冒頭発言

ベネズエラ情勢

【河野外務大臣】ベネズエラのグアイド暫定大統領の呼びかけにより,2月23日,米国,コロンビア,ブラジル等が協力して,ベネズエラへの人道支援物資の搬入が試みられました。しかし,軍や治安組織等によりこれらの物資の搬入が阻まれたことは極めて遺憾に思います。この過程において,死傷者が発生したことを強く非難したいと思います。犠牲者になられた方,またご遺族の方々に対しては,謹んで弔意を表明します。人道支援を必要としている人々に,支援物資が一刻も早く平和裡に行き届くよう,今後妨害が行われないことを強く求めたいと思います。

米朝首脳会談

【共同通信 福田記者】米朝首脳会談の関連でお伺いします。非核化やミサイル廃棄,拉致問題,それぞれの分野でどのような成果を期待されているか教えてください。

【河野外務大臣】あらゆる射程のミサイルならびにすべての大量破壊兵器のCVID,そして拉致問題の解決に向けた動きというものを期待したいと思います。

【NHK 奥住記者】米朝の関連ですけれども,北朝鮮は米国に対して制裁の緩和などの譲歩を求めるものとみられるのですが,日本の制裁への考え方を改めて教えていただきたいのと,またそれは米国などとも一致しているというふうにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】少なくともきちんと非核化が実行されるまで,制裁は解除されるべきではないというのが,これはもう国際社会の一致した立場というふうに理解しております。

【時事通信 越後記者】先日,トランプ大統領が米国国内での発言で,北朝鮮が核実験さえしなければ我々はハッピーなんだということで,核凍結だけで容認するような発言をしているんですが,この部分について,日本は完全な非核化,廃棄ということを求めていると思いますが,米国と考え方は一致しているんでしょうか。

【河野外務大臣】トランプ大統領は別に凍結で云々と言っているわけではございません。CVIDを求めているということで,すべての国際社会が一致しています。

北朝鮮の非核化

【日経新聞 林記者】北朝鮮の非核化をめぐって,IAEAなどを通じて核査察や非核化措置に日本が関与するお考えはありますでしょうか。

【河野外務大臣】核兵器については,これはP5が行うことになりますが,そのほかの関連施設については,IAEAが査察に入るべきだと考えておりまして,財政支援その他技術的支援などを行う用意が日本にはございます。

ベネズエラ情勢

【読売新聞 梁田記者】冒頭ご発言のあったベネズエラ情勢の関係なのですが,人道支援物資の搬入も含めかなり情勢が緊迫してきていて,先ほどもペンス副大統領とコロンビアの大統領とで話し合いが行われたところです。今後,G7等でもかなり大きな議題になるかと思いますが,米国をはじめとするG7の諸国としてはどのように連携していきたいとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】ベネズエラの国内で様々,人道的な支援物資が必要とされる状況にありますので,なるべく速やかにそうした物資が国内,必要な方々に届けられるということが大切だと思いますし,また非常に多くの方が国外に避難をしておりますので,そうした方々を支援している周辺国に対する支援も当然に必要だと思います。
 そしてベネズエラの国内的には,速やかな大統領選挙の実施ということが必要だろうと思いますので,おそらくG7はそうしたことで議論が行われるのではないかと思っております。

韓国の三・一運動

【産経新聞 力武記者】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が三・一の独立運動100年を前に今日の閣議で,親日を清算し,独立運動にしっかり礼を尽くすことが民族の世紀を正しく立て直し,正義のある国に進む始まりだというふうに述べて,反日的な運動をそれに併せて盛り上げようというような考えを示しているのですが,大臣はミュンヘンの康京和(カン・ギョンファ)外相との会談で,この独立運動,三・一への懸念を示しておられたと思いますが,今回のこの文在寅大統領の発言をどのように考えておられるかということと,あわせて,今度の三・一の運動にもしこうあってほしいという期待があればお願いします。

【河野外務大臣】文在寅大統領のその発言は,私(大臣)は承知をしておりません。日韓関係を未来志向のものにしていこうということは,もうここしばらく康京和長官と話をしてきたことでございますので,日韓関係を未来志向のものにしていきたいというふうに思っております。

康京和長官による国連人権理事会ハイレベル会合での慰安婦問題への言及

【NHK 奥住記者】韓国の関連で伺います。韓国の康京和外相が,国連人権理事会の演説で,慰安婦問題について,これまでの対応は被害者に寄り添う姿勢が著しく欠けていたなどと述べています。この受け止めと対応を教えてください。

