平成30年3月6日(火)

 今朝の閣議においては,法務省案件はありませんでした。

民法の成年年齢を引き下げる改正案に関する質疑について

【記者】
 今国会に提出を予定している成年年齢の引下げの民法改正案についてお伺いします。若年者の消費者被害対策の一環として,消費者契約法の改正案が閣議決定されましたが,大臣はほかにどのような環境整備が必要と考えていますか。また,その検討状況について教えてください。

【大臣】
 成年年齢の引下げに係る民法改正法案に関しては,現在,今国会に提出することを目指して所要の手続を進めています。また,今月2日においては,御指摘のあった消費者契約法の改正法案を国会に提出したところです。この成年年齢の引下げに向けた環境整備として,例えば,消費者教育の充実,若年者の自立を促すための施策など,様々な施策が必要であると考えており,これらの施策については,これまでも政府として取り組んできたところですが,民法改正法案の成立後も引き続き政府全体として取り組む必要があると認識しています。こうした観点から,法務省としては,成年年齢の引下げに向けた環境整備について,省庁横断的に検討し,進捗管理を行うための会議体が必要であると考えており,現在,その設置に向けた準備を進めているところです。

【記者】
 環境整備の会議体ですが,法務省に設置するという認識でよろしいでしょうか。

【大臣】
 関係省庁と相談しながらということであり,省庁横断の政府全体としての取組ですので,その意味では,法務省の中に置くという趣旨ではありません。

【記者】
 そうしますと,内閣官房に置くという位置付けになるのでしょうか。

【大臣】
 そのことも含め,今調整中ですが,関係省庁の中でどこに置くか,どういう体制で取り組むのか最終的な検討をした上で,近い将来報告したいと思います。

【記者】
 会議体の関連で,場所を調整中と大臣はおっしゃいましたが,トップは法務大臣になるという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
 そのことも含めて調整中でして,民法の成年年齢の引下げの改正法案については,法務省が所掌しており,その責任を果たしていくという意味では,この環境整備においても大きな役割を果たすべき立場にあることを認識した上で,各省庁と最終的な調整をしている状況です。

【記者】
 同じく省庁横断の会議体についてお伺いします。環境整備に向けてこれまで各省庁が取り組んでいたと思いますが,改めて省庁横断で情報共有することの意義についてお伺いします。

【大臣】
 民法の成年年齢引下げという大変大きな改正法案であり,若年者の皆さんに対しても十分に周知し,この制度そのものをしっかり定着させていく必要があると思います。その意味では,この法案が成立した暁にも,責任を持って継続してやるべきことのほか,新しく生じる事態もあるかもしれません。そういったことについても十分に吸収して対応することができるような体制を執っていく必要があると考えます。いずれにしても,政府全体として取り組んでいくべき大変大きな事柄であると思いますので,法務省としても,各省庁としっかりと連携して,その役割を果たしてまいりたいと思っています。

除染作業に従事させられていた技能実習生に関する質疑について

【記者】
 技能実習生として来日した男性が福島で除染作業をしていたという報道がありますが,一般的に,技能実習生が除染作業をするということが妥当かどうかということについて,大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 御指摘の報道は承知していますが,個別の事案ということでお答えすることは差し控えたいと思います。一般論として申し上げると,技能実習法施行前の旧制度において,実習実施機関が,申請時に提出された技能実習計画の内容と異なる作業に技能実習生を従事させていることが判明した場合,地方入国管理局が受入れ停止の措置を行うことになります。また,技能実習法施行後の新制度においても,実習実施者が認定計画に記載された技能実習計画の内容と異なる作業に従事させていることが判明した場合,主務大臣が技能実習計画の認定を取り消すなどの対応をとることになります。
 この制度が適正に運用されているかどうかは,極めて大事なことですので,これからも適正にしっかりと運用できるように努めてまいりたいと思います。

【記者】
 途上国への技能移転という趣旨からは,除染という作業が妥当か,あり得るかということについてはいかがでしょうか。

【大臣】
 技能実習として,これを行わせてはならないという旨の法令上の規定はありませんので,そのことを取って何か判断をすることはないわけですが,技能実習計画の認定基準として,当該業務の性質及び当該業務に従事させるに当たっての実習環境その他の環境に照らして,外国人に技能実習として行わせることが適当でないと認められるものではない旨の基準がありますので,仮に除染作業を行う旨の技能実習計画の認定申請があった場合には,こうした基準の適合性について慎重に行うことになるかと思います。

(以上)