1. 1 1月6日(現地時間同日),バングラデシュ人民共和国の首都ダッカにおいて,我が方泉裕泰駐バングラデシュ大使と先方リチャード・フェンスターマッハ・レーガン国連世界食糧計画(WFP)バングラデシュ事務所長(Mr. Richard Fenstermacher Ragan, Representative and Country Director of WFP Bangladesh)との間で,供与額5億5,700万円の無償資金協力「バングラデシュ小規模農家への生計向上支援及びミャンマーからの避難民への食糧支援計画」に関する書簡の交換が行われました。

    2 バングラデシュにおいて,農業は国内総労働人口の47%を占め,GDPに占める割合は16%であり,重要産業の一つです。一方で,同国の貧困層(約4,000万人)のうち約1,100万人を占める小規模農家は,換金用のみならず自らの食用にも十分な生産量を確保できていない状況です。このため,自給自足に必要な稲作以外の換金作物の栽培を通じた現金収入確保による小規模農家の生計向上が必要となっています。また,2017年8月以降,同国南東部コックスバザールにはミャンマー・ラカイン州から避難民の大規模流入が発生し,現在約100万人もの人々が避難生活を余儀なくされています。同避難民のうち約54%の人々の食生活は貧困レベル又は貧困ライン以下とされています。これは,量のみならず,コメに偏ったバランスを欠いた食生活という質の問題も含み,長期にわたり当該状況下にある避難民の栄養状態は危機的状況にあり,早急な改善が必要となっています。

    3 この協力は,バングラデシュの小規模農家に対する緑豆等の栽培技術移転及びミャンマーからの避難民に対するEバウチャーを活用した食糧支援を組み合わせることにより,小規模農家の持続可能な生計能力向上及び避難民の健康状況改善を図るものです。この協力により,対象小規模農家のポストハーベストロス率が2018年時点の25%から2021年には5%に減少するとともに,緑豆等の栽培技術に関する研修を通じて小規模農家(約2,000人)の生計が向上し,また,ミャンマーからの避難民の栄養状況が改善すること等が期待されます。

    (注)Eバウチャー・・・生体情報を含む裨益者の情報をカードに登録し,同カード内に月毎に定められた金額をWFPが入金し,裨益者がWFPと提携した地域小売店から特定の食材を購入することを可能にするシステム。

    [参考]バングラデシュ人民共和国基礎データ
     バングラデシュ人民共和国は,面積14.7万平方キロメートル(日本の約4割),人口約1.62億人(2017年,世界銀行),1人当たり国民総所得(GNI)は1,470ドル(2017年,世界銀行)。