1.  本2日午後0時10分頃から約40分間,河野太郎外務大臣は,訪日中の林鄭月娥(キャリー・ラム)香港特別行政区行政長官との間で会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。なお,香港特別行政区行政長官の訪日は,平成21年2月曾蔭権(ドナルド・ツァン)香港行政長官の訪日以来,約10年ぶりとなります。

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    1 冒頭発言

    (1)冒頭,河野大臣から概要以下の発言がありました。

    ア 香港特別行政区行政長官としては10年ぶりとなる今回のラム行政長官の訪日を心より歓迎。3月の自身(河野大臣)の訪港以来の再会であり喜ばしい。

    イ 香港は,「一国二制度」の下,自由で開かれた体制を維持し民主的に力強く発展することを通じ,引き続き日本を含むアジア太平洋地域の繁栄と発展に重要な役割を果たすことを期待する。

    (2)これに対し,ラム行政長官から概要以下の発言がありました。

    ア 河野大臣からの今回の訪日招聘に深く感謝申し上げたい。イノベーションを含め,日港関係の実務協力を推進するための大変充実した4泊5日の日程となった。

    イ 今次訪日に当たって,日本との間で共同ステートメント仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)を発出することができ喜ばしい。同ステートメントの内容は様々な分野を含む包括的なものであり高く評価できる。

    2 経済関係強化

    (1)総論
     河野大臣から,ダイナミックな経済活動を支える低税率,少ない規制等のビジネスに適した環境等,外国からの投資を引きつけてきた諸制度が一層完備されていくことを期待する旨述べました。ラム行政長官から,香港に進出する日本企業は国別1位であり,日本企業のためにもビジネス環境の更なる向上を重視し,引き続き取り組んでいく旨述べました。

    (2)農産品
     河野大臣から,香港側が4県(茨城,栃木,群馬,千葉)産への規制を基本的に解除したことに感謝する旨述べました。さらに,福島県を含む残る輸入規制に関しても早急に解除し,被災地の復興に協力して欲しい旨要望したのに対し,ラム行政長官から,適時に必要な措置をとれるよう引き続き検討を進めていく旨述べました。

    (3)投資・ビジネス
     ラム行政長官から,先月習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が出席した「香港・マカオ・珠海大橋」の開通式に言及しつつ,「広東・香港・マカオ大湾区構想(グレーターベイエリア構想)」は日本企業にとってもチャンスである旨述べました。河野大臣からは,本構想には関心を有する日本企業も多いことから,引き続き情報提供して欲しい旨述べました。

    (4)医療分野,スマートシティ,イノベーション
     双方は,医療分野,高齢化対策における日港企業間のビジネスを促進するため協力していくことで一致しました。ラム行政長官から,今回の訪日での千葉県柏の葉スマートシティ等の視察について感想を述べつつ,スマートシティや科学技術等の分野で日本との交流や協力を更に進めていきたいとの意欲が述べられました。双方はこれらの分野についても引き続き交流を強化していくことで一致しました。

    (5)地方交流
     河野大臣から,日本から多くの知事が香港を訪問し,観光,農水産物等につき積極的なプロモーションを実施しており,これに対する香港側の協力に感謝を伝達しました。双方は,引き続きこうした地方交流を推進していくため協力していくことで一致しました。

    3 人的・文化交流の拡大

    (1)文化交流
     双方は,「日本秋祭in 香港」,「アジア文化協力フォーラム」を引き続き定期的に開催し,文化交流を通じ人的往来を更に拡大していくことで一致しました。

    (2)スポーツ
     双方は,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの機会も活用しつつ,日港間のスポーツの分野における協力及び交流を強化していくことで一致しました。

    (3)観光
     双方は,「日本香港観光年」である来年(2019年)を,観光交流の更なる飛躍の年にすることで一致しました。

    (4)査証
     河野大臣から,香港からの訪日をより一層促進するため,今般,香港登録身分書保持者のうち中国国籍を有する者に対して,数次査証を発給する措置をとっていくことを伝達しました(来年1月1日から実施)。その上で,香港側においても日本人に対する査証緩和を進めてほしい旨要望しました。ラム行政長官から検討を進めていくとの反応がありました。

    4 地域情勢等

    (1)日中関係
     ラム行政長官から,10月の安倍総理大臣の訪中で大きな成果が上がったことによって,日港関係発展のための環境が整備されており,こうした環境の下,日本との関係を更に前に進めていきたい旨発言がありました。河野大臣から,自身も同行した安倍総理大臣訪中について説明を行いました。

    (2)北朝鮮情勢
     双方は,朝鮮半島の非核化に向け,北朝鮮関連国連安保理決議の完全な履行を含め,引き続き緊密に連携をしていくことで一致しました。

    5 今後のハイレベルの往来

     河野大臣から,3月の訪港時に会談を行った梁君彦(アンドリュー・リョン)立法会主席の適当な時期の訪日を歓迎したい旨述べました。
     また,東京オリンピック等の機会を含め,ラム行政長官の再訪問を期待する旨述べ,今後も緊密に連絡を取り合っていくことを約束しました。