(H30.12.28(金)11:13 ~ 11:30 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私の方から、お話をいたします。本日、「労働施策基本方針」を閣議決定いたしました。この基本方針は、本年改正された労働施策総合推進法に基づき、働き方改革の意義やその趣旨を踏まえた国の施策に関する基本的な事項等について示すものであります。厚生労働省としては、本方針に基づき、誰もが生きがいを持ってその能力を最大限発揮することができる社会の実現に向けた取組みを講じてまいります。次に、有効求人倍率についてであります。平成3011月の有効求人倍率は1.63倍と、前月より0.01ポイント上昇しました。また、正社員の有効求人倍率は1.13倍と、前月と同水準となりました。現在の雇用情勢は、着実に改善が進む中、求人が求職を大幅に上回って推移していると判断しています。私からは以上です。

質疑

記者:
政府は、幼児教育の無償化を巡って、3歳から5歳までの保育料を原則無料とするなど制度の具体化に向けて方針を決定しました。厚労省として、また政府として今後どのように施策を進めていかれる方針かを教えてください。
大臣:
本日、関係閣僚会議において、「幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針」、これを合意いたしました。方針の主な内容として、幼児教育の無償化について、201910月からの実施に向け、対象者・対象範囲等を具体化するととともに、認可外保育施設等における質の確保・向上に向けた取組みを行うこととしています。認可外保育施設等における質の確保・向上について、具体的には、待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設等を利用せざるを得ない子供たちについても、代替的な措置として、幼児教育無償化の対象とする。無償化の対象となる認可外保育施設は、都道府県等に届出を行い、国が定める認可外保育施設の基準を満たすことを必要とする。ただし、経過措置として、基準を満たしていない場合でも無償化の対象とする5年間の猶予期間を設ける。認可外保育施設の質の確保・向上に向けて、地方自治体とのハイレベルによる幼児教育の無償化に関する協議の場での議論を踏まえ、地方自治体の実情に応じた柔軟な対応を可能とすることも含め、必要な措置を検討するとしているところです。この点については、私が申し上げた三点目の点については、「幼児教育の無償化に関する協議の場幹事会」において議論されているところでありますが、地方自治体の皆様とも十分協議の上、来年の通常国会への法案提出に向けて作業を進めていきたいと思います。
記者:
幼保無償化について関連してもう一点伺います。無償化の恩恵を受けるのは低所得世帯よりも高所得世帯の方が多いというデータを政府がまとめました。野党からは批判が出ていますが、公費を高所得層により多く使うということは妥当だとお考えでしょうか。
大臣:
まず、幼児教育無償化は何のためにやるのか。教育というのは子どもの人格形成に大きな影響をもたらす。そして、経済的な負担を和らげるということで、幼児教育の無償化に踏み切りました。基本的には、幼児教育の無償化というのは本来の狙いは私が申し上げたことでありますから、今すでに例えば幼児でも保育でもすでに国が現行制度上公費による給付によって低所得世帯の保育料は高所得世帯よりも低く設定されております。そして、平成26年度以降、低所得者世帯を中心に段階的無償化を実施してきたところでありますが、今般の無償化を一気に進めて3歳から5歳の子どもたちについて、所得にかかわらず実施するという、こういう性格のものだと考えております。だから、批判には当たらないと思います。
記者:
話は変わりますが、今週複数の事業所で雇用される労働者に対する雇用保険の適用に関する検討会が報告書をまとめました。その中で、政府が副業等を進める中でこういった検討をされているのですが、一方で、報告書で雇用保険の適用の必要性が高いとは評価できないし、また制度の導入を提言するのは難しいという結論があります。その一方で、その上でそれでも導入したい場合は試験的な導入というのもあるというような形で出ていますが、厚労省でこの問題についてどのように取り組む方針なのかを教えてください。
大臣:
複数の事業所で雇用される方、いわゆるマルチジョブホルダーに対する雇用保険の適用については、雇用保険部会からの要請を受け、本年1月から専門家による検討会を開催し、技術的な検討を実施しています。昨日、その検討会の報告書がとりまとめられました。具体的には、仮にマルチジョブホルダーに雇用保険の適用を行う場合に考えられる制度設計を提示した上で、その課題についても指摘されております。その上で、マルチジョブホルダーに対する雇用保険の適用を推進していくならば、一定の対象者層を抽出し、試行的に制度導入を図ることが考えられること等を提言しております。本報告書については、今の話も含めて、検討会で提言された考えられる制度設計とその課題について申し上げると、考えられる制度設計としては複数の事業所の所定労働時間を合算したら20時間を超える場合に、本人からの申出に基づいて適用するという、ただ、この場合、逆選択やモラルハザード等の問題が懸念される。こういうことが、課題として提起されている。その意味で、試行的にやってみようということにしておりますが、本報告書については、今後、雇用保険部会に報告し、議論を深めていきたいと考えております。
記者:
試行的にやってみようということでおっしゃっているのですが、それは雇用保険部会の議論を経た上で実施を決めるということなのでしょうか。
大臣:
正確に申し上げると、報告書の中で先ほど申し上げたように、マルチジョブホルダーに対する雇用保険の適用を推進していくならば、一定の対象者層を抽出し、試行的に制度導入を図ることが提言されている。これについては、今後雇用保険部会に報告して、検討を深めていきたいと考えております。今の段階で、方向性を決めたものではありません。要は、雇用保険部会に報告して、議論を深めていきたいと考えています。
記者:
先ほど閣議決定された労働施策基本方針についてですが、来年の4月から罰則付きの上限規制も順次導入されていく中で、基本方針の中では企業文化や風土を変えるというふうにも書かれています。ただ、なかなかそう簡単に企業文化、風土を変えるのは難しいかなという気もするんですけれども、そういった企業の文化、風土を変えて働き方改革を進めていくためにはどういったことが重要、必要だというふうにご認識されていますでしょうか。
大臣:
要は、働き方改革の基本的な考え方が何を求めているか。多様な働き方を可能とすることによって、自分の未来を自ら創っていく社会を実現して、意欲ある人々に多様なチャンスを生み出すもの。そして同時に、企業の生産性や収益力の向上が図られるもの。私は働き方改革の意義はそういうものだと思いますが、確かに労働時間の上限規制をした。ではそれで何を狙っているか、それは労働時間の上限を規制することによって、働いている方がより自分の能力を高める、あるいは様々な自分の生き方を含めたところに時間を使うことができる。それによって、会社、企業として雇用された方が、そういう前向きに自分の能力・質を高めながら、しかも生活面での多様な充実した生活ができるということを通じて、企業の生産性が高まるということに繋がるのだろうと思います。その意味では、企業の風土というのがありましたが、やはり企業も今回の働き方改革はそういう趣旨なのだということで、企業にも適切に取り組んでいただきたいと思います。もう既に企業でそういう働き方改革の先進的な取組みも出ていますから、そういう先進的な事例を積み重ねることで企業自らが今までの長時間労働の是正を単に規制と考えるのではなくて、企業自らが自らの企業の活力を高めていくために必要なことなのだと、そういう風土・雰囲気を作り上げていくことが、私は本当の働き方改革だと思います。
記者:
今日は年内最後の閣議だと思いますけれども、今、働き方改革のお話がありましたが、閣議ですとか閣僚懇で総理から、働き方改革が成立したことだとか1年を振り返って何かご発言等はありましたでしょうか。もしくは大臣から一言あれば。
大臣:
私は、この3ヶ月、厚生労働大臣として使命感と責任感を持ってやってきたつもりです。そして、障害者雇用、あるいは、外国人材受け入れ、当然、働き方改革の話もある、あるいは水道法、妊婦加算、風しん、認知症対策、そして医学部入学定員の枠の問題、様々な課題があった。これを、どう思われるかは別として、私はスピード感を持って決断すべきことは決断するということで対処してきたつもりです。それで、私が3ヶ月間厚生労働行政をやってきた中で、やはり大事なのは、いろんな課題、問題が出てきますが、一番大事なのは本質とは何か、これを見出すことだと思います。本質は何かという課題、問題がクリアになって、そこで初めて具体的な施策・対応が出てくるわけですから、これからもそこを重視して、そしてこれからの厚生労働行政にあたりたいと思います。私もおかげさまで3ヶ月になりましたから、多少ギアは上がってまいりましたので、来年しっかりと臨みたいと思います。
 
 

(了)