平成30年4月17日(火)

 今朝の閣議では,法務省の案件はありませんでした。
 続いて,私から3件御報告します。まず,大井造船作業場における逃走事故により,多大な御迷惑をお掛けし,御不安を感じておられる地域の皆様,また企業・学校の関係者の皆様に直接お詫びするとともに,皆様のお気持ちを率直に伺うことを目的として,15日(日)及び16日(月)に,山下法務大臣政務官を大井造船作業場(愛媛県今治市)及び広島県尾道市向島(むかいしま)に派遣しました。
 向島の皆様からは,一人暮らしの高齢者も多く不安が尽きないこと,検問による渋滞などで日常生活に支障を来していること,学校教育にも影響が出ていることなどのお話を伺ったと報告を受けており,私としても誠に申し訳なく思っています。また,地域の皆様に空き家のパトロールなどの安全活動に自主的に取り組んでいただいていることについて,深く感謝申し上げます。
 法務省としても,身柄の確保に向けて警察に最大限の協力をしていくほか,子供たちに安心して通園・通学していただけるよう,本日から,これまでより警戒範囲を拡大し,向島内の全ての保育園・幼稚園・小,中学校などに,合計96名の刑務官を24時間体制で配置して,地域の警戒に当たらせることとしています。一日も早い身柄の確保と地域の安心・安全のため,全力を尽くします。
 次に,昨日「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」第1回会議を開催しました。
 民法が定める成年年齢を18歳に引き下げる上では,消費者被害の拡大の防止等のための環境整備が必要であるとの指摘がなされています。この連絡会議は,このような指摘を踏まえ,民法の成年年齢の引下げのための環境整備に関し,関係府省庁相互の密接な連携,協力を確保し,総合的かつ効果的な取組を推進することを目的とするものです。
 この連絡会議で取り上げるテーマは,まず,これまでも関係府省庁において行ってきた取組,すなわち,若年者の消費者教育・消費者保護,与信審査及び若年者自立支援に関する施策があります。加えて,改正民法の周知活動,成人式の時期や在り方など,成年年齢を18歳に引き下げる民法一部改正法案が成立した後に取り組むべき課題も含まれています。この連絡会議では,法案の成立を待たずに体制を整えた上で,それぞれの課題ごとに必要に応じて速やかに連携した取組に着手したいと考えています。
 最後に,私は,初代公文書管理担当大臣として公文書管理法の策定に携わり,適切な公文書管理の実践に努めてきた経験を踏まえ,法務大臣に就任して以来,部下職員に対し,法務省における行政文書の適切な管理について絶えず指示してきました。他方,公文書管理に関する今般の様々な問題を受け,本年3月23日の閣僚懇談会において安倍総理からも指示がありましたが,公文書に対する国民の皆様の信頼回復のためには,昨年12月に改正された「行政文書の管理に関するガイドライン」による厳格なルールの徹底と確実な運用,更新等の履歴が厳格に管理できる電子決裁システムへの移行の加速化が重要と認識しています。
 そこで,本日,私の他,山下法務大臣政務官,政策立案総括審議官,各部局の総務課長等を構成員とする「公文書管理・電子決裁推進に関するプロジェクト・チーム」を立ち上げ,適切かつ確実な公文書管理や電子決裁推進のための方策のほか,刑事参考記録を含む刑事裁判記録の保管のあり方等についても,具体的な検討を行い,必要に応じて,順次,運用上の改善を図っていくことにしました。

成年年齢引下げ連絡会議に関する質疑について

【記者】
 今お話があったうち,成年年齢の引下げについて伺います。連絡会議のテーマの一つに,若年者の消費者教育・消費者保護が上がっていると思いますが,今後どのように取り組んでいく予定でしょうか。

