヒアリング等を通じて明らかとなった検討課題」ということで、先ほどの参考資料2-1で出されたような意見を総括し、新たな課題として整理したということでございます。
 (1)といたしましては、表面処理酸化チタンの取扱いについて、もっと検討を深める必要があるということでございます。酸化チタンの主な用途ということで、これも業界の皆様にお作りいただいた資料でございますが、参考資料2-2ということで、酸化チタンの分類・用途ということで、粒子としてはナノ/ナノ以外というものがあり、それぞれに表面処理したもの/しないものといったもの、そういった分類もあるというようなことで情報提供をいただいたということでございます。
 資料1に戻っていただきます。国立がん研究機関が酸化チタンの発がん性の根拠として採用した動物実験では、表面処理なしの酸化チタンが使用されているという御指摘がございました。その一方で、表面処理された酸化チタンの有害性に関する試験はほとんど行われておらず、論文も少ないことから、表面処理された酸化チタンの有害性は、表面処理なしの酸化チタンと同等なのか、違いがあるのかについて明確に判断できない状況にあると考えるところでございます。
 また、業界からは、安衛法において結晶性シリカが、表面処理の有無により区別して取り扱われていることを踏まえ、酸化チタンについても、表面処理の有無により区別して取り扱うべきであるとの指摘もあったところでございます。
 その次のパラグラフでございますが、EUでは、業界とEU当局が連携して表面処理酸化チタンも含めた有害性に関する追加試験を実施するという情報がもたらされたということでございます。
 このようなことを踏まえまして、表面処理酸化チタンの有害性について、どのように扱っていくのが適切なのかということを、さらに深めて検討する必要があるというふうに考えました。
 「(2)酸化チタンの発がん性について」ということでございます。
 酸化チタンの発がん性については、現在EUでも検討されているところでございまして、EU化学物質庁リスクアセスメント委員会(RAC)は、EUカテゴリー2、これは物質及び混合物の分類、表示及び包装に関する規則に基づいて分類表示が義務付けられるものという区分ですが、これに提案しています。それと同時にRACは、IARCが2Bとした根拠としている動物実験について、ラットに高濃度の酸化チタンを吸入させて肺がんを発生させたものであって、これは酸化チタン固有毒性ではなく、難溶性・低毒性粒子、いわゆる粉じんが肺に大量に蓄積されて、マクロファージが処理できなくなった、オーバーロードが原因するといった見解も公表しているわけでございます。
 このようなこのRACの見解も踏まえて、酸化チタンの発がん性につきましても改めて検討する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 現在のEUの検討状況を情報提供していただいたところ、EUにおいても、難溶性・低毒性粒子の定義、包括される範囲等についてもまだ議論は始まったところという状況だということでございました。
 次の3ページ目でございます。「(3)酸化チタンが発じんする可能性のある作業」ということで、業界の皆様からは酸化チタンが発じんする可能性のある作業については、そこに記載した二つの作業であるというふうな御意見が出されたところでございます。このことにつきましては、改めてばく露実態調査等も実施しながら再度検討する必要があるのではないかと考えております。
 その次のパラグラフでございますが、酸化チタンの有害性の根拠になっているのは表面処理なしのものであります。一方で、我々厚労省が実施したばく露実態調査の対象事業場で取り扱っているのは、表面処理ありのものがほとんどであるということで、表面処理なしの酸化チタンを取り扱う事業場を対象にしたばく露実態調査を行うべきであると、有害性を評価したものと同じものでばく露実態調査を行うべきであるという御指摘もあったところでございます。この点についても課題であると考えております。
 また、新たな知見を考慮すべきということでございますが、現在、厚生労働省の方では日本バイオアッセイ研究センターにおいて酸化チタン、これは表面処理なしのアナターゼ型のナノ粒子、これを用いたものでございますが、こちらの長期発がん性試験を実施しております。その結果につきましては、2020年度にリスク評価検討会の有害性評価小検討会に提出できる見込みでございますが、そういった長期発がん性試験の結果を考慮する必要があるのではないかという御指摘もございました。
 さらに、酸化チタンのリスク評価書で考慮されていない最新の知見等、これは外国で行われました疫学調査というような調査研究もあるということでございますので、そういったような新たな知見も考慮して検討すべきではないかという御指摘もありましたので、これも課題であると考えているところでございます。
 こういったような課題があるのではないかというような整理ができましたので、これを踏まえまして、この3の「今後の対応」というところでございます。
 ヒアリングを通じましていろいろ明らかになってきた課題を踏まえまして、この3の『今後の対応の』ポイントとしましては、3つ目のパラグラフにあるように、一度措置の検討を中断し、EUにおける議論の状況も見ながら、さらに日本バイオアッセイ研究センターにおける長期発がん性試験の結果等新たな知見を探索しながら、そういったものが出そろったところで、再度リスク評価検討会において有害性評価の検討を行うという方向にもっていってはどうかということです。考えているところでございます。
 その上のパラグラフのところでございますが、IARCの発がん性の根拠となっている表面処理なしの酸化チタンのみに焦点を当てて措置を検討することも考えられなくもないのですが、表面処理なしの酸化チタンのばく露データが乏しいこと、酸化チタン特有の有害性なのか、とそれとも「粉じん」としての有害性なのか、そういった点が未確定の状況ではなかなか検討するのが困難ではないかと思っているところでございます。
 こういったことから一度措置の検討を中断するということとして、改めていろいろな知見を集めた上で有害性評価を行うということにさせていただきたいと考えているところでございます。
 ただ、そうは言いながらも、いろいろと問題もあるといことでございます。そういったものについて、我々としてもいろいろな手を打っていくということを同時に考えたいと思っております。
 その「なお」書きの部分でございます。マル1としまして、表面処理なしの酸化チタンを取り扱う事業場を対象としたばく露実態調査、これを実施することといたしたいと考えております。業界の皆様の協力も得ながら、できれば平成30年度中に着手したいと考えております。
 また、発じんの可能性ということで御指摘があった部分については、樹脂等と混合された酸化チタンの再発じんの可能性に係る調査、これについても取り掛かってみたいと考えているところでございます。
 マル3といたしましては、いろいろな情報を積極的に収集していくということでやっていきたいと思っております。
 さらに4番目、これは固有の毒性なのかどうかにかかわらず、粉状の物質である酸化チタンを長期間にわたって多量に吸入すれば、肺障害の原因となり得るものであろうということから、措置の検討を中断するとしても、酸化チタン関係業界の皆様に対しては改めて注意喚起をすることとしたいと考えております。また、この注意喚起の仕方についてはまだこれから検討ということではございます。
 こういったことを並行して行っていきながら、しばらくEUの議論の状況、あるいはバイオアッセイ研究センターにおける長期発がん性試験、そういった知見も集めつつ、条件がそろったところで再度リスク評価から行うということにさせていただきたいと、このようなことでお諮り申し上げるところでございます。
 長くなりまして申し訳ございません。事務局からの説明は以上でございます。
〇小野座長 ありがとうございました。ただ今の御説明につきまして、御意見、御質問、確認したいこと等ございましたらお願いいたします。
