平成30年4月24日(火)

 今朝の閣議ですが,法務省案件はありませんでした。

東日本入国管理センターにおけるハンガーストライキに関する質疑について

【記者】
 東日本入国管理センターに収容中のインド人男性が自殺するという事案がありました。これを受けて,被収容者の一部が長期拘束に抗議するハンストを行っているという報道もあります。仮放免が認められないまま収容が長期化することを問題視する声もありますが,抜本的な解決に向けて大臣のお考えがあればお聞かせください。

【大臣】
 東日本入国管理センターの被収容者の件ですがこの間,一部の者が官給食の摂食を拒否していた,ということは事実です。官給食の摂食拒否については,4月13日(金)に,当センターに収容されていたインド人収容者が自殺したことを契機に,長期間の収容に対する抗議や仮放免の許可を要求する一部の者の扇動によって,同15日(日)の朝食から始まりました。日が経つにつれこうした動きは沈静化し,昨日,23日ですが,朝食から全員の官給食の摂食を再開している状況です。
 退去強制手続を経て,退去強制令書が発付された者については,送還を忌避する被収容者であっても,我が国から送還することをもって,収容状態を解消することが原則です。その上で,仮放免の許否を判断する場合には,個々の状況に応じて,仮放免を求める理由,被収容者の性格,素行,身元保証人となるべき者の資産,引受け熱意及び逃亡のおそれの有無等を総合的に考慮の上,判断します。なお,一部には,我が国において罪を犯し,刑罰の適用を受けたために退去強制令書の発付に至った者など,一刻も早い送還を優先すべきで,仮放免を許可し日本社会の中に放免することが適当ではない者も存在しているのも事実です。
 現在,送還忌避者が3,000人を大きく超えています。その解決が出入国管理行政上の喫緊の課題となっている中で,退去強制手続の最終局面である送還が滞ることのないよう,厳正・的確に対処していくことが重要と考えます。そこで,チャーター機送還を始めとする,送還方法の多角化に取り組むなど,送還を忌避する被収容者の送還を強力に推し進め,出入国管理法令に基づいた送還業務の更なる促進に向けて,所要の体制整備を図っていきたいと考えています。

【記者】
 東日本入国管理センターのハンガーストライキについて,そもそもが長期収容が問題であったと思います。今,大臣はお分かりにならないとは思いますが,収容が数年にわたるとの記述もありましたが,最長でどれくらいそこに収容されていて,平均でどれくらいなのかということを,もしお分かりになれば教えていただきたいのと,同様に長期収容について,例えば国連の拷問禁止委員会など,国際社会から強い懸念が表明されていると思うのですが,今後,どのように対応されていくのかをお聞かせください。

【大臣】
 長期化の収容の実態ということについては,おって入国管理局から回答させます。
 この長期間の収容については,国連の拷問禁止委員会から平成19年8月に公表された勧告及び平成25年6月に公表されました第2回定期報告に関する最終見解の中で,それぞれ退去強制を待つまでの収容期間の長さに期限を設けるべきであると,あるいは退去強制までの収容に最長期間を設けるべきであるということで,御指摘を随時いただいてきました。「長期収容」の定義が明確ではありませんが,仮に早期に仮放免するとするならば,送還を頑なに忌避する者については,全てすべからく仮放免せざるをえなくなるということであり,なかなか送還業務全体のバランスの中で行っているこの取組に,著しい支障を来すおそれがあると考えています。
 もちろん,人道上の観点から,これまでも弾力的な運用を行い,なるべく収容が長期化しないように努めてきたので,これからも最大限,長期化を防ぐためのあらゆる措置をとっていきたいと思っています。同時に仮放免をすることが適当でない外国人の方も存在しているということは,先ほど申し上げたとおりです。こういった者については,法に則って,出身国政府の理解と協力をしっかりと得ながら,速やかな送還を行うことが大事ではないかと思っています。
 収容期間が長期化しないような取組については,今後とも全力でその旨の取組をしていきたいと思います。

民法一部改正法案(成年年齢引下げ)に関する質疑について

【記者】
 成人年齢についてですが,本日,民法改正案が午後の衆議院本会議で審議入りする見通しとなりましたけれども,改めて法案のねらいと,若年層の高額ローンの被害などといった懸念も指摘されていますが,そういった消費者保護の対策にどのように取り組むのか,その2点をお聞かせください。

【大臣】
 今般の,成年年齢の引下げ等を内容とする民法の一部を改正する法律案ですが,国会において審議に付すべく準備を進めてきました。今日,午後の本会議で議論がスタートするという予定です。この法律案の内容ですが,公職選挙法の選挙権年齢が18歳に引き下げられたこと等,社会経済情勢の変化に鑑み,民法が定める成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とするものです。
 少子高齢化が急速に進む我が国においては,若年者の積極的な社会参加を促し,その自覚を高めるという政策の一環として,この法案を提出する意義は大変大きいと考えています。なお,成年年齢の引下げにおいては,消費者被害を防止する政策等の環境整備の政策が必要です。この法案の成立後も引き続き政府一体となって取り組む必要があると認識しています。
 こうした取組については,法案の提出にいたる過程において,公明党から省庁横断的な会議体を開催すべきであるとの要請をいただいたことを踏まえ,現在,法案を所管する法務省が中心となり,各種の環境整備の政策について省庁横断的な検討を進め,進捗管理を行うための会議体を開催したところです。こうした丁寧な取組をしっかりとする中で,国民の皆様お一人お一人,また18歳,19歳という世代の意識及びその行動をしっかりと促していくことができるように,環境整備に万全を尽していきたいと考えています。

東京入国管理局におけるトルコ人被収容者の処遇に関する質疑について

【記者】
 昨日,東京入国管理局の対応をめぐり,トルコ人男性の被収容者に対して,東京入国管理局が診療を1か月放置したり,発症日について,文書に虚偽の記載をしたのではないかとの一部報道がありますが,その事実関係と今後の対応について伺います。

【大臣】
 この報道があったことについては,承知しており,事実関係について入国管理局に確認をさせたところです。
 個人情報に関する事柄であるものの,今般の報道内容を踏まえて,あえて申し上げます。
 この方は,当初,激しい腹痛を訴えていました。当局の職員は本人の症状を踏まえ,容態観察を続けてきた中で,緊急搬送を行いました。その後医師の診察を受け,対象者に手術を受けさせたところです。その後,手術後の経過の過程の中で,医師の診察及び投薬の確認を都合2回受けさせたところです。
 対象者からの診療申出に係る書面については,事実を記載したものであり,虚偽の内容は何ら含まれていません。
したがって,手術後1か月以上にわたり医師の診察を何ら受けさせなかったということはなく,先に申し上げた形で診察及び投薬をしたということです。事実関係については,このような状況です。
 被収容者の処遇については,心身の健康をしっかり保つということは当然であり,医療面も含め,適切な対応が必要と考えます。医療上の問題で処遇環境の悪化につながることのないよう,また最近,被収容者が増加していますので,そういったことも踏まえながら,所要の体制整備に万全を尽していきたいと思っています。
 なお,本件記事に関して,事実誤認が認められたことについては,法務省において,関係するメディアに対し,ただいまお話しした内容のとおり指摘をしました。

財務省事務次官セクハラ問題に関する質疑について

【記者】
 財務省の福田事務次官の辞任が本日閣議で正式に決まりました。他省の人事に関することですが,改めて一連の件に関する大臣の所感を教えてください。

【大臣】
 御指摘の様々な事柄については,財務省に関わることです。法務大臣という立場でその人事についてのコメントをすることは,差し控えたいと思います。

(以上)