冒頭発言

(1)イスラエル・パレスチナ合同青年招へい

【河野外務大臣】明日,2月13日から19日にかけまして,平成30年度のイスラエル・パレスチナ合同青年招へいとして,イスラエル・パレスチナから各5名,合計10名の若者を日本に招へいいたします。この取り組みは今年で21回目になります。日本の息の長い中東和平に関する取り組みの一つであり,イスラエルと将来のパレスチナ国家が平和裡に併存する二国家解決に向けて,イスラエル・パレスチナ双方から将来を担う実務者を日本に招へいをし,意見交換や様々な行事をともにすることを通じて,相互の信頼関係を構築していただきたいと思っております。また同時に日本の中東和平に関する取り組みについても,広く理解を深めていただきたいと思っているところです。

(2)地方創生支援 愛媛県知事との共催レセプション

【河野外務大臣】2月19日,「地方創生支援飯倉公館活用対外発信事業」,ずいぶん仰々しい名前ですが,飯倉公館でやっております県知事との共催レセプション,次は愛媛県と行います。
 
 駐日外交団,駐日外国商工会議所,外国プレスをはじめとする方々に,地方の文化・歴史・産業,あるいは最近は食べ物・飲み物といった魅力を発信するのが目的です。
 愛媛県は昨年の7月の豪雨被害,豪雨災害で大きな被害を受けたということもありますので,復興途中のこの愛媛県の農水産物,あるいは魅力あふれる観光地を広く紹介していただきたいと思っております。

ミャンマー情勢

【シンガポール・チャンネル・アジア 石田記者】
 
 (以下は英語にて発言)
 大臣,英語で質問させていただきます。大臣はフィリピンから帰国されたところですが,大臣は先方外務大臣との間で「ミンダナオ紛争影響地域道路ネットワーク整備計画」に関する交換公文に署名されました。また一方,ミャンマーでは,日本の在ミャンマー大使がラカイン州に援助を提供すると述べたと報じられています。このような紛争地域に支援を提供することについての日本の立場についてお聞かせください。これを通じて何を達成するお考えか,日本の戦略についてお聞かせください。

【河野外務大臣】
 
 (以下は英語にて発言)
 日本はミンダナオ和平プロセスに10年以上関わっています。そして実際,当時のフィリピン大統領とMILFの議長が直接会談できるよう,成田に招待したこともあります。そこからこの和平プロセスが始まったと考えております。他方,ISがテロリスト勢力に影響を与えたマラウイにおいて,暴動が起きたというようなことがありました。おそらく,まだISの影響はあるのかもしれません。シリアやイラクなどからアジアへの外国人戦闘員の帰還に関しましては,彼らの社会復帰を支援することが重要です。
 日本は,多くの国際的なイベントを主催します。今年はG20,TICAD,ラグビー・ワールドカップや即位の礼,来年は東京オリンピック・パラリンピック,2025年には大阪万博などが開催されます。日本にとり,厳格なテロ対策を実施することが非常に重要です。単にアジアの繁栄や安定のみならず,テロ対策も非常に大きな課題の一つであり,日本は各国と協力する必要があると考えています。
 ミンダナオの人々に対して,彼らの経済が発展していると示すことができれば,平和の恩恵を実感いただけると思いますし,これは和平プロセスを後押しするのに役立つと思います。
 ラカイン州につきましては,ミャンマー政府そしてバングラデシュ政府は,コックスバザール県付近の避難民の帰還プロセスを促進するために協力しております。日本政府としても両政府と共に避難民が元々住んでいた場所に戻れるよう喜んで支援していきたいと考えております。また,アジアにとって民主主義を発展させることは重要ですが,アジアにはアジアの方法で民主主義を発展させる方法があります。日本はそういった意味でアジア各国と協力し,それぞれの方法で民主主義を発展させるための支援をしてまいりたいと考えています。このことはアジア地域にとって,長期的な利益となると考えています。