 松村委員、お願いいたします。
〇松村委員 酸化チタンはほぼ白色顔料ということで化粧品などの顔料に使われていると思いますが、ナノ粒子が全てだと思ってよろしいのでしょうか。
〇川名化学物質評価室長 お答えになるかは自信のないところでございますが、酸化チタンの用途としては、参考資料2-2に掲げられているように、ナノ粒子のものもあれば、ナノ粒子ではないものもあるということではございます。そのときの資料を見ますと、ナノで表面処理あるものにつきましては、左側の欄でございますが、例えば用途としては日焼け止めの化粧品といったところに使われておるということでございますし、ナノ粒子以外のものにつきましては、例えば右から2番目の欄の下でございますが、塗料やインキ、プラスチック、ゴムなど、そういった用途に使われているという状況だということのようでございます。
 これでよろしいでしょうか。
〇松村委員 厚生労働省の通達でも、ナノ粒子の吸入ばく露に対する予防措置というか、そういう通達も出ておりまして、そうすると表面処理があるもの/ないものというのはどちらも対象になっていると思うのですが、この2ページ目のヨーロッパのLSEの立場の中で、難溶性低毒性微粒子の大量吸入ということでは、表面処理のあるものもないものもそれほど違わない影響があるのかという気がちょっとしたのですが、その辺の見通しはいかがでしょうか。
〇川名化学物質評価室長 申し訳ございません。EUの方の状況は、正直申し上げて、我々も今、情報収集をしているところでございます。今、御指摘があったナノ粒子の通達なども念頭に置きながら、ということになろうかと思いますが、一番最後の3のマル4にあったような注意喚起などは、御指摘があった通達のことも念頭に置きながら検討してみたいとは思います。
〇大前委員 バイオアッセイの結果というのはいつ頃出るのかということと、もう1つは、もし発がん性があった場合、それがオーバーロードによるかどうかということが多分議論になると思いますが、もしがんが出た場合にそのがんがオーバーロードによる可能性があるかどうかという、そういう評価もぜひバイオアッセイの報告書の中に入れていただきたいと思っています。
〇川名化学物質評価室長 御指摘ありがとうございます。 
 バイオアッセイの試験の結果は、2020年度に開催するであろう有害性評価小検討会に提出できる見込みと現在なってございます。今、大前先生から御指摘があったオーバーロード等につきましては、事前に我々とバイオアッセイの方とで検討させていただきながら、また、有害性の委員の皆様からも、いろいろ御指導をいただきたいと思うところでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
〇唐沢委員 ただ今の資料1の3ページ目の「(4)新たな知見の考慮」ということで、バイオアッセイの結果をきちっと見守るということは必要なことだとは思うのですが、従来の検討の中に、TiO2の表面処理があるものについては、ある業界団体の方々で、例えば生体内の挙動だとか有害性そのものについて調査を手がけていただいているということもあったようですが、私も表面処理がないTiO2について毒性を詳細に明らかにする方が先決だとは思いますが、今後、表面処理をされたTiO2についての毒性の検討というのがどのようになるのか、なかなか難しい質問だと思いますが、もし見通しがあれば教えていただきたいと思います。
〇川名化学物質評価室長 正直申し上げまして、まだEUにおいてもその議論が始まったところという状況でもございますので、まずはEUの状況を我々もフォローすることが必要であると思っております。その上でよく検討していきたいということでございます。まずはEUの状況をしっかりとフォローしていくということから始めたいと考えております。
〇藤間委員 ずっとヒアリングを通じて拝見していて思ったのは、この酸化チタンの表面処理のいろいろなものがある中で、実際に今どういうものが各事業者さんの中で粉じん障害防止規則として扱われているかとか、その辺りが必ずしもクリアになっていないのではないかと、粉じん障害防止規則については所管が違うかと思いますが、その辺りの混乱が少しあって、お聞きしていると粉じん障害防止規則に基づいていろいろな管理をなさっているのか、そうじゃないのか、この辺りが明確ではなかったようにお見受けしました。その辺りをクリアにして、この結果が出るまでの数年間の間、いろいろな対策を考えていただくことが重要ではないかと感じております。その辺りを、この中に反映していただければありがたいと思います。」
〇川名化学物質評価室長 御指摘ありがとうございます。私も4月に着任したということではございますが、この酸化チタンをめぐる議論については、過去の議事録もさかのぼって整理して臨んでいるわけでございますが、やはり御指摘の点につきましては、委員の皆様からのヒアリングの状況などを見ていても、必ずしもクリアに整理していなかった部分があろうかと思いますので、評価書を再度検討する際にも、その点をよく考慮しながら分かりやすく整理を進めることを心がけたいと思います。
〇名古屋委員 今言われたように、粉じん障害防止規則に基づく管理はどうかということについて、私が知っている限りでは、酸化チタンの原料となる鉱物を粉砕して酸化チタンをつくる原材料を出荷しているところは粉じん障害防止規則の適用を受けていますし、それから実際に現場に行ってみても袋詰めのところなどはちゃんと粉じん障害防止規則の適用を受けているので、局所排気装置の設置や作業員の方はみんな防じんマスクをして作業をしていますので、粉じん障害防止規則の適用を受けているところは全部クリアになっていると思います。現場では曖昧になっていなくて、きちっとしていると思います。
〇藤間委員 袋詰めのところについてはあれでしょうけれども、多分、その先のそれを取り扱うところで表面処理があった後とか、その辺りでも、本当に実際にやられているのかどうか。
〇名古屋委員 私が言っているのは、粉砕された原材料からそれを袋詰めのところまでの工程が粉じん障害防止規則の適用を受けるのできちんとした対応していますよということで、その先は知りません。それは原材料を買われたところがいろいろ用途に応じて表面処理するとこで、それ以前のところはきちんと粉じん障害防止規則に引っ掛かっているのできちんと行っていますよということです。
〇藤間委員 ユーザーサイドがちょっとアンクリアのところかと思いました。
〇松村委員 先ほどのナノ粒子に対する障害防止の通達の趣旨の中で、呼吸用保護具を使うということで呼吸用保護具の種類の選択基準が書いてあり、これはアメリカのOSHAの考え方にだいたい沿ったマスクの選び方なのですが、有害性が分からないものに対してはとにかく最も厳しい有害性を想定したマスクを使うということになっておりまして、そうしますと、酸化チタンに対しても、それほど毒性が強い方ではないと思うのですが、重度の通気抵抗も大きい大型の呼吸用保護具を使うようなことになってしまいます。ですから、その辺は臨時措置といいますか、そういうものが多少あれば、実際にはその方が呼吸用保護具を使うときでも使いやすいのではないかという気がします。あの通達の内容は非常に厳しくなっております。
〇川名化学物質評価室長 資料1の3のマル4番につきましては、具体的な内容をこれから検討させていただくという状況でございます。御指摘を踏まえまして、また検討を進めていきたいと考えております。ありがとうございます。
〇中明委員 中明です。バイオアッセイに実験をやってもらっているわけですよね。それは表面処理したものとしていないものということでは、今は表面処理をしていないものについてだけやっていて、2020年のときに両方ともいっぺんに結果が比較できるようなものが出てくるということじゃないわけですね。
〇川名化学物質評価室長 バイオでやっています長期試験につきましては、表面処理なしのものでやっております。
〇中明委員 それだけですね、それが出てくるかどうかですね。
