(H31.1.11(金)12:03 ~ 12:25 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
まず最初に私の方からお話をいたします。毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたこと及び雇用保険制度等における追加給付についてであります。毎月勤労統計調査について、全数調査するとしていたところを、平成16年から一部抽出調査で行っていたこと等の件について、申し上げます。政策立案や学術研究、経営判断等の礎として、常に正確性が求められる政府統計について、こうした事態をひき起こしたことは極めて遺憾であり、国民の皆様にご迷惑をおかけしたことを心からお詫び申し上げます。今後、今般の事案の原因を明らかにするとともに、厚生労働省として統計に関する姿勢をただし、同時に、国民の皆様に対して必要な追加給付を行うなど、しっかりと取り組んで行く決意であります。毎月勤労統計調査は、雇用、給与及び労働時間の変動を、毎月明らかにすることを目的とし、調査対象事業所を厚生労働省が抽出し、都道府県への通知により指定し、調査しているものであります。まず、確認された事実の内容ですが、東京都の「500人以上規模の事業所」について、全数調査するとしていたところ、平成16年以降、厚生労働省から東京都に対し、厚生労働省が抽出した事業所名簿を送付し、当該名簿に基づき抽出調査を行っていること、また、平成29年までの間、抽出調査が行われていた東京都の分について、抽出調査であれば統計的処理として復元しなければならないところが行われていなかったこと等が確認されました。その結果、平成16年から29年までの「きまって支給する給与」等の金額が低めになっているという影響がありました。今後の対応といたしましては、必要なデータ等が存在する平成24年以降について、復元を行い、「再集計値」として公表します。また、必要な追加給付を行うため、「きまって支給する給与」について、毎月勤労統計調査を基礎として加工した、「給付のための推計値」を公表します。毎月勤労統計調査については、正確性・継続性に留意しつつ、今後、早急に適正な取扱いとなるようにいたします。また、これまでの調査は事実の把握等を優先に行ってきましたが、さらに、動機・目的・職員の認識等に力点をおいた調査を続け、その結果を踏まえ、こういった事態を二度と起こさないよう徹底した再発防止策を講じることといたします。次に、雇用保険、労災保険、船員保険における追加給付についてご説明いたします。雇用保険、労災保険、船員保険の追加給付についてですが、毎月勤労統計調査の平均給与額の変動を基礎としてスライド率等を算定しているこれらの制度等における給付額に影響が生じています。このため、平成16年以降に雇用保険、労災保険、船員保険の給付を受給した方の一部及び雇用調整助成金など事業主向け助成金を受けた事業主の一部に対し、追加給付が必要となりました。厚生労働省としては、国民の皆様に不利益が生じることのないよう、平成16年以降追加給付が必要となる時期に遡って追加給付を実施することといたします。関係のコンピュータシステムの改修や住所等の確認など正確な支給のための最低限の準備を経て、対象者の特定、給付額の計算が可能なケースから、できる限り速やかに順次追加給付を開始することを予定しています。また、本日、専用の問い合わせ専用ダイヤルを開設するなど、国民の皆様からのご照会・ご相談にきめ細かく対応してまいります。詳細は後ほど事務方より説明させます。私の方からは、以上です。

質疑

記者:
2問質問させてください。平成16年以降厚生労働省から都に対して抽出した名簿を送って抽出調査をしていたということなのですけれども、この平成16年度のきっかけについて具体的なことを教えていただけますでしょうか。
大臣:
16年度のきっかけというと。
記者:
確認された事実というところで、500人以上規模の事業所については全数調査するとしていたところ平成16年以降、この平成16年というのは何か、例えば都から依頼があったとか何かきっかけはありますでしょうか。
大臣:
平成16年において、東京都の500人以上規模の事業所の抽出調査が行われ始めたところであります。当時の事務取扱要領では規模500人以上事業所は東京都に集中しており、全数調査にしなくても精度が確保できるためと書かれており、当時はそういう判断が行われたことがうかがえます。一方、集計プログラムについては何らかの原因で集計プログラムの変更がなされなかったものであります。
記者:
