冒頭発言

(1)ODAマン

【河野外務大臣】昨日からODAマンのバッジをつけているんですけど誰も聞いてくれないので,自分でちょっと宣伝をしたいと思いますが,外務省のODAを少し国民の皆さまに分かりやすくご説明をする一環として,ODAマンというキャラを作って国際協力局長の梨田さんによく似ているキャラでございますが,しっかりODAの意義その他を説明していきたいと思います。

(2)ジャポニスム2018

【河野外務大臣】フランスでやっておりました「ジャポニスム2018」が2月末で閉幕をいたしました。昨年7月の開幕式には私(大臣)も出席をいたしましたが,トータルで300万人ほどの動員があったと聞いております。「チームラボ」展は30万人の入場者ということになりまして,フランス人,あるいはフランスを訪問する,訪問した多くの国からの観光客が,日本のことについて知ってくださるいい機会になったのではないかと思います。
 2020年,東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて,この3月から米国で「Japan 2019」,それからASEAN10か国で「響きあうアジア2019」として,日本文化の紹介・交流事業を行います。米国の「Japan 2019」では,例えば3月5日からニューヨークのメトロポリタン美術館で源氏物語展が開催されます。2.5次元ミュージカルとか様々なポップカルチャーの関連事業も行われる予定ですし,民間の行う文化交流事業とも連携をしていきたいと思っております。
 「響きあうアジア2019」は,日本とASEANがともに舞台芸術・映画,あるいはスポーツ・日本語教育関連事業などを総合的に実施していきたいと思っております。「響きあうアジア2019」は日本国内でも6月と7月に東京で各種事業を実施する予定であります。アジアを知る,日本を知る,お互いにいいきっかけにしていければと思っております。

米朝首脳会談

【共同通信 福田記者】今回の米朝首脳会談で非核化を巡る双方の主張の隔たり,鮮明になりました。その一方で総理は「次は私が向き合う番だ」と,日朝会談への決意を表明されています。その上で2点伺いたいのですが,1点目は今回の米朝会談で日朝首脳会談への糸口はつかめたとお考えなのかということと,もう1点は,大臣ご自身は李容浩(リ・ヨンホ)外相と,今後どのように向き合っていこうとお考えなのか教えてください。

【河野外務大臣】ハノイで行われた米朝首脳会談,朝鮮半島の非核化を実現しようというトランプ大統領の強い決意の下,しかし残念ながら進展はありませんでしたが,安易な妥協を行わず,しかし同時にさらに米朝の議論を続けていこう,そして国際社会の団結を背景に北朝鮮に行動を促していこうというトランプ大統領の決断を,日本として全面的に支持をしていきたいと思いますし,引き続き米朝プロセスを後押しをし,核・ミサイル,拉致問題の解決に向けて,日米一層緊密に連携をしてまいりたいと思っております。
 拉致問題については,トランプ大統領のほうから問題の提起が行われました。それに関連して日本としても引き続きこの拉致問題の解決のために,これは総理ご自身が北朝鮮と向き合うという決意をお話しされておりましたが,日本としてもこの拉致問題,重要な課題でありますので,しっかりと対応していきたいと思います。

【読売新聞 梁田記者】今の関連ですが,これからも米朝の間の非核化の交渉は続くというご認識を示されましたけれども,今回の米朝首脳会談で具体的な成果がなかった背景の一つとして,いわゆる積み上げ,事務レベルから閣僚レベルに至るまでの,首脳会談へ至るまでの積み上げが不足していたということが指摘されています。昨日のトランプ大統領の記者会見でポンペオ国務長官がご自身で出られたりとか,今後おそらくやり方を含めて考えていかれると思うんですけれども,そういった意味で交渉の体制がどうあるべきかということ,それから米朝の交渉の体制ができていく中で,日本の外務大臣として,どのように関与していきたいとお考えか伺えればと思います。

【河野外務大臣】やはりこういう交渉ごとというのは,しっかりと積み上げていくというのが大事だということを,北朝鮮も認識をしたのではないかと思います。今後,北朝鮮側がしっかりと体制を組んで,交渉へ望むことになろうかと思いますが,その体制を作るのに若干時間がかかるんだろうと思っております。
 今回の米朝の会談に向けて,日本側はかなり緊密な連携を日米でできたと思っておりますし,技術的な話し合いについても日米で相当突っ込んだやりとりをし,また技術的に日本が貢献をした部分,実際にはそこまで行きませんでしたが,そういうところもあったと思いますので,引き続き日米の緊密な連携というのを維持して当たっていきたいと思います。