 それで、予測としては表面処理をしていない方は大丈夫だなというのはあるのですか。分からない? 微妙なところですね。川名さんはまだ来たばかりだからいろいろと言われると大変だと思いますが、やっぱり2020年まで引き延ばして、何か一定の方向が出るように、先ほど藤間委員が言っていたような形で出るようにしてもらえるとすごくありがたいと思います。
〇小野座長 ありがとうございました。他にはよろしいでしょうか。
 この問題については、やはり表面処理の酸化チタンをどうするかということが難しいところではありまして、以前、酸化チタン工業会さんの方でvitroの試験などをおやりになるという話もあったような気がするのですが、ありませんでしたか? 溶解性の試験でしたか? そういうのもあったかと思うのですが、表面処理をしていないものについては毒性試験が進んでいて、ばく露評価がないのでそれをやりますと、そして、今までばく露評価をしていたのは表面処理をしていたものだったので、毒性の情報については、これからは表面処理したものについて集中的に集めるということだと思います。それが少なくとも2020年まではかかるので、それまでの間にマル4番の注意喚起とか対策を粉じん障害防止規則でカバーできる部分は粉じん障害防止規則で、カバーできない部分はナノの通達を酸化チタンに合うように見直すなりということで対応していただくということになって、それで一応皆様の御理解が得られたと思っております。
 資料1の4ページの樹脂と混合された酸化チタンの再発じんのマル2番ですが、これにつきましてはNEDOグループが2010年ぐらいからずいぶんいろいろなものの樹脂等からのナノの発生という試験をしていたはずですので、その辺の情報も入れていただいて、新しいものはヨーロッパからも出ていると思いますが、そういったところもまとめていただけたらと思います。
 ということで、マル1、マル2、マル4に関してEUの情報あるいは海外の情報、国内の情報をまとめて2020年になったらまた次の作業を進めるということで、酸化チタンについてはそういうことでよろしいでしょうか。
 では、これ以上の御意見がないようでしたら次に進ませていただきます。
 では、次の議題に移ります。マンガン及びその化合物に係る健康障害防止措置の検討について事務局から御説明をお願いいたします。
〇寺島環境改善室長補佐 では、説明をさせていただきます。お手元の資料の2-1を御覧ください。
 まずマンガン及びその化合物の管理濃度等の見直しにつきまして、この1枚目の資料は、これまで管理濃度等検討会で御紹介してきた内容と基本的に同じです。
 ざっと申し上げますと、マンガン及びその化合物につきまして、管理濃度が現在0.2mg/m3で特定化学物質になっていますが、こちらにつきましてACGHIやEC、「EU」と書いてありますが、ここは昨年EU Directiveで設定されたということですので、EUに基づきまして、こ吸入性粉じん、インハラブル粒子の両方でばく露限界値が設定されているということで、管理濃度の見直しを検討しているというものです。
 下の方に測定方法について現行の方法が原子吸光、吸光光度分析となっており、新しい提案として原子吸光となっています。こちらにつきまして、後ほど出てまいりますので、口頭で補足させていただきますと、昨年度までの管理濃度等検討会の中で、管理濃度が引き下がった場合に分析方法としてもう少し精度の良いものが必要ではないかということで、労働安全衛生総合研究所から報告をいただきまして、その中では原子吸光のフレーム法につきましてはやや感度不足であると、また原子吸光の電気加熱式(グラファイトファーネス式)のもの、ICP-AES、ICP-MS、この3つにつきましては感度が取れるということで御説明いただいていたという経緯があります。
 次の資料2-2を御覧ください。
 そういったことで昨年まで検討をしてまいりました。この資料2-2の1ページ目の中ほど、(3)のところに「検討状況」とあります。これまでの検討で、昨年5月の時点で、吸入性粉じんを評価の対象として定めるのが適当ではないかということで、この後、御承知のように、今年の3月にこの検討会で業界に対してアンケート調査を行うということについて御審議、御了解をいただいたところです。
 本日は、業界団体に御協力をいただきまして、管理濃度が引き下がった場合の影響を中心にアンケートに回答をいただいておりますので、こちらを御紹介しつつ、今後の措置について御検討いただければと思っております。
 この資料は基本的に業界からいただいた意見をそのまま載せております。
 次のページを御覧ください。2ページです。
 業界団体といたしましては、日本鉄鋼連盟、日本フェロアロイ協会、日本溶接協会、化成品工業協会、この4つの団体に御協力をいただいております。
 鉄鋼連盟とフェロアロイ協会から多くの意見等を出していただいたのですが、ここで本日、議論の中心となりますその工程につきまして、簡単に御紹介をさせていただきます
 参考資料3「マンガンに関係する製鋼工程(概要)」というポンチ絵を御覧ください。上半分に書いてありますのが合金鉄(フェロアロイ)を作る工程です。こちらはマンガンが65%、75%とかなりの高濃度で含まれる合金鉄を作る工程で、これは鋼を作る際に添加される原料として作っているということです。
 御覧いただきますと、電気炉、こちらは基本的に密閉しているということで、ここにマンガン鉱石とコークスを入れまして、溶解しなったものを湯口から出すということなのですが、ここでマンガンが発生してまいります。こちらを電気炉から出して、冷却をして、その後で破砕して整粒して、ある程度塊状になったところで鉄鋼メーカーに納入するという流れになっておりまして、それぞれマンガンが発生するような作業があるということです。
 下半分が鉄鋼メーカー、高炉メーカーの場合ということですが、コークスと鉄鉱石から銑鉄を作りまして、高炉の方は連続炉ですが、ここから転炉の方に銑鉄を移します。転炉で酸素吹込みによって鋼を作るわけですが、このタイミングでフェロアロイというマンガンを含んでいる合金の塊を投入する作業があるということです。この炉の周りの作業ということになります。そこから出鋼しまして、必要な措置を行って、鋼の完成ということになります。この鉄鋼メーカーのところでも、マンガンのばく露の作業があるということです。
 以上、簡単に工程を御説明しました。
 元の資料に戻っていただきまして、こういった作業を念頭にして、現行のマンガンの特定化学物質としての作業環境管理をしていただいているわけですが、管理濃度を下げた場合に影響が出てくるということで、事業場の方から御意見をいただいております。
 3ページの(3)のところから御紹介していきたいと思います。作業環境管理にあたって考慮が必要な事項ということで御意見を出していただいております。
 1番目と3番目のところに、吸入性粉じんとインハラブル粒子のどちらを評価対象にするかということで議論されてきておりますが、どちらかに1つにしてほしいという御意見が出ております。
 インハラブル粒子について昨年までも御議論いただいているのですが、そもそもインハラブル粒子が測定可能な機関が少ないということで、これも2番目、3番目、4番目のところでそういった御意見が出てきております。
 また、6番目、7番目、8番目辺りのところに書いてありますが、ばく露の時間を考慮した評価をお願いしたいという御意見です。作業環境測定というのが場の評価になっていることに対しまして作業時間が非常に短いという場合、ばく露の量が変わってくるということを想定しての作業時間を考慮してほしいという御意見が出てきております。
 それから10番目「管理濃度」のところにありますように、これまでマンガンの管理濃度が下がってきておりまして、2004年に1mgから0.2mgに見直されておりますが、その際にも設備投資を行いまして、ようやく第1管理区分に改善することができているけれども、これ以上の改善についてはかなり無理があるということで、10番目それから下から2番目「集塵機等の設備対策」と一番下「転炉における原料投入時、及び出鋼時の粉じんの巻上げ」の御意見として、なかなかちょっとこれは難しいという御意見が出てきております。
