日時 平成30年10月16日(火曜日)9時27分~9時53分 於:本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)全国森林計画の策定について
  • (大臣から)米国向け食用生鮮殻付鶏卵の輸出解禁について
  • (大臣から)長崎県及び佐賀県への出張について
  • 消費増税について
  • 規制改革推進会議における農地中間管理事業及び農協改革の見直しについて
  • 靖国神社参拝について
  • 長崎県及び佐賀県への出張について
  • 日米物品貿易協定(TAG)に係る報道について
  • 世界食料デーについて
  • 平成30年産のコメの需給見通しについて
  • 米国向け食用生鮮殻付鶏卵の輸出解禁について
  • 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)について

 

大臣

  私の方から今日はですね、3点について報告をさせていただきたいと思います。まず1点目でありますけれども、「全国森林計画の策定について」でございます。本日の閣議におきまして、平成31年度から15年間を計画期間とする「全国森林計画」が閣議決定されました。全国森林計画は、森林法に基づきまして、5年ごとに策定するものでございまして、充実した森林資源の現況等を踏まえつつ、新たな計画期間に応じた全国の伐採、造林等の計画量をですね、定めたところでございます。なお、来年4月にスタートいたします森林経営管理制度を活用しながら、本計画を踏まえた適切な森林の整備及び保全の推進に努めてまいりたいと思っております。
  2点目でありますけれども、米国向けの食用生鮮殻付鶏卵、生卵でありますけれども、この輸出について、農林水産省が米国当局との技術協議を重ねてまいりましたけれども、この結果、本日より輸出が解禁されるということになりました。米国に食用生鮮殻付鶏卵、生卵が初めて輸出できることとなり、今後、輸出量が増えていくことを期待をいたしております。詳細は、この後、プレスリリースいたします。
  3点目でありますけれども、明後日、長崎県及び佐賀県へ出張をいたします。諫早湾干拓地及び有明海の現場を拝見いたしますとともに、両県知事を始めとする地元関係者の方々、開門請求訴訟原告の方々ともお会いをして、直接お話をお伺いをいたしたいと考えております。出張の詳細につきましては、この後にプレスリリースいたします。私からは以上でございます。

記者

  2点質問なんですけれども、1点目は昨日の臨時閣議でですね、総理から来年10月の消費増税に向けてのですね、対応、対策の指示があったかと思うんですけれども、農林水産省の所管のところでは、どういった対応をお考えでしょうか。

大臣

  消費増税に関しましてでありますけれども、ご承知の通り、来年の10月には、8%から10%に引き上げられることに伴いまして、飲食料品等に対する軽減税率制度が実施されるということにもなっております。農林水産省といたしましては、まずは、農林漁業者・食品事業者等に制度が適切に理解され、制度が円滑に実施されますよう業界団体への説明会の開催、更には2点目でありますけれども、農業者や食品の業種ですね、卸・仲卸、食品・加工製造、小売、外食等々、向けのわかりやすい広報資料の作成もいたしたいと思っております。3つ目ですが、業界団体を通じた関係資料の配布や業界団体の広報紙等への掲載も考えております。更に4点目ですが、本省及び地方農政局における相談窓口の設置などに取り組んできたところでありまするけれども、引き続き、農林漁業者・食品事業者等の準備が円滑に進むよう取り組んでまいりたいと存じております。

記者

  各事業者の個別の対応とかですね、どういうふうに価格に転嫁していくとか、いろいろあろうかと思うんですが、大臣の方で何か課題として、重視されているところとかありますでしょうか。

大臣

  システム改修の準備だと思うんですね。軽減税率が適応ということにもなりますので、その改修をですね、システム改修を行うにあたりまして、政府全体としてその経費を補助する「軽減税率対策補助金」というのがございます。中小企業庁が計上いたしておりますけれども、そういった措置がされておりますが、農林水産関係者に対しましてもですね、その活用をしっかりと進めていかなければならないと思っております。準備怠りなきように、滞りなきようにしっかりやらさせていただきたいなと思っております。

