冒頭

【河野外務大臣】モロッコに次いで,昨日のチュニジア,そして今日,アルジェリアを訪問しております。
 チュニジアでは,エセブシ大統領,シェーヘド首相,ジヒナウイ外務大臣と率直な意見交換を行いました。「アラブの春」を経て,民主化への移行を達成したチュニジアの改革を高く評価すると同時に,チュニジアの改革を今後ともしっかりと支援して参りたいということをお伝え致しました。
 アルジェリアでは,今日,ウーヤヒヤ首相,メサヘル外務大臣とお目にかかりました。アルジェリアでは,過去にイナメナス事件のような不幸な出来事がありましたが,アルジェリアがテロ,そして暴力的過激主義対策にしっかりと取り組む,このアルジェリアの努力を評価いたしました。中東・北アフリカとの間で,しっかりと治安面を含めて努力をする,アルジェリアと政策対話をしっかりと強化していくことで一致をいたしました。
 外務大臣就任以来,今回が初めてのマグレブ3カ国訪問となります。中東・北アフリカ外交を強化していく中で,日本と伝統的な友好関係にあり,安定を維持しているこの3カ国は日本にとって大変重要なパートナーであります。日本企業の進出も進みつつあり,経済的にも高い潜在力を持っている地域です。来年のTICADに向けてさらに協力をして参りたいと思っております。
 この3カ国において,日本企業のさらなる投資促進,政策対話の強化,安定化,あるいは人材育成に向けた支援,人的交流の活発化,それと,地域情勢,国際的課題に関する連携の強化,こうした面について,日本への強い期待が寄せられました。こうした期待をしっかりと受け止め,政策対話,あるいは必要とされる支援にしっかり取り組んで参りたいと思っております。また,日本企業の進出を後押しするという観点から,それぞれ投資協定,あるいは租税条約の締結に向けた交渉,作業をしっかりと行って参りたいと思います。
 今回の訪問をきっかけに,この3カ国との関係をさらに強化して参りたいと考えております。

質疑応答

【記者】西サハラ問題についてお伺いします。アルジェリアは西サハラの独立を支援する立場ですが,日本は国家承認をせず,来年のTICAD7にも招待しない方針です。今日の外務大臣会談で,西サハラ問題について立場の溝を埋めることはできたのでしょうか。

【河野外務大臣】日本は西サハラを国家承認しておりません。そのことはアルジェリア側もよく認識をしておりますので,特に西サハラを巡る溝ということはないというふうに思っております。

【記者】今回の外遊で年内の外遊が終了になりますけれども,この1年間の外遊を振り返って大臣自身はどのように手応えを感じているか。また,来年もし残っている課題があるとすればどういったところがあるとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】今年,このアルジェリアで延べにしておそらく64カ国に訪問国がなったと思います。やはり,日本の外交力を強化していくために,外務大臣がしっかりと足を運ぶ,対話を重ねる,ということが大事だというふうに思っております。
 この3カ国,モロッコのブリタ外務大臣,チュニジアのジヒナウイ外務大臣,そしてアルジェリアのメサヘル外務大臣はもう何度もお目にかかっている方で,非常に会話もスムーズにいきました。
 そういうことを考えると,相手の国に足を運ぶ,あるいは国際会議にきちんと出席をするということがやはり外交力の基礎なんだろうというふうに思っております。
 来年はG20,TICAD,そして即位の礼と多くの外国からの元首,あるいは外務大臣をお迎えすることになると思いますので,また,そうした場を有効に使ってですね,日本外交の力を高めていきたいというふうに思っております。

【記者】日本のIWC脱退についてお伺いします。反捕鯨国のオーストラリアやニュージーランドから,日本の対応を批判する声明が相次いで出されました。受け止めをお願いします。

【河野外務大臣】IWCは本来,目的の1つに鯨という資源の持続的な利用というのがありましたが,残念ながらこの目的を達成しようという動きがIWCの中で全く見られないというのが現実でございます。日本としてはIWCにオブザーバーとして引き続き関与しながら,IWCが認める科学的な手法によって,捕っていい鯨の数というのをしっかりと決めて,その範囲内で領海およびEEZ内でこれから捕鯨を行っていくということになります。
 オーストラリア,あるいはニュージーランドとは立場が違いますけれども,このIWCを巡る課題については,それぞれ両国とこれまでも緊密にやり取りをして参りました。確かに立場は違いますけども,それをオーストラリア,ニュージーランド両国との二国間関係に影響させないように,そこはしっかりマネージしていきたいというふうに思っております。

【記者】今おっしゃったとおり立場が違う国がありますけれども,どのようにしてですね,理解を求めていくお考えか,その辺を教えてください。

【河野外務大臣】この捕鯨を巡る課題というのは,根本的な考え方,あるいは感情的な違いですので,なかなかこの溝を埋めていくというのは難しいのが現実だろうと思いますが,日本の立場をですね,しっかりと丁寧に,まず説明していくというのはしっかりやっていきたい,というふうに思っております。
 また,この問題に関して立場の違いは残るかもしれませんけども,それを様々な反捕鯨国との二国間関係全体に影響させないように,そこは外交的にしっかりマネージしていきたいというふうに思っております。