【朝日新聞 清宮記者】関連なんですけれども,米朝首脳会談のあとに李容浩外相が会見して,「米国は北朝鮮がすべての制裁解除を求めたと言っているが,求めたのは一部の制裁の解除だ」という見解の異なることを言っています。また「寧辺の,専門家の立ち入りの下,永久廃棄を提案した」と言っていますが,このような北朝鮮の主張についてどう受け止められていますか。

【河野外務大臣】国際社会が求めているのは,核・ミサイルの,あるいは大量破壊兵器・ミサイルのCVIDということですから,それを目指そうというトランプ大統領の決意はしっかり伝わったんだろうと思います。あとは一部という言葉をどのように定義するかということなんだろうと思います。

三・一独立運動100周年記念式典

【産経新聞 力武記者】本日,韓国では三・一の独立運動100年の記念日ということで,大規模な集会が予定されていますけれども,外務省は昨日,渡航者に向けて注意喚起のスポット情報というのを出しておられますが,今後の日韓関係を含めて,大臣としてどのようなことを懸念されているかということについてお願いします。

【河野外務大臣】式典とか,文在寅(ムン・ジェイン)大統領の演説といったことが行われると思いますが,予断をもってコメントすることは差し控えたいと思いますが,日韓関係に影響が出るようなことには,当然ならないだろうというふうに思っております。
 ただ,外務省としては,ソウル,釜山をはじめ,各都市で市民団体によるデモが行われる可能性があるということから,スポット情報を出させていただきました。これは例えば2017年3月の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾に関するデモですとか,あるいは平昌オリンピック関連の注意喚起とか,いろんな場面でスポット情報を出させていただきましたので,渡航される日本人に関しては,こうしたスポット情報に注意を払っていただきたいというのと同時に,「たびレジ」への登録を忘れずにお願いをしたいと思っております。

米朝首脳会談

【日経新聞 林記者】米朝首脳会談についてなんですけれども,北朝鮮が会談後に会見を開くというのは異例だと思います。この北朝鮮の意図について大臣はどうお考えでしょうか。また,その制裁解除に関して,人民生活に支障をきたす分野を主張しているんですが,こうした主張をどう受け止められますか。

【河野外務大臣】安保理決議を国際社会がしっかりと履行しているということが,この米朝会談につながってきているんだろうと思います。国際社会は引続き,朝鮮半島の非核化というものを求めるという立場に変わりはないというのが,私(大臣)の認識でございます。北朝鮮側の記者会見の意図については,申し上げる立場にございませんが,それは国際社会に向けて,自分の立場を表明したいということだったんだろうなと思います。ただ,明け方というか未明だったということは聞いております。

日韓関係,米朝首脳会談(拉致問題)

【NHK 奥住記者】最後の質問ということで,韓国と米朝とそれぞれ1問ずつお願いしたいんですけれども,まず日韓関係ですが,徴用をめぐってこれまで韓国側から具体的な対応を示されないまま,今日,「三・一独立運動」の日を迎えたということの受け止めと,まさに文在寅大統領の演説もこの後予定されていますが,韓国政府に求めたいことをお願いします。
 もう1点,米朝なんですけれども,会談で拉致問題が取り上げられたということで,そのことについての受け止めをお願いしたいのと,北朝鮮はどういう反応をしたのか,またポンペオ国務長官との外相会談の調整状況についてもお願いします。

【河野外務大臣】トランプ大統領は拉致問題に非常に強い関心をもってくださっているというのは,これまでの一連の国連での演説,あるいは被害者のご家族との対面,あるいは前回も拉致問題を取り上げていただいたということから,トランプ大統領が拉致問題に関して強い関心を持ってくださっているというのは,我々もよく理解をしております。
 ポンペオ長官とは,ちょっと今日,国会が不正常だったものですから,様々な電話会談のスロットの提示をいただいているんですが,国会の状況とポンペオ国務長官の日程と,今なんとかうまく折り合いをつけたいと思っているところでございます。ちょっとそこは,これからまだ調整を続けたいと思いますが,日韓の話で言えば,これまで累次申し上げているように,この旧朝鮮半島出身労働者の関わる大法院の判決その他に関連して,日本企業に不当な不利益を生じないように,韓国政府にはしっかりと対応していただきたいというふうに思っております。