平成31年2月13日
農林水産省


向こう1か月の主要な病害虫の発生予察情報については次のとおりです。

・水稲では、種子伝染性病害の発生を抑制するため、種子消毒を適切に実施し、健全な苗の育成に努めてください。
・野菜類では、いちごのハダニ類の発生が四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。ほ場内の発生状況に注意しつつ、適期に防除を実施してください。このほか、きゅうりのコナジラミ類等、地域によっては発生が多くなると予想されている病害虫があるので、注意してください。
・果樹では、翌春の病害虫防除を効率的かつ効果的に実施するため、病害虫の越冬量を低下させ、翌春の発生を抑制することが重要です。病害対策として、被害落葉やり病部の除去を実施してください。また、虫害対策として、昨年、ハダニ類及びカイガラムシ類の発生が多かった園地では、粗皮削りやマシン油散布による防除を実施してください。

国の発生予察情報について

国は都道府県の協力の下、植物防疫法(昭和25年法律第151号)に基づき、有害動植物の防除を適時で経済的なものにするため、気象、農作物の生育状況、有害動植物の発生調査結果等を分析し、有害動植物の発生予察情報及び防除対策に係る情報を提供しています。
本予報に掲載している情報の詳細は、都道府県病害虫防除所のホームページ等を参照してください。

発生予察について
参照URL:http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/index.html
都道府県病害虫防除所
参照URL:http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/120105_boujosho.html

気象

気象庁の向こう1か月の予報(2月7日付け)では、気温は北日本では平年並みか低い、東日本では平年並みか高い、その他の地域では高いと予想されています。また、降水量は東日本と西日本の太平洋側で多く、沖縄・奄美で平年並みか多く、その他の地域ではほぼ平年並みと予想されています。

気象庁ホームページ
参照URL:http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/001_00.html (外部リンク)

水稲

昨年、いもち病、もみ枯細菌病、ばか苗病等の種子伝染性病害の発生が多かった地域では、種子消毒を的確に実施し、健全な種子を使用した育苗に努めてください。
特に、いもち病では、一部の薬剤において感受性の低下が見られるので、都道府県から発表される発生予察情報等を参考に効果の高い薬剤を選定し、種子消毒を実施してください。

・縞葉枯病
は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病であり、経卵伝染により次世代にも媒介が継続されるため、本虫を対象とした防除を実施することが重要です。近年、発生量が増加傾向にある地域では、冬期間中にイネ科雑草の除去及び再生株(ひこばえ)のすき込みを行い、本虫の越冬量の抑制に努めてください。
また、近年、本ウイルスの保毒虫率が高まっている地域では、育苗箱施用剤による防除の実施についても検討してください。

野菜・花き

野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域

作物名 病害虫名 発生が「多い」と予想される地域 発生が「やや多い」と予想される地域
いちご アブラムシ類   北関東、四国、北九州 
ハダニ類 四国、北九州 北関東、甲信、中国
灰色かび病   四国、九州
キャベツ 菌核病 北九州 南九州
きゅうり アザミウマ類 四国 北関東、東海、北九州 
コナジラミ類 北関東、四国 北九州
うどんこ病 四国、北九州  
褐斑病   四国、北九州
べと病 北九州 四国 
レタス 灰色かび病 四国、北九州  
トマト コナジラミ類 北九州  東海、四国
葉かび病 四国、北九州  
たまねぎ べと病   四国、北九州

注)表中の地域については、必ずしもその全域で発生が見られるものではありません。

いちご

・ハダニ類の発生が、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。本虫は発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施してください。
なお、本虫は薬剤抵抗性が発達しやすいので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定してください。また、農薬散布のみならず、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討してください。

きゅうり

・コナジラミ類の発生が、北関東及び四国の一部の地域で多くなると予想されています。本虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られています。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施してください。
なお、本虫は薬剤抵抗性が発達しやすいので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定してください。また、農薬散布のみならず、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討してください。

