冒頭発言

(1)大臣のフィリピン訪問

【河野外務大臣】明日,2月9日から11日にかけまして,フィリピン,ダバオを訪問いたします。ドゥテルテ大統領の地元でありまして,日本と歴史的なつながりの強いダバオを,私(大臣)も外務大臣就任以前を含め,初めて訪問いたします。在ダバオ総領事館の開館記念行事に出席するほか,昨年10月にカエタノさんの後継で外務大臣に就任されたロクシン外務大臣をはじめ,フィリピン政府要人と会談を行う予定でございます。ミンダナオの和平プロセスが進展をしましたこの機会をとらえて,ドゥテルテ政権との連携をいっそう強化し,フィリピンと様々な協力体制を深めていきたいと思っております。

(2)公邸料理人の活躍

【河野外務大臣】外交演説でも取り上げましたが,昨今,和食が日本の外交の大きな武器になっておりまして,腕のよい公邸料理人の確保というのが非常に重要になっております。若い世代の料理人の方の間で,この公邸料理人という職種の認知度を上げていきたいと思っておりまして,昨年10月からツィッターやフェイスブックで,公邸料理人の現場から発信をしていただいております。ツィッターはほぼ1万フォロワーぐらいになっておりまして,来年度予算案の中でも待遇改善について,直接財務大臣にお願いをして予算案に盛り込ませていただいております。
 今日申し上げたかったのは,毎日新聞だったかと思いますが,公邸料理人のことを取り上げていただきまして,是非,メディアの皆さんに公邸料理人の活躍について,注目をしていただきたいと思っております。

(3)ロイター通信の記事

【河野外務大臣】もう一つメディアがらみでございますが,2月6日付けで,ロイター通信が,私(大臣)が予算委員会の中で「平和条約締結時に歯舞・色丹の2島が返還されていない可能性はあるか」という質問に対して,「その通り」と述べたという記事が配信されましたが,完全なる誤報でございまして,ロイター通信には是非訂正をしていただきたいと思います。私(大臣)が申し上げたのは,56年の共同宣言の文言は,あそこに出ていたパネルの通り,「その通りでございます」と。「いま行われている交渉については,どうなるかは答弁は差し控えたい」ということを申し上げたわけでございまして,明らかなる誤報でございます。ロイター通信は誤報の訂正を是非していただきたいと思います。

(4)2018年の日韓間の人的往来

【河野外務大臣】もう一つ,2018年の日韓の人的往来が,訪韓日本人および訪日韓国人ともに増えた結果,合計して1,000万人を超えました。日韓関係,きわめて厳しい状況にありますが,そんな中でもこの両国間の人的交流が,さらに活発化したということを歓迎したいと思います。日韓両国の相互理解のためには,この人的交流はきわめて重要でありまして,今後ともしっかり続けていただきたいと思っております。
 韓国から日本を訪れる方が714万人から754万人と5%増え,訪韓される日本人は231万人から295万人と28%増えました。たしかにいま,日韓両国,厳しい状況ではありますけれども,それにもかかわらずこれだけ多くの方がさらに両国を訪問しようというふうに思って,実際訪問してくださったことは,大変うれしいことだと思います。地方自治体,あるいは様々な団体の人的交流に関しては,政府間いろいろございますけれども,しっかりと続けていただきたいというふうに思います。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【共同通信 福田記者】日韓関係について伺います。韓国人労働者問題なのですが,日本政府が求めた政府間協議ですけれども,韓国から未だ回答が来ていない,この現状についての受け止めと,それと次のステップである仲裁委員会の設置の申し入れ,この時期はどのようにお考えなのか教えてください。

【河野外務大臣】韓国側が粛々と協議に臨まれるというふうに思っております。

【共同通信 福田記者】仲裁委員会については。

【河野外務大臣】韓国側が協議に臨まれると思っています。

平成31年北方領土返還要求全国大会

【読売新聞 梁田記者】日露の平和条約及び北方領土問題の関係で2点伺います。昨日,大臣,北方領土の返還要求大会でスピーチなさってましたけれども,その中で昨年は使ってらした,「北方領土は日本の固有の領土である」という表現をお使いになりませんでした。そういう判断をなさった理由について伺いたいのが一点。
 もう一点が同じスピーチの中で,日本国民の総意を持って外交交渉を進めていくことが必要だというようなご趣旨の発言があったと思うんですけれども,実際,壇上にいらっしゃった地元の方たちからもそういったご発言がありましたが,一方で,現在交渉に悪影響を与える可能性があるため発言をさし控えるということが続いていて,そういった中でどうやって日本の世論,総意というのを国民から作っていこうというふうにお考えなんでしょうか。あるいは,いつの時点になったらきちんと話せる時が来るんでしょうか。

