(H30.12.17(月)16:30 ~ 16:48 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

平成31年度予算編成大臣折衝について

大臣:
それでは私からお話をいたします。先ほど、財務大臣と、平成31年度予算編成に関して折衝を行いました。厚生労働大臣の折衝事項について説明いたします。一つ目の項目です。平成31年度の社会保障関係費の実質的な伸びについては、様々な改革努力を積み重ねることにより、平成30年度に比べて、プラス4,800億円程度とすることとしました。二つ目の項目です。消費税率引上げに伴い、医療機関や介護施設等が負担する仕入れ税額相当分について、診療報酬や介護報酬等で適切に補てんするため、報酬改定を行うこととしました。その際、薬価等については、市場実勢価格を適切に反映することとしました。それぞれの改定率は、診療報酬本体は、プラス0.41%、薬価は、マイナス0.51%、介護報酬は、プラス0.39%、障害福祉サービス等報酬は、プラス0.44%としました。三つ目の項目です。介護人材の処遇改善については、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指し、国費210億円程度を確保しました。障害福祉人材の処遇改善についても、介護人材を参考に適切な対応を行うため、国費90億円程度を確保しました。四つ目の項目です。社会保障の充実等については、消費税率引上げの初年度増収分の概ね半分を活用し、幼児教育・保育の無償化、介護人材の処遇改善等を実施するとともに、地域医療介護総合確保基金の増額、医療ICT化促進基金の創設等、合計で公費プラス8,100億円程度を確保しました。この消費税増収分による「社会保障の充実等」は、一つ目の項目の「社会保障関係費の実質的な伸び」とは別枠になります。「社会保障関係費の実質的な伸び」のプラス4,800億円に加えて、別枠で、「社会保障の充実等」を行うこととなります。五つ目の項目です。後期高齢者医療の保険料軽減について、本則の7割軽減に加え、国庫補助で更なる軽減の上乗せを行ってきたところでありますが、平成28年の社会保障制度改革推進本部決定において、介護保険料軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給とあわせて見直すとされていることを踏まえ、来年度から、更なる軽減上乗せ分について見直すこととしました。具体的には、201910月から国庫補助を廃止し、当該後期高齢者の保険料を本則の7割軽減とします。ただし、現行の8.5割軽減が適用される方の負担に配慮し、201910月から1年間に限り、国庫補助の廃止により負担増となる所要額について特例的に補填を行います。六つ目の項目です。平成31年度予算の「臨時・特別の措置」として、全国の上水道管路に関する緊急対策など、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」の実施に必要となる国費計690億円程度を確保しました。これにより、水道施設整備費について、平成31年度当初予算と平成30年度第二次補正予算を合わせて、国費920億円程度を確保しました。平成21年度以来、10年ぶりの高い水準になります。七つ目の項目です。軽減税率の恒久財源の確保については、歳出面における協力分として、これまでの社会保障の見直しの効果の一部を活用して対応することとしました。八つ目の項目です。骨太方針2018の改革検討項目について、「新経済・財政再生計画 改革工程表」に沿って、着実に実行することを確認しました。また、今後、持続可能な社会保障の構築に向けた取組を進めるとともに、必要となる社会保障の水準に係る財源が確保されるよう努めることを確認しました。大臣折衝事項の説明は、以上です。平成31年度予算においては、来年10月の消費税率引上げ財源も活用して、全世代型社会保障の基盤強化に取り組むために必要な予算を確保できたと考えています。これから与党手続き、国会審議等がありますが、予算が効果的に活用されるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思います。この後、事務方のブリーフィングがありますので、詳細は、そちらでお聞きいただきますようお願いをいたします。私からは以上です。

