平成30年12月14日(金)

 今日の閣議において,商法等を改正する政令2本が閣議決定されました。また法務省案件として,主意書に対する答弁書1件がありました。
  閣議決定された政令は,5月に改正法が成立した「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」及び「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」です。改正法の具体的な施行日については政令に委任されており,本日閣議決定された政令のうち1つは,この施行日を平成31年4月1日と定めるもの,もう1つは,同法改正に伴う用語の整理等を行うものです。
 法務省としては,この改正関係に限らず,法改正関係については法務省のホームページを活用するなどして,周知活動を行ってまいりましたが,今後も適切な周知に努めてまいりたいと思っています。
 もう1件,行政文書の不適切な廃棄について御報告します。
 この度,行政文書の管理状況に関する定期点検を実施する過程で,更生保護官署,具体的には地方更生保護委員会及び保護観察所において,必要な手続を欠いたまま廃棄するなど,行政文書の不適切な廃棄が判明しました。これを受けて,当省において調査を行うとともに,その結果を内閣府公文書監察室に報告し,今後,再発防止に取り組むこととしたので,御報告します。
 今回の調査結果の概要を申し上げると,公文書管理法が施行された平成23年以降,29庁の更生保護官署において,行政文書ファイル合計7,688件について,不適切な廃棄が行われていたことが判明しました。このうち保存期間中の行政文書は12件,残りの7,676件については,例えば過去の出勤簿など,保存期間が満了した行政文書です。
 不適切な廃棄が判明した保存期間中の行政文書は,職員の永年勤続表彰関係文書などであり,担当者が保存期間を誤認するなどして廃棄したものです。この12件のうち10件については,他の更生保護官署が保管している同内容の文書の複写などにより復元済みであり,残り2件についても,主要な内容は電子データ等に保存されており,実質的には復元済みです。
 次に,今回の不適切な廃棄の大半を占める7,676件の保存期間満了後の行政文書についてです。行政文書の廃棄に当たっては,行政文書ファイルの作成・取得時,それから実際の廃棄前の2度にわたって,内閣府と協議する必要があります。ところが,今回の事案では,担当者が最初の作成・取得時の協議のみで足りると誤認したことにより,実際には,廃棄前にも内閣府との協議が必要であるにもかかわらず,廃棄前の内閣府との協議を行わずに廃棄したという手続に違反していました。
 政府全体で適正な公文書管理の実践に取り組んでいる中,こうした不適切な廃棄が判明したことは,誠に遺憾であり,お詫びを申し上げます。今後このような事態が生じないよう,当省の関係局部課及び所管各庁に対して注意喚起を行うとともに,特に,更生保護官署においては,今後,研修等をしっかり行う,そしてチェックリストに基づく複数の職員による確認の徹底など,実効性のある再発防止にしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。
 

法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会に関する質疑について

【記者】
 法制審の関連でお伺いします。来週19日に最後となる少年法・刑事法部会が開かれます。少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げることの是非について検討されていると思いますが,これまでの検討状況についてお聞かせください。

【大臣】
 少年法における「少年」の上限年齢の検討は,大きく分けて2つです。1つは,刑事司法全般において,成長過程にある若年者をどのように取り扱うかということ。もうひとつはどのように改善更生・再犯防止を図るかという問題です。
  そこで,平成29年2月に法制審議会に対して,1つ目は「少年」の年齢を18歳未満とすること,2つ目は少年を含めた犯罪者処遇を充実させるための刑事法の整備の在り方について諮問しました。法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会において調査審議をしていただいているところです。
 今年7月の部会において,部会の下に設けられた各分科会において検討を重ねた検討結果が報告された後,部会が4回行われ,「少年」の年齢の引下げのほか,犯罪者処遇を充実させるための制度・施策について検討が行われています。
 今後も引き続き,部会において検討が行われるものと承知しており,法務大臣としては諮問している立場ですので,法制審議会における議論を見守りたいと考えています。
 

行政文書の不適切な廃棄に関する質疑について

【記者】
 今回不適切な廃棄が判明して,保存期間満了後の行政文書ファイル合わせて7,676件あったとのことですが,この中に本来であれば,保存期間満了後に国立公文書館に移管すべきであったもの,そうした大事なものや重要なものはなかったのか教えてください。

【大臣】
 重ね重ねお詫びを申し上げますが,今般不適切な廃棄が判明した保存期間満了後の行政文書等は,過去の出勤簿など,更生保護官署における内部管理事務に関する行政文書等でした。また,行政文書ファイルの作成・取得時の内閣府との協議において,国立公文書館に移管すべきとされたものはないということが分かっています。
 また,他の更生保護官署が行った実際の廃棄前の内閣府との協議では,同種の行政文書について廃棄することに同意を得られていると聞いています。
 そのため,実質的には,いずれも保存期間満了後には廃棄することが相当なものであって,国立公文書館への移管が必要なものはなかったと考えています。ただ,廃棄前には協議を要するのだという手続について改めて徹底したいと思っています。
 

外国人材の受入れに関する質疑について

【記者】
 外国人材の関連でお伺いします。昨日野党が行ったヒアリングの中で,技能実習生や当時の研修生が去年までの8年間で174人が亡くなっていたと法務省が明らかにしました。この数字に対する大臣の受け止めと,今後の対応をお伺いします。

【大臣】
 亡くなった原因は様々であると承知していますが,技能を修得するという大きな夢,希望を抱いて来日した技能実習生の方々が不幸にも日本で亡くなる事案が発生していることについては,非常に遺憾に思っています。
 これまで,地方入国管理局においては,監理団体等から,死亡事案の報告を受けた際には,事案の内容に応じ,調査を実施し,技能実習生の死亡の原因となる不適正な行為等の有無を確認し,必要に応じて関係官署に情報提供をしてきたと承知しています。
 去年の11月から施行された新たな技能実習制度の下では,死亡事案が発生した場合,外国人技能実習機構に対して届出が行われて,必要な対応が執られるものと承知しています。ただ,技能実習制度については国会でも様々な御指摘をいただいたところであり,運用状況について,法務省内に設置しています,弁護士である門山政務官をトップとする技能実習制度の運用に関するプロジェクトチームにおいて,検討することとしています。
 しっかりした調査をするようにということは私からも指示をしているところです。

【記者】
  昨日,今日と共生社会の実現に向けた総合的対応策の骨格を政府がまとめ,週明けに校正されて25日に基本方針等と併せて閣議決定をするとの報道がありました。
 いずれも政府関係者への取材となっていますが,この問題については法務省が司令塔ということで,閣議や関係閣僚会議,検討会といろいろとあったと思いますが,この三段階とは別の形での発表だったのでしょうか。昨日,法務省に聞いても法務省の発表ではないとのことでしたので,「政府関係者」とは一体誰なのかお聞かせください。

【大臣】
 法務省として発表ではないということが,まず第一点です。今の御質問は,様々な報道についてこのように報道されているが,ニュースソースは誰か,ということですが,取材源について法務省として調査をすることは,当然行っていません。いずれにせよこの基本方針については,法律が成立して,来年4月の受入れ開始に向けて,各業所管省庁や当省を含む制度所管省庁である外務省,厚生労働省,国家公安委員会などとの協議の最終段階ということですので,法務省としては近々決定次第お示ししたいと考えています。

(以上)