平成31年1月18日(金曜日)
11時25分~11時39分
於:記者会見室

冒頭発言

ロシア・スイス出張

おはようございます。
まず、冒頭、私から1点申し上げます。
1月20日から26日まで、ロシアとスイスを訪問いたします。
ロシアでは、ロシア経済分野協力担当大臣として、モスクワで予定をされております安倍総理とプーチン大統領との日露首脳会談への同席や、ロシア経済関係閣僚等との会談を予定しております。
スイスでは、世界経済フォーラム年次総会に出席をして、世界の経済成長に貢献するための日本の取組について発信をする予定であります。
また、WTOに関連して、カナダ主催WTO改革に係る夕食会及び、これは私も共同議長を務めておりますが、電子商取引有志国朝食会への出席を予定しているところであります。
私からは以上です。

質疑応答

英国のEU離脱

Q:英国議会はEU離脱案を否決し、「合意なき離脱」のリスクも高まっています。受け止めをお願いします。

A:まず、仮にイギリスとEUの間で取り決めなしに英国がEUを離脱する、いわゆる「No─Deal」の場合には、日本企業の活動に対する影響は極めて甚大だというふうに認識をしております。このような事態は回避しなければならないと考えています。
政府としては、引き続き英国のEU離脱をめぐる状況を注視しながら、日本企業に与える影響を最小化するため、日本企業への迅速な情報提供ですとか、英国及びEUに対する働きかけ等、必要な対応を採ってまいりたいというふうに思っています。

日立の英国原発建設計画

Q:日立のイギリスへの原発輸出が凍結になったと昨日発表したわけですけれども、大臣の受け止めをお願いします。

A:これまで日立は、英国の原発建設プロジェクトの成功に向けて、英国政府と真摯に協議を重ねてきたというふうに認識をしています。しかし、資金調達モデルですとか、あるいは原子力発電所の建設・運営に関する諸条件について英国政府との合意に至るには、更に時間を要すると判断をされて、昨日、プロジェクトの凍結を決定したものというふうに認識しています。
日立は、今後とも英国のエネルギー政策に貢献すべく、このプロジェクトを含め、原子力発電システムに関する英国政府との協議を継続していく意向というふうに伺っております。
いずれにしても、英国は日本にとって長年にわたってエネルギー政策における重要なパートナーでありまして、今後も協力を深めていきたいというふうに思っています。
また、日本政府としては、将来にわたって責任あるエネルギー政策を進めていく上において、原子力を含め、あらゆる選択肢・可能性を追求していくことが必要であり、この点は既にエネルギー基本計画、閣議決定もされているわけであります。それを実行していくための人材・技術・産業基盤をどのように維持・強化していくかということについては、国としても今後、考えていく必要があるというふうに思っています。

Q:イギリス政府は昨日、原子力の高いコストやリスクにさらされることは我々にとって正しくないというふうに言っているわけですけれども、もう今や、原発輸出というのは時代遅れではないかと、再生可能エネルギーの方がコストが安くて安全だという考えがあると思うんですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

A:まず、この事業費に関しては、国によっていろいろな状況があるというふうに思っています。特に海外で原発を建設する上でのプロジェクトで、コストが高くなる要因を挙げるとすれば、3つほどあると思っていまして、まず1つは、やはり原発建設の経験を有する人材が少ない。これは必ずしも電力事業者とかメーカーだけではなくて、建設会社も含めて、そういった経験を持っている人材が少ないことによって、1つ1つの工程に時間が掛かって労務費が余計に掛かるという面があるかと思います。
2つ目には、予定どおりに工事が完了しない場合に備えて、工程の遅延リスクを見込んだ追加費用が掛かるという点があろうかと思います。
3点目は、その他個別事情で、規制当局からの許認可を得る際の手数料ですとか、あるいは土地造成費用などの違いがあるのではないか。
こういった要因が各国によって、それぞれいろいろな形で出てくる国、出てこない国があるのだろうというふうに思っています。
こういった状況は、国や事業環境によって異なるものでありまして、原発のプロジェクトが一概に高いというものではないというふうに思っています。
現に、今世界の各国を見ても、現在、原発を利用中で引き続き利用するという意向を持っている国、あるいは現在、原発は利用していないけれども、今後利用したいと思っている国が、これがマジョリティーであります。こういった状況の中で引き続き、福島第一原発事故を経験した日本の原発の安全に関する技術が、世界に貢献していける可能性はあるというふうに思っています。

日産・ルノーのアライアンス

Q:ルノーの代表団が来日されまして、日産のみならず、日本政府関係者との意見交換をされたようなんですが、大臣を含めて経産省の方で対応されたのでしょうか。
もし、お会いになるのなら、今後のアライアンスについて言及があったのかどうか、どのような内容となったのか教えてください。

A:これは外交交渉に属することでありますので、面談の実施の有無も含めてコメントは控えさせていただきたいというふうに思います。
いずれにせよ、日産・ルノーのアライアンスの問題については、安定的に継続されることが重要であり、アライアンスの今後の在り方については関係者が納得する形で進むことが重要だというふうに思っています。

日立の英国原発建設計画

Q:さっきの日立の原発についての関係で、海外の原発輸出が頓挫したことで日本の技術、あるいは人材の育成などについて、かなり壁にぶち当たってきている現状だと思います。こうしたものを対応していくために、どういった方策を今後考えていかれるのかお考えを教えてください。