慰安婦問題(韓国国会議長の発言)

【産経新聞 力武記者】先日,韓国の国会議長がブルームバーグ通信とのインタビューで,慰安婦問題を巡って,天皇陛下について「戦争犯罪の主犯の息子」と言ったり,あるいは元慰安婦への直接の謝罪を求めたりしています。改めて大臣のご見解と政府の対応をお聞かせいただけますでしょうか。

【河野外務大臣】国会議長は7日でしたか,一度発言をされ,その後,議長の秘書室から様々な説明を発出され,韓国政府からも議長の発言が本意ではない形で報道されたというような説明がありましたが,再度同じような趣旨の発言をされたわけでございまして,当初の発言はきわめて無礼であり,受け入れがたいものでございます。少なくとも慰安婦問題については日韓合意というものがあって,完全かつ最終的に解決済みというのが日本の立場であり,また韓国政府もその再交渉を求めないということでありますから,そうした趣旨をよく議長には理解してもらって,ご発言いただきたいと思います。日本政府といたしましては,この無礼な発言について謝罪と撤回を強く求めているところです。

日露外相会談

【読売新聞 梁田記者】日露関係のことで伺いたいんですけれども,先月の首脳会談で,2月にも大臣がまたラヴロフ外相と会談するということで一致しました。改めて次に,そういう機会が設定されればどのような成果を望みたいかということと,先般,ラヴロフ外相の発言の中でINF全廃条約が事実上なくなってしまうことに絡んで,日本のイージス・アショアの配備に対してそれがリンクすると,この地域での核戦力の軍拡に対する懸念というのが改めて出ています。もし次,ラヴロフ大臣とお話しになるときにそういった問題が提起されたら,どのように対応なさるお考えでしょうか。

【河野外務大臣】事情が許せば,ミュンヘンの安保会議にあたって,ミュンヘンで日露外相会談を行って,二度目の交渉をやる予定にしているところです。交渉の中でどのような交渉をするかについては差し控えます。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【朝日 清宮記者】日韓関係について,徴用工をめぐる日韓請求権協定に基づく協議について,本日の発表で金杉局長から回答の督促をされたと思うんですけれども,今回,改めて督促をされた理由と,現在の韓国政府の対応,今後の見通しについてご見解をお願いします。

【河野外務大臣】日韓請求権協定に基づく協議の申し入れを,口上書を以て行っております。まだ韓国側で検討が続いており,回答がないものですから,督促をした次第でございます。

米朝首脳会談

【共同通信 丹羽記者】米朝関係についてお聞きしたいんですけれども,次の米朝首脳再会談において,米側が朝鮮戦争の終戦宣言を受け入れるのではないかと,そういうような観測が出ていますけれども,終戦宣言が出された場合において,日本の安全保障にどういった影響があると大臣はお考えでしょうか。

【河野外務大臣】終戦宣言が出されるという話は,あまり聞いておりません。特に終戦宣言に固執をしている側があるというわけではなかろうと思いますし,終戦宣言というのは,少なくとも様々なことが終わったら出されるというものでありますし,米朝二か国で終戦宣言が出るかというものかどうかも,国際法上いろんな議論があると思いますので,少なくとも今度のベトナムでの重要な議題ではないというふうに承知をしております。

【共同通信 丹羽記者】様々な問題というのは,それは非核化が終わった後という,そういう理解でよろしいんでしょうか。

【河野外務大臣】様々なことが終戦宣言の前にはあるだろうというふうに思っております。

日露外相会談

【NHK 小泉記者】先ほどの日露の件についてもう一度伺います。どのような成果を望むかということに関連して,前回の交渉の中で歴史認識や安全保障の面ですとか,日露の違いが鮮明になっていますけれども,こうした問題についてはこの会談でどのように対処していかれたいと大臣ご自身はお考えでしょうか。

【河野外務大臣】交渉の中身あるいは交渉に臨む方針についてお答えをするのは差し控えます。