 概ね4ページにいきましても基本的には同じような御意見をいただいているところです。
 設備対策が困難ということなのですが、4ページ目の下から3番目のところには保護具のことが書いてあります。下から4番目、3番目、2番目のところにマスクのことが書かれておりますが、その辺について議論をいただきたいということが書かれております。
 一番下が分析方法であります。冒頭御紹介しましたように、現在の法定の分析法が原子吸光法となっておりますが、これをICP-AESというもう少し感度のよいものに変更するのがよいのではないかという御指摘があります。
 このように、なかなか対応が難しいのではないかという御意見が縷々出されているわけですが、5ページにいきまして、そういった要望の根拠として、現状はどのように管理をしていただいていて、作業環境測定の管理区分がどうなっているのかということでデータをお出しいただいております。こちらは鉄鋼連盟とフェロアロイ協会、一部溶接協会の会員などからお出しいただいております。
 ざっと見ていただくと分かりますように、局所排気装置、囲い式と外付け式、いずれにおきましても付いているところが多いのではないかと思います。
 マスクの方ですが、使い捨て、取替え式、PAPRで聞いておりますが、使い捨てはもとより電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)が全くなかったということで、皆さん取替え式の防じんマスクを使っていただいているということです。
 肝心の作業環境測定の結果ですが、管理区分につきましては第1のところもありますが、第2、第3のところもそれなりにございまして、なかなか厳しい状況であるというのが見てとれるかと思います。
 なお、一番右側に「総粉じん」と「吸入性粉じん」と書いてありますが、これは質問のときの用紙の中で、「捕集粒径としてどちらですか」という問い方をしておりまして、現行の作業環境測定基準では総粉じんでマンガン濃度をとってくださいということになっておりますので、この辺り、おそらく総粉じんの方がマンガン濃度ですし、吸入性粉じんも、マンガン濃度で分析していただいていればその値を記載いただいているというふうに理解しております。
 これらをグラフにしたものが8ページにありますので御覧ください。こちらのグラフは、今データを見ていただいたものを機械的にざっと並べたものです。粒径の区別をしておりません。0.2のところに点線が引いてありますが、これが現行の管理濃度でして、黒い方のグラフの第1評価値が点線を越えてしまって、1本だけ出ているところが第2区管理分、それから縞々の第2評価値も線を越えてしまっているところが第3管理区分いうことになります。見ていただくと分かるように、かなり第2とか第3のところが出てしまっているというのが分かります。
 これを仮に改定案として点線で示す管理濃度がぐっと下に下がった場合、かなりのところで管理区分が厳しくなることが予想されますが、一方で、これは粒径の区別を全くしておりませんので、余裕がある可能性もあります。
 次のページに、想定してどのぐらいの割合になるのかという計算をしております。こちらは粒径区別がないので、全くおおむね把握したという感じですから御参考に見ていただければと思いますが、重要なのは一番下のところの簡単な表です。「出湯作業」と書いてあるのが2つあります。こちらは、特定の事業場の方で、同一の作業につきまして総粉じんと吸入性粉じんの両方を測定していただいております。化学分析でマンガンの濃度を出していただいております。
 こちらを見ていただきますと、総粉じんに占める吸入性粉じんの割合が、右の方に書いてありますように、1つの出湯作業では6%、もう1つの方では21%となっております。こちらは作業について何か違いがあるかということを確認をしましたところ、工場が違うということがありますし、少し測定点が離れるだけでも吸入性粉じんの割合がかなり変わってくるということですので、昨年までの管理濃度等検討会で、同一の作業であれば吸入性粉じんの割合はある一定の値で考えられるのではないかという御議論をしていただいていたのですが、距離や測定点の問題でそこは少し難しいのではないかという印象を持ちました。1社のデータを提供していただいたのみですから確定的なことは言えませんが、そういった印象を持っております。
 次のページにまいります。そういう厳しい状況だということですが、技術的可能性のところについていくつか書いていただいております。
 こちらにつきましても、一番上のところからいくつか、1番から4番ぐらいまでは発散源の密閉がそもそも可能なのかというで、ここはちょっと無理じゃないでしょうかということです。導入例が少ないということです。
 それから4番目辺りから局所排気装置について記載していただいておりますが、ここも性能向上というところにつきましては、これまでもやっているけれども、それ以上に何かしていくことがなかなか技術的に難しい面があるのではないかという御指摘があります。
 8番目、プッシュプルにつきましても少し書いていただいた部分があります。
 9番目、下から5番目ですが、樋の密閉化のところですが、この部分は作業スペースの問題で措置が追加的には難しいということが指摘されております。
 下から2番目と一番下が保護具のことですが、電動ファン付き呼吸用保護具ですが、防護係数を高くとるためには電動ファンも考えられるところですが、こちらについては現在の措置状況からも見てとれますように、熱風を送り込むことになりますので危険であるため使えませんという御意見が多く聞かれているところです。
 次のページ、11ページです。一番上のところは溶接に関して御意見をいただいております。基本的には措置はなかなか難しいということと、2番目のところは、そもそも本質安全といいますか、マンガンを使わないことは無理ですと書かれております。
 これらをまとめまして(5)のその他の意見として、何か御意見はありますでしょうかということで聞いております。1番目のところは、ACGIHやEC科学委員会が検討している数値では、作業環境改善を大幅にしなければならなくなり、管理区分維持が非常に難しいということで、1番目と2番目のところは集じん機の能力アップについて指摘をされていますが、難しいということです。
 3番目と4番目のところは、そもそも災害が出ていないのではないかということ、災害が出ているのか、そういった根拠を示すべきではないかという御意見があります。
 5番目の後半ですが、管理濃度を厳しくしなければならないのであれば、法令の根拠を明確にしてもらいたいということと、厳しくするのであればリスクの高い作業、業界、そこに限定すべきではないかという御意見が出ております。
 下から4番目の「溶接関連作業」から始まる部分ですが、溶接につきましては粉じん障害防止規則で対応してきたと、溶接の業界の皆様の方で、溶接については塩基性酸化マンガンが中心なので基本的には対象外ではないかというふうに指摘されている部分です。対象外とするか、規制を軽減すべきということで御指摘をいただいております。
 下から3番目と2番目につきましては、管理濃度を下げるだけではなく、対策の部分で考慮をしていただきたいと、ばく露状況の短時間の測定であるとか、マスクの使用とか、そういったところでということです。
 一番下が、行政の方から支援してもらいたいということです。
 次のページにつきましても基本的には時間の概念を入れてほしいこと、塩基性酸化マンガンについては現行対象外でこれを継続してもらいたいということ、そういった御意見が出ているところです。
 一番下に測定法のところが、先ほどと同様ですが、御指摘がございます。
 このように、現在、特定化学物質障害予防規則の対象となっている事業場から、管理濃度が引き下がった場合の影響と御要望について意見をいただいております。
