平成31年3月8日(金曜日)
9時28分~9時39分
於:記者会見室

冒頭発言

初めに、私から1点申し上げます。

東日本大震災から8年を迎えるにあたって

11日で東日本大震災から8年になります。大震災によって亡くなられた方々に心から哀悼の意を表すとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
本日の閣議では、残り2年間の復興・創生期間における復興の基本方針が改定をされまして、期間内における重点的な取組や、復興庁の後継組織の在り方を含めた期間後における復興の基本的方向性が取りまとめられました。
復興・創生期間にかかわらず、福島第一原発の安全かつ着実な廃炉・汚染水対策の実施と福島の復興は、経済産業省の最重要課題であります。福島第一原発では、3号機の使用済燃料取り出しに関する作業の遅れなど、まだ課題はありますけれども、平服でマスクなどの装備を全く付けずに、近くまで視察が行えるようになるなど、構内環境が大きく改善されたほか、2月の内部調査では燃料デブリと思われる堆積物を動かせることが確認できたなど、一歩ずつ着実に前進をしております。
また、全町避難が続きます大熊町では、この春の避難指示解除を目指した取組が進んでいるほか、昨年7月に一部開所いたしました福島ロボットテストフィールドでは、さまざまなロボットやドローンの実証実験が行われるなど、福島の復興に向けた取組も本格化しております。
このように、一定の進捗が見られる一方で、燃料デブリの取り出しや自立的・持続的な産業発展の実現など、福島の復興はこれからが正念場だと言えます。今後とも一日も早い復興に向けて、国も前面に立って、住民の皆様に寄り添いながら、全力で取り組んでまいりたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

日産・ルノーのアライアンス

Q:先日、日産前会長のゴーン氏が保釈されました。今後の日産・ルノーのアライアンスに与える影響など、大臣はどう見られているのか、御所見をお願いいたします。

A:日本政府としては、これまで申し上げてきたことと変わりはなく、日産・ルノーのアライアンスの維持、強化に向けた具体的な進め方については、当事者が十分納得する形で議論が進むことが重要であるというふうに考えております。

九州電力の出力制御

Q:九州電力管内で5日に、平日では初となる再生エネルギーの出力制限が行われました。本日もまた最大124万キロワットという大きな量で出力制限が予定されています。このことに関する受け止めをお聞かせ願いたいのと、これに伴う対策として、関門連系線の増強の必要性についてどうお考えであるか、お聞かせください。

A:5日の九州エリアでの再エネ出力制御については、快晴による太陽光発電量の増加や気温上昇による暖房需要の減少など、複合的な要因によって発生をしたというふうに認識をしています。事前に定められたルールに基づいて、公平かつ適切に出力制御が行われたかどうか、引き続き、事後的にしっかり検証は、していかなければいけないと思っています。
今、お話のあった地域間連系線については、再エネの大量導入の観点からも重要ではあると考えております。先日、立ち上げました審議会において、費用対効果を踏まえた連系線の増強、活用拡大策の検討を進めていきたいというふうに思っています。
また、原子力が、原発が動いているからではないかというお話があるわけでありますけれども、原発は地熱や水力と同様に、ベースロード電源として重要でありますし、短時間での制御が困難であるという特性があります。太陽光や風力よりも後に出力制御することにしておりまして、これは原子力を抑制、停止した場合、大幅な太陽光等の変動があったときに、出力回復までに時間がかかって、代わりに火力などの稼働が必要になることによって、CO2の増加やコストの増加につながる。そういうことを考慮した上での事業者としての措置だと考えております。

景気動向

Q:昨日、内閣府が発表した景気動向指数によりますと、景気回復のピークが今年1月より数カ月前に、暫定的ではありますが、来ていた可能性が高いということです。米中関係の悪化が要因と見られますが、米中関係が日本経済に与える影響、そして今後の見立てについて、改めてですが、大臣の御認識をお願いいたします。

