冒頭発言

(1)日EU・EPAの発効及び日EU・SPAの適用開始

【河野外務大臣】今日,日本とEUのEPAが発効いたしました。またSPAの一部が適用開始ということになりました。様々,保護主義的な動きが世界の中である,起きているなかで,こうしたGDPの3割,世界の貿易の4割という自由貿易圏,大きな先進経済圏が誕生したというのは,日本とEUがともに自由貿易を推進していこう,政治的な意思を明確に出すということで,日本とEUのみならず世界的に大きな影響を与えることができるのではないかと思っておりますし,SPAは基本的な価値を共有するEUならびにこのEUの加盟国との間で,戦略的な関係をこれから築いていくということに資することになるだろうと期待をしております。日本とEUの関係を着実に進めていきたいと思っております。

(2)2019年度JPO派遣候補者選考試験の応募受付開始

【河野外務大臣】それからもう一つは外交演説の中でも触れましたが,国際機関で働くことを希望する日本人を支援するために,35歳以下の日本人を国際機関に派遣するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)の派遣制度というものを実施してきておりますが,本日2月1日から次回の選考試験の応募の受付を開始いたしました。国際公務員としてよりよい世界を作っていくという熱意にあふれた若者をお待ちしております。応募の締め切りは3月4日ですけれども,2月28日までにオンラインで別途事前登録していただく必要がございます。このJPOは35歳以下,修士号および2年以上の職務経験,英語,将来にわたり国際機関で働く意思があること,それから日本国籍を持っていることというのが応募の条件になっておりまして,詳細は外務省の中に国際機関人事センターというウェブサイトを作って掲載をしておりますので,是非ふるって応募していただきたいと思っております。

INF条約

【NHK 奥住記者】INF条約について伺います。アメリカとロシアの間で協議が行われましたけれども,隔たりは埋まらずに,条約の破棄通告を発表する見通しというのも報道されています。こうした現状をどういうふうに見ているか,また,破棄通告が出された場合に,日本としてアメリカの判断を支持するのか,あるいはどういった対応をとられるのか教えてください。

【河野外務大臣】このINF条約が果たしてきた役割は非常に大きいと思っておりまして,アメリカがこの条約の義務を停止すると表明するに至った状況は,あるいは問題意識は理解しますが,条約が終了せざるを得ない状況というのは,世界的に望ましいものではないと思います。
 今後,日本としては米露だけではなく,中国などを含む関係国としっかりとやりとりをしながら,この国際的な軍縮に資するような枠組みをしっかりと作っていくことに貢献をしていきたいと思っております。

メルケル首相の訪日を含む日独関係

【ハンデルスブラット コーリング記者】
(以下は英語にて発言)

 メルケル首相の訪日について伺います。大臣は以前ハンデルスブラット紙に,確か寄稿だったと思いますが,寄稿いただいたこともあり,ドイツについてよくご存知だと思いますが,今回のメルケル首相の訪日には,どのような具体的な意義があるとお考えでしょうか。また,どのような成果を期待されますか。

【河野外務大臣】
(以下は英語にて発言)

 ご質問ありがとうございます。このような質問を頂けるとは思いませんでしたが,メルケル首相の訪日は,日EU・EPAが発効して以来,初のEU加盟国からのハイレベル訪問となります。二国間の戦略的パートナーシップをいかに高めるかが主要議題の一つになると思いますし,また,人工知能等を含む先端技術の分野でどのような協力ができるかも議題になると思います。他方,私が特に関心を持っているのは,自由で開かれたインド太平洋の促進においてドイツがどのような役割を果たせるかという点です。ドイツはこの構想に参加したいとの関心を持っていると承知しておりますが,我々は地域の国々と緊密に協力しこの構想を推進している中にあり,ドイツと本件について議論できることを非常に楽しみにしています。

INF条約

【朝日新聞 清宮記者】2点お伺いしたいのですが。1点目は最初の質問の関連で,INF条約の離脱について,大臣が米国が表明するに至った状況や問題意識は理解するとおっしゃったのですが,これはアメリカが言うロシアの条約義務違反や中国のミサイル開発を指すのでしょうか。また中国を含め日本を含め,東アジアへの安全保障環境への影響をどう考えますでしょうか。

