平成31年2月15日(金)

 今朝は閣議前にデジタル・ガバメント閣僚会議に出席しました。
 本日の閣議においては,法務省案件として「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に基づく報告(平成30年)」と,「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。また,質問主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて,私から2件報告があります。まず,犯罪捜査のための通信傍受に関する法律第29条に基づき,平成30年中1年間の通信傍受の実施状況等について国会に報告すべく,報告案が閣議決定されました。
 本日午後,全国会議員に報告書を配布する形で,国会に報告がなされることとなります。概要を申し上げますと,平成30年中は,12事件につき傍受を実施した結果,合計82人を逮捕しています。
 捜査当局においては,今後も,通信傍受を適切に活用していく方針と承知しています。
 次に,昨日(2月14日),法制審議会の総会が開催され,「公益信託法の見直しに関する要綱」,「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱」,「戸籍法の改正に関する要綱」及び「特別養子制度の見直しに関する要綱」の答申を受けました。
 この4つの答申については,我が国が直面する問題について,いずれも時宜にかなった適切な内容になっているものと受け止めており,それぞれ,この答申に則して,所要の法律案をできる限り早期に国会に提出できるよう準備を進めてまいりたいと思っています。
 併せて,この法制審議会では,本月8日にお伝えしたとおり,所有者不明土地問題等に対応するため,法制審議会に対し,民法及び不動産登記法の改正に関する諮問を行ったところです。所有者不明土地問題の対応は,政府全体で取り組むべき喫緊の課題であり,法制審議会においても民法及び不動産登記法といった基本法も踏まえながら,充実した調査・審議がされることを期待しています。

外国人受入環境整備交付金に関する質疑について

【記者】
 4月の新在留資格に向けて,法務省は13日,外国人の相談を一元的に受け付ける窓口整備に向けた交付金の申請を開始しました。都道府県を含む111自治体が対象に該当するとしていますが,対象から漏れた自治体は外国人を受け入れる意欲があっても,自前で窓口を整備する必要があります。
 交付先の主体を既に多くの外国人を受け入れている自治体に絞った理由と,今回交付金が受け取れない自治体に対しては,今後どのような対策をとっていくのかお聞かせください。

【大臣】
 御指摘の外国人受入環境整備交付金(整備)の交付要綱において,交付の対象となる地方公共団体を都道府県,指定都市及び外国人が集住する市町村としました。
 もとより市町村は,最も身近な行政主体であり,できる限り多くの市町村を支援したいという想いはあるのですが,全ての市町村を交付金の対象とすることは困難であり,恒常的に窓口を開設して情報提供や相談に応じることが見込まれる窓口といった観点から,外国人が集住する市町村について一定の基準を設けることとしたものです。限られた予算の中で,どこかで線引きをしなければならないということです。
 そうしたことから,指定都市以外の市町村については,相談需要の見込みを考慮して,基本的には,外国人住民が1万人以上の市町村ということを基準とし,1万人に満たなくとも,外国人住民が5千人以上で,その割合が2.0パーセント以上である場合には,交付の対象としています。これは,日本全体における外国人住民の割合が1.95パーセントであり,これを上回るというところで2.0パーセントという基準を設けたところです。
 ただし,東京都特別区については,交通の利便や情報へのアクセス環境が良いこと等を考慮し,外国人住民が1万人以上という基準に加えて,その割合が6.0パーセント以上とする基準を設けているところです。
 法務省としても,地域における一元的な相談窓口の役割は重要と認識しております。交付対象とならなかった市町村への支援については,例えば,都道府県については,政令指定都市がある場合には,都道府県内のどこに窓口を設置しても良いとしているため,バランスを持って検討していただきたいと思っています。更に交付金の対象とならなかった地方公共団体に限ることなく,地方出入国在留管理庁の職員を相談員として適宜派遣したり,在留外国人向け相談窓口業務に従事する地方公共団体職員に対する情報提供や研修を実施するなどの支援を行ってまいりたいと考えています。
 また,選ばれた市町村も,その市町村に住んでいる外国人だけ相談に応じるという趣旨ではありません。近隣の市町村にお住まい,あるいは近隣の市町村にお勤めの外国人も含めて対応していただきたいという趣旨ですから,一定程度近隣の市町村にも手が行き届くのではないかと期待しているところです。

懲戒権の規定に関する質疑について

【記者】
 虐待の関連で伺います。児童虐待をめぐって国会で安倍総理大臣の「親権者が子どもを戒める懲戒権について,法務省に検討させたい。」という御発言がありました。また,大臣御自身も「検討したい。」国会で御発言されたかと思いますが,今後の具体的な検討の仕方についてお聞かせください。

【大臣】
 国会においても答弁させていただいたように,まず第1に,民法822条の懲戒権は,民法の規定上もあくまでも子の利益のために行使されるべきものであることが明確にされており,いやしくも懲戒権の名の下に虐待に当たるような行為をするということは全く正当化されません。これは文言上明らかであるし,平成23年の民法改正の経緯を踏まえても明らかであると考えています。しかし一方で,懲戒権の規定の在り方に対する国会での御議論,それに対する安倍総理の御発言,あるいは,私も述べたところでありますが,規定の在り方については必要な検討を行ってまいりたいと考えています。
 今後の具体的な検討方法やスケジュールについては,担当部局である民事局に検討させているところですので,然るべき時に具体的なところについてまた御説明等させていただきたいと思っています。

同性カップルによる国家賠償請求訴訟に関する質疑について

【記者】
 同性婚を認めないのは違憲であるとして,国に損害賠償を求める訴訟が全国数カ所で提起されましたが,法務省として今後どのように対応していくのかお聞かせください。

【大臣】
 訴状が送達されていない個別の事件についてお答えは差し控えさせていただいているところです。本件についても,まだ訴状が送達されていると承知していませんので,コメントは差し控えさせていただくということで御理解いただきたいと思っています。
 同性婚に関しては,当事者の想いについては十分理解できるところですが,例えば,昨日も国会で答弁したとおり,憲法第24条第1項においては,「両性の合意」という文言が使われており,当事者双方の性別が同一である婚姻の成立を求めることは想定されていないものと考えられ,また,同性婚を認めるか否かは,我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であるということで,国民的な議論も踏まえて,極めて慎重な検討を要するものと考えています。
 民法や戸籍法の定めにもないという点も踏まえて,慎重に検討してまいりたいと考えています。

壬申戸籍がインターネットのオークションサイトに出品されていたことに関する質疑について

【記者】
 明治時代に作成された壬申戸籍がインターネットのオークションに出品されていたことが明らかになり,法務局で回収されたと聞いています。法務省として,今後どのように対応されるのかということと,2017年に同様の事案があったと聞いており,そのときも回収したということですが,こうした事案が続いているということを踏まえて,何か対応をとられるお考えはあるのでしょうか。

【大臣】
 お尋ねの壬申戸籍は,保存期間を経過していますが,その後も引き続き保存する必要があるものとして厳重に包装封印の上,法務局又は市区町村において保管していると承知しています。
 壬申戸籍は身分の記載もあるということで,現時点では,何人の目にも触れさせるべきではないということで,この度の報道に係る壬申戸籍については,昨日,法務省において回収したと報告を受けています。
 壬申戸籍については,その意義・内容に鑑みて,今回と同種事案が発生した場合には,これに厳正に対処するよう民事局に改めて指示をしています。御指摘のとおり,過去にもインターネットのオークションサイトにおいて,壬申戸籍と思われるものが出品され,法務局で回収している例があります。今回,改めて同種の事案があったということで,改めて厳しく適切な保管に努めるよう指示をしていきたいと考えています。

(以上)