平成31年3月12日(火曜日)
8時43分~8時49分
於:記者会見室

冒頭発言

初めに、私から1点申し上げます。

水素・燃料電池戦略ロードマップ

本日、産学官による水素・燃料電池戦略協議会において、新たな水素・燃料電池戦略ロードマップを取りまとめる予定であります。
ロードマップでは、水素基本戦略や東京宣言で示した将来像を実現すべく、個別技術ごとのコストやスペックの目標を設定するといったアクションプランを盛り込みました。具体的にはモビリティの分野で言えば、2025年頃に燃料電池自動車とハイブリッド車の価格差を現状の300万円から70万円に引き下げることを目標とします。こうしたアクションプランを産学官が一体となって確実に実行して、モビリティ、電力、産業、更には宇宙など、あらゆる分野で水素利活用を促進させ、世界に先駆けて水素社会を実現していきたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

水素利活用の推進

Q:今、大臣からお話のあった水素をめぐっては、韓国でもロードマップの作成が進むなど、開発導入競争が加速してきていますけれども、日本にとって水素の利活用を推進する狙いについてお聞かせください。
また、普及が遅れている燃料電池車の積極導入も含めて、水素の積極導入、普及推進に向けての取り組むべき重点課題について、大臣の御所見をよろしくお願いします。

A:幹事者としての御質問にお答えしたいと思います。
水素は、エネルギー供給構造を多様化させ、大幅な低炭素化を実現するポテンシャルを有する手段でありまして、エネルギー安全保障と温暖化対策の切り札であります。こうした中、水素利用拡大の課題は、経済性の確保でありまして、水素基本戦略では水素のコストをガソリンやLNGなど、従来エネルギーと同程度に低減することを目標として掲げております。
これを実現するために、ロードマップにおいては、燃料電池自動車の普及のためのハイブリッド車との価格差の引き下げのほか、水素ステーションの主要な構成機器の圧縮機を2025年に半減程度にすることなど、個別技術ごとの目指すべきターゲットを定める予定であります。
こうした取組を通じて、世界に先駆けて水素社会を実現していきたいと思います。

日産・ルノー・三菱のアライアンス

Q:日産の動きについて、3社のトップが会議体を設けるというようなことを今日会見で表明するようですけれども、こうした動きについてお願いします。

A:日産、ルノー、三菱自動車の3社が今日の夕刻、共同記者会見を予定しているということは承知していますが、まだ会見自体、行われておりませんし、その前の取締役会も行われてないという状況でありますから、コメントは控えたいと思いますが、いずれにしても、この3社のアライアンスの維持、強化に向けた具体的進め方については、当事者が十分に納得する形で議論が進むことが重要というふうに思っています。

福島第一原発対応費用の試算

Q:福島第一原発事故の廃炉費用について、日本経済研究センターが改めて試算をこのたび発表しました。それによると、最大に80兆円にも上る可能性があるということで、2016年の経済産業省の試算と大分離れています。この差について、経済産業省として見直す必要があるのでしょうか。

A:国が2016年にお示しした数字、21兆5,000億という数字になりますけれども、復興加速化の観点から必要となる制度の整備ですとか、資金の確保に資するため、一定の蓋然性を有するものとしてお示しをしたものであります。
その際、賠償の支払実績ですとか、環境省の試算、そして有識者ヒアリングの結果など、その時点における最新の情報、それは、今も前提は大きく変わってないと思いますけれども、そういった情報を精査した上で算定をさせていただいて、21兆5,000億という数字が出てきているわけであります。
今回の日本経済研究センターが行った試算というのは、国の試算とは全く異なる独自の仮定に基づくものであります。具体的には、例えば国の有識者会議においては、直ちに実用化できる段階にある技術が確認されなかったとされているトリチウムの分離、これを分離を行うことを前提に試算をされています。あるいは、環境省が取り組んでいる最終処分量の減容化といったことも考慮をされておりません。ですので、我々とは全く異なった独自の前提、仮定に基づいて数字を出しておられますし、また、この試算の一部には明らかに間違いがあります。試算の前提となっている被災者賠償実績、これが8.7兆円となっていますが、事実としては6.7兆円であります。こういった間違った数字もありますので、単純に比較することは、全くできないというふうに思っております。

以上

最終更新日:2019年3月12日