 なお、一番最後のページ、18ページですが、現在、塩基性酸化マンガンは規制の対象外となっておりますが、そういった物質がどこでどのように使われているのかというのを併せて情報提供いただきまして、基本、ここには2価の酸化マンガンにつきまして、溶接材料の方で使っていますということや、溶接のヒュームで出てきますといった御報告をいただいております。
 ここは御議論のあるところだと思いますが、こういったことで御指摘が出ているところです。
 以上です。
〇小野座長 ありがとうございました。ただ今の御説明につきまして、御意見、御質問、確認等ございましたらお願いいたします。
 皆様から出てくる前に、私は管理濃度委員会には入っておりませんでしたので、測定方法を原子吸光にしているというところがちょっと気になるところではございます。いわゆるフレームの普通の原子吸光では感度が全く足りず、電気加熱式のフレームレスにしても直線範囲が1桁ないという状況では、濃いところから薄いところまでをやるときに、相当手間が増えるということがございます。かつ、いくつかの方法を採用するのはよいのですが、それぞれの測定装置によって前処理に必要な工程が違ってまいりますので、その際に溶けているマンガンが同じマンガンなのかどうかという次の問題も出てきます。
 最後の方で御意見がございましたが、マイクロウェイブで簡単に溶かしてICP発光というのが、当研究所の鷹屋から昨年度提出しております検討報告の方でも、単純に短い時間で前処理をして、ある程度決まったものを分析して、測定の感度も高くて直線性が広いということで、やはりこちらを入れていかないと、濃度を1桁下げて、もちろん濃度が高いところも総粉じんを測れば濃度が10倍以上高くなりますので、ちょっと経緯を知らないのに今ここで申し上げるのはどうかと思いますが、何とかならないでしょうかという、状況を把握していない状態なのですが、ちょっとその点が気になっております。
 ということで、皆様の方から御意見をよろしくお願いいたします。
〇大前委員 総粉じん、インハラブルかあるいは吸入性かということを考える場合、健康影響はどこで起きているのかということが重要だと思います。肺で起きれば吸入性だけでよいだろうというのは非常に分かりやすいのですが、一旦肺から吸収されて全身に回って、そこで何か起きるとしたらこれも吸入性でよいだろうと思います。
 それほど定かではありませんが、マンガンの場合は多分神経影響がメインだと思うので、一旦肺に行って、あるいは消化管を通して、吸収されて、そこから起こるということなので吸入性でもよいと思うのですが、ちょっと1つ確認をしなくてはいけないのは、マンガンの井戸水汚染で昔神経障害がけっこう出ています。そうすると、これは消化管吸収です。今考えているマンガンは、いろいろな種類のマンガンがあると思いますが、それが消化管吸収されるものであれば総粉じんでも押さえておかないとまずいということになるので、消化管吸収があるようなタイプのマンガンだと、これは吸入性粉じんだけではまずいということになると思います。
 したがって、こんな不確かな状態で言っているのは申し訳ないのですが、どの場所が健康影響のターゲットになっているかということをもう一度確認して、吸入性だけでいいものなのか、あるいは総粉じんとして考えなければいけないものなのか、それを判断する材料が1つ欲しいと思います。
 もう1つは、先ほど9ページで、出湯作業で吸入性と総粉じんの割合がどれぐらいになっているかというパーセントがありますが、たかだか2例なので確定的なことは言えませんが、単純に言うと桁が1個違うぐらいです。そうしますと、今、総粉じんが0.2で、例えばレスピラブルで0.02にしてもたかだか桁が1個違うぐらいなので、今までと変わらず、あまり業界の方が今よりもずいぶんきつくなるというふうに考えなくてもよいのではないかと思うのですが、ここら辺はどうですか。
〇名古屋委員 大前先生が言われたのは、多分、インハラブル粒子に関しては管理濃度委員会で検討されたときには、気管支で捕集され、その後気管支から消化器系に送られてきて、それを小腸から吸収するので、インハラブルについてもレスピラブルと同様な規制を行いましょうということを資料に基づいて検討しましたが、健康措置委員会ではその資料が提出されていないので、もし委員の皆さんが知りたかったら管理濃度委員会で出された資料をこの健康措置検討会に出せば、今先生ご指摘の点が判断できます。前回の管理濃度委員会ではインハラブル粒子をどうでしょうかというのと、それから作業環境測定のときにレスピラブル粒子とイン腹ブル粒子を同時に測るのは大変なので、レスピラブル粒子でいった方がよいでしょうと、要するにインハラブル粒子の濃度測定を行っても、インハラブル粒子はすぐに落ちてしまうので、もしインハラブル粒子を測るのであれば呼吸領域で、個人サンプルによるB測定的な測定でインハラブル粒子を測定するのがよいでしょう、という結論になったと思います。
 今、先生はマンガン濃度のことについて言われたのですが、例えば0.2が0.02になるという場合、たかだか桁が1個違うぐらいなので、あまり業界の方が今よりもずいぶんきつくなるというふうに考えなくてもよいのではないかと思っていらっしゃるかもしれないという意見かもしれませんが、例えば溶接の場合には今までは粉じん則の適用を受けていたので管理濃度は3mgでした。でも、今回の管理濃度の変更では、従来のマンガン規定の塩基性マンガンの除外規定がなくなることから、溶接作業時のマンガンが特化側の適用を受けることになると、粉じん則の3mgの規定より厳しい0.02mgの濃度の適用を受けることになります。つまり、3桁違うのです。そうすると溶接作業ができなくなってしまうという話になってきます。ですから、今まで金属の溶接などを行っていた作業場などに対しては1桁の影響ですが、そうではなく、新しく入ってくる溶接作業のところでは3桁も違ってくると、やはりそれは何らかの措置をしていただかないと、30万人の溶接作業者がいる分野のところに従来よりも3ケタも違う濃度規制がかかってしまうときに、溶接業界としてどう対応していくかというのはなかなか難しいです。1桁ではなく3桁違うので、やはりちょっと大変だと思います。
〇大前委員 今の3ミリというのは粉じんとして3ミリですか。
〇名古屋委員 溶接は粉じん則が適用されているので粉じんとしてしか扱っていませんから管理濃度は3mgです。先ほど言いましたように塩基性マンガンのところは、溶接業界としては、従来、溶接ヒューム中のマンガンは、塩基性マンガンと思っていましたから、今のところ、特化則で扱われるマンガンは対象になっていないと思っています。そうすると、今まではどちらかというと粉じん障害防止規則だけの適応を受けていましたが、今度はそれが特定化学物質障害予防規則になってくると、法令が違うわけですから、当然粉じん障害防止規則もかかるけれども特定化学物質障害予防規則もかかってくることになると、きついのは特定化学物質障害予防規則ですから、0.02mgの管理濃度に対応しなければいけません。というと、零細企業から大きい企業のところまで全ての溶接作業が0.02mgの濃度に対応できるかというと、なかなか難しいというところです。ですから、1桁の違いではないというところを言いたかったということです。
〇松村委員 ちょっとお伺いしたのですが、その溶接作業場の作業環境評価というのと、溶接作業をやっているオペレーターはほとんどがマスクをしています。最近はPAPR、フェースシールドでちゃんと遮光性のあるようなものを使っているのですが、そのマスクを使うということと作業環境測定の評価が望ましくは評価が1になるということと、法令上ではどういう関係になっているのでしょうか。
〇名古屋委員 粉じん障害防止規則で溶接作業というのは別表1の第20の2の粉じん作業ですが、結果的には防じん対策としての局排装置等が使えません。それはなぜかというと、溶接作業時溶接点を0.5メートル以上の風が通ると溶接不良が起こるので、局排装置等による防じん対策ができないため、溶接作業は防じんマスクで対応する別表第3の作業になっています。そのため、作業環境測定の義務はありません。別表3だから防じんマスクで対応しています。
