冒頭発言

(1)韓国による日本産水産物の輸入規制に係るWTOパネル手続

【河野外務大臣】韓国による日本産水産物の輸入規制に関しまして,WTOの上級委員会から我が国に対し,4月11日までに本件報告書を発出する見込みである旨の連絡がありました。我が国としましては,パネル及び上級委員会の審議を通じて,韓国の輸入規制措置がWTO協定に照らし,日本産水産物などを恣意的または不当に差別していること,必要以上に貿易制限的なものであることなどをしっかりと主張してきておりまして,これらを十分踏まえた判断がされることを期待しております。

(2)カンボジア若手政治関係者招へい

【河野外務大臣】カンボジアの若手政治関係者10名が,明日,3月13日から20日までの日程で我が国の招へいにより訪日いたします。
 これは昨年12月に行った第1回に続く,第2回の招へいでございます。我が国としてカンボジアの民主国家としての発展を後押しするために,カンボジアの将来を担う世代に,日本の複数政党制民主主義について学んでいただくべく実施してきているもので,前回同様,一行の中には与党人民党,旧救国党,その他の野党からの参加者が含まれます。
 前回に引き続き今回訪日する参加者も,日本の複数政党制民主主義について共に見識を深めていただくとともに,この機会を利用してカンボジア人同士が団結をする機会となることを期待したいと思います。

日露関係

【時事通信 越後記者】日露関係について伺います。本日,ロシア軍が北方領土の択捉・国後両島で軍事演習をしたと報じられていますけれども,受け止めと抗議をしたかどうか教えてください。

【河野外務大臣】今日1日,委員会だったので情報が入ってきておりません。

在日米軍駐留経費負担

【朝日新聞 清宮記者】日米の思いやり予算,ホスト・ネーション・サポートについてお伺いしたいのですが,現行協定20年度末までですが,日本はこれまでも同盟国の中でも最も高い74.5%を負担してきましたが,大臣としては日本は相当な,あるいは相応の負担をしているというご認識でしょうか。米国側が増額を求めてくるとも言われていますが,日本としてはどのように米国側に理解を求めていくお考えでしょうか。

【河野外務大臣】74.5%という数字はおそらく2004年の数字で,相当古いものだと思います。それ以降,米国側は数字を出していないと承知をしております。現行協定は2021年3月末までの期限でありますので,まだ日米の間でこの問題についてなんら話し合いが行われておりません。何か予断をもってお答えをするのは差し控えたいと思いますが,米国側はトランプ大統領を含め,日本側が非常に適切にこの駐留経費を負担していると,高く評価していると承知しております。

カンボジア若手政治関係者招へい

【読売新聞 梁田記者】冒頭ご説明のあったカンボジアの若手政治家の件なんですけれども,12月に第一弾,今回第二弾ということで,1回やってみての成果と課題としてご認識されていることと,それから大臣,常々ODAに関してはいろいろとご意見をお持ちだと思いますが,どういった枠組みでお金を出すかは別にしても,ソフト面での人材開発というものが今後日本の外交に資するものというのは,どういうふうにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】こうした民主主義ですとか法の支配といったことに関する,このような招へい事業のような支援というのは,これは日本ならではのものだというふうに思っておりますので,積極的にこうした対応は行っていきたいと思っております。
 日本の複数政党制民主主義を理解してもらうことも非常に重要なことでありますが,第1回目で与党人民党とそれから野党の旧救国党の方々が,日本国内で時間を過ごすにしたがってお互い打ち解けて,カンボジア国内では話もできなかったものが,かなりお互い意思疎通ができるようになったということを聞いておりますので,これは非常に有益なことだと思っております。与党野党あるいは様々な方を一緒にお招きをして一緒に時間を過ごしていただくということが,今のカンボジアの特に次世代の政治関係者にとって非常に有益に働いてくれるのではないかと思っております。

英国のEU離脱

【NHK 渡辺記者】イギリスのブレグジットの関連でお伺いしたいと思うんですけど,イギリス議会で,EUの離脱協定案の投票が日本時間の今日遅くから明日未明にかけて行われますけれども,前回の結果を見るかぎり否決される可能性も高くて,合意なき離脱というところの現実味が増しつつあると思うんですけれども,日本政府として影響を受ける日系企業などへの対策をどのように考えているかをお聞かせください。

