報道発表資料
平成23年3月29日
法務省民事局

東北地方太平洋沖地震に伴う津波などの被害により権利証(登記済証・登記識別情報通知書)(注1)を紛失された場合もあると考えられます。しかし,この権利証の紛失によって不動産(土地・建物)の所有権等の権利を失うことはありません。

権利証は,登記の申請をする際に,本人確認資料として登記所に提出していただくものですが,登記をするには,権利証のほかに,所有者の印鑑証明書等の本人確認資料も必要となりますので,権利証を紛失しただけで,直ちに所有権の移転の登記や抵当権の設定の登記が不正にされるなどして,登記記録上の権利関係が変わることはありません。

また,権利証を紛失したからといって不動産の売却等の処分ができなくなるわけでもありません。

なお,紛失した権利証を再発行することはできませんが,不正な登記がされることを予防する方法として,不正登記防止申出制度(注2)がありますので,詳しくは,最寄りの登記所に御相談ください。

 

〔被災地の法務局の連絡先〕

仙台法務局民事行政部不動産登記部門 022-225-5767

盛岡地方法務局登記部門       019-624-9852

福島地方法務局不動産登記部門    024-534-1111

 

(注1)権利証

権利証(登記済証)とは,登記が完了した際に登記所から登記権利者(買主等)に交付されていた書面です(現在は,「登記識別情報」として12桁のアラビア数字その他の符号が通知されます。)。権利証は,例えば,登記記録上の登記名義人が登記義務者(売主等)として所有権の移転の登記を申請する場合に,登記名義人本人からの申請であることを確認する資料として登記所に提供することとされています。

 

(注2)不正登記防止申出制度

不正登記防止申出制度は,不正な登記がされる差し迫った危険がある場合に,申出から3か月以内に不正な登記がされることを防止するための制度です。

この申出をすることにより,申出から3か月以内に登記が申請された場合は,申出をした方に,当該登記が申請された旨が通知されますので,身に覚えのない登記がされることを防止することができます。

なお,不正登記防止申出の手続は,申出人(登記名義人等)本人が登記所に出頭することを原則としていますが,本人が登記所に出頭できない止むを得ない事情があると認められる場合には,委任による代理人が登記所に出頭してすることもできます。