平成30年12月4日(火)
9:27~9:38
於:記者会見室

冒頭発言

産業革新投資機構

 冒頭私から1点申し上げたいと思います。

 昨日、事務方がブリーフをしましたように、12月3日付で株式会社産業革新投資機構(JIC)から、予算の変更認可申請について、調整未了の報酬水準を前提とした予算の変更は認可しないことを決定いたしまして、JICに通知をしたところであります。
 この決定に関連して、JIC立ち上げの事務的調整に当たって、確定前の報酬額の案をJIC経営陣に提示をし、その後、撤回するという事務的な失態を起こし、JIC社長との相互不信の状況を招きました。このため、JIC立ち上げ業務の事務方トップの責任者である事務次官に対して、厳重注意処分として併せて30%、1カ月の給与の自主返納といたしました。また、組織全体に責任を持つ監督責任の観点から、私自身も大臣給与を1カ月自主返納いたします。その上で、嶋田事務次官には今回の事態収拾に最大限の努力を尽くすことを指示をしたところであります。
 いずれにせよ、今後の報酬やガバナンスの在り方に対しては、100%近い株式を保有する株主である国の意向をしっかりと反映をさせていきたいと考えています。

 私からは以上です。

質疑応答

米中貿易摩擦

Q: まず、アメリカの中国に対する輸入品の関税の引き上げの見送りなのですけれども、その受け止めをお願いいたします。

A: 米中両国が世界経済の安定的な成長と発展につながる関係を構築することは、日本を含むアジアのみならず、世界全体にとっても重要なことであります。
 米中首脳会談において、米国が年明けに予定していた中国への追加関税を猶予することで合意したとのことでありますけれども、今後、米中間で協議が進められていく中で、その帰趨次第では、さらなる追加関税が課される可能性もあると認識をしております。
 引き続き経済や日本企業への影響も含めて、両国の協議の進展を注視したいと考えています。

産業革新投資機構

Q: 今お話にありました産業革新投資機構の件、不認可になった理由と、改めて今後、機構側にどのような対応を求めていくのか、お考えを伺えますか。

A: まず、これまで半年間にわたってJICと経済産業省事務方との間で、JICの役員報酬、あるいは組織ガバナンスの在り方について議論を続けてまいりました。
 その議論の中で、経済産業省事務方の不手際によって、事務的に提示をした報酬のオファーを撤回することとなって、経済産業省とJICの田中社長の間の信頼関係が極めて深刻な状態になっているわけであります。
 こういった状況の中、経済産業省が撤回をした基準に従った報酬基準が届け出をされ、その報酬基準に基づき、予算の変更認可が申請をされたわけであります。
 経済産業省としては、この報酬基準は受け入れられないということを明確にお伝えしてきたにもかかわらず、それに基づいて変更認可申請が出てきたため、昨日、今回の申請は認可しないということを決定して、JICに通知をするとともに、国民への説明責任を果たすという観点から、不認可に至る経緯を対外的に説明させていただいたところであります。
 JIC立ち上げの事務的調整に当たって、経済産業省の不手際によって、JIC経営陣との調整が難航した事務的失態は、これは明らかでありまして、事務方トップの責任者である事務次官を処分しました。また、経済産業省の全般に責任を負っている大臣として、私自身も給与の自主返納を決めさせていただいたところであります。
 併せて嶋田次官に対しては、ともかく早急に事態を収拾するように指示を行っているところであります。

Q: 大臣は非常に官製ファンド、官民ファンドにお詳しい、精通された大臣だと思いますけれども、今回その大臣が、何で最初、経済産業省がとても受け入れられないような高額の報酬案を向こう側に提示して、後からそれを受け入れられないということだったのですが、自分で言ったことを自分で撤回するようなことになったわけですね。それはすごく奇異に感じます。
 大臣は、国会で世界水準並みの報酬を約束するみたいなことをおっしゃっておられたし、この間の記者会見でもそのような旨のご発言があった。そこからすると、ものすごく急ブレーキがかかったような感じがするのですが、そこはなぜなのでしょうか。

