冒頭発言

(1)国際女性デー

【河野外務大臣】今日,3月8日は国際女性デーでございまして,女性の皆さんがこれまで達成した成果,勇気,そして決断を讃える日でございます。国連は毎年その年の国際女性デーのテーマを定めておりますが,今年のテーマは「Think equal, build smart, innovate for change」だそうです。
 3月23日から24日に,東京で第5回のWAW!及びW20が開催されますが,ここでもイノベーションによって急速に変化する社会の中で,女性が取り残されることなく持てる力を発揮して,より積極的に社会に参画していくためにはどうすべきかということを,様々な角度から議論することになっております。
 WAW!並びにW20には,各国から今,女性の外相が10名以上,参加をする予定でございます。23日の夜に女性の外相を招いた夕食会を主催し,様々な議論をしたいと思っております。

(2)2018年版「開発協力白書」の公表

【河野外務大臣】今日の閣議におきまして,2018年の「開発協力白書」の公表について報告をいたしました。今回の白書の特徴はスリム化ということで,「外交青書」というものもありますが,「外交青書」との重複をなるべく排除して,統計資料の多くは外務省のホームぺージに移行させます。閲覧・活用に便利になるようにしていきたいと思っております。内容につきましては,いろいろなものを載せますが,現場で活躍する「人」にフォーカスを当てて,様々な産官学の連携事例,あるいは国際機関の邦人職員,JICAの海外協力隊,こうした方々の活躍ぶりをコラムで紹介したいと思います。今日もODAマンバッジをつけていますが,開発協力に対する国民の支持をしっかりと得られるように,様々努力を続けていきたいと思っております。

北朝鮮情勢

【NHK 奥住記者】北朝鮮の関連で伺います。米国の研究グループが,北朝鮮の東倉里(トンチャンリ)にあるミサイル発射場で,施設を建て直す動きが進んでいて,すでに通常の運用が可能な状態にまで復旧したとみられると発表しています。この受け止めと米朝の交渉に与える影響をどのように考えるか。また日本として把握している事実関係,どう対応するのか含めてお願いいたします。

【河野外務大臣】この米朝の会談に向けて,日米で様々情報のやりとりをしてまいりましたが,詳細について対外的に申し上げるのは差し控えたいと思いますが,いずれにせよ,北朝鮮の非核化,CVIDという中には,核兵器及び核関連施設が対象となります。そこについて日米でこれまでも緊密に連携をしてきたとおりでございます。

【時事通信 越後記者】関連で伺いますけれども,先日ワシントンで日米韓三か国の高官協議が開かれました。おそらく米朝関係だったと思うんですが,こちらで確認したこと,対北朝鮮政策でどういったことをすりあわせたか,ご紹介いただけますでしょうか。

【河野外務大臣】北朝鮮に関係して,様々なすりあわせを行いました。

日台間の安全保障協力,対話

【産経新聞 力武記者】台湾の蔡英文(さい・えいぶん)総統が,今月2日付けで掲載されたものですけれども,中国の脅威を念頭に,東アジアに位置する台湾と日本は同じ脅威に直面していると。その上で安全保障協力の対話のレベルを上げることが非常に重要だということで,安全保障分野とサイバー分野で日本政府と直接対話をしたいということを求めています。これについては,その後,台湾の外交部も台湾当局として正式な立場だということを表明しています。このような台湾側からの呼びかけについて,日本政府としてというか,大臣として,どのように受け止めるかご所見をお願いします。

【河野外務大臣】日本と台湾との関係は,非政府間の実務関係を維持していくというので一貫しておりまして,この立場に基づいて適切に対応してまいりたいと思います。

ベネズエラ情勢

【朝日新聞 清宮記者】ベネズエラ情勢についてお伺いしたいんですが,グアイド暫定大統領とマドゥロ大統領側の対立が続いていて,米国は新たな制裁も発表していますが,大臣としては現状のご認識,今後ベネズエラ問題にどう対応していくのか,あと,グアイド暫定大統領を承認ということはなされないのでしょうか。

【河野外務大臣】日本はグアイド暫定大統領を支持し,なるべく早期に正統な大統領選挙を行っていただくよう期待をするということを,これまでも累次申し上げてきております。日本として周辺国に出ているベネズエラの難民,あるいはその難民を受け入れている周辺国のコミュニティに対する支援というものを,しっかりとやってまいりたいと思っておりますし,ベネズエラ国内への人道支援というものも,当然に考慮しなければならないと思っております。

国会改革

【共同通信 江藤記者】国会改革についてお伺いします。今国会では,与党だけではなくて国民民主党とか日本維新の会とか,野党からも国会改革に対する発言,発信が相次いでいます。今国会の重要なテーマの一つとなっていると思うんですけれども,このことを大臣としてどのようにご覧になっているか教えてください。