 溶接作業では局排等で対策ができないので、粉じん則では防じんマスクをしているのに、今度は特定化学物質障害予防規則になったからといっても対策ができないのは粉じん則と同じです。やはり特定化学物質障害予防規則になっても防じんマスクで対応するしかないと思っています。
 そうすると、今までの3ミリに対応できた防じんマスクが0.02ミリに対応できるかといったらそれは困難だと思います。防じんマスクにかわる呼吸用保護具となってくると電動ファンしかなくなるということは明らかだと思います。
〇松村委員 従来のばく露防止措置としても呼吸用保護具の使用はほとんどサブの立場で、それが正式な対応の手段としてあまり書かれてきていません。そういう換気の管理が機能的にできないところでは、呼吸用保護具の正確な使用をむしろもっとうたった方がよいのではないかという気がしますが、どうでしょうか。
〇小西委員 先ほど委員長の方から測定法のお話が出ました。以前から、管理濃度等検討会でも、低い濃度のところに対しては確かによい分析方法だということですが、高濃度のところはじゃあ使えるじゃないかと、必ずその議論になります。ですから、法定で決めるときに、今までは結局幅を持たせたような書き方になってきていて、もう吸光光度なんてやめましょうよということはいくらでもあるのですが、それでも高濃度ならできるということがあるので、ですから、今委員長が言われたように、もし分析をやるのであれば、相手の濃度に応じて、これぐらいの幅のところであればこういう方法を作るということを、そろそろ入れていかなければいけないのではないかという気がします。
 もう1点は、今松村委員が言われたように、排気装置だけで全てのことが本当に解決できるのかということですが、管理する濃度がどんどん下がってきていますし、そういうことでいくと、松村委員が言われたとおりで、マスクをいかに上手に使っていくかということです。排気装置そのものがうまくいかないところについては、今までマスクというのは経過措置だというふうに我々も習ってきたわけですが、もうマスクそのものをうまく使っていくということと併用していくことが重要なのではないかと思います。
〇小野座長 測定法の方で原子吸光が全く悪いと言うつもりはないのですが、基準のところに吸光光度法もよいですよ、原子吸光もよいですよ、ICPもよいですよというふうになったときに、実際に使っていただくためのやり方というのが今のところなくて、ガイドブックにはただ並列になっているので、「うちにはこの装置があるからこれでやろう」ということになってしまいます。
 その辺り、ケースバイケースでよいものをどういう形で選べるのかということを考えていかなければならないのではないかというふうには思います。
 先ほどのマスクのお話もありましたが、できれば本当に個人ばく露のような形で測っていれば防護係数を計算できます。今3ミリでやっていて、0.02になるということは100倍以上ですから、やはりPAPRが求められるという状態になります。ですから、そのバックアップをするためにも、測定ができる方法がなるべく簡単で、はっきりしたものが測れているという、測らなくてもマスクをしているからよいだろうという考え方もあるかもしれませんが、測る場合には確実にそのマスクの着用をサポートできるような、そういう測定法であって欲しいというふうには考えました。
〇名古屋委員 確かにそうですが、例えば電動ファン付き呼吸用保護具の中でSクラス、Aクラスだったら、多分、たとえ溶接作業時の呼吸領域のマンガン濃度が高くても0.02mgのマンガン濃度に対応できます。しかし、Bクラスでもギリギリ大丈夫と思うので、測定して評価することはよいのですが、測定にお金がかかり、電動ファンでもお金がかかると溶接作業現場は大変なことになるので、できたら電動ファン付き呼吸用保護具のAクラスやSクラスを使っている分には三酸化二アンチモンと同様に、測定なしでも良いというようにしてほしい、だからそれ以下の性能の防じんマスクを使うときには、ばく露濃度測定を使うか作業環境測定を使うか別にしても、測定結果に応じた防じんマスクで結構ですよというやり方にしてほしいなと思っています。
 そうしないと、インジウムのように作業環境測定の結果に応じて呼吸用保護具を選択し使用するようなことになると、大きな企業でもよいとは言わないけれども、溶接は零細企業さんが多く、そこに全て測定と電動ファンを義務付けたら大変なことになってしまいます。やはり、ある程度免除してあげる施策もその中に新しく入れてもよいのではないかと思います。そのためにはインジウムで、濃度によってマスクを決めていますし、三酸化二アンチモンのように始めから電動ファン付きマスクすれば測定は除外されているという規定がありますから、それを溶接等にうまく入れてあげれば、現場も少し受け入れてくれるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
〇圓藤委員 マンガンの管理濃度をどうするかという議論ですが、ACGIHとかECは、それなりの欧米のデータを基に、吸入性とインハラブルをこのように決めていきたいという根拠があって作っているのですが、我が国でこういうデータがあるのかどうかというのが非常に気になるところです。例えば健康診断を行っていて、ネットで検索したところ平成21年とちょっと古いのですが、マンガンの場合は有所見率が1%であると、その1%というのが不定愁訴で1%になっているのか、マンガンに特異的なもので1%になっているのかよく分かりません。作業環境測定をして、管理区分1のところ、2のところ、3のところそれぞれで働いている人たちの間でこの有所見率に差があるのかどうか、あるいは直近で、マンガンによる中毒が起こって認定された人がどの程度あるのか、また、その人たちがどういう現場で働いていたのかと、そういうデータを基に検討していく必要があるのではないかと思います。
 もちろん低ければ低いほど安全ですが、それだけコストもかかり企業にとって負担になりますので、それらを踏まえた上で管理濃度で規制するのか、あるいは保護具で対応するのかといろいろな方法もございます。
 少し我が国でのデータが不足しているのではないかと、調べていく必要があるのではないかと思います。
〇小野座長 事務局の方としていかがでしょうか。
〇寺島環境改善室長補佐 そうですね、有害性といいますか、実際に健康影響が労災などで出ているのかどうかということだと思いますが、率直に言って、労災の件数をマンガンで出ているのかというのを調べるのはかなり厳しくて、物質ごとに調べるのは難しいというのが現状です。
 それ以外に国内のケーススタディのようなものがあるかどうかということについては、あればということだと思いますが、調べることができるのではないかと思います。
 一方で、これまでマンガンについては特定化学物質としてすでに規制されているという状況と、基本的にはリスク評価の枠組みが予防的対応ということで、文献などに基づいて疾病が出る前に対策を取るということで進んできているというのも事実ですので、次回に向けて、その辺の国内の状況を調べるということと、本日先生方から御意見をいただいております措置のバリエーション、その辺りについて調べることにしたいと思っています。
〇西田環境改善室長 今回、業界ヒアリングも踏まえ、様々な御指摘があり、また、今日
も先生方からもいろいろ御指摘がございました。
 まず、小野座長からございました測定方法ですが、この原子吸光についてはマンガンのみならず他のものについても同じような問題があり、陳腐化して使われていないということ、この辺りはICP-MSも同等の扱いとして見直しも必要とのご意見も聞いていますので、測定方法の見直しとして、引き続き検討が必要と思っております。
 また、業界への影響ということで、これ以上管理濃度が引き下げられるとマスク以外の措置は困難と、特に溶接業界からも直接お聞きしているところでございますので、管理濃度見直しの検討に当たっては、現実的にどのような措置が対応可能なのかという点の検討は引き続き必要かと思っています。一方で、溶接ヒューム中に本当に塩基性酸化マンガン以外のマンガンが含まれていないのかどうかといった点も、過去に溶接作業での中毒事案もあったことを聞いておりますので、そこは調べてみる必要があると思います。
