平成30年12月25日(火)
11:00~11:12
於:記者会見室

冒頭発言

 初めに、私から2点申し上げます。

地域未来牽引企業の追加選定・サミットの開催

 まず1点目ですが、地域経済を牽引する事業の担い手を全国で幅広く発掘していくために、新たに1,543社の地域未来牽引企業を追加選定いたしました。ものづくり、農林水産、観光など地域の特性を踏まえた幅広い分野の企業が選ばれております。

 また、これら追加選定企業に御参集を頂きます地域未来牽引企業サミットを来年3月16日に新潟県新潟市で、そして5月以降に広島県で開催をいたします。

 全国の選定企業や支援機関間での交流を深めて、新たなビジネス展開をサポートさせていただく機会といたします。

 昨年選定した企業については、各経済産業局に配置したコンシェルジュがほぼ全社を訪問、一巡し、継続的な支援を行っているところであります。追加選定企業についても支援機関と協力をして、地域未来投資促進法に基づく支援策などを活用して、集中的に支援してまいります。

 詳細については、この後、事務方より説明をさせます。

TCFDガイダンスの策定・公表及び経済産業省のTCFD署名

 2点目でありますが、気候変動問題への対応が急務となる中、今後、企業の気候変動対応が情報開示をされて、それが資金調達につながっていくことが重要になると考えます。

 このため、本日開催をいたしますTCFD研究会において、さまざまな業種・規模の企業が効果的な情報開示を行うための、政府としては世界で初めてとなるTCFDガイダンスをお示しいたします。

 さらに経産省としてもTCFDに賛同・署名をいたします。ぜひ産業界の皆さんにもTCFDへの積極的な賛同・署名をお願いしたいと思います。

 引き続き、産業と金融の対話を通じて気候変動対応の情報開示を促進して、環境と経済の好循環を実現していきたいと考えています。

 私からは以上です。

質疑応答

産業革新投資機構

Q: JICなんですけれども、第三者の諮問委員会なんですが、この立ち上げの状況を教えてください。また、議論への期待をどのようにお考えでしょうか。

A: JICの運営体制の再構築に向けて、政府による関与の在り方、報酬体系、ガバナンス体制、情報公開の在り方などについて有識者からの御意見を聞く場として、JICについての第三者諮問会合を本日17時から開催をいたします。

 諮問会合は、専門家の皆様から御意見を伺って、経済産業省としての考え方をまとめる場にしたいと思っております。座長や委員長のようなトップを設ける委員会形式とは異なる形式で、率直な御意見をいただける状況で開催をしたいというふうに思っています。

 今後1月末までに複数回開催をして、有識者との精緻な議論を通じて、今後の官民ファンドのロールモデルとなり得る枠組みの構築に向けて考え方をまとめたいというふうに思っています。

 その上で、次、経営者になっていただく方には、民間での投資分野での経験を積まれた方を基本としながら、この諮問会合での議論、アウトプットを十分納得いただける方にお願いをしたいというふうに思っております。

消費増税に伴うポイント還元

Q: 消費増税に伴うキャッシュレス化、ポイント還元策をちょっとお伺いしたいんですけれども、事業者間でキャッシュレスで取引した場合でも、消費税がかからない場合でも5%のポイント還元がされてしまうという制度設計になっているということなんですけれども、これだと消費喚起策とはちょっと違って、政策の目的と違うんじゃないかと思うんですが、大臣の御意見をお伺いできますか。

A: 消費増税に伴うポイント還元の政策目的は、私は大きく2つあると思っています。1つは、やはり消費の平準化ということだと思いますし、もう一つは、世界に比べて立ち遅れている我が国のキャッシュレス化を、しっかりと推進するという観点があるというふうに思っています。

 制度自体、やはりシンプルで分かりやすい仕組みにすることも重要だと思っていますし、キャッシュレスを世の中全体で促進をしていくという観点から見れば、必ずしも消費税を払っているかどうかというのはポイントではないという面もあるんだろうというふうに思いますし、実際運用上、例えばどこかのお店の人がコンビニに文房具を買いに行くことだってあり得るわけでありまして、いわゆる消費者としての購買と、事業主としての購買は、これを区別するということも事実上困難だというふうに思っているわけであります。

 こうした観点から、事業者間の取引については排除しないということにさせていただいています。

 

Q: すみません、1点だけ追加で。

 2,798億の予算の中に、事業者間の部分も入っているというふうに考えてよろしいんでしょうか。

A: これは大きな小売全体から推計をして、予算を確保しているわけであります。

日米TAG交渉

Q: アメリカとの新たな貿易交渉についてお伺いします。

 アメリカのUSTRが21日、議会に交渉での要求項目22分野で示しました。その中では、サービス分野も広範に含まれていまして、アメリカとしては広範な貿易交渉を目指しているようで、物品貿易交渉を考えている日本とはやはり温度差があるかもしれませんが、これについてどうお考えでしょうか。

