平成30年12月28日(金曜日)
10時20分~10時34分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。私からは特にございません。

質疑応答

今年1年の所感と来年抱負

Q:今年を振り返っての御所見をお願いしたいと思います。
また、来年はG20のサミット、閣僚会合の日本開催であったり、消費税の増税、アメリカとの通商交渉開始などが予定されています。来年に向けての御抱負も伺わせてください。

A:ちょっとかなりたくさんあった1年なんで長くなりますけれども、まず総括としては、アベノミクスの下、名目GDPは過去最高水準を維持して、企業の経常利益も過去最高水準で推移するなど、日本経済は力強く成長をしているというふうに考えております。
マーケットを中心に少し不安定な動きもありますけれども、来年も引き続き経済産業大臣として、日本経済の成長に向けた取組をしっかり進めていきたいと思います。
また今年は、大阪・関西万博の招致を勝ち取ることができました。先週には国際博覧会担当大臣にも指定をされました。2025年大阪・関西万博の成功に向けて、準備と運営が円滑に進むよう、万全を期していきたいというふうに思います。
また、今年は非常に災害の多い年でありました。豪雨、台風、地震などが相次いで発生をいたしました。停電や支援物資の情報をリアルタイムに発信するとともに、被災現場からの要望も踏まえて、先手先手で対応をしてまいりました。
被災中小企業に対して必要な支援策を手当てするとともに、中小企業の防災・減災対策も促進していかなければならないと思っています。
北海道胆振東部地震での大規模停電を受けて、電力インフラ等の強靱化も来年は推進をしていきたいと思っています。
また、対外経済政策でありますけれども、私自身、今年だけで16回、海外に出張いたしました。各国の閣僚と信頼関係を構築してきました。
RCEPについては、実質的な妥結とまではいきませんでしたが、実質的な進展を実現することができました。11月の首脳会議で一致をした来年の妥結を目指して、引き続き議論を主導していきたいと思います。
また、日米EU三極貿易大臣会合も活用して、引き続きWTO改革や市場歪曲的措置への対処等に取り組んでいきたいと思います。
また、アメリカや中国との経済関係強化に貢献をするとともに、ロシア経済分野協力担当大臣として、8項目の協力プランの具体化を推進してまいりました。来年も引き続き、これらの関係強化に取り組みたいと思います。
また、来年6月には、日本が初めての議長国を務めるG20が開催されます。自由貿易の推進やソサエティ5.0の実現、世界のエネルギー転換、脱炭素化等の諸課題に取り組んでいきたいと思っています。世界的に保護主義的な動きが広がる中、今後も日本は自由貿易の旗手として主導的な役割を果たしていかなければいけないと思っています。
経済政策でありますが、来年10月には消費税が10%に引き上げられる予定であります。キャッシュレス決済へのポイント還元や自動車ユーザーの税負担の軽減、そして軽減税率実施の着実・円滑な対応、そして商店街の支援など、あらゆる施策を総動員して国民生活や経済活動に影響を及ぼさないよう全力で対応していきたいと思います。
また、企業の競争力強化のための「Connected Industries」の取組の推進、また規制のサンドボックス制度の創設、IoT投資に対する減税措置、またJ-Startup企業への集中的支援の枠組み構築などを実施してまいりました。来年もこれらの施策を通じて、企業の競争力強化に努めていきたいと思います。
また、中小企業は日本経済の屋台骨でありまして、生産性向上に向けた取組を加速してまいりました。設備投資やITツールの導入などを支援するとともに、個人事業者向けの事業承継税制を来年度に創設をしたいと考えています。
また、JICの問題では、経産省の失態もありまして、いろいろとお騒がせをいたしましたし、民間からの取締役全員が辞任を出すという事態に至りましたが、これについては年内のうちに立て直し、新たな報酬体系、あるいはガバナンスの在り方のルール作りに向けての話し合いがスタートできたというふうに思っています。来年できるだけ早く新たなルールをしっかりと確立をして、後任の人選を進めていきたいというふうに思っています。
また、エネルギー政策についてですけれども、日本主導で今年10月、世界で初めて21カ国の国・地域・機関が参加をする水素閣僚会議を主催いたしました。「水素と言えば日本」と言われるように、来年度も予算が水素関連、大幅に増額になっておりますので、全力でこの水素の普及、研究開発、コストダウンといったテーマに取り組んでまいりたいというふうに思っています。
また、福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興は最重要課題であります。今年は5回、福島を訪問いたしました。来年も現地の声にしっかりと耳を傾けながら、この廃炉・汚染水対策、復興をしっかりと進めていきたいというふうに思っております。
また、ロボットテストフィールドの一部開所ですとか、水素工場の着工など、福島の復興に向けての進展が着実になってきておりますが、これをさらに加速できるように来年も取り組みたいと思っています。
来年は、いよいよ元号が変わりまして、新たな時代の幕が開けるわけであります。経済最優先の安倍政権を支える経済閣僚として力強い経済成長の実現に向けて、よりよい経済政策を取り組んでまいりたいというふうに思います。
少し長くなりましたが、以上です。

産業革新投資機構

Q:今週火曜日に、JICの第三者諮問委員会が開かれましたけれども、大臣「チャンスが回ってきた」というふうにおっしゃいましたけれども、委員の方からは「原点を議論すべきだ」というような声もありまして、存続ありきでの議論を進めているんじゃないかと思うんですけれども、その辺のところと、原点の部分というのはどれくらい議論されるというふうにお考えでしょうか。