質疑

記者:
歳出の中でも大きな割合を占める社会保障費ですけれども、来年度予算案での総額というものが分かれば教えてください。
大臣:
総額はまだ今の段階では、まだ大臣折衝が終わった段階で、総額については予算編成過程の最中にあるので、これからの結果で明らかにします。
記者:
後期高齢者の保険料の見直しなんですけれども、8.5割の人については一年間に限って特例的に補填を行うということですけれども、この一年間ということに対して、合理的な説明というのが付くのでしょうか。あれば教えてください。
大臣:
まず、後期高齢者の保険料については、本則に規定されている7割軽減に加えて、先ほども申し上げましたが、平成20年以来予算措置として定める軽減の上乗せを実施してきました。そして軽減措置の上乗せ分に関する見直し、これについては、平成2812月の社会保障制度改革推進本部決定において、「低所得者に対する介護保険料軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給とあわせて実施する」とされており、すでにこれは政府としての方針が決定されていたものです。ただし、軽減措置の上乗せ分の見直しに当たっては、低所得の方に対してできうる限り配慮いたしました。具体的には現行の9割軽減の対象となる低所得の方は、介護保険料の軽減強化や、年金生活者支援給付金が支給され、実質的には負担増とならない方であり、来年10月より、本則の7割軽減に戻すこととしました。一方で、現行で8.5割軽減の対象となる低所得の方については、年金生活者支援給付金等の支給がされないといったことなどを踏まえて、来年度は本年度同様に8.5割軽減を維持する、その部分を補填するということに、これが政府内でまとまったところであります。いずれにしても、今回の見直しは軽減措置の特例的な上乗せについての見直しを行うものであること、保険料軽減特例の対象となる低所得の方にとって、介護保険料軽減の拡充や、年金生活者支援給付金の支給とあわせて、実質的な負担増とならないような形で見直しを行うというものであります。これについては丁寧に説明していきたいと思っています。
記者:
ということは、一年間でもうこれは完全に廃止ということで、来年の今頃にもう一度このような見直しをすると、要は一年間を二年間、三年間ということはもうないということでよろしいですか。
大臣:
要は既にこれは、平成2812月の社会保障制度改革推進本部決定において、もう政府の方針として決定されていたので、9割軽減は実質的に負担増にならないように、そして、8.5割軽減の対象となる方は、年金生活者支援給付金などの支給がされないということを踏まえて、来年度は本年度と同様に8.5割軽減を維持するという方向で政府内でまとまった。ですから、今の方針はそういうことで対応するということにしました。
記者:
今の後期高齢者の特例措置の関係なんですが、もともと本部決定で消費増税に合わせて廃止することは方針として決まっていたと思うんですけれど、改めて今回廃止するということは世代間の不公平感を埋めるという意味合いも当初あったと思うんですが、そのあたりの意義について教えてください。
大臣:
もともとこれは後期高齢者医療制度が導入されたときに、所得割と均等割というのがあって、均等割については2割、5割、7割か所得に応じて軽減すると、実は本則でそうなっていた。ただ、導入時点で様々な議論があって、9割軽減、8.5割軽減という特例的な軽減措置を予算措置でやってきましたが、まさに、平成2812月の本部決定において、「低所得者に対する介護保険料軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給とあわせて実施する」とされていました。もともと後期高齢者医療制度というのは全体の1割は後期高齢者の保険料、そして残り9割は、5割は公費、4割は現役世代の拠出という構造になってますから、その意味では現役世代からの拠出は全体の4割ですから、公費は確かあの当時、後期高齢者医療制度を導入したときに、公費を私の記憶では3割から5割に上げたんだと思うんですけれど、そういうことで、全体で支え合っている仕組みだから、その意味で今回の介護保険料軽減の拡充や、年金生活者支援給付金というのを新たに構じる、負担増に対して介護保険料軽減の拡充、年金生活者支援給付金の支給を新たにやることにしたので、ここは本則に戻すということで、今回それが適切だろうということで、本則に戻すと。
事務方:
平成14年に3割を5割に上げまして、それを20年に後期高齢者の制度が出来たときにそのまま引き入れたという話です。
大臣:
だから今そういう後期高齢者の制度はそういう形で支え合っている制度なので、そこはその制度の趣旨を考えて今回対応したいということであります。
記者:
あと一点、閣僚折衝で大臣として今回こだわった点について、抽象的ですが改めてお願いします。
大臣:
こだわった点、今回は大臣折衝の項目がたくさんありましたが、要は今回の予算は人生100年時代を見据えて誰もがその能力を発揮できる一億総活躍社会の実現に向けて来年10月の消費税率引き上げ財源を活用して、要は全世代型社会保障の基盤強化に取り組む、そのために必要な予算を確保する、これが私の基本であります。具体的には、消費税率引き上げによる初年度増収分のおおむね半分、公費8,100億円程度を活用して、待機児童の解消、幼児教育・保育の無償化など、子ども・子育て支援の充実、年金生活者支援給付金の支給、介護保険料の更なる軽減強化など、高齢者に対する支援の充実、地域医療介護総合確保基金の増額、医療ICT化促進基金の創設、介護人材の処遇改善など、医療・介護の充実などの社会保障の充実・強化を行うこととしています。今回こだわったというより、ここが私は基本だということで、今回の予算の確保に尽力してきたと、こういうことであります。これからも、できる限り重点化・効率化を図りながら必要な予算を確保して国民がその人らしく力を発揮し、安心して暮らしていけるよう取り組んでいきたいと思います。
 

(了)