記者

  2点目なんですけれども、これ、先週ですけれども、規制改革推進会議の会合がありまして、また来年の夏に向けての議論が始まるわけですけれども、その中で当面進める議論としてですね、農地中間管理機構の在り方の見直しがあがっていたかと思うんですけれども、既に制度として始まって色々課題が見えてきている部分もあろうかと思いますけれども、農水省としては、その規制改革の議論とどのように連携してこの制度自体の見直しを図っていかれるお考えでしょうか。

大臣

  この農地中間管理機構は、皆様ご承知の通り、平成26年に施行されております。この中でですね、政府は法施行後5年後を目途として、農地中間管理事業及び関連事業の在り方を全般について見直しをするとなっておりまして、先般閣議決定された「規制改革実施計画」におきましても、この見直しについて平成30年度に結論を得る旨が盛り込まれております。このことが今回改めて示されたものと承知をいたしておりますので、具体的にですね、農地中間管理機構につきましては、現在、まず1点目には、人・農地プラン等の地域協議の活性化、2点目として、機構の手続の簡素化、更に3点目といたしましては、他の農地集積手法の見直し等について検討を進めているところでもございます。農地の集積・集約化を進める観点からどうすれば地域農業の担い手が使いやすい仕組みになるのか、引き続き、検討を進めてまいりたいと存じております。

記者

  あと議論の中では、来年5月に向けた農協改革についても、引き続き重点項目で取り組むということがあげられてましたけれども、信用事業の見直し等、いろいろ課題とか論点もあろうかと思いますけれども、このへんも、規制改革の立場と農水省としてどういう連携なりしてやっていかれるのか、お聞かせください。

大臣

  農協改革につきましては、農協改革集中期間が最終年ということもあります。そこで引き続きフォローアップを実施する旨が盛り込まれたと承知をいたしておりまするけれども、農林水産省としたしましては、農協改革集中推進期間の期限が、今申しあげましたように来年5月までとなる中、引き続きですね、JAグループが自己改革の取組を着実に進めて、具体的成果を上げるように促してまいりたいと思っております。
  私は就任時にも申しあげましたように、まず自己改革をしっかりと進めていただく、そのために私どももサポートをしてまいりたいというお話をしてまいりましたけれども、更に来年5月に向けてですね、そういったこともまた、胸襟を開いてJAの皆さんともお話をしていきたいなというふうにも考えています。あくまでも自己改革、そのことが最も私は大切だと考えているところでもございます。

記者

  大きく2点お願いいたします。1点目なのですが、明日からでしたかね、靖国神社の秋季例大祭があるかと思いますけれども、大臣の参拝の意向とですね、これまでどうされていたのかご回答願えればと思います。

大臣

  靖国神社の参拝に関しましては、個人としてですね、どのようにするかということは考えさせていただきたいなと思っております。

記者

  昨年まではどうされてたんですか。

大臣

  昨年までは、私は参拝いたしておりません。

記者

  もう1点、先ほどの消費税の関連なんですけれども、周知の一方でですね、景気全体に与える影響が現在懸念されてるかと思います。株価が最近急激な変動をしておりますし、また、景気に影響があればですね、コメの需要等々にも影響が出てくる可能性もあるかと思うんですが、そのあたりはどのように見てらっしゃるでしょうか。

大臣

  そこはですね、十分注視しておかなければならないだろうなと思っておりますし、軽減税率ということもございますので、そこのあたりとの関連性をですね、更にこちらも注視しながら、これからどのような形になっていくのかということを見定めた上で、さまざまな対応をしていかなければならないのかなということは思っております。

記者

  18日の長崎、佐賀両県の視察についてですが、両県知事や原告の方々に対してですね、どういうお話をされるのか、どのような国の考え方をお伝えしていくのかというのをお聞かせください。

