平成30年12月7日(金曜日)
9時29分~9時39分
於:記者会見室

冒頭発言

私からは特にございません。

質疑応答

産業革新投資機構

Q:幹事から1問お願いします。
産業革新投資機構の報酬、投資手法をめぐる摩擦について、大臣は早期の事態収拾を指示されています。その後の進捗を教えてください。
また、2019年度概算要求に盛り込んだ機構の1,600億円規模の増資措置の減額、取り下げを検討していると報じられていますが、事実であればどのようなご理由か、教えてください。

A:経済産業省としては、現在まさに混乱した事態の収拾に当たっているところでありまして、その状況について現時点でコメントをするのは控えさせていただきたいと思います。
いずれにせよ、今後の報酬やガバナンスの在り方に対しては、100%近い株式を有する株主である国の意向をしっかりと反映をさせていきたいと考えています。JICにおかれては、これまでの経緯を踏まえて、今後の対応をよく考えていただきたいというふうに思っています。
また、1,600億円の財投の要求については、現在財務省と調整中でありますので、調整状況についてのコメントは控えたいと思いますが、この財投要求の1,600億円は、独立行政法人に対する運営費交付金予算のように、法人の日々の運営に充てることを目的にするものではありません。JICは今年9月の発足時に、INCJから全ての資産を継承しておりまして、現預金1,604億円程度が引き継がれ、当面この資金で投資やファンドの運営が可能というふうに聞いております。
今回議論となっている1,600億円の財投の要求というのは、この投資資金に余裕を持たせるものであることを念のため申し上げておきたいというふうに思います。

Q:機構の田中社長についてなのですが、経済産業省としては信頼関係が深刻で、資金は任せられないというようなお話をされていて、辞任を迫っていますと理解しているのですけれども、改めて田中社長の続投は認められないというお立場なのかという点と、それからもし田中社長がそういった判断をされなかった場合に、大株主としての国の今後の対応について、どういったことを考えられるのか、その辺のお考えをお聞かせください。

A:共同通信さんから久しぶりに御質問いただきましたが、お答えする前に一言申し上げたいと思います。
先日の、事実上MOX再処理を断念とする記事について、重ねて訂正を強く求めたいと思います。私も会見でこう申し上げるのも6回目になります。
共同通信は9月の記事に加えて、10月末に新たな記事を配信しておられますが、一部の表現が改められているものの、いまだに使用済MOX燃料を再処理する場合の資金的裏付けは実質的に失われているといった記載があり、明確に事実に反しているわけであります。
共同通信社に対しては、事実誤認を訂正していただくよう強く求めたい。年を越す前に、しっかりと対処していただきたいということを申し上げた上で、今の御質問にお答えをしますけれども、経済産業省としては引き続き、この混乱している事態の収拾を図ることが何よりも重要というふうに考えていますし、経済産業省として今、考えていることは、報酬やガバナンスの在り方について、100%近い株式を保有する株主として、国の意向をしっかりと反映をしていくことが何よりも重要だと考えています。

Q:先ほど大臣がおっしゃっていた財投の要求投資資金、余裕を持たせるものであるということを念のため申し上げておきますというふうにおっしゃっていただきましたけれども、この意味についてお伺いしたいのですが、余裕を持たせるものであるので、切っても問題はないというふうに捉えているのでしょうか。

A:当面の運営に問題がないということであります。

日産・ルノー

Q:日産のゴーン前会長の件なのですけれども、先月フランスのルメール大臣と世耕大臣が会談した後に、一部報道で大臣からフランス側に抗議する書簡を送ったということがありましたが、その事実関係を教えてください。

A:外交交渉に関することでありますので、書簡の存否も含めて、コメントは控えたいというふうに思います。
ただ、11月22日にルメール大臣と会談した際には、日本政府とフランス政府は、日産、ルノーのアライアンスに対して、また、協力関係を維持していくという彼らの共通の意志に対して、強力にサポートすることを再確認しているという形で声明も出させていただいております。そのことに尽きるというふうに考えております。

