冒頭発言

【河野外務大臣】今日の11時頃から3時頃まで約4時間,ワーキングランチを含め,ラブロフ外相と会談を行いました。今日の協議は,シンガポール及びブエノスアイレスでの首脳会談の結果を受け,平和条約締結について第1回目の交渉となりました。平和条約問題について,時間をかけて議論するとともに,安倍総理の訪露に向けて準備を行いました。安倍総理の訪露の際の日露首脳会談は,1月22日午後に開催するということで一致をいたしました。
 平和条約の締結問題につきましては,協議の具体的内容をお伝えすることはできませんけれども,日露双方の具体的な考え方を議論した上で,真剣な協議を行いました。長年にわたり未解決の困難な問題ではありますけれども,この問題に自らの手で終止符を打つという両首脳の決意を踏まえた真剣な議論となりました。
 具体的には今後,森外務審議官とモルグロフ外務次官に頻繁に協議を行わせ,交渉責任者であります我々外相同士で,節目節目で議論の進捗を確認するということで一致をいたしました。早速,明日,森外審・モルグロフ外務次官が協議を行い,2月に予定されているミュンヘンの安保会議に両外相が出席をすることになれば,次回の会合をそこで行おうということで一致をいたしました。
 交渉の具体的内容についてお伝えできないというのは,申し上げたとおりでございますが,交渉の中で我々は領土問題を含め,日本側の考え方を明確に伝えました。ロシア側もロシア側の考え方を具体的に伝えてきました。真剣かつ率直なやりとりでありました。今日の議論についてはそれぞれが首脳に報告をするということであります。
 その他,経済については,先月私が議長を務めました日露の貿易経済政府間委員会でのやりとりを踏まえ,八項目の協力プランを含む経済分野での協力が着実に進展していくことを確認し,さらなる貿易投資拡大に向けた方策について議論をおこないました。
 また,国際場裏における連携についても議論を行い,今後も緊密に意思疎通をしていこうということで一致をいたしました。私の方からは以上です。

質疑応答

【記者】 先ほどラブロフ外相の記者会見が行われまして,北方領土についてはロシア側の主権を認めることが不可欠であるとの発言がありました。これに対して日本側は明確な反論はなかったという趣旨の話もしていますが,事実関係を教えてください。
【河野外務大臣】申し上げましたとおり,領土問題を含め,日本側は我々の主張を明確にロシア側に伝えました。協議の中で両方の意見が一致していないところももちろんありますが,それは今後の協議の中で双方が一致する部分というものを見つけていかなければならないと思います。ラブロフ外相が発言されたことにいちいちコメントはいたしませんが,日本側として,明確に全てのことについて日本側の主張をお伝えできたと思っております。

【記者】中身については言えないということなので,その上で恐縮ですが,ロシア側はかねてから在日米軍が展開されることに強い懸念を示しておりますけども,この点について日本側としてどのように理解を求めたのでしょうか。
【河野外務大臣】内容について対外的に公表しないということにしておりますので,お答えは差し控えます。

【記者】同じく恐縮ですが,元島民の財産権についての話はなさったのでしょうか。
【河野外務大臣】内容についてお答えはしないということでお許しをいただきたいと思います。

【記者】今回,第一回の交渉ということで大臣ご自身は,手応えといいますか,会談の雰囲気どのようにお感じになられましたか。
【河野外務大臣】もちろん双方の立場に隔たりがあるから,平和条約の締結が半世紀以上できていないわけでありますが,首脳同士が交渉を加速化していこうと明確な合意をした上で始まった交渉でありますので,立場に違いはあるものの,お互い主張をしっかり議論した,そういうことだと思いますし,明日の協議,総理の訪露,またミュンヘンでの外相会談というふうに,今後の日程についてはそれなりに絵を描くことができたというふうに思っております。

【記者】総理の訪露の日程について確認ですけれども,22日午後というのは現地時間でよろしいですか。
【河野外務大臣】22日午後,現地時間です。はい。

【記者】モスクワで。
【河野外務大臣】はい。

【記者】2月のミュンヘンで会うかもしれないということなんですけれども,その場合の主な議題というのはどういったことになるのでしょうか。
【河野外務大臣】今日の1回目の交渉の続きということになろうかと思います。

【記者】交渉の中身に関わる話なのかもしれませんが,歴史認識に関してラブロフ外相の発言に対して日本の立場を主張されたということは,北方四島は日本固有の領土であるということを維持しているということでよろしいのでしょうか。
【河野外務大臣】日本の主張を明確に協議の中でお伝えをいたしました。

【記者】ラブロフ外相は,「北方領土」という言葉も使うべきではないという考えを,先ほど記者会見の中で述べていますが,この点について大臣はどのようにお考えですか。
【河野外務大臣】日露両方で意見主張の違いは当然今の時点でありますが,双方が折り合える一致点というものをこれから交渉の中で見つけていきたいと思います。

【記者】来週の日露の首脳会談を見据えて,改めて今日,大臣としてはどのような成果を得られたと思われていますか。
【河野外務大臣】首脳の合意を受けて,しっかりと前へ進めていこうという手応えを感じたと言ってもいいかもしれません。