大臣

  この件に関しましては、両県の知事と率直に御意見をお伺いをと思っておりまするけれども、今回の諫早湾のこの問題につきましては、複数の訴訟が提起されて、「開門」と「開門禁止」といった裁判所の相反する判断が存在をする状況になっているわけであります。本年の7月の30日にも、福岡高裁におきまして、開門を命ずる平成22年の福岡高裁確定判決に基づく強制執行を許さないとする判決が出されました。この判決に対して、開門を求める方々が最高裁への上告及び上告受理申立を行ったところであると承知をいたしておりまして、国といたしましては、引き続き、昨年4月の農林水産大臣談話で示した「開門によらない基金による和解を目指すことが本件の問題解決の最良の方策」との方針の下ですね、一連の訴訟について、関係省庁と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと思っておりますので、そういったことを中心にしながら、よくよく両県の知事、関係者の皆さんのお話を聞きながらそのような、お考えもお伝えができればなと思っているところです。

記者

  アメリカとの物品貿易協定、TAGのことについてお伺いしたいんですけれども、先日、茂木大臣がテレビでですね、農林水産品について、一部の品目についてTPPの水準を超える譲歩をする可能性について否定しないという見解を示しましたけれども、改めて過去の経済連携協定の譲歩した水準を尊重するとしている日米共同声明等を踏まえて日本の交渉の方針というかを聞かせていただきたいんですけれども。

大臣

  全体としてみてもですね、TPPの水準がこれまでの最大限とあるということは、私はもちろん理解もしていますし、茂木大臣も同様の理解を述べられたものと私は認識をいたしております。今まで何度も申しあげてまいりましたけれども、この農林水産品につきましては、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるということは、日本側の立場を尊重するということについて文書で確認をされておりますので、これを踏まえて、私どもいたしましては、我が国の農林水産業の維持・発展を旨として、関係府省と連携をして、交渉に臨んでいく、その姿勢は、なんら変わるものではございません。

記者

  茂木大臣がワインなどの日EU・EPAで約束した一部品目について、可能性を示唆している発言もあるんですけれども、それは農水の分野に与える影響というのは、どういう感じでしょうか。

大臣

  あのですね、TPPにしましても、日EU・EPAにしましてもですね、茂木大臣がおっしゃったことは、先ほど私が申し上げましたようにですね、あくまでもこのTPPの水準が最大限であると、農水産品に関しましてはですね、そういったことを私は言われたと、そういう認識をいたしておりますので、この農林水産品でそれ以上の譲許というものは私はないと、そういうふうに思っておりますので、その認識そのものは私自身は全く変わっておりませんので。まあ、全体としてのお話をされたのかなとも思ってますけどね。

記者

  今のお話だと、個別の分野に関してはTPPよりも、さらに譲る部分が出てくることもあり得るというふうに吉川大臣もお考えなんでしょうか。

大臣

  あの、そこまで私は申し上げておりませんので、茂木大臣の発言をですね、私も報道で見た範囲でありまするけれども、TPPの水準が農林水産品に関してはですね、これがもう最大限であると、そのように私は理解をさせていただきましたけれども。

報道官

  ほかにございますか。

記者

  全く話題変わるんですけど、今日は国連が定めたですね、世界食料デーだと思うんですけれども、世界から飢餓を撲滅する日だということになっていて、一方で日本だと食料自給率が4割を切っていて、フードロスもまだまだ高水準で発生していると思うんですけど、改めて農林水産大臣として訴えたいことがあればお聞かせください。

大臣

  農林水産省としてはですね、FAOあるいはWFPが実施するイベントの後援を行うとともにですね、職員がこれらに参加をして議論に貢献をするということにもなっております。いまお話をいただきましたように、この世界の食料問題を考える日として1981年から世界食料デーに定められていると承知をいたしておりますけども、世界一人一人が協力し合って、世界に広がる栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決していくとを目的としたものでございますので、いま申し上げましたようにですね、農林水産省といたしましても単独で何かをやる、そういった考えはありませんけれども、積極的にですね、この国連の食糧計画等々にも後援をしながら参加をしていく、そういったことで理解を深めていきたいなと、このように考えております。