・うどんこ病の発生が、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。本病は主に葉に発生し、多発すると葉が枯れ上がることにより減収につながるため、発生初期から防除を実施してください。
また、伝染源となるり病部は早期に除去するとともに、一部の薬剤において感受性の低下が見られるので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定してください。

レタス

・灰色かび病の発生が、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。本病は、気温20度前後で発生が拡大しやすく、多湿条件下で発病が助長されます。ハウス栽培やトンネル栽培では、換気等により施設内の湿度低下に努めてください。
また、伝染源となるり病部は除去するとともに、一部の薬剤において感受性の低下が見られるので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定してください。

トマト

・葉かび病の発生が、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。本病は、施設内が過湿条件になると発生が助長されます。換気や作物の株間の風通しを良くするなどの管理を徹底するとともに、伝染源となるり病部の除去を実施してください。
また、薬剤防除を実施する際には、一部の薬剤において感受性の低下が見られるので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定してください。

果樹

果樹共通

翌春の病害虫防除を効率的かつ効果的に実施するため、病害虫の越冬量を低下させ、翌春の発生を抑制することが重要です。病害対策として、被害落葉やり病部の除去を実施してください。また、虫害対策として、昨年、ハダニ類及びカイガラムシ類の発生が多かった園地では、粗皮削りやマシン油散布による防除を実施してください。

りんご

昨年、黒星病が発生していない地域において、一部の薬剤に対する本病の耐性菌が購入苗木に発生する事例がありましたので、苗木を購入する際には注意して下さい。当該地域において、購入苗木に本病の発生を確認した場合は、都道府県病害虫防除所に速やかに相談してください。

都道府県が発表した警報、注意報及び特殊報

平成30年11月14日以降、都道府県が発表している警報、注意報及び特殊報は以下のとおりです。

警報

・重要な病害虫が大発生することが予測され、かつ、早急に防除措置を講ずる必要がある場合に発表します。

発表はありません。

 

注意報

・警報を発表するほどではありませんが、重要な病害虫が多発することが予測され、かつ、早めに防除措置を講じる必要がある場合に発表します。

発表月日 都道府県 対象作物 対象病害虫
11月30日 愛媛県 いちご ハダニ類
11月30日 沖縄県
(宮古島市)
かぼちゃ カボチャモザイク病
12月7日 神奈川県 きゅうり キュウリ黄化えそ病
12月17日 長崎県 いちご イチゴ灰色かび病
12月25日 宮崎県 ピーマン ヒラズハナアザミウマ
12月25日 宮崎県 きゅうり キュウリべと病
12月27日 愛知県 なす ミナミキイロアザミウマ
2月4日 沖縄県
(宮古群島)
さとうきび メイチュウ類(カンシャシンクイハマキ)
2月4日 沖縄県
(八重山群島)
さとうきび メイチュウ類(イネヨトウ)
2月6日 岩手県 水稲 細菌病類(もみ枯細菌病、苗立枯細菌病)

 

特殊報

・各都道府県において、新たな病害虫を発見した場合及び重要な病害虫の発生消長に特異な現象が認められた場合に発表します。
病害虫の生態等の生物学的情報や防除に関する情報の詳細については、各都道府県の病害虫防除所のホームページ等を参照してください。

