2019年1月25日

経済産業省は、11月23日に、欧州委員会成長総局(DG GROW)と共同で「日 EU CSR ワーキンググループ」を開催し、CSR分野での日EU間の協力について議論しました。この度、議論の内容と成果をまとめたサマリーを作成しましたので、公表します。

1.日EU CSR ワーキンググループとは

企業活動がグローバル化する中、CSR政策1において、国際的な協力関係の構築や相互理解の向上が不可欠となっています。こうした問題意識のもと、日本とEUは、2013年1月の第16回「日EU産業政策対話」2においてCSR ワーキンググループの設置に合意し、同年10月に同ワーキンググループを正式発足させました。国連における持続可能な開発目標(SDGs)の設定やラギー・フレームワーク3の承認など、企業のCSRをめぐる環境はグローバルに変わりつつある中で、その変化を踏まえた対話が行われています。

開催実績は以下のとおりです。

第1回:2014年7月(ブリュッセル)
第2回:2015年11月(東京)
第3回:2016年11月(ブリュッセル)
第4回:2017年11月(東京)
第5回:2018年11月(ブリュッセル)

なお、CSR政策の発展のためには、政府間のみならず日欧のビジネス間における情報交換・協力も不可欠であるという観点から、第3回WG以降は、日欧のビジネス間におけるセッションも開催されています。

1CSR:Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略。
2日EU産業政策対話:1993年1月、森通商産業大臣(当時)とバンゲマン欧州委員会副委員長(当時)との間で、日EU間の産業協力等を議論することを目的として開催に合意。1993年の第1回(於:ブラッセル)以降、日本と欧州の交互で開催。
3ラギー・フレームワーク:2011年に国連人権理事会において承認された「ビジネスと人権に関する国連指導原則」。この枠組みを作り上げた国連事務総長特別代表ジョン・ラギーの名から「ラギー・フレームワーク」と呼ばれている。

2.第5回ワーキンググループ開催概要(詳細は別紙(英語)をご覧ください)

(1)出席者とアジェンダについて

政府セッションは、経済産業省と成長総局に加え、金融総局(DG FISMA)、貿易総局(DG TRADE)や駐日欧州連合代表部が参加しました。また、関係機関からは、公益社団法人企業市民協議会(CBCC)、Japan Business Council in Europe(JBCE)、一般財団法人企業活力研究所(BPF)、ジェトロ・アジア経済研究所、CSR Europe、Business Europe、AMFORI、Orgalime)が出席しました。また、同セッションは、午前中のビジネスセッションへの参加者のうち希望者は全て参加可能な形で行われました。

発表テーマは、以下のとおりです。

<日本政府の発表テーマ>

  • 日本のCSR政策の進展について

  • 日本における非財務情報開示の進展について

  • 価値協創ガイダンス策定後の取組について

  • ビジネスと人権について(国別行動計画の策定状況、CSR研究会における議論等)

  • 持続可能な開発目標(SDGs)の推進に関する取組について

  • TCFD研究会について 等

<欧州委員会の発表テーマ>

  • EUのCSR政策の進展について(発表予定の新しいCSR政策)

  • 非財務情報開示指令の進展について

  • 貿易政策の観点から見た責任あるサプライチェーンについて

  • バリューチェーンにおける持続可能な原材料の調達について

<ビジネスサイドの発表テーマ>

  • 日本におけるCSRの発展について

  • 新興国におけるビジネスと人権について

  • 日本政府、欧州委員会へのCSR政策に関する提言について

(2)合意事項

本WGを通じて、経済産業省と欧州委員会成長総局は以下の分野において協力していくことで合意しました。

  1. サプライチェーンにおけるCSRに関する意識啓発を共同で行うことが次のステップであり、例えば、第3国においてサプライチェーンに焦点を当てたセミナーを共同開催し、共同のプロジェクトを実施するに当たり、適切なコーディネーターを選定することが考えられること。

  2. 2019年に開催予定の本WGでは、貿易政策の観点からのCSRがテーマとなることを踏まえ、例えば、電気電子分野や原材料など、個別の分野における新たな日欧の協力の方向性を検討すること。

関連資料

担当

経済産業政策局 企業会計室 松本
担当者:中野、村山
電 話:03-3501-1511(内線 2545)
          03-3501-1570(直通)