1. 1 本18日(現地時間同日),マーシャル諸島共和国の首都マジュロにおいて,我が方齋藤法雄駐マーシャル大使と先方ジョン・M・シルク外務貿易大臣(Hon. John M. Silk, Minister of Foreign Affairs and Trade, the Republic of the Marshall Islands)との間で,以下2件の無償資金協力(供与額計7.5億円)に関する書簡の交換が行われました。

    2 対象案件の概要はそれぞれ以下のとおりです。

    (1)漁業基盤の改善等のための支援(経済社会開発計画)(供与額:2億円)
     マーシャルは,国土が極めて狭小な環礁で構成されており,また,国民が居住する島々が広大な海域に散在していることから,小規模な農業・漁業以外に主だった産業がありません。特に水産業について,同国は豊富な漁業資源を有していることから主産業となっていますが,多くの離島における漁業基盤の老朽化及び都市部の販売・保存施設の老朽化により,魚の流通に支障をきたしています。また,人口の集中している都市部においては鮮魚が不足していることから,水産物消費の多くを缶詰等の輸入食品に頼っている現状にあります。こうした状況から,都市部への水産物供給の確保のため,離島と都市部の水産物の流通を促進する取組が重要となっています。この協力では,マーシャル政府に対し,水産関連機材(漁船等)の供与を行うことにより,同国の離島における漁業基盤の改善及び都市部の魚販売・保存施設の改善を図り,もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。

    (2)保健医療サービスの向上等のための支援(経済社会開発計画)(供与額:5.5億円)
     マーシャルは,29の環礁からなる国であり,国土が広大な地域に散らばり,国内市場が小さく,国際市場から地理的に遠く,アクセスが困難であるなど,太平洋島嶼国に共通する開発上の困難を抱えています。同国は,国民の健康管理及び保健医療サービスの向上を重点としており,医師・看護師が常駐していない離島における一次医療及び公衆衛生活動を医療船が定期的に離島を巡回することで実施しています。しかし,同国は,離島を巡回できる船を1隻しか保有しておらず,年に2回以上各環礁を回るのが国民の健康の維持のために重要ですが,1年に1回が限界の状況にあり,医療船の整備が課題となっています。この協力では,マーシャル政府に対し,離島を巡回する医療船等の供与を行うことにより,同国の離島における住民の健康管理及び保健医療サービスの向上を図り,もって同国の社会・経済発展に不可欠な脆弱性の克服に寄与することが期待されます。

    3 上記2つの協力は,昨年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催された第8回太平洋・島サミットにおいて,我が国政府が表明した支援の柱である「強靱かつ持続可能な発展の基盤強化」に資する協力(PDF)別ウィンドウで開くとして実施するものです。

    [参考1]マーシャル諸島共和国基礎データ
     マーシャル諸島共和国は,面積180平方キロメートル(霞が浦とほぼ同じ),人口約5.3万人(2017年,世界銀行),一人当たりの国民総所得(GNI)は4,800米ドル(2017年,世界銀行)。

    [参考2]第8回太平洋・島サミット

    (1)第8回太平洋・島サミット(PALM8)は2018年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催。16の太平洋島嶼国・地域及びオーストラリア・ニュージーランドの首脳級等が出席。マーシャルからはハイネ大統領が参加した

    (2)我が国は,PALM8において,(ア)自由で開かれた持続可能な海洋,(イ)強靱かつ持続可能な発展の基盤強化,(ウ)人的交流・往来の活性化の3つを柱として,今後3年間でこれまでの実績も踏まえた,従来同様の,しっかりとした開発協力の実施及び成長と繁栄の基盤である人材の育成・交流の一層の強化を表明した。