平成30年12月20日
農林水産省

農林水産省は、平成18年度以降、セイヨウナタネやダイズの輸入港の周辺地域において、遺伝子組換えセイヨウナタネや遺伝子組換えダイズの生育や、その近縁種との交雑の有無を調査してきました。

平成29年度の調査では、これまでの調査結果と同様、主に運搬時にこぼれ落ちた種子に由来すると考えられる遺伝子組換えセイヨウナタネ及び遺伝子組換えダイズが生育していましたが、その生育範囲の拡大及び近縁種との交雑は認められませんでした。このことは、遺伝子組換えセイヨウナタネ及び遺伝子組換えダイズによる生物多様性への影響が生じていないことを示しています。

1.調査の目的及び背景

我が国では、カルタヘナ法(注)等に基づき、遺伝子組換え農作物等について、その系統ごとに、食品・飼料としての安全性や生物多様性への影響(運搬時にこぼれ落ちた種子が生物多様性に及ぼす影響を含みます。)を科学的に評価し、影響が生ずるおそれがないと判断された場合のみ、食品や飼料としての使用、栽培、加工、保管、運搬及び廃棄等を承認しています。

農林水産省は、承認した遺伝子組換えセイヨウナタネや遺伝子組換えダイズにより、生物多様性への影響が生じていないことを確認するため、また、遺伝子組換え農作物による我が国の生物多様性への影響を懸念する声に対応するため、

(1) 平成18年度から、セイヨウナタネ等の輸入港の周辺地域において、遺伝子組換えセイヨウナタネの生育や、その近縁種(カラシナ及び在来ナタネ。以下、セイヨウナタネを含めて「ナタネ類」といいます。)との交雑の有無

(2) また、平成21年度から、ダイズの輸入港の周辺地域において、遺伝子組換えダイズの生育や、その近縁種であるツルマメとの交雑の有無
を調査してきました。

平成28年度までの調査では、主に陸揚げ地点に近接する幹線道路沿いの植栽帯等において、主に陸上での運搬時にこぼれ落ちた種子に由来すると考えられる遺伝子組換えセイヨウナタネや遺伝子組換えダイズが生育していましたが、それらの生育範囲の拡大や近縁種との交雑は認められませんでした。
平成29年度についても引き続き生物多様性に影響がないことを確認するため、調査を実施しました。

(注)遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)

2.平成29年度の調査方法及び調査結果(概要)

(1)調査方法
・セイヨウナタネについては17港、ダイズ及びツルマメについては10港において、それぞれ陸揚げ地点から5kmの範囲で、葉を採取・分析し、遺伝子組換え体か否かを判定しました。

・さらに、遺伝子組換え体が交雑と世代交代を繰り返すことにより生育範囲を拡大する可能性を把握するため、遺伝子組換え体が生育していた場所及びその周囲において、ナタネ類等に結実した種子を採取・分析し、遺伝子組換え体の交雑率を調査しました。

(2)調査結果
以下の結果のとおり、前年度までの調査結果と比べ、生育範囲の拡大や近縁種との交雑は認められず、遺伝子組換えセイヨウナタネ及び遺伝子組換えダイズによる生物多様性への影響は認められませんでした。

・遺伝子組換えセイヨウナタネは、10港において、計80群落(105個体)生育しており、その周囲に生息するセイヨウナタネとの交雑率は、遺伝子組換えでないセイヨウナタネ間の文献等に示された交雑率と同程度でした。

・遺伝子組換えダイズは、1港において計6群落(8個体)生育していましたが、異なる除草剤耐性を有する遺伝子組換えダイズ間の交雑は認められませんでした。

・遺伝子組換えセイヨウナタネや遺伝子組換えダイズの生育地点は、主に陸揚げ地点に近接する幹線道路沿いの植栽帯等でした。

3.今後の対応

農林水産省は、遺伝子組換え農作物等が我が国の生物多様性に及ぼす影響に係る科学的知見を一層充実させるため、平成30年度も本調査を実施しています。

4.参考

これまでの遺伝子組換え植物実態調査の結果については、以下に掲載しています。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/torikumi/index.html#2

<添付資料>
遺伝子組換え植物実態調査(平成29年実施分)(PDF : 567KB)

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:山原、西山
代表:03-3502-8111(内線4510)
ダイヤルイン:03-6744-2102
FAX番号:03-3580-8592