【河野外務大臣】国会改革の必要性については,もう私は以前から与野党の様々な議員と一緒に提言をしてまいりましたので,国会改革が議論されるということは非常に大切なことだと思いますし,メディアの皆さんがこの国会改革をいよいよ取り上げてしっかりと報道してくださるというのは,国民の皆さまに何が問題になっているのかを知っていただく,あるいは世論形成という観点から,非常に大切だというふうに思います。

日露関係

【読売新聞 梁田記者】日露関係で伺いたいんですけれども。先般,森外務審議官がモルグロフ外務次官と交渉されましたけれども,その中の成果を大臣としてどのように評価されているかということと,ラヴロフ外相が今後,訪日なさって大臣と交渉を行う段取りになっているかと思いますが,その時期の見通し,展望について現時点での感触を伺えればと思います。

【河野外務大臣】日露の交渉の中身について申し上げることは,差し控えたいと思いますが,ラヴロフ外務大臣の来日日程について調整をしているところでございます。

インド・パキスタン情勢

【日経新聞 林記者】先日のパキスタンの外相との電話会談に続いて,今日,大臣もインドの外務大臣と電話会談されていると思いますが,日本として,このインド・パキスタン情勢に何をどう関与していくお考えがあるんでしょうか。

【河野外務大臣】インドとパキスタンはカシミールをめぐって様々対立があったわけでございますが,やや今回はこれまでとレベルが違う状況になりかねないという心配をしております。両方とも核弾頭を保持しているといわれ,また様々な射程のミサイルを持っているわけでございますので,万が一エスカレーションが起こると,これは取り返しのつかないことになります。そういう意味で,日本として,戦争による核の被害を受けている被爆国として,この問題は座視できないというふうに思いまして,両国に対して自制を求めると同時に,両国に対してテロを厳しく非難をすると同時に,両国間の話し合いを早急に高いレベルで進めて欲しいと思っているところでございます。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【朝日新聞 鬼原記者】日韓関係について伺います。労働者の裁判,徴用工の裁判について協議を申し入れてから間もなく2か月になります。今日,大臣,委員会でも日本企業に実害が及べば対抗措置と,それまでは李洛淵(イ・ナギョン)総理の対応を待ちたいというような趣旨のことをおっしゃっていました。実害ということについてなんですけれども,すでに裁判所で差し押さえが認められ,移転だったりとかということが企業の自由にならないような状況が発生している中で,これを実害というふうに大臣が考えられていない理由がちょっとよく分からないので教えてください。

【河野外務大臣】どの時点で何をやるかということはこちら側の,日本側の手の内を明かすことになるので,その件については差し控えたいと思います。

【毎日新聞 秋山記者】今の質問,ちょっとお答えが質問とかみ合っていなかったと思うんですけども。すでに日本企業には実害が生じていると私は思うんですけども。この点について,大臣はすでに日本企業に実害が生じているとお考えなのか,お考えでないのであれば,その理由は何であるかという質問だったと思います。それについてお答えをお願いします。

【河野外務大臣】お答えを差し控えます。

自律型致死兵器システム(LAWS)に関する政府専門家会合

【共同通信 福田記者】今月下旬にジュネーブでLAWSに関する専門家会合が開かれます。このLAWSの規制のあり方について,大臣のご所見をお聞かせください。

【河野外務大臣】すでにいくつかの国がかなりの研究開発を進めている現実の中で,どのような現実的な規制ができるかというのは,非常に難しい問題だと思いますが。映画の『ターミネーター』に出てくるような,全く人間が関与しない人工知能のみで人間を殺戮することが可能な兵器の開発ということに,日本としては反対でございます。
 ただ他方,こうした人工知能を使った機械というものが,兵器というものが,ある面,人間を置き換えることができるわけで,人口が減少している日本のような国の中で,安全保障を考えた時に,効果的かつ効率的な手段足りえる可能性はあるというふうに考えております。
 また,この兵器に搭載した人工知能が規制をされることによって,人工知能そのものの様々な開発・活用といったものに規制が及ぶようなことがあるのもまずいんだろうと思いますので,非常に様々な立場の国がこうしたある面相反するような目的といいますか,目指しているものの狭間の中で,人道的な見地からどのようなルールを作ったらいいのかということを,やはりなるべく早く考えていく必要があると思います。
 一度の会議で何かルール設定ができるとは思っておりませんけれども,少なくとも問題意識を共有していく中で,少しでも議論を前に進めていく必要があると思っております。このLAWSは,火薬とか核兵器と同じマグニチュードで戦争のあり方を変えてしまう可能性があると思っておりますので,日本としてきちんとこの議論に参加をするだけでなく,この議論の中でリーダーシップをとれるように努力をしていかなければならないと思っております。