【河野外務大臣】慰安婦の問題につきましては,日韓合意というものがございますので,日韓両国がそれを誠実に実行することが必要だと思います。

ザリーフ・イラン外相の辞任表明,インド・パキスタン情勢

【毎日新聞 秋山記者】イランのザリーフ外相が先刻,辞意を表明されました。JCPOAの妥結についても非常に貢献された方だと思うんですけれども,この点について大臣の受け止めと,イランの核合意への影響と,もう1点は,これも先刻ですけれども,パキスタンの外相が訪日をとりやめられましたけれども,その後にインド軍がパキスタンの実効支配地域に空爆をしたと,先ほど報道がありましたけれども,これについては大臣,どのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】ザリーフ外務大臣とはもう何度も会談し,電話会談も数回行っております。非常に穏健な考えを代表する方でありますし,JCPOAの合意に向けて非常に大きな役割を果たされた方と認識をしておりましたので,辞意の表明ということを聞いて正直驚きました。最後にお目にかかったのがわりと最近だったと思いますが,正直驚いておりますが,辞表がまだ大統領に受理されたとは確認ができておりませんので,少なくともイランのルールでは,辞表が受理されるまでは現職であたられるということでございますので,私(大臣)としては,残っていただきたいと思っております。ただ,アサド大統領がイランを訪問されて,ロウハニ大統領と会談をされた際に,ザリーフ外務大臣,同席されていなかったということもありますので,やや事情を心配しているところでございます。
 パキスタンの外務大臣とは,昨日ですか,月曜ですから昨日ですね,電話会談を行いました。カシミールの問題についてやり取りをさせていただきましたし,そのことが原因で,今回訪日が延期になったというのは非常に残念に思っております。昨日の会談の中では,なるべく早期に再調整をして訪日をしていただきたいという要請をさせていただきました。空爆されたのがバラコートにあるテロリストキャンプというふうに聞いておりますが,まだ,どのような状況になっているかという事実確認ができておりませんので,この空爆に関する評価というのは,まだできておりません。

日・ASEAN包括的経済連携協定,TICAD

【朝日新聞 竹下記者】1点目は本日の閣議で決定された日・ASEAN包括的経済連携協定の関係なんですけれども,改めてなんですが,日・ASEANでこのような協定を結ぶ意義についてお願いしたいのと,TICADの関係ですけれども,先日,金沢の講演で大臣がTICADの主役は援助ではなく民間投資をどれだけできるかとおっしゃいましたけれども,こちらも,改めて援助ではなくて,民間投資を進める意義についてどのようなお考えかお願いします。

【河野外務大臣】ASEANとは様々,経済的な連携を強めていきたいというふうに考えておりますので,非常に大きな一歩になることを期待していきたいと思っております。また,TICADに関しては,総理も施政方針演説の中で,アフリカはもはや援助の対象ではないということをおっしゃっておりましたけれども,非常に急速なスピードで,経済発展をし,また,様々,資源あるいは若い人口を抱えている潜在能力の高い地域だと思っております。
 昨年のTICADの閣僚会合の中でも,多くの外務大臣から,もちろん日本の援助もありがたいけれども,民間の投資に期待をしたいというお話が多くありました。もちろん,まだまだ援助を必要とするところ,あるいは統治機構をしっかり作っていかなければいけないところもありますけれども,かなり急速に経済が発展し,ヨーロッパをはじめ多くの国からの投資を受け入れている国も多くあります。
 そういうことを考えれば,日本の企業が積極的にアフリカに投資をし,アフリカの市場を見ながら,アフリカに技術移転をしていくということが,やはりこれからのアフリカの発展に欠かせないものだと思っております。もちろん,必要なODAはしっかりと行っていきたいと思いますが,そろそろ,TICADのプロセスも援助という場から,一緒に成長をしていく投資というものが主力にならなければいけない時期に来ているのではないかと思っております。
 先般の官民の円卓会議,あまり円卓ではない会場でしたけれども,円卓会議でも私(大臣)から民間の皆様にそういう話をさせていただきましたし,金沢のJCIのSDGsに関する講演でも同じようなことを申し上げさせていただきました。

米朝首脳会談

【東亜日報 金記者】米朝首脳会談について伺いたいです。日本政府が北朝鮮について支援に加わらないとアメリカ側に伝えたとの報道が出ましたけれども,米朝首脳会談を控える今,こんな立場を表明している理由がなんですかと伺いたいです。

【河野外務大臣】すみません。どの支援の話をされていますか。

【東亜日報 金記者】北朝鮮の経済とかいろんな支援に加わらないとアメリカ側に話した。

【河野外務大臣】これはもう日米でも何度も話をしてきておりますが,日朝平壌宣言に則って,核・ミサイル,拉致問題が解決されれば国交を正常化し,経済支援をする用意があるということは,これまで公に述べてきておりまして,その立場に全く変わりはございません。