近時,相続した不動産について相続登記がされていないケースが数多く存在していることが,東日本大震災からの復興に関連して報道されるなど,相続登記が社会的な関心を集めていることを御存知でしょうか?
 相続登記が放置されているため,所有者の把握が困難となり,まちづくりのための公共事業が進まないなどのいわゆる所有者不明土地問題が顕在化しており,また,相続登記の未了は,適切な管理がされていない空き家が増加している大きな要因の一つであるとの指摘もされています。 

すぐに相続登記をした場合のメリット

 不動産についての権利関係が明確になり,相続した不動産を売却しようとしたときに,すぐに売却の手続をすることができますし,担保に入れて住宅ローンを組むことができます。

相続登記をしないで放っておくデメリット

 当事者に所在不明の方などがいる場合,すぐに登記を含めた相続の手続をすることができず,相続分を確定することが困難となります。さらに,相続が2回以上重なると,誰が相続人となるのか,その調査だけで相当の時間が掛かり,相続登記の手続費用や手数料も高額となってしまいます。相続の手続に時間が掛かると,相続した不動産を売りたいと思ったときに,すぐに売ることができなくなるなど,思わぬ不利益を受けることがあります。

法務省は,相続登記の手続の見直しに取り組んでいます

 平成28年3月,相続登記の申請をする際に提供する必要がある添付情報の見直しを行い,滅失等により除籍等の謄本を提供することができない場合には,その旨の市町村長の証明書を提供すれば,「他に相続人はない」旨の相続人全員による証明書(印鑑証明書添付)の提供を要しないこととしました。
 また,平成29年3月にも,添付情報の見直しを行い,所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合において,被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し(本籍及び登記記録上の住所が掲載されているものに限る。)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証が提供されたときは,不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認することができることとしました。
 さらに,同月において,相続登記の手続きの簡素化を図るため,第一次相続の相続人による遺産分割が未了のまま第二次相続及び第三次相続が発生し,その遺産分割協議が第一次相続及び第二次相続の各相続人の地位を承継した者並びに第三次相続人の相続人によって行われている場合において,遺産分割協議書に不動産を第三次相続の相続人の一人が単独で相続した旨の最終的な遺産分割協議の結果のみで掲載されているときであっても,「年月日B(第一次相続の相続人)相続,年月日C(第二次相続の相続人)相続,年月日相続」を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができることとしました。
 今後も,相続登記の手続の簡素化やその利便性の向上に取り組んでまいります。

 自分の権利を大切にするとともに,次世代の子どもたちのために,未来につながる相続登記をしませんか?

・相続登記に関するお問い合わせは,お近くの法務局(法務局のページが開きます)へ。

・相続登記申請の様式はこちらへ。

・相続登記申請を資格者代理人に依頼する場合は,お近くの司法書士(日本司法書士会連合会のページが開きます)へ。

・こちらも併せてご覧ください。

   →司法書士アクセスブック「よくわかる相続」【PDF】(日本司法書士会連合会のページが開きます)

 

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