 さらに測定方法につきまして、別途個人サンプラーの検討会をやっておりまして、その中でA、B測定のみならず、作業者の呼吸域に近いところでの測定によってより正確に測れる個人サンプラー測定により作業環境を評価できるということあれば、そちらも考えていかなければならないかと思います。
 加えて、松村先生からマスクについてもお話がございましたが、これ以上局排など工学的措置が難しいという場合、マスク着用は、作業者に任される部分は大きいものの、それで確実に有害物質のばく露から防護ができる点はおっしゃるとおりですが、そのためには確実にマスクを着用してもらうことをどう担保していくのかの課題もクリアしていく必要があると感じたところですので、それら1つ1つ解決に向けた検討はしていきたいと思っております。
 また、先ほど大前先生からも粒径0.2ミリから0.02ミリとなることは、確かに1桁下がるわけでございますが、先ほどの数少ないデータから見ますと、実際に吸入性粉じんの割合からいうと意外とそうではないのではないかという意見がある一方、0.02の吸入性粉じんを防ぐだけのマスクというのはこれまで以上に防護係数を高くする必要ありという話も出てくる可能性もあり、この辺りについては、国内のみならず海外の事例も含め、もう少しデータを調べていく必要があると思っているところます。
 いずれにしましても、今回、業界のヒアリングをしたところ、かなり大きな反響が出てきたところであり、管理濃度を見直しても、その結果に基づききちんと改善措置ができなければ意味がございませんので、そこをどうしていくのかということを引き続き検討していきたいと思っております。
〇保利委員 ACGIHの0.02というのは、基本的には確かヒトのデータが基になっているのですよね。ということは、0.02ぐらいでが吸入性粉じんの閾値であるというのは確かだと思います。特に中枢神経系だったと思います。
 インハラブルが0.1となっているのは、吸入性とインハラブルあるいは総粉じんとのバランスを考慮に入れると、その比が1:1ぐらいから10:1ぐらいまであるという、確かそういうデータだったと思います。これから、その間をとって比を5:1とすると、0.02×5で0.1 mg/m3に相当するというのがインハラブルが0.1mg/m3の提案理由になっています。
 それから考えますと、吸入性と総粉じんの比が1:10ぐらいあるとすれば、吸入性で0.02というのと現在の総粉じんで0.2というのとではそれほど大きく変わらないという感じはします。わざわざ吸入性ということをもってこなくてもインハラブルで0.2mg/m3で、よいという感じはします。
 保護具に関しましては、確かにそうですが、このヒアリングの中でも火傷の危険性があるということがありますから、やはり、環境を何とかしなければいけない部分はあると思います。使えるところと使えないところがあるという感じがしますので、付けられるかどうかということも含めて検討する必要はあると思います。
 保護具は最後の手段だろうと思います。これに頼るようではだめですが現状では難しいので、これを含めて考えることも必要かなと思います。
 以上です。
〇中明委員 昔ながらにマンガンを測っていたときは吸光光度分析法でやっておりました。それでもそれなりの管理はできていたと思っており、どの程度分析に注力するべきであるかというのは、ちょっと今、疑問に感じている部分があります。トータルとして圓藤委員が指摘しましたが、実際どの程度そういう作業をやっていていろいろな影響が出たのかというデータを、保利先生がおっしゃったように、ヒトのデータでACGIHはやってきたよと言っているけれども、日本の場合、彼が指摘するようにそのデータが今までほとんどなかったのです。でも、すごく業界の皆様の御協力があったからだと思いますが、今回はすごくよいデータがかなり出てきていると僕は思っています。
 別件になってしまいますが、管理濃度等検討会というのは、その影響についての詳細な議論はなく、日本産業衛生学会の許容濃度か、ACGIHの決めた数値か、ヨーロッパの最近のデータを入れてその場その場で決めていましたが、これからはどういうふうに現場を管理できるかというところに主眼を置いて、そうするとやはり保護具が必要であれば保護具、いい保護具があってそれが利用できればそれでやっていくとか、そういうことがあって、管理濃度だけでやるということは考え直した方がよいと、皆さんの御意見を伺って、私はそう思っております。
〇松村委員 この8ページの棒グラフと、先ほどマスクをしているとマスクが燃えて火傷などの危険があるということでしたが、それが私はピンとこないのですが、使い捨てマスクを使っていると燃えやすいというのがあるかと思いますが、最近では、面体はほとんどシリコンゴムで作られていますから、それほど燃えやすくはないのではないかと思います。
 さっき、そういう危険があるという作業場をこの作業環境の評価で見るとあまり評価が悪くないところに該当していたので、そういうのはケースバイケースで判断すればよいと思います。でも、この作業環境の測定の評価が現行管理濃度の何倍もあるようなところについて、これを環境管理で制御しようというのはほとんど無理ではないかという気がします。
 ですから、それは現場の判断に任せるところもあると思いますが、やはりきちんとマスクを使って管理できる範囲はそれも取り入れていかざるを得ないのではないかという気がします。
〇寺島環境改善室長補佐 今の電動ファンの話ですが、業界の皆様からお聞きしたところですと、10ページの下から2番目のところは「送風ジャケット使用作業」となっているので、私の理解では、暑熱作業でファンの付いたジャケットで火傷をしたのかと思いました。電動ファンの方は火傷をしたという話までは聞いていませんが、やはり熱風が強制的に送り込まれてくるので、気道の炎症といいますか、そういうふうになるのでちょっと厳しいというふうに聞いております。
〇藤間委員 たぶん、これは輻射熱でPAPRの面体が溶けて火傷とか、そういうことを言っておられるのだと感じたのですが。実際、我々も窯の作業の辺りで面体が溶けるというのはよくある話で、そういうことを経験しております。
〇小野座長 その場合はPAPRではなく、普通の防じんマスクでももちろん溶けると思います。ですからマスク自体ができないという理解でよろしいですか。
〇藤間委員 使い捨てですとけっこう熱に強かったりするのです。やはり樹脂の方が溶けやすいというのがありますので。不織布の方がもつということです。
〇小野座長 出てくるものが2000度近いという状態になると、あっという間にこの辺も数百度になりますから、そういうことで溶けて、不織布の方は火がつく状態にはならないということだと思うので、どちらが安全かというのは、今まで事故があったかなかったかという判断だと思います。
〇松村委員 マスクについて燃えやすい、溶けやすいという観点の評価を今までしていないので分かりませんでした。すいません。
〇藤間委員 例えばRCFのときもそうでしたが、実際に現場では使えないという事例があるのです。
〇小西委員 先ほどの測定のところですが、これはこの委員会で議論するということではなく、この測定法を決めるときに一番引っ掛かってくるのは、作業環境測定機関が外部で測定を引き受けるときに、備え付けるべき機器というのが決められていますが、測定法の分析機器がどんどん進化していくと、結局、その測定機関というのはそういうことに設備投資をしていかなければいけないということが裏腹にあるわけです。
 全ての測定機関が、例えば作業環境測定法施行規則別表第3号の登録を取っていると全ての特定化学物質の分析ができなければならないというのが現状だと思います。そのためにはそれだけの機械を持っていなければならない。しかし、こういう形で厳しくなっていくと、例えばこういうマンガンの測定だったら、「我々のところの機械だったらこの範囲ならできますよ」という、先ほど言ったようなものが出てきて、それと対応していかないとなかなかうまくいかないのではないかと思います。