A: USTRが21日に日本との交渉目的を公表したことは承知していますけれども、これはあくまでも米国政府による米国内法上の手続だというふうに考えていまして、その内容について日本としてコメントはする考えはありません。

 その上で申し上げれば、今後の日米交渉というのは、9月の日米共同声明に基づいて交渉を進めるということで日米の認識は一致をしていて、齟齬はないというふうに思います。

 共同声明で具体的に決められていない事項については、これは物品貿易以外の交渉対象も含めて、全て茂木大臣とライトハイザー通商代表との今後の協議によって決定されるというふうに考えています。

 いずれにしても、日米間の貿易投資を拡大するような、建設的な議論が行われることを期待したいというふうに思います。

日経平均株価の下落

Q: 米国の経済政策運営に対する不安などが多分背景にあると思うのですが、日経平均株価が今日、2万円を1年3カ月ぶりに割れました。日本の企業、特に中小企業に対する不安などがあると思うんですが、経産省としてどのように御覧になっているでしょうか。

A: 株価の動向について一つ一つコメントすることは差し控えたいと思いますが、現在、市場関係者の間では、今回の株価下落の背景として、世界経済の先行きについて減速が懸念をされている中で、アメリカの政府機関の一部閉鎖などを受けて、米国の株価が大きく下落した影響などが挙げられているというふうに考えています。

 もっとも日本経済は引き続き雇用が増加をし、企業の経常利益も高水準で推移するなど、ファンダメンタルズはしっかりとしているわけでありまして、景気は緩やかに回復していると認識をしています。

 今後とも市場の動向は注意をしてまいりますけれども、経済の好循環を着実に回していくため、先週閣議決定された第二次補正予算案や来年度予算案の早期成立を図って実行していくことが何よりも重要だと考えています。

産業革新投資機構

Q: 大臣、官民ファンドの件なんですけれども、先ほど、第三者の諮問委員会、1月末までに急ピッチに議論を進めていくということだったんです。1月中にはある程度答申というか、まとまりみたいなものが見えてくるんでしょうか。やや議論のスピードがちょっと早過ぎないかなと思いまして、前のリスクマネー研究会もかなり急ピッチでやって、それの挙げ句の果てがこういう状態になっているのですが、もうちょっと長く時間をかけて議論をされてもいいのではないかなと思うんですが、その点はいかがですか。

A: まず、スケジュールありきで考えているわけではありません。また、これはもう既にJICは法改正が終わっているわけであります。その終わった法改正に基づいて、どうさらに精緻に運用していくかという議論でありますから、おのずと一定のスピードでは進んでいくだろうと思いますが、いずれにしても、何かお尻を切っているとか、そういうわけではありません。しっかりとした議論を行っていただきたいというふうに思っています。

 

Q: もう一点、旧INCJの成功報酬制度はそのまま温存するということだったと思いますけれども、例えばジャパンディスプレイみたいな会社の場合、株を売った人、産業革新機構が900円で売って、その後ずっと株価が下がっているんですけれども、それで成功報酬というのもちょっとどうなのかなと。要するに、一般の株を売ったり買ったりする人は、それで得することがなかったにもかかわらず、INCJだけが成功報酬が発生するというのはちょっといかがなものかなと思うんで、ちょっと大臣、その点いかがでしょうか。

A: ただ、一方でINCJは、これはもう株式会社としての機能になっているわけでありますから、株式会社として数字が出てくるわけであります。その後の株価の変動というのは、必ずしもINCJが何かやったことが原因とは限らないわけであります。いろいろなマーケットの状況、特にジャパンディスプレイの場合は、液晶の、ある意味マーケット構造の問題といった面もあるんだろうというふうに思っています。

 

Q: JICの関係で1点だけなんですけれども、これまでの手続の中で、特に11月以降の手続の中で官邸の意向とか、あるいは経産省側の官邸への説明みたいなところに落ち度というか、手続に瑕疵はなかったのかどうかという点についてどう思われますか。

A: 基本的には、これは経済産業省で決めることでありますから、そもそもその手続の中に官邸と何かやるということは、別にそもそも手続に含まれていないわけであります。

 当然、官民ファンドの問題だけではなくて、当然、重要な政策については政府全体のテーマとして、節目節目で官邸に説明することもあるわけでありますけれども、今回の報酬問題については、これはあくまでも経済産業省として判断をさせていただいております。

以上

最終更新日:2018年12月27日