もう1問お伺いします。平成16年から抽出調査が行われていて、去年1月以降データの復元も行われていましたけれども、この間に一部全数調査にするということはされずに、また公表もされなかったことについて教えてください。
大臣:
平成30年においては調査手法としてローテーションサンプリングを導入しました。この方式は一年毎に抽出率の変更が行われる可能性があるため、それに対応するため抽出率の変更に対応したプログラムに変更したと聞いています。ご指摘の点については当時の担当者の認識を確認する必要があると考えており、聞き取りなどの調査を続けています。
記者:
2点お伺いします。まず昨年1月からデータの復元がされているのですけれども、いわゆる組織的な隠ぺいではなかったのかという指摘について大臣のお考えを聞きたいのと、もう一つが、今、根本大臣、1220日に報告を受けたというふうにおっしゃってましたが、大臣も含めた今後の責任、担当者の処分についてお聞かせください。
大臣:
組織的隠ぺいという今のご指摘の話ですが、私は今まで報告を受けている限り現段階で組織的隠ぺいがあったというような事実はないと思っています。その次の質問ですけれども、事実関係について詳細を把握するために保存資料やデータの収集や確認、現在担当している職員からの聞き取りなどを行い、一定の整理を行って今回公表しました。今後はこれまでに判明した事実関係を踏まえて過去にどのような認識のもとに、どのような対応を行ったかも含め従前の担当職員への聞き取りなども行い、さらに結果をまとめたいと思います。そのような調査の結果を踏まえて処分を含めて然るべき対応をしたいと思います。私の責任というお話ですが、大事なのは私は必要な調査をしっかりと進めるとともに、二度とこうした事態を起こすことがないよう再発防止策の取りまとめと同時に雇用保険等の追加給付について国民の皆様への情報提供や国民の皆様からのご相談、ご照会への対応に全力で取り組んでいきたいと思います。
記者:
不足分の給付の開始の時期なのですが、大臣のお考えとしてはいつごろまでにと考えているのでしょうか。
大臣:
先ほど私も申し上げましたが、いつから追加給付するのかということについてはシステム改修等の準備が整い次第できる限り速やかに開始したいと思います。その目途をできるだけ早く進めるとともに本日から国民の皆様からの相談に丁寧に対応したいと思っています。追加給付に必要な予算については必要な予算を計上する方向で財政当局と調整しており、予算面に置いて追加給付に支障が生じないよう万全の対応をしてまいりたいと思います。
記者:
来年度予算で全て支給する方針ということでしょうか。
大臣:
追加給付に必要な予算を計上する方向で今財政当局と調整をしております。予算面においても追加給付に支障が生じないよう万全の対応を期していきたいと思います。
記者:
今回延べ約2,000万人という広範囲に影響しているわけですけれども、過少給付のおそれがあるということが分かった時点で公表するべきでなかったかという指摘もありますが、その対応を含めて対応適切だったとお考えでしょうか。
大臣:
まず私が事務方から1220日に事実関係の一報を受けました。事実関係等については500人以上規模の事業所において全数調査とすべきところ、東京都において抽出調査を行っていたこと。抽出調査の結果について必要な統計的処理としての復元を行わずに集計していたこと。この事実が私に報告がありました。ですから、経緯などについて速やかに徹底的な調査を行うよう指示をいたしました。現在の調査は継続中でありますが、一定の事実の把握ができたため、公表すべきものと判断をいたしました。なお、事務方には引き続き徹底的な調査を行うよう改めて指示をいたしました。
記者:
今後の調査については動機や目的、職員の認識について調査を進めるということですが、調査の方法については厚労省内で調査していくのかどうかといつまでにこの結果をまとめる予定か教えてください。
大臣:
職員に対する聞き取りなどについては大臣官房人事課を中心に実施しています。また弁護士等の外部有識者にご参画いただいた監察チームを活用しながら調査を進める予定です。時期はできるだけ早くと思っておりますが、やはり目的、動機、そしてどういう認識だったのかとここに力点を置いて、調査をしっかりとしたいと思っております。
記者:
今回の問題では給与総額が低く出ていたことに加えて昨年1月以降に復元がされたことによって、給与の前年同月比較での上昇率というのが上振れしていた疑いが出ています。賃金というのは大臣ご存知のとおりアベノミクスの成否をうらなう大切な経済指標だと思うのですけれども、この統計の信頼性が大きく損なわれかねない事態になっているのですが、それについての大臣の認識をよろしくお願いいたします。
