平成30年1月23日(火)

 本日の閣議では,法務省案件はありませんでした。
 私から2件報告を申し上げます。まず,昨日,公安調査庁から,「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づくオウム真理教に対する観察処分の期間更新請求について,公安審査委員会から,当該団体に対し,同処分の期間を更新する旨の決定書を受け取った。」との報告を受けました。公安審査委員会では,公安調査庁が提出した証拠と当該団体が提出した証拠等について厳正かつ慎重な審査を遂げた結果,公安調査庁の請求を認め,当該団体に対する観察処分の期間更新を決定したものと考えています。公安調査庁においては,引き続き,観察処分を適正かつ厳格に実施し,当該団体の活動実態の把握に努めるとともに,調査結果を関係地方公共団体に提供するなどして,公共の安全を確保し,国民の皆様方の不安感の解消,緩和に努めていくものと考えています。
 2件目ですが,明日,1月24日は,かつて民事法律扶助業務を担っていた財団法人法律扶助協会が設立された記念日である「法律扶助の日」です。この法律扶助の日に合わせ,「総合法律支援法の一部を改正する法律」が全面施行され,日本司法支援センター,通称「法テラス」において,認知機能が十分でない高齢者や障害者,ストーカー等の被害者の方々を対象とした新たな法的援助制度の運用を開始します。法務省としては,法テラスとともに,引き続き,新たな制度による援助が,それを必要とする方々に広く行き渡るよう努めてまいりたいと考えています。報道機関の皆様にも,引き続き,制度周知等への御協力をお願いいたします。 

オウム真理教に対する観察処分更新決定に関する質疑について

【記者】
 公安審査委員会が昨日,団体規制法に基づくオウム真理教に対する観察処分の更新を認めました。この決定についての大臣の所感と,3団体に対して,今後どういう姿勢で臨まれるか,教えてください。

【大臣】
 公安調査庁において,いわゆるオウム真理教に対する観察処分の期間更新の必要があるとの判断の基に,公安審査委員会に対して,「ひかりの輪」などを含む被処分団体に対する観察処分の期間更新を請求していたところ,今般,公安審査委員会における法と証拠に基づいた慎重な審査の結果,これが認められたものと受け止めています。公安審査委員会の個別の判断に対し,法務大臣として,これ以上コメントすることは差し控えたいと考えています。今後,公安調査庁において,引き続き,観察処分を適正かつ厳格に実施し,当該団体の危険性を示す様々な要素について,その実態を明らかにするとともに,地域住民を始め,国民の皆様方の不安感の解消,緩和に努めていくものと承知しています。    

日系四世についてのパブリックコメント開始に関する質疑について

【記者】
 日系四世の受入れについて,パブリックコメントが始まりましたが,担当部局の説明の中でも,受け入れる日系四世については,リーマンショックなどで親の二世,三世などと共に帰国した四世も想定しているという話もありました。不況の時には帰国支援などで帰国して,再び呼び戻すという形になって,また不況になったら帰してしまうというような雇用の調整弁になるのではないかという指摘もあるのですが,それについてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 昨年2月に総理から法務大臣に対して御指示があった日系四世の更なる受入れですが,これまで,日系四世の若者に日本文化を習得する活動等を通じ,日本に対する理解や関心を深めていただき,日本と外国の日系人社会との結び付きを強める架け橋になる人材を育成しようとする趣旨の制度を創設するための検討を行ってまいりました。今般,関係省庁などとも調整の上,案が整ったので本案を持ってパブリックコメントを開始して広く国民の皆様の御意見を伺おうとしたものです。この制度は飽くまでも日系四世の若者に対して,将来日本と外国の日系人社会との結び付きを強める架け橋となる人材を育成しようというものであり,今御指摘のあったような労働力確保の調整弁に使うといった趣旨のものでは全くないということを理解していただきたいと思います。その目的を達成するため,例えば入国時に一定程度の日本語能力を求め,2年を超えて在留する場合には日本語能力の向上を求めることとしているほか,日系四世受入れサポーターによる支援を通じ,日本文化を習得する活動等を行っていただくことに主眼を置いた制度設計をしています。

オウム真理教に関する一連の訴訟終結に関する質疑について

【記者】
 先週,オウム真理教に関する一連の訴訟が終結して,各紙の報道では,これによって麻原死刑囚等13人への死刑執行が秒読みになって,本格化するのではないかとの報道がありますが,それに関して大臣の所感をお願いします。

【大臣】
 個々の案件については,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

(以上)