A: これは、私の考え方は基本的にはぶれておりません。過去の国会議事録を見ていただければ分かると思うのですけれども、一つはある程度の報酬を約束しないと、グローバルに通用するプロフェッショナル人材はなかなか獲得をできないという面があります。
 しかし、一方でここは日本という国であります。しかも国の資金で運営をされている組織の報酬というのは、一定の水準ですとか、あるいは国民がある程度納得をいただける相場観というものもあるのだろうというふうに思っております。この点はずっと私、申し上げてきているところであります。
 その上で、GPIFなど、他の組織のことも見ながら考えていきたいと、このことを私は国会の場でも申し上げてまいりましたし、この記者会見等で申し上げていることも、このラインに沿った内容で申し上げていると思っています。
 事務方には、こうした考え方を伝えて、JIC役員の具体的な報酬額の検討を委ねてまいりました。私としては、グローバルな人材がしっか採れて、かつ、いわゆる日本の国の中での相場観に合致をしたものという全体的な方針を指示した上で、節目、節目でその方針に沿って、どういう議論になっているかという報告は受けていたわけでありますけれども、オファーレターにある具体的な金額を提示するとの説明、報告は、これは残念ながら受けていなかったわけであります。
 その後、今回のプロセスにおいて、11月8日に事務次官から事務的な検討の結果、9月21日に提示をした報酬額を撤回し、仕切り直すべきだと考えるという報告、相談を受けまして、私もその方向で取り組むことを了承したところであります。その際には、私の方から見直すべきはしっかりと見直して、JICとしっかり調整をするよう指示をしているところであります。

Q: 何で糟谷さんは1億2,000万円も提示したのですか。

A: これは事務的に、まだ最終的に私も了承していない内容がオファーレターで提示をされたということであります。

Q: 今、大臣おっしゃっていましたが、改めて確認ですが、年間5,500万円の報酬に加えて業績連動、これは大臣としてはこの金額は適切だと考えていないのか、適切だと考えているのか、また、幾らぐらいが適切な相場観とお考えなのでしょうか。

A: 最初に報酬のオファーを提示した段階では、これは事務的にグローバルにネットワークを有する人材の確保を重視した上で、グローバルレベルのファンドの水準を参考にしたというふうに聞いております。これはこういった人材の、いわゆる給与水準を専門に扱っているコンサルタントもありまして、そういったところの意見も聞きながら、参考にしたというふうに聞いています。
 しかし、一方で官民ファンドというのは、国の資金を前提としています。普通、民間のファンドは、資金集めで大変な苦労をするわけです。一般の投資家から、どうやって資金を集めるかというところで苦労をするのですが、官民ファンドは国の資金を前提としているというところで、資金集めの苦労の度合いが一般の民間ファンドとは異なるという点もあるわけでありまして、そういったことも勘案をして、報酬水準というものは決めなければいけないというふうに思っています。
そういう観点からすると、固定給プラス短期業績連動で5,500万円とか、あるいは固定給で6,000万円といった報酬は、これは高過ぎる面があるというふうに思っています。
 しかもいまだJICとしては、これは収益を上げてないわけですね。まだ始まったばかり、その段階であたかも1億円を超える報酬がもらえるというふうに取れるようなオファーをした。これは経済産業省としても、国全体としても、受け入れられるものではなかったというふうに考えています。
 ただ、そういったことを一旦とはいえ紙でオファーをしたということについては、これは事務的な失態でありまして、事務次官と、そして全体の監督責任ということで、私が一定の責任を取らせていただく必要があると思っています。

Q: 今の質問の中の、幾らぐらいの相場観が適切とお考えかというのを伺いたいのですが。

A: それは今後しっかり議論をして決めていきたいと思っています。

トルコ原発

Q: 話題が変わりまして、トルコの原子力発電所なのですけれども、建設断念という報道が出ていますが、現時点の事実関係を。

A: トルコでの原発建設計画については、現在まさに協議を行っている最中でありまして、何らかの決定が行われたという事実は全くございません。

以上

最終更新日:2018年12月5日