記者

  2点お伺いできればと思うんですけれども、米についてなんですけれども、先週金曜日に相対価格が公表されまして、新米、この時期として4年連続値上がりということでしたけれども、米の需要がどんどん下がってきている中かと思うんですが、この値段についての影響ですね、どういうふうに需要の見通しが出てくるか教えてもらえますか。

大臣

  米に関しましてはですね、作況指数が出ておりますけども、まだ稲刈りが進行中の地域もございます。北海道あたりはですね、だいたい稲刈りが終わって作況指数が90あるいは90よりも下がるのかなとそういう心配もございまするけれども、そういったことをやはり見定めてですね、30年度産の需給の見通しというものをしっかり立てていかなければなりませんし、それに関連をして米の価格動向及び今後の見通しというものもですね立てていかなければならないものではないかなと思っております。ただ今のところですね、米は30年度の需給見通しに関しましては、新米不足がですね懸念される状況にはないとこういうふうに私は報告を受けておりますので、これからの動向というものをしっかりと見定めるようにいたしたいなと、こう思っております。

記者

  今回の9月現在の新米価格が相対取引の値段が下がっておらず、上がっていますけれども、それはお米の需要をですね、消費者からの視点からしてですね、また落ち込むんじゃないかとそういった懸念は考えられますか。

大臣

  消費者が控えるということは今のところですね、ないのではないかというふうに思っておりまするけれども、引き続きですね価格動向というものは注視をしていかなければならないなということは思っております。

記者

 もう1点、アメリカへの生卵の輸出の解禁なんですけれども、これは実際そうなるとどういった可能性があるといいますか、輸出の拡大に向けてインパクトのある事案になりますか。

大臣

  これはですね、アメリカの生卵に関しましては、今、日本食あるいは和の文化というのが非常に世界の中でも注目をされてきております。特に、話を聞きましたらばですね、近場、例えばハワイとかグアムとかはですね、この生卵は特に新鮮なものでありますから、空輸でそういった地域に持っていけるのではないか。その折にいろいろな形でですね、生卵を使った日本食が出されるのではないかという、そういう期待がございますので、これからどのぐらいの輸出量があって、どのぐらいの需要が見込めるのかというのはまだこれからだと思いますので、しっかりとそういったこともですね、注視をして、積極的に売り込んでいければなと、そのように思っております。

記者

  一部の報道でですね、北海道洞爺湖町のソーラーパネルをめぐる補助金の詐取事件がありまして、それが今、札幌で公判、今やってるかどうか確認はできてないんですが、あってですね、そこで口利きをしたその中の議員というのが、公判に出たんですけど、この議員というのが吉川大臣だというふうな声も上がっているのですが、それについてのお考えを伺いたいんですが。

大臣

  その件につきましては、私は今初めてお伺いしましたので、何ともお答えしようがございません。

記者

  否定も肯定もされないということですか。

大臣

  いえ、否定も肯定もというか、全くそういった事実は私は承知をいたしておりませんので。

記者

  RCEPに関してなんですけれど、年内妥結を目指していますけれど、今のところ、農林水産品の交渉に関しての懸念などがありましたら教えてください。

大臣

  RCEPでありまするけれども、先日ですね、シンガポールで開催をされておりますけれども、この閣僚会合において、市場アクセス及びルール分野を含む交渉の進捗状況が報告をされて、今後の交渉の進め方等について活発な議論が行われたと承知をいたしております。8月末のシンガポール閣僚会合において、年内の実質的な妥結を目指すということとされておりますが、これを受けてですね、閣僚間で残された論点について道筋をつけるべく、閣僚間の決意を述べられたと、そういったことを再確認したということを承知をいたしておりますけれども、農林水産省といたしましては、引き続き農林水産品についてしっかりと交渉に取り組んでまいりたいと考えております。

報道官

  ほか、ございますか。よろしいですか。では、本日は以上でで終わりたいと思います。

以上