【大臣】
 先般,消費者庁,文部科学省,法務省,金融庁の関係4省庁の局長で構成される連絡会議が発足しました。2018年度から2020年度までの3年間,これを集中強化期間として,消費者庁で作成した「社会への扉」という高校生向け消費者教育教材を活用した授業が全ての都道府県の全高校で行われることを目指す,また,消費者教育コーディネーターを全ての都道府県に配置する,といった実践的な消費者教育を推進するための目標を掲げたアクションプログラムが決定されました。
 また,消費者保護については,今国会に消費者契約法改正法案が提出されており,若年者を中心に発生している被害事例を念頭に置いた取消権の追加等が規定されています。今後は,政府としてこの改正法案の早期成立を目指すとともに,消費者ホットライン188(いちはちはち,いやや)について,若者向けのチラシを作成するなど,これまで以上に周知を徹底していきたいと考えています。
 また,先ほど御報告した成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議においては,若年者の消費者教育・消費者保護を含むそれぞれの取組についての進捗管理をしっかりと行い,成年年齢の引下げを見据えた環境整備が確実に実施されるよう,しっかりと取り組んでいきたいと考えています。

財務事務次官セクハラ問題に関する質疑について

【記者】
 財務省の福田事務次官がセクハラ発言をしたと報じられた問題について伺います。財務省はこの問題の調査のために,女性記者に名乗り出るように求めました。この調査手法に対する違和感の有無について,大臣の所感をお願いします。

【大臣】
 御指摘の報道について,今御質問がありましたが,今後,財務省において,事実関係を解明するための調査を進めていく方針であると承知しています。いずれにせよ,本件については,財務省において対応する事柄であり,法務大臣として所感を述べることについしては,差し控えたいと思います。

公文書管理・電子決裁推進PTに関する質疑について

【記者】
 「公文書管理・電子決裁推進に関するプロジェクト・チーム」の設置についてお伺いします。大臣の御発言の中で,「今般の様々な問題を受け」というふうに言われましたが,森友学園をめぐる財務省の決裁文書が書き換えられるなど,国民の公文書への信頼が低下しているという状況です。そうした中で今回,法務省がPTを設置しましたが,国民の公文書への信頼低下についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

【大臣】
 今回,「公文書管理・電子決裁推進に関するプロジェクトチーム」が発足したところですが,行政文書については,公文書管理法の規定のとおり,健全な民主主義の根幹を支える大変重要な国民共有の知的資源であり,これは主権者である国民が主体的に利用し得るものです。行政機関においては,行政文書の適切な管理を通じ,行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに,国の諸活動について,現在及び将来の国民に説明していく責務があるものです。
 これは,各省庁の特性を踏まえ,絶えず点検をしていくべき事柄であり,公文書管理のあり方については,不断の見直しが必要であると考えています。法律がしっかりとできた上で,それぞれの現場の一人一人の行政官がその意識を持ち,責任ある行動をしていくことなくして公文書管理法の理念は達成されないので,その意味で,各省庁においても,そのような法律の趣旨に則って,適切な運営をしていくべきと考えております。そのことについては,法務省も例外ではありません。
 今回,いろいろな公文書をめぐる国民の皆様からの信頼については,厳しいものがあるというふうに思っており,故に,法務省においても,このことに対して,現場の一人一人の職員が意識を持って行動していくことができるように,ここで改めてプロジェクトチームを立ち上げ,この問題にも真摯に向き合うつもりでいるところです。

安倍内閣の支持率低下に関する質疑について

【記者】
 各種世論調査で公文書への信頼低下に合わせて,内閣の支持率が低下しています。内閣の一員として,大臣の受け止めをお願いいたします。

【大臣】
 報道各社において,各種の世論調査を実施していることについては,承知をしているところですが,いずれにしても,各種政策等について,国民の皆様に必要性や重要性について御理解をいただけるよう,丁寧な説明を尽くしていきたいと思っています。また,やるべき政策を確実に前進させて実現していくこと,これも非常に重要であると考えています。
 世論調査の支持率は,定期的に調査されているところであり,そのことについて,真摯に向き合っていく必要があると思っています。業務においては,国民の皆様の信頼を得るために最大限の努力をすることが大事であり,また,法務行政においても,冒頭申し上げた事案がありますので,こういったことについて,正に1日でも早い身柄確保に向けて,省をあげて全力で取り組み,やるべきことをしっかりとやっていきたいと思っています。
 

(以上)