2018年12月25日

経済産業省は、2018年8月に、「グリーンファイナンスと企業の情報開示の在り方に関する『TCFD研究会』」を立ち上げ、TCFDが求める気候関連の情報開示について議論を行ってまいりましたが、本日、気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)を取りまとめましたので、公表します。また、経済産業省は、本日TCFDの趣旨に賛同の署名を行いました。
※TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)

1.背景

平成27年のパリ協定の採択に伴い、気候変動を取り巻く情勢は大きく変化しています。投資・金融の分野では、ESG投資の拡大に伴って、ESG要素に関する企業の情報開示を求める投資家等の動きが広がっています。特に、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の指示により金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言(以下「TCFD提言」と言う。)が2017年6月に公表されたことをきっかけに、気候変動に関する企業の取組について、投資家等からの情報開示の要請が高まっています。

このような状況を踏まえ、経済産業省は2018年8月に「グリーンファイナンスと企業の情報開示の在り方に関する『TCFD研究会』」を立ち上げ、事業会社の経営者と国内外の投資家等との「対話」を通じたTCFD提言に沿った情報開示の在り方を議論してまいりました。

研究会での検討を踏まえ、気候変動対策に積極的に取り組む日本企業の強みの効果的な開示を促すべく、本日行った第3回TCFD研究会において、TCFD提言に沿った情報開示を行うに当たっての解説や参考となる事例の紹介と、業種ごとに事業会社の取組が表れる「視点」の提供を目的とした「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」を策定しました。

また、同日付で経済産業省はTCFDの趣旨に賛同する旨の署名を行いました。

2.ガイダンスの概要

本ガイダンスは、企業がTCFD提言に沿った開示を進めるための第一歩を示すことを目的として、下記4部構成で策定しました。

第1章(はじめに)
本ガイダンスの策定に至った背景や趣旨、TCFD提言と本ガイダンスの関係等について説明。

第2章(解説パート)
企業や金融機関のTCFD提言への疑問点の解消を目的に、金融機関の意見や実際の開示事例、TCFD提言策定時の議論を基にした解説を記載。

第3章(業種別ガイダンスパート)
気候変動のリスク・機会は業種ごとに異なるため、主要5業種(自動車、鉄鋼、化学、電機・電子、エネルギー)について、望ましい戦略の示し方や、推奨する開示ポイント・視点を解説。

第4章(おわりに)
本ガイダンスの内容を踏まえた今後の情報開示の進め方や、ガイダンスの更なる拡充に向けた取組等について説明。

3.今後の方向性

今回提示したガイダンスは気候関連の企業の情報開示や投資家との対話の質の向上に向けた出発点であり、今後、企業による開示の優良事例や投資家の評価実態等を把握・分析しつつ、より良い内容や活用方法を検討し、見直しを行っていく予定です。

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担当

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