A:まさに先日も原点の議論が行われたと思っています。官民ファンドというのはどうあるべきかという議論を行いましたし、官民ファンドそのものが必要ないという意見は、私はこの間の諮問会合でも聞かれなかったというふうに思っています。
特に、やはり日本はリスクマネーが非常に少ない。これからバイオとか非常にリスクの高い分野に成長分野があるという中で、このリスクマネーが非常にまだ薄弱であるということ、これを乗り越えるためには官民ファンドの一定の役割があるんだろうというふうに思っています。
まさに原点に立ち返るということは、官民ファンドは官民ファンドで完結をするのではなくて、やはり民間資金の呼び水となって、その民間ファンドの立ち上げをしっかりと誘導していくということがまさに原点ではないか。そして、またそれぞれコンテンツとかバイオとかITとかベンチャーとか、そういった分野別のいろいろな取り組み方というのがあるんだろうというふうに思っています。
先日の会合は非常に有意義な会合でありました。私自身も非常に学ぶところが多かった、傾聴すべき御意見が非常に多かったと思います。まさに基本に立ち返りながら、もう一度、このJICにおけるガバナンスと報酬体系の在り方を中心に、しっかりとしたまとめを経産省として有識者のアドバイスもいただきながらまとめて、その上で後任の人選はそれについて納得をしていただける方を中心に進めていきたいというふうに思っています。

RCEP

Q:RCEPについてですが、年内妥結がかなわなかった今、来年どのように交渉を開始して着地していくという、その道筋は来年どこからどういうふうに始めていくんでしょうか。

A:まず、今年のうちに実質的な進展が確認できました。私自身も交渉していて、もうかなり論点は絞り込まれてきていて、最終的な政治的判断による決着ができる状況がかなり近づいてきているというふうに思いますので、来年、議長国がタイに交代をいたしますけれども、その議長国にしっかりと協力をしながら、精力的に交渉官の会合、そして閣僚間の会合を頻繁に持ちながら、来年中の妥結を目指していきたいというふうに思っています。

景気動向

Q:最近株価が非常に変動が大きくなっていると思うんですけれども、背景には、来年の景気、世界経済に対する不安感があるのかと思うのですが、景気の現状と来年に向けての持続力をどのように見ていらっしゃるか教えてください。

A:株価の動向について、コメントは控えるということを前提に申し上げますけれども、日本経済については、企業の経常利益が過去最高水準、雇用状況も非常に極めていい数字が今日も発表になった(※)と思いますが、いい状況で展開をしているという中で、日本経済のファンダメンタルズには全く問題ない、しっかりしているというふうに認識をしています。
どちらかというと、アメリカの中の事情がいろいろ作用しているんではないかというふうに思いますが、来年についても、政府経済見通しで示されたとおり、来年度予算の政策効果も相まって、雇用・所得環境の改善が続いて、内需を中心とした景気回復が続くんではないかというふうに思っています。
ともかく、この予算の早期成立と、そして予算に盛り込まれたいろいろな施策をしっかりと早期に実施をしていくことによって、海外経済の不確実性や金融市場の動向もしっかり注視しながら、経済の好循環を着実に回していくことが重要だと思っています。

原発の比率

Q:今年、新しいエネルギー基本計画も閣議決定いたしましたけれども、その中では2030年のエネルギーミックスの実現が強調されていますが、改めて原子力20から22%の実現についてどうお考えなのか教えていただけますでしょうか。
現状では常々30基程度の再稼働が必要だとおっしゃっていましたけれども、現状ではもう廃炉方針の決まったものも含めると、動いているのは34基という状況ですが、いかがでしょうか。

A:エネルギーミックスの原発比率20から22%を2030年度に達成をするということは、まずは安全最優先で規制委員会の審査を経て、既存の原発を再稼働し、そして一つ一つの原発の稼働率を向上させ、そして一部の炉については法令で認められた40年を超える運転期間延長を行うと、このことによって達成可能というふうに考えています。
ただ、再稼働については、この数字ありきではなくて、やはり高い独立性を有する規制委員会が科学的・技術的に審査をしていただいて、世界でも最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重して、地元の御理解を頂きながら再稼働を進めていくということになるんだろうというふうに思っています。
いずれにしろ、資源の乏しい日本にとって、安定で安価な電気の供給、そして気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度の低減といったことを考えた場合に、責任あるエネルギー政策を実行していくためには原子力は欠かすことができない選択肢であるというふうに考えています。
あくまでも安全最優先で、2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率の実現を目指して、必要な対応を着実に進めていかなければならないと思っています。

Q:大臣、いみじくもおっしゃっていましたけれども、稼働率の向上についておっしゃっていましたけれども、稼働率の向上、どういうふうな。高くないと、相当高くないとなかなか。30基動かしても、なかなか20から22にまで行かないと思うんですけれども、その辺についてどういうふうに対策といいますか、考えていらっしゃいますでしょうか。

A:当然、これは安全最優先で行われるべきものだというふうに思っています。
我々としては、基本的には安全対策は非常に厳格になる中で、当然いろいろな意味で稼働率といったものも、品質も上がっていくという面があるんではないかというふうに思っています。いずれにしても、数字ありきではなくて、安全最優先で取り組んでいくことが重要だと思っています。
じゃ、よいお年をお迎えください。

以上

(※)実際の発言は「雇用状況も非常に極めていい数字が今日も発表になる」ですが、正しくは「雇用状況も非常に極めていい数字が今日も発表になった」でしたので、会見録を訂正しました。

最終更新日:2018年12月28日