平成31年2月15日
農林水産省


平成29年度に発生した農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況について、農林水産省が調査を実施した結果、農薬の使用に伴う人に対する事故や被害は、前年度の19件に対し、21件(うち死亡事故は1件)でした。原因別では、農薬散布時のマスクやメガネ等の防護装備が不十分であったため生じた被害や、飲料の空容器に移し替えた農薬を誤って飲んだ事故が発生しています。また、農薬の飛散により、健康被害が生じた事例も報告されています。

これらの事故等を防止する為に

・農薬の調製又は散布を行うときは、農薬用マスク、保護メガネ等の防護装備を必ず着用する
・農薬やその希釈液、残渣等をペットボトル、ガラス瓶等の飲料品の空容器等に移し替えない
・住宅地等の周辺で農薬を使用する際は、散布の時間帯に最大限配慮するとともに、立て看板等により農薬散布中である旨をお知らせし、農薬散布者以外の者が、散布区域内に立ち入らない等の措置をする
等が重要です。

農林水産省は、農薬の安全使用を一層推進するため、全都道府県に今回の調査結果を送付するとともに、農薬の安全使用の指導を徹底するよう依頼しました。今後も、「農薬危害防止運動」等の機会を活用し、農薬の使用に伴う事故及び被害の再発防止に向けて、引き続き適正使用の推進に取り組んでまいります。

1.概要

農林水産省は、農薬の使用に伴う事故及び被害のより効果的な再発防止策の策定を目的として、厚生労働省と連携して、農薬の使用に伴う事故及び被害の実態を把握するための調査を毎年度実施しています。今回の調査では、平成29年4月から平成30年3月までに発生した農薬による人の中毒事故、農作物・家畜等の被害を調査の対象とし、全都道府県に情報提供を依頼しました。
平成29年度の調査の結果、農薬の使用に伴う人に対する事故や被害は、前年度の19件に対し、21件(うち死亡事故は1件)でした。原因別では、農薬散布時のマスクやメガネ等の防護装備が不十分であったため生じた被害や、飲料の空容器に移し替えた農薬を誤って飲んだ事故が多く発生しています。また、農薬散布液の飛散により、健康被害が生じた事例も報告されています。
また、農作物・魚類等の被害は16件ありました。うち、不要になった農薬を河川等に廃棄したこと等による魚類への被害が13件発生しています。

2.調査結果

事故等の対象 件数 主な原因
21件 ・農薬の散布時にマスクなどの防護装備が不十分だった(6件)
農薬をペットボトルやガラス瓶等の飲料品の空容器等に移し替えたり、食品と同じ場所で保管したりする等、不適切な保管管理であったため、誤飲した(6件)
周辺住民等への農薬散布の周知、農薬の飛散防止対策が不十分だった(2件)
農作物 3件 ・農薬の飛散防止対策が不十分だった
魚類 13件 ・農薬を河川に廃棄し、河川水から農薬の成分が検出された
因果関係は明確ではないが、農薬の成分が河川及び斃死魚から検出された

3.今後の対応

平成29年度を含め、近年の人への事故・被害は、不十分な防護装備、誤飲・誤食、農薬の飛散が主な原因となっています。また、魚類への被害の傾向としては、不要になった農薬を河川等に廃棄したことが主な原因となっています。こうした事故等を防止するためには、以下を行うことが重要です。

農薬の調製又は散布を行うときは、農薬用マスク、保護メガネ等の防護装備を必ず着用する
農薬やその希釈液、残渣等をペットボトル、ガラス瓶等の飲料品の空容器等に移し替えない
住宅や公園等、人が住居し、滞在し、頻繁に訪れる施設の敷地及びこれらに近接する土地(以下、「住宅地等」という)の周辺では、耕種的防除や物理的防除など、農薬以外の防除方法を検討する
住宅地等の周辺で農薬を使用する際は、散布の時間帯に最大限配慮するとともに、立て看板等により農薬散布中である旨をお知らせし、農薬散布者以外の者が、散布区域内に立ち入らないよう措置する
不要になった農薬は、河川等に廃棄せず、廃棄物処理業者に処理を依頼する等適正に処理する

農林水産省は、農薬の安全使用を一層推進するため、全都道府県に今回の調査結果を送付するとともに、農薬の安全使用の指導を徹底するよう依頼しました。今後も、「農薬危害防止運動」等の機会を活用し、農薬の使用に伴う事故及び被害の再発防止に向けて、引き続き適正使用の推進に取り組んでまいります。

本調査は次年度以降も引き続き実施いたします。

4.公表資料

「平成29年度農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況」及び過去5年の調査結果については、当省ホームページから御覧になれます。
 URL:http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_topics/h20higai_zyokyo.html

<添付資料>
(別紙)農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況(平成25~29年度)(PDF : 99KB)
 中毒発生時の状況や防止策などの詳細情報(PDF : 251KB)

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課農薬対策室

担当者:農薬指導班 雨宮、大石
代表:03-3502-8111(内線4500)
ダイヤルイン:03-3501-3965
FAX番号:03-3501-3774