【河野外務大臣】INF条約にどの国が違反をしているかどうかというのは,我が国はINF条約に加盟しているわけではありません,締結しているわけではありませんから,差し控えたいと思いますが,さまざまな技術開発が行われている中で,やはりこういう軍縮を,軍縮に大きな貢献をしてきたこのINF条約が次の段階でどういうものであるべきかという議論はですね,これは盛んにしていかなければいけないと思いますので,特にアジアあるいはヨーロッパで,そうした議論が活発に行われることになろうかと思いますが,日本としても次を見据えた議論というものにしっかり関わっていきたいというふうに思います。

ベネズエラ情勢

【朝日新聞 清宮記者】もう1点なのですが,ベネズエラ情勢について,イギリス,フランスなどは,今週末を目処として再選挙の決定をしないと国会議長の方を承認すると表明していますが,日本はそれに歩調を合わせる考えはありますか。あるいは,もっと状況を見守るお考えでしょうか。

【河野外務大臣】状況を見守るという観点から言えば,駐在員あるいはその他の短中長期的にベネズエラにいらっしゃる日本人の方の多くは既に退去された,あるいはその準備をされているというふうに認識をしておりますが,引き続き,ベネズエラ国内にいらっしゃる邦人の保護に関しては,万全の体制をとりたいと思っております。
 その中で,我々はベネズエラにおける,大統領選挙が憲法に則ってしっかりと行われたかどうかに関する説明責任が果たされることなく,就任式が強行されたことは大きな問題だというふうに思っておりまして,さらにこのベネズエラから200万人を超えるベネズエラ国民が周辺国に逃れなければならないような状況は,極めて問題だと思っております。先般も申し上げましたが,このベネズエラ国民を受け入れている周辺国に対して,日本としてはできることをしっかりとやりながら,関係諸国とこのベネズエラの問題についてどう対応していくか,連携をしていきたいと思っております。我々としては,憲法に則った民主主義が一日も早く回復されることが大切だと思っております。

英国のEU離脱

【フリーランス ハースト記者】
(以下は英語にて発言)

 英国のEU離脱について伺います。日本政府はこれまで一貫して離脱プロセスにおける予見可能性と確実性を求めてきました。しかし,離脱協定案は英国議会において否決され,英国政府は再交渉を求めているような状況にあります。ここで2つ質問があるのですが,合意なき離脱への懸念はどの程度高まっているでしょうか。また,安定性と予見可能性を確保すべく,大臣と日本外務省は今何をされているのでしょうか。

【河野外務大臣】
(以下は英語にて発言)

 日本政府はこれまで英国政府に対して,EU離脱をするにせよ,しないにせよ,法的安定性と予見可能性の確保を求めてきました。特に,安倍総理からメイ首相に対して,英国に進出する日本企業に壊滅的な影響を与え得るとして,合意なき離脱は回避すべきだとお伝えしたところです。我々は,合意なき離脱の可能性を非常に懸念しており,それは英国に進出する日本企業に大きな負の影響をもたらし得ると考えています。日本政府は,英国のEU離脱もしくは合意なき離脱に直面する日本企業を支援すべく,官邸に関係省庁を集めたタスクフォースを設置しています。また,在英日本大使館主催の日本企業向け説明会を開催する予定です。英国政府と英国民が,合意なき離脱を回避することの重要性を理解して頂くことを強く望んでいます。

アジア大洋州・国際機関大使会議

【毎日新聞 秋山記者】今週,アジア大洋州地域と国連機関の大使を集めた大使会議が開かれたと思うのですけれども,特に国際機関に関して,去年も同様の会議がありましたけれども,今後,日本政府として国際機関を通じてどういった活動に重きを置いて,どういった観点で活動を充実させていくべきかという点を,どういった議論があったか,大臣からどういった指示をされたか,教えていただけますか。

【河野外務大臣】国際機関に関して言えば,この大使会議で何をどう議論するかというのは申し上げるわけにはいきませんが,各国際機関に対して,日本人の職員数ならびに幹部の数を増やしてくださいというお願いはしてございます。かなり直接的に任意の拠出金と日本人職員数,幹部の数をリンクさせてまいりましたので,その方針は続けていくということは申し上げているところでございます。
 他方,UNRWAのように,アメリカが離脱して大変大きな資金ギャップが出てきてしまったようなところについては,短期的には対応できる限りのことはいたしましたし,中期的にどうするかという議論はこれからもしなければならないと思いますので,一つ一つの国際機関について少し精緻に見ていきたいというふうに思っているところであります。