発表月日 都道府県  対象作物 対象病害虫
11月16日 鹿児島県 アボカド アテモヤコナジラミ、ヤマモモコナジラミ
11月20日 静岡県 レタス レタス黒根病(仮称)
11月26日 宮崎県 オリーブ オリーブ立枯病(仮称)
11月27日 長野県 レタス レタス黒根病(仮称)
11月28日 岩手県 ピーマン ミナミキイロアザミウマ
11月30日 沖縄県 かんしょ  サツマイモ基腐病(仮称)
12月5日 長野県 りんご リンゴツボミタマバエ
12月11日  鹿児島県 かんしょ サツマイモ基腐病(仮称)、サツマイモ乾腐病
12月20日 栃木県 トルコギキョウ トルコギキョウ斑点病 
12月25日 福島県 ポインセチア モトジロアザミウマ
12月27日 愛知県 ぶどう ブドウリーフロール病
1月18日 山形県 西洋なし セイヨウナシハモグリダニ(仮称)
1月21日 鳥取県 トマト トマト黄化葉巻病
1月22日 宮崎県 かんしょ サツマイモ基腐病(仮称)、サツマイモ乾腐病
1月28日 群馬県 にら ネギネクロバネキノコバエ
1月31日 茨城県 レタス レタス黒根病(仮称)

 

病害虫防除に関する留意事項

一般

・病害虫の防除を効果的に実施するためには、注意深くほ場観察を行うことにより、病害虫の発生状況を的確に把握することが必要となります。病害虫の発生は天候の影響を大きく受けるので、天気の推移に注意しつつ、各都道府県の防除指針に従い、適期に適切な防除を実施してください。

・薬剤防除を実施する場合は、病害虫が薬剤抵抗性を獲得しないように、同じ作用機作の薬剤の連続使用を避けてください。また、農薬の使用基準を遵守して適切な薬剤を選択するとともに、散布対象外の農作物等に農薬が飛散しないよう対策を講じてください。

露地栽培

・引き続きほ場観察を行い、病害虫の早期発見に努め、発生を認めた場合は適期に適切な防除を実施してください。

施設栽培

・冬期間中、施設栽培では、加温により施設内の気温が高くなることで病害虫が発生しやすい環境になります。

・ウイルス病を媒介するアザミウマ類、アブラムシ類、コナジラミ類等の侵入や野外への飛び出しを防止するため、施設の開口部に防虫ネットを設置する等の対策を実施してください。また、雑草はこれら害虫の発生源となるので、施設内及び周辺の除草を定期的に行うよう努めてください。引き続きほ場観察を行い、病害虫の早期発見に努め、発生を認めた場合は適期に適切な防除を実施してください。

・作物残さは、害虫の発生源となり、り病葉及びり病果は、病害の伝染源となります。栽培終了後は、作物を枯死させ餌をなくすことで生存虫を死滅させてから搬出し、土中に埋める等、確実に処分をしてください。

・施設内が過湿になると、病害の発生が助長されるため、雨水が施設内に入らないように留意するとともに、過度なかん水を回避する、循環扇を設置する、換気を行う、作物の株間の通風を図る等により、施設内が過湿にならないように管理してください。また、病害の早期発見に努め、伝染源となるり病葉及びり病果は除去し、適期に薬剤防除を実施してください。

用語解説

(地域)
北海道:北海道
東北:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 
    北東北:青森県、岩手県、秋田県 
    南東北:宮城県、山形県、福島県
関東:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 
    北関東:茨城県、栃木県、群馬県 
    南関東:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
甲信:山梨県、長野県
北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県
東海:岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 
    北九州:福岡県、佐賀県、長崎県、大分県 
    南九州:熊本県、宮崎県、鹿児島県 
沖縄:沖縄県

(発生量(程度))
多い(高い):やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い(やや高い):平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並:平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない(やや低い):平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない(低い):やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)

(参考)これまでの発表
第1号:4月18日(水曜日)
第2号:5月16日(水曜日)
第3号:6月13日(水曜日)
第4号:7月11日(水曜日)
第5号:7月25日(水曜日)
第6号:8月8日(水曜日)
第7号:9月12日(水曜日)
第8号:10月17日(水曜日)
第9号:11月14日(水曜日)

お問合せ先

消費・安全局植物防疫課

担当者:国内防除第2班 白石、渡邉、土田
代表:03-3502-8111(内線4562)
ダイヤルイン:03-3502-3382
FAX番号:03-3502-3386

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