【河野外務大臣】このスピーチは毎年同じ文言を繰り返しているわけではございませんから,当然に年によって,発言の内容は違うと思います。
 その言葉(固有の領土)をたぶん使っているスピーチの方が少ないんではないかと思います。それは調べていただきたいと思います。いま,平和条約締結に向けての交渉を行っておりますので,これは両国が受け入れられる合意を作り,両国の国会のご承認をいただくというプロセスがございます。合意ができれば,合意の内容についてこれはもうしっかりと国会内外でご説明を申し上げるというのは,これは当然のことだと思っております。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【朝日新聞 清宮記者】冒頭の質問の関連に戻るんですけれども,日韓請求権協定に基づく協議について,大臣は以前から韓国側が応じるものと思っているとおっしゃられていますが,30日たっても反応がない中で,実際,協議に応じない場合には,仲裁委員会の設置に行かざるを得ないと思うんですが,応じない場合についてどう考えられているのかについてお願いします。あとまた,応じるようにどのように韓国側に働きかけられているんでしょうか。

【河野外務大臣】韓国側が協議を受け入れて,協議に臨まれると思っておりますので,ご心配いらないと思います。

米朝関係

【ハンデルスブラット紙 コーリング記者】
(以下は英語にて発言)

 今日,元外交官の藪中氏がフォーリン・プレス・センターで,米朝首脳会談についての懸念についてお話されました。特に,米朝首脳が生煮えの妥協に至り,北朝鮮のCVIDに至らず,対北朝鮮経済制裁に関して,あるいはさらなる外交的妥協がなされるのではないかと懸念されていました。大臣は,来る米朝首脳会談についてどのような立場でしょうか。また,米国はどのような立場をとるべきだとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】
(以下は英語にて発言)

 日米は,北朝鮮が全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDを実現する必要があるとの考えで一致しています。今までと何も変わっていません。

外務省ホームページにおける「北方領土」についての記載

【時事通信 越後記者】北方領土問題に戻るんですけれども,以前にも質問が出ていた話ではあるんですが,外務省のホームページには「北方領土は一度も他国の領土になったことがない固有の領土である」とか,「ソ連・ロシアに不法占拠されている」という文言が載っている状況なんですけれども,総理や大臣が国会でこの表現を使わなくなった中で,こういうふうにホームページに載っているというのは,国民の混乱を招く可能性があると思うんですけれども,この表現はこのまま載せたままにされるんでしょうか。

【河野外務大臣】政府の法的立場は変わりません。

日露外相会談

【産経新聞 力武記者】日露の平和条約交渉についてお聞きしたいんですけれども,交渉責任者として2回目の会談が来週ミュンヘンで調整されていると思いますけれども,1回目の外相会談,それから首脳会談を経て,それらを踏まえて今度の,来週の会談ではどのような成果を得たいとお考えかということをお聞かせください。

【河野外務大臣】交渉の内容について申し上げるのは差し控えたいと思います。

米朝関係

【NHK 奥住記者】米朝の関連に戻ります。先ほど英語で質問があったんですけれども,会談に期待することを改めて日本語でお願いしたいのと,今日,金杉局長がソウルに出発されますけれども,どういった指示を出されているか。また,併せて先日の,一昨日の参議院予算委員会で,大臣,場所どこになるかわからないけれども,できれば事前にしっかりすり合わせをしたいと答弁されて,アメリカとの外相会談について触れましたけれども,その調整状況を教えてください。

【河野外務大臣】北朝鮮が核とミサイルのCVIDに向けてですね,しっかりとした約束をするということを期待したいと思っております。これは日米の間で様々やりとりをしておりますので,これは日米共通のポジションと思っていただいてよろしいと思います。
 米朝会談の前にでも外相会談を行いたいというふうに思っております。これはまだ調整中でございます。