A:先ほど申し上げましたように、閣議決定されたエネルギー基本計画では、原子力を含めたあらゆる可能性・選択肢を追求していくということになっているわけであります。そのための人材ですとか、技術ですとか、産業基盤をどのように維持・強化していくか。あるいは現状の原発を運転する、あるいは廃炉する、あるいは1Fの廃炉をしっかり進めていくという面でも原子力技術は極めて重要なわけでありまして、こういった技術をどういう形で国として保持をしていくかということについては、しっかり考えていきたいというふうに思っています。

Q:今のところ、具体的な協議会をつくるとか、何かお考えとかはありますでしょうか。

A:今のところ、具体的にはありません。

Q:昨日の英国のプロジェクト凍結に関して、東原社長が、こういう状況になった場合、まさに大臣も御指摘されたように、人材とか技術が枯渇するということを懸念して、今後3社、つまり三菱重工ですとか東芝ですとかと原子力事業の統合については、そういう機会があれば考えていきたいんだということを明確におっしゃっていました。
それは技術・人材の枯渇が非常に懸念されるというところなわけなんですが、そういう状況においては、国としてはそれを支援するとか、もしくは牽引するとか、何かしらの意向が考えられるところがおありであれば、お伺いしたいんですが。

A:昨日の東原社長の会見の中では、東原社長御自身は、メーカー統合については何も決まった事実はないというふうにおっしゃったというふうに認識をしております。その上で一般論として申し上げれば、事業再編については各企業の経営陣が経営環境を踏まえて、その責任において判断すべきものだというふうに考えています。

Q:国としては、何かしらお考えのところは。

A:これは民間企業の事業でありますので、基本的には民間企業の判断だというふうに思っています。

Q:今の原発輸出の件で、エネルギー基本計画を策定した後、今回、こういう日立の件があった。まあ、重工のトルコの件も、かなり撤退に向けたという報道も出ていますが、それでも、今、原発輸出というのが日本の成長戦略になり得ると大臣はお考えなのかということをまずお伺いしたい。

A:まず、トルコについては何ら決まったことはないということを申し上げた上で、原発輸出については、やはり日本の原子力技術に対する期待など、相手国の意向も踏まえて安全最優先を前提として、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応にしっかりと責任を果たしていく。この方針には変更はございません。

Q:事業者が手を挙げなくなって、いわゆるもっと政府からの支援などを求められる可能性もあると思うんですけれども、その点はどうですか。

A:基本的には、これは事業者が判断すべきことだというふうに思っております。

Q:一方で、昨日東原社長も言っていましたし、経団連の中西会長もおっしゃっていましたけれども、国内の原発の再稼働をどんどんやるべきだというふうに中西会長などはおっしゃっています。かなり今、国内、震災後、特に東日本では1台も動いていない状態が8年続いている状況になっていますけれども、再稼働に向けた、いわゆる公開の協議をという話を中西さんがされていましたけれども、その予定というのは今、現状どうなんでしょうか。

A:いずれにしても、この再稼働というのは、我々はあくまでも安全最優先で規制委員会の判断に従って行うべきものだというふうに考えています。ただ、当然再稼働を進めていくに当たっては国民の理解も必要でありますし、地元の理解も必要でありますので、そのための必要な取組はしっかりと行っていかなければいけないと思っています。

Q:中西さんは会見の中で、いわゆる原発の真っ正面の議論が足りないのではないかというふうに会見でおっしゃっていまして、その理由として、原発の話をすると選挙に落ちるからというふうな理由を話していました。大臣として、この点をどうお考えなのかということと、まあ、今年参院選もありますけれども、そういう議論を今年、今年度中に始めるお考えはあるかどうか。

A:これは別に選挙ありなしとは関係なく、基本的には再稼働というのはエネルギー基本計画に沿って、そしてこれは規制委員会の安全上の判断、安全最優先で進めていくべきものだというふうに思っています。そして、その過程において国民の理解、あるいは立地地域の理解をしっかり得るということも重要だというふうに思っています。

Q:ホライズンの件で、原子力産業界としては、かなりホライズンに人材とか技術の維持で期待をかけていた部分があると思うんですけれども、今回、こういう凍結という事態になったことで、産業界、あるいは原子力政策に与える影響をどのようにお考えなんでしょうか。

A:まず、今回はあくまでも凍結ということであります。いろいろな条件がなかなか折り合わなかったという点があるのだというふうに思っています。
ただ、一方でイギリスは、やはり地球、気候変動対応の上で原発を利活用していくという大きな方針には変更はないのだろうというふうに思っています。
さらに、先ほども申し上げたように、世界全体を見れば、現在原発利用中で、今後も使っていきたいという国、あるいは使っていないけれども、今後新たに使いたいという国が基本的には多数でありますから、そういった中でまだまだ今後、いろいろな展開の可能性があるのではないかというふうに思っています。

柳瀬元経済産業審議官

Q:すみません、経産省の審議官だった柳瀬さんがシャープと東芝に出資した会社の社外取締役に就任されていますけれども、経産省と東芝の歴史というのを考えると、この就任というのは一般の感覚からすると天下りではないのかというふうに捉えられても仕方ない面があるんじゃないかと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

A:退職した国家公務員の再就職については、これは国家公務員法で規定がありまして、まず本人が在職中に利害関係企業への求職活動をする、このことが禁止をされています。あるいは退職後も含めて、その省庁があっせんをするということも禁止をされています。今回の事案は、全くそういったことには当たらないのではないかというふうに思っています。
離職後、御本人が個人で求職活動されることについては、規定はないわけでありまして、柳瀬さんの再就職についても国家公務員法に基づいて適正に行われたのではないかと推察いたします。

Q:柳瀬さんは顧問ではないかと思うんですけれども。

A:無給でありますので。退職をされています。顧問ではありますけれども、無給で顧問をしていただいているわけであります。

以上

最終更新日:2019年1月18日