大臣:
当時の説明と今回の事案との関係、これは今精査中であります。そして当時の説明時における担当職員の認識などについても調査を続けています。今調査中であって当時の担当者の認識についても調査を続けています。
記者:
先ほどの質問についてお答えいただいてなかったのですが、統計の信頼性が損なわれかねないというか、まあもう損なわれていますが、そこに対しての大臣の認識とか、特に今回政府統計という極めて重要な分野での統計になるかと思うのですが、ここについての大臣のご認識をお願いいたします。
大臣:
政府統計というのは常に正確性が求められます。ですからこうした事態をひき起こしたことは極めて遺憾であって国民の皆様にご迷惑をおかけした。深くお詫びを申し上げます。そして今回の事案の原因を明らかにするとともに厚生労働省として統計に関する姿勢をしっかりと正して、そして原因を究明し、これからしっかりとした統計を改めて構築するように取り組んでいきたいと思います。
記者:
さっきの質問で確認したいのですが、調査については弁護士などを含む監察チームというのは既にあるものでしょうか。新たに作るのでしょうか。
大臣:
職員に対する聞き取りなどは大臣官房人事課を中心に実施しております。また弁護士などの外部有識者などにご参画いただいた監察チームを活用した調査を進める予定ですが、この時期はできるだけ早くしたいと思います。
記者:
それは今既にある監察チームにやってもらうということでよろしいですか。
大臣:
要は今の監察チームを活用しながら調査を進めていく。そして時期はできるだけ早く対応したいと思っております。
記者:
先ほど大臣、書類の方に全数調査の精度について書かれていたということを言われましたけれど、これはいったいどういった性格の書類というか文書になるのかというのが一点、あとその全数調査をしなくても精度が確保できること自体についてこれは大臣のどういう風に認識しているかということを教えてください。
大臣:
これは事務方から説明させたいと思います。あえてその意味は、一般的に統計の手法としては、毎勤統計は499人以下は抽出調査でやって、そしてそれを復元して母集団に復元するということをやっている。そして500人以上の事業所については、当時いろんな経緯があったのだろうと思いますが、これは全数調査をしている。今回抽出調査をしていたんで、もし抽出調査をしているということであれば、要は母集団に復元して、全数調査と同じような形にしなければいけなかったんだと私は思います。
記者:
あの厚労省としての認識として例えば去年にも神奈川とかに抽出調査にするということを申し出たというのがあるのですが、厚労省としてはこの検査はもし正しい手続きを取っていればおそらく全数でなくて抽出でも構わないと、もうその方が都道府県の方が例えば労力が大変なので、一部の都道府県は抽出調査でも構わないと考えているのかその辺の認識はいかがでしょうか。
大臣:
これは事務方に詳しくお聞きいただきたいと思います。
記者:
抽出調査に変更したのは2004年ということですけれども、この当時に省内どのレベルまでが把握されていたのか、それからもう一つ、また昨年1月から復元を始めたということで、そのタイミングではどのレベルまで把握されていたのか分かっていることを教えてください。
大臣:
今の二点とも調査中です。
記者:
厚労省のデータをめぐっては、昨年にも裁量労働制の労働時間の調査や年金の個人情報データの入力などデータのずさんな取扱いというのが明るみになりました。こういった事態には政府内からも批判の声が上がっていますけれども、こうした批判に対する大臣のご所見を伺いたいのと、あと厚生労働省として組織にどういう問題点があるのか、今後にどういう認識が求められるか教えてください。その二点教えてください。
大臣:
国民生活に密着に係る厚生労働行政においてデータの不適切な取扱いが続いていることは誠に遺憾です。国民の皆様に心からお詫びを申し上げますとともに、厚生労働省の職員には猛省を促したいと思います。私は大臣に就任して以来、厚生労働省の職員が行政のプロとしての誇りを胸にその持てる力を存分に発揮して欲しいと思っています。その際には常に国民の目線を忘れることなくその心に寄り添ってほしいと言ってまいりました。改めて省内にこのような意識を徹底して厚生労働省が国民の生活を将来に渡ってしっかり支えていけるよう、私のリーダーシップの下で全力で取り組んでいきたいと思います。二点目の話については現在どういう理由で起こったのかということは今調査中ですが、やはり私は組織として、しっかりとガバナンスを確保していくのが組織だと思います。
 
 
 

(了)