平成31年2月8日(金)

 今朝の閣議においては,法務省案件はありませんでしたが,閣議に先立って開催された児童虐待防止に関する関係閣僚会議に,閣僚の一人として出席してまいりました。
 私から1件報告があります。今年の2月14日に開催される法制審議会の総会において,所有者不明土地問題対策等のための民法及び不動産登記法の改正に関して諮問することとしました。
 所有者不明土地の現状に関しては,不動産登記簿等により所有者が直ちに判明しない,又は判明しても連絡がつかない所有者不明土地は,民間の土地取引や公共事業の用地買収,森林の管理など様々な場面において土地の利用を妨げており,その対策は,政府全体として取り組むべき重要な課題です。
 法務省としては,平成29年10月から,登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会を開催しており,私も折に触れて,政務官として出席していましたが,所有者不明土地の発生を予防するとともに,これを円滑かつ適正に利用することができるようにする観点から,民事基本法制の見直しについて検討を行ってまいりました。
 この研究会においては,民法及び不動産登記法の改正に向けた具体的方向性や課題について幅広く検討され,論点が整理されてきたものと承知しています。
 この研究会の成果も踏まえて,民法及び不動産登記法の改正に向けた具体的な検討を更に行っていただくため,この度,法制審議会に諮問をすることとした次第です。
 この問題について,法制審議会で,充実した調査・審議がされることを期待しています。

外国人材受入れ拡大に関する質疑について

【記者】
 法務省は,2月6日,外国人労働者の受入れ拡大に向けた初の地方説明会を鳥取県で開催しました。地元企業からは,新制度に期待する声が上がった一方,悪質ブローカーの介在に対する懸念や,試験内容などの詳細が分からないといった困惑した意見も聞かれました。そうしたことを踏まえ,法務省として今後どのように取り組むべきとお考えか教えてください。

【大臣】
 新たな外国人材受入れ制度については,周知・広報をしっかり行っていくことが極めて大切だと考えています。2月6日の鳥取県を皮切りに,全国47都道府県全てにおいて順次地方説明会を実施する予定です。報道などで,「特定技能」の在留資格について詳しい話が聞けて良かったという声がある一方で,専門用語が多く,まだ分からない部分も多いという声もあります。私どもとしては,皆様に御懸念の点をしっかりと理解していただけるように,分かりやすい説明をしていきたいと思います。
 また,関係省庁が業界団体に向けて実施している説明会にも,法務省からも職員を積極的に派遣しているほか,受入れ機関等からの問合せに対応するため,相談体制の構築や,問合せ窓口等を記載した資料を説明会等で配布したり,法務省のホームページに掲載するなどの準備を進めています。
 ブローカー対策については,新たな人材の受入れに関し,現在9か国との間で,情報共有の枠組みの構築を内容とする二国間取決めの締結を目指しています。また,ブローカー排除のために,外国人材が保証金を徴収されていることが分かった場合,「特定技能」の在留資格での受入れができないこととする方針です。
 このほか,技能試験の実施についても,例えば介護,宿泊,外食業分野の3分野においては,本年4月から試験を実施する予定と聞いており,その他分野においても,所管省庁において着々と準備を進めていただいていると承知しています。
 御指摘のような御意見を真摯に受け止めて,本制度の内容をしっかりとお伝えできるよう,我々も説明ぶりについて工夫を凝らし,広報に努めていきたいと考えていますので,よろしくお願いします。
 
【記者】
 外国人材の関連でお伺いします。昨日,自民党の有志の国会議員が,「最低賃金」について,全国一律にすることを目指して,議連を発足しました。
 こうした動きは,4月からの外国人材の受入れ拡大で人材が都市部に集中するのではないかとの懸念に対応するものだという意見もあるようですが,大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 報道については承知していますが,最低賃金については所管外の部分があります。また,個別の議員の活動に関する事柄について,法務大臣としてコメントは差し控えたいと思います。
 ただ,新たな外国人材の受入れを特定の地域に集中しないようにすることに関しては,先の国会においても,入管法等の一部改正案について「人材が不足している地域の状況に配慮する」旨の修正がなされて,法務省としても非常に大事なことと受け止めています。
 まずは,外国人材を地方でも受け入れ,そして定着させることができる取組などを通じて,大都市だけではなく,むしろ,空気のきれいな日本らしい地方にも外国人の方がいてもらう方がいいよという選択肢を積極的に示し,一定の大都市ばかりに外国人材が集中することがないよう,しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

(以上)