【河野外務大臣】官邸でこの問題に対するタスクチームを立ち上げて,もう十数回会合をすると同時に,関係企業とも情報共有を図っているところでございます。「合意なき離脱」がもたらすインパクトは非常に大きいものがありまして,我が国としては累次英国に対して「合意なき離脱」を避けるようにということは申し上げてきております。これは様々な公式な会談でも申し上げておりますし,先方の外務大臣とプライベートの中でも非常にネガティブな影響が生じうるということは伝えておりますので,とにかく予見可能性と透明性を持った対応というのが必要になると思います。今のように,何が起こるか分からないという状況では日本企業も対応のしようがない,結果として,非常にリスクを回避するための行動をこの段階でとらざるをえないことになると思いますし,それは英国の日本の企業あるいはその企業を受け入れてくれているコミュニティにとっても良いことには決してならないわけでありますので,とにかく透明性と予見可能性をしっかりと与えていただきたいということは繰り返し申し上げなければならないと思っております。

【MLex 坂巻記者】日英間においては,もし英国が合意なき離脱をしてしまった時,あるいは英国がEUを離脱した時に備えて,とりあえず準備しておかなければいけない輸出品の相互承認協定,刑事共犯協定,日英原子力協定については話し合いが行われているかと思うんですけども,今日の投票の結果にもよるかと思いますけど,英国議会の,日本政府としてはこういった協議を加速していく必要があるとお感じになりますか。

【河野外務大臣】日本側としても万が一に備える対応は必要だろうというふうに思っておりますが,これはひとえに英国側に責任を持ってもらわなければならないものというふうに認識をしております。最低限の取り決めについては,対応をしますし,対応可能なものもございますが,ブレグジットによって万が一合意がない場合には,英国がEUのEPAから離脱するということにもなりますが,その場合にはWTOのルールに戻るということしか対応のしようはないと思っております。

【MLex 坂巻記者】合意なき離脱の可能性はまだあるわけで,日にちが迫っていくなか,この3つの協定については国会の承認が必要ですからすぐに対応が可能ではないと思うんですが,何らかの一時的な緊急措置というのは検討しているんですか。

【河野外務大臣】一時的な措置ができるものについては対応したいというふうに思いますが,国会承認が必要な協定については,今国会では承認をすることができませんので,それは対応策にはならないというふうに思います。

在日米軍駐留経費負担

【共同通信 丹羽記者】駐留経費の関係で追加でお聞きしたいんですけど,昨年4月にインド太平洋軍司令官に就任されている方が,議会の公聴会で今重要なのは日本がホスト・ネーション・サポートでいくら負担を増やすかではなくて,実行の防衛力強化にいかに投資するかだという話をしているんですけれども,大臣としても駐留経費の負担を増やすよりも日本の防衛力の強化のために防衛費を増額したほうが良い道筋だというふうにお考えなんでしょうか。

【河野外務大臣】駐留経費を増やすという話は日米の間でしておりません。

【共同通信 丹羽記者】防衛力強化の方に傾注した方が良いとお考えなんでしょうか。

【河野外務大臣】駐留経費負担を増やす話をしておりませんから,それをどこかに充てるという話にもなっておりません。

WTO改革

【S&P Global Platts 渡辺記者】WTOについてなんですが,日本,カナダ,韓国とWTO改革を進めてらっしゃると思うんですけど,その進捗状況について教えてください。日本が目指している姿,今現時点で紛争解決手段としてあるのは,首脳間の話し合いというのが日本がとられてきた選択だと思うんですけど,他にどういうものがあるんでしょうか。

【河野外務大臣】紛争解決手段はWTOの紛争解決手続きに則るか,二国間の協議ということになろうかと思います。WTOの改革が必要だということは,来日されたアゼベド事務局長とも議論いたしましたし,ジュネーブだったかでも議論をさせていただいております。今年のG20,日本は議長国でございますので,当然WTO改革の議論の進展に積極的に貢献していきたいというふうに思っております。