A:景気動向指数の基調判断が、「下方への局面変化」に下方修正されたことは承知をしております。ただ、この指数の基調判断は、九つの経済指標を基に、一定の基準で機械的に判断されているものでありまして、他の経済指標ですとか、あるいは企業の景況感といったことは考慮されてないわけであります。
現在、足下では、雇用ですとか所得環境の改善は、引き続き続いているわけであります。また、3月1日に公表されました法人企業統計でも、企業の経常利益が高水準で推移をし、設備投資も増加をしていることが明らかになっております。日本経済全体を見れば、景気は緩やかに回復をしているというふうに考えられるのではないかというふうに思っています。
いずれにしろ、米中の交渉の先行きですとか、海外経済の動向や日本経済への影響をしっかりと注視をするとともに、経済の好循環を着実に回していくために、第2次補正予算の着実な実行と、来年度予算の早期成立を図ることが、何よりも重要であると考えています。

米国の通商拡大法232条に基づく調査

Q:アメリカの商務省が、スポンジチタンの輸入が安全保障に脅威が与えられているかもしれないということで調査を始めましたけれども、これについて日本政府の対応を教えてください。

A:アメリカが、スポンジチタンの輸入に関して、通商拡大法232条に基づく調査開始をしたことは承知をしております。
これは、従来から我々の姿勢でありますけれども、ルールに基づく多角的貿易体制を重視する日本としては、いかなる貿易上の措置もWTO整合的であるべきだと考えておりまして、今後の動向を注視してまいりたいと思います。

キャッシュレス決済のポイント還元

Q:キャッシュレス決済のポイント還元で、事業者の登録が遅れているのですけれども、これの再開はどうなるのかと、これの作業についての大臣の所感についてお伺いしたいと思います。

A:事務方の方から、ポイント還元事業において、決済事業者の仮登録を一昨日に開始をしようということで、作業をしていたわけでありますけれども、少し受付に関連する事務的な手続の準備等に、若干想定よりも時間を要していることから、この時期を少し延期をしたいという報告を受けております。
いずれにせよ、できるだけ早く決済事業者の仮登録を開始するということは、極めて重要でありますので、できるだけ早くスタートできるように、事務方には指示をしているわけであります。いずれにしても、ポイント還元ということからも、かなり壮大な事業になりますので、事務的なミスは許されませんので、その辺は慎重にやりながらも、できるだけ早く決済事業者の仮登録募集を開始したいというふうに思っています。

原発に関する国民理解

Q:原発に関してなのですが、大臣は2月の会見で、まだまだ原子力政策に関して、国民的な理解を十分には得られていないというふうな発言をされていたのですけれども、この点について現状どう考えていらっしゃるのかということと、国民の理解を得るための議論、意思形成の場というのをどういうふうに設けていこうとされているのかというのを改めてお伺いします。

A:原発に関して国民の理解、原発というよりは、エネルギー政策全体に関して、国民の理解というのはまだまだ十分ではないというふうに思っています。その点は、各マスコミの世論調査などでも、累次、出てきていることだというふうに思っています。
我々としては、原子力も含むエネルギー政策全般に関して、国民の理解をしっかり深めていくことは重要だと、これは従来からずっと思っておりまして、例えばウェブコンテンツを充実するなど、いろいろな対応も採ってきているわけであります。今後も、地道にそういった活動を、しっかりと続けていきたいというふうに思っています。

東海第二原発の再稼働

Q:東海第二原発の支援に関してなのですけれども、福島第一の事故を受けて、国の支援を受ける東電が自社以外の再稼働を見通せない原発を支援することと、その額が膨らむということについて、理解が得られるかどうかという点のお考えを。

A:東京電力、いずれにしても資金的な協力も含めて、個別の経営判断については、東京電力など、電力会社がその経営責任において判断されるべき問題だというふうに思っています。
東京電力が、昨年、表明した日本原電への資金的な協力については、東京電力の経営陣が、特に福島への責任を果たしていくという、その経営をしっかりと立てていくという観点から等を中心に、さまざまな要素を総合的に勘案をして、支援の意向を表明したものというふうに判断をしています。今後も、適切にそういったラインで判断がされていくものと考えています。

以上

最終更新日:2019年3月8日