産業革新投資機構

Q:JICで第1号の認可ファンドが既にアメリカにありますけれども、そちらにはどんな影響があるのか、実際運用は進んでいるのでしょうか。あとINCJにどんな影響があるのか。

A:まず、INCJの方からお答えしたいと思いますが、個別の出資案件の意見照会プロセスなど、法改正前と同様のガバナンスの下でINCJは現在運営をされているわけでありまして、特段の影響はないと考えています。いずれにせよ事態を早急収拾して、INCJの投資案件に関して、影響が出ないようにしていきたいというふうに思っています。
一方で、アメリカのファンド、これはJIC-USといいますが、これは10月24日付けで認可をしておりまして、ファンド組成など既に事業活動が具体的に進んでいるというふうに考えられるわけですが、まだ正式な報告は受けていないという状況であります。
早急に報告を求めて、出資案件への影響を含めて、経済産業省として判断をしたいというふうに思います。
既にJICとの間の信頼関係が崩れているという状況にある中で、JIC-USを含め、どのようなガバナンスや、あるいはどのような情報開示を求めていくかなど、100%近い株主として、国として早急に判断をしていきたいというふうに思っています。

Q:先ほどの質問にもありましたが、田中社長の続投についてはどうなるのかということをお聞きしたいのですが、JIC自体が存続するのかどうかもお伺いしたいと思います。

A:何よりも事態の早期収拾が重要だというふうに考えています。人事とか、そういったことについては、その結果として出てくるものだと思っています。

Q:先ほどの1号ファンドの関係なのですけれども、10月24日の認可なのですけれども、なぜ認可したのかというのをちょっとお聞かせいただきたい。
というのは、随分、自由度を高めるためとはいえ、かなりざっくりした認可申請だったというお話もちょっと聞いているのですけれども、国の責任で、まだ2,000億円の振り込みがまだされてないと思うのですけれども、今後そのお金の行方がどこ行くかわからないという話になると、認可された経済産業省の責任というのも問われるのかなと思うのですが、その点いかがでしょうか。

A:まず、この1号ファンド、JIC-USを認可した理由でありますけれども、これは特にバイオ、創薬など、リスクが高いけれども、成長が期待される産業分野を育てていくためには、一定のリスクマネーが必要であって、特に米国ではこうした分野に潤沢な民間資金が流れ込むサイクルが存在をしているわけでありますが、日本ではそれがまだ十分とは言えないわけであります。
今回、立ち上げたJIC-USのファンドについては、リスクマネーの供給を通じて、日本の産業の競争力強化を達成するため、グローバル規模で最先端の成長産業に対する知見、目利き能力、投資ノウハウを取得をして、日本の成長企業、そこにつなげていくということを目指しているわけであります。
当然、認可してそのままほったらかしということではありません。必要がある場合はしっかりと報告を求め、報告徴収をして、国としての責任はしっかりと果たしていきたいと思いますが、個別の企業への投資案件に口を挟むということはしないと、これは私は法改正のときに国会でも答弁をしてきているとおりであります。

NICE Futureイニシアチブ

Q:日本がアメリカとカナダと主導しているNICE Futureについて、日本としてどういったことが狙いなのか、期待されることは何なのか、教えてください。

A:NICE Futureイニシアチブは、2018年5月、主要先進国が参加する第9回クリーンエネルギー大臣会合において、日本、アメリカ、カナダがリードをして設けられた対話の枠組みでありまして、現在9カ国が参加をしているところであります。
この中では、各国の政策担当者、国際機関、原子力関連事業者、学術界がクリーンエネルギーを普及していく中での原子力の役割について、議論を行っているところでありまして、各国との原子力関係の情報共有の場として機能していると考えています。引き続きこうした対話の機会を有効に活用していきたいと考えています。

以上

(※)実際の発言は「特にバイオ、創薬、宇宙など」ですが、正しくは「特にバイオ、創薬など」でしたので、会見録を訂正しました。

最終更新日:2018年12月7日