 そして、逆に特化した「分析方法によってはうちが専門で、あるいは低濃度まで対応できますよ」というところを、他のものはできなくても、これは得意ですよということをもっと表示できるようなシステムにしていかないと、今後の測定に対応できないのではないかということは前から感じていることです。
 それらを併せて少し改善室の方で御検討いただければと思います。
〇西田環境改善室長 御指摘の測定法の分析機器のお話でございますが、実は、これはまた別の委託事業で、測定方法の科学的知見を収集し、その新たな知見に基づきそれぞれの物質の測定を見直しできないかということも検討しております。
 例えば吸光光度分析計を測定基準に指定しているものは、これは陳腐化しているのではないかとか、そういう指摘もある中、原子吸光光度計についても同様の話も出ております。
 全てというわけにはいきませんが、この機会にそういった指摘がありましたことを踏まえ、もう少し柔軟に、より正確に測れる分析機器も認めていくことも必要と個人的には感じています。ただ、物質によって、例えば水銀ですと原子吸光でなければならないという話も聞いており、原子吸光がICP-MSに代替された結果、水銀について測定できる機関がなくなっても公的登録機関としての問題もあることから、そこをどうバランスを取るかというところは課題とも認識しています。ただ、いずれにしても測定分析技術が進歩している中で、より正確に測れるものを導入することを考えなければならないと思っておりますので、別の事業の中でもそこは問題提起していきたいと思っております。
〇小野座長 他にはいかがでしょうか。
 アンケートの御意見を見ますと、やはり短時間しかいない作業についての作業環境測定をどうするかといった御意見も随分あります。ここの検討会が名前は「措置の検討会」ですので、測る、測らないではなく、安全に作業をしていただけるようにどういう提案ができるかというのが1つの大きなテーマだと思います。
 今年度から管理濃度も含めるということになっておりますので、車の両輪といいますか、両輪だと両方一緒に動かなければなりませんが、測定はやはり必要な部分は必要であると思いますので、それはそれで管理濃度は決めて、測定法を決めるのはどこかというのがまた次の課題だと思います。
 ここでやるべきことというのをはっきりさせて、障害が出ていないのになんで、と思っていらっしゃった業界の方も今までもいらっしゃると思いますが、マンガンの場合はもともと特定化学物質だったので、もう少し健康影響も評価してみたらどうですかという御意見も今日いただきました。ですから措置にかけるときに、どこまでのデータを考えるかということも、私たちが考えるべき課題ではないかと、きょう皆様の御議論を伺っていて思ったところです。
〇圓藤委員 業界の方々、この調査に非常に協力していただきありがたいことだと思います。
 8ページを見ますと、例えば0.2の現行の管理濃度を超えるところが結構あります。ところが御意見を見ますと、それでも健康影響は出ていないのだというふうなことがたくさん書かれています。本当なのかという確認が必要ではないかと思います。
 できましたら、業界ではこれを取り扱っている方々の健康診断を実施されていると思いますので、その健康診断の結果の集計というのはできないでしょうか。例えば、各会社が労働基準監督署に提出する特殊健康診断の結果の写しを提出していただいて、集計するということをすれば、このような事業場でも実態というのが分かるだろうと思います。それから全国平均として、先ほど1%と言いましたが、それは低濃度ばく露のところから高濃度まで全ての事業場ですので、むしろ全体としては低濃度の方に偏っていると思います。それと比較してみて、どの程度なのかと。例えば5%、10%の有所見率があるとするならば、やはり現在の規制では甘いのではないかということになりますし、同じく1%であれば特段高くはないのだということになります。その辺が1つの基準になるのではないかと、私は感じております。
 ネックになるのは、はたして健康診断の結果を提出していただけるのかどうかということだと思っています。
〇大前委員 今の圓藤先生のお話にさらに追加になると思いますが、業界の方が何も起きてないというのは、いわゆる中毒が起きていないと、目に見える影響が起きていないというお話だと思います。今、このACGIHなり日本産業衛生学会なりEUが決めている数字というのは、中毒が起きるか起きないかで決めているわけではないので、その業界の方が起きていないというのは見ていないだけではないかと思います。
 今、健康診断のお話をされましたが、残念ながら今の健康診断の項目は、適切なものにはなっているとはとてもいえません。したがって、おそらく集計してもあまり意味のあるものが出てこないと思っています。
 でも、そういう見方をしていただかないと、単純に中毒が出ていないからよいのではないかという、そういうような議論は、今の時代の議論ではないと思います。
〇小野座長 その点については大変難しくて、ここの「措置」まで来ているということは、リスク評価などが一段落した結果としてここに来ているというふうに理解をしていますが、なかなかリスク評価の方でもそこをどこまでとらえて措置にもっていくか、措置に来てからそういうデータを調べるのか、もっと前のリスク評価のところでそういうのは調べておいていただいて、措置に流してくるのかという、私の一番大きくいつも疑問に思っているところです。
 それはできるところでやれば、必要になったときにやればよいのかもしれませんが、そういうことも含めて、このリスクアセスメント全体の流れについて、ものにもよりますし、そのものの持っている毒性にもよりますし、ケースバイケースになるのかもしれませんが、何等かの方向性を示していただけるとありがたいと考えます。
 他に皆様の方からマンガンについてはいかがでしょうか。
 一応、皆様からの御意見はいただいたようですが、ここでマンガンについて、きょうは終了ということでよろしいでしょうか。
 では、本日いただきました御意見を踏まえて、事務局の方では今後の必要な資料の御準備をいただき、あとはヒアリングもされると伺っています。
 二酸化チタンは中断でよいのでしょうか。マンガンについて何か事務局の方でお話しいただくことがございましたらお願いいたします。
〇寺島環境改善室長補佐 ありがとうございます。
 本日いただきました御意見を基にしまして、少し足りない部分、それから措置の部分などにつきまして準備をして、次回、御議論をいただきたいと思っております。
 それから本日の御議論を踏まえまして、関係業界からこれは言っておきたいという話が出るかもしれませんので、その際にはまたヒアリングの機会をセットさせていただきたいと思っております。
〇大前委員 要望ですが、次回、マンガンを議論するときに、ここにチタンがありますが、リスク評価書や例えば今回ですとEUのDirectiveとか、ここら辺の資料もぜひ付けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇小野座長 他に次回に向けてこういう資料が必要というのがございましたら、今でもよろしいですし、事務局の方にお知らせいただければと思います。
 では、議題の1、2が終了ということで、議題の3、その他になります。
 事務局から、その他がございましたらお願いいたします。
〇大内評価係長 今後の予定でございますが、次回、第2回の日程につきましては、別途調整させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
〇小野座長 大体いつ頃でしょうか。
〇川名化学物質評価室長 申し訳ございませんが、あらためて調整させていただきたいと思いますので、今はご容赦いただければと思います。
〇小野座長 分かりました。
 では、他に御意見等ございませんようでしたら、以上で第1回の健康障害防止措置検討会を閉会いたします。
 どうもありがとうございました。