平成30年5月1日(火)

 4月8日に松山刑務所大井造船作業場から逃走した受刑者が,昨日(4月30日),逮捕されました。
 長期にわたり逃走を続け,地域の住民の皆様,学校関係者の皆様,全国の皆様に,長きにわたり多大な御心配と御迷惑をお掛けしましたことを心から深くお詫び申し上げます。
 特に向島の皆様には,長きにわたり御不安・御心労をお掛けしたのみならず,橋の渋滞により,通勤や通院等に御不便をお掛けしたこと,学校のクラブ活動が中止になったり,一人で外で遊べないような状況が続き,お子様の生活にも影響が出たこと,お子様の送迎などで保護者や教員の方々にも大きな御負担をお掛けしたことなど,向島の皆様の平穏な日常生活に大きな影響を与えてしまったことについて,誠に申し訳なく思っています。
 私は,本日及び明日,現地を訪問することとしていました。逃走した受刑者の身柄は確保されましたが,地域の皆様には,長い間,多大な御心配,御迷惑をお掛けしており,直接,地域の皆様にお詫び申し上げたいと考えています。
 逃走した受刑者については,現在,警察の捜査が続いていることから,法務省としては,捜査に対し,最大限の協力をすることとしています。
 また,警察の捜査が終わった段階において,法務省として,逃走した受刑者から事情聴取を行うなど,事故原因を究明し,逃走事故の再発を防止するため,対応策を策定し,速やかに実施してまいります。

松山刑務所大井造船作業場からの受刑者逃走に関する質疑について

【記者】
 今後の開放的施設の在り方を含めた再発防止策について,もう少し具体的にお話いただけますでしょうか。

【大臣】
 先ほど申し上げたとおりですが,長期にわたり逃走を続け,向島の皆様を始めとする地域住民の皆様,学校関係者の皆様,全国の皆様に,長きにわたり多大な御心配と御迷惑をお掛けしたことについて,改めて,心から深くお詫び申し上げます。
 本日及び明日と,現地で皆様に直接お詫びし,皆様の率直なお気持ちを伺いたいと思います。
 これまで,法務省において,「松山刑務所大井造船作業場からの逃走事故を契機とした開放的施設における保安警備・処遇検討委員会」を3回開催しました。
 委員会では,開放的施設において有効な保安警備システムについて,最先端の技術の導入を含むあらゆる手段・方法を検討しているところです。
 逃走した受刑者については,現在,警察の捜査が続いていることから,警察の捜査が終わった段階において,法務省として,逃走した受刑者から,動機や具体的な逃走経路等を聴取する予定です。
 その聴取内容も踏まえ,大井造船作業場や有井作業場における保安警備や処遇の在り方について,しっかりと,かつ,速やかに検証・検討を進め,その結果を踏まえた再発防止策の策定及びその徹底に努めたいと考えています。

【記者】
 大井造船作業場に関しては,再犯防止に非常に効果を上げている一方で,今回こうした逃走事故が起き,過去にも10件程度逃走事故が発生しています。今後再犯防止策を検討する上で,監視と更生のバランスについて,大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

【大臣】
 今回,受刑者逃走事故が発生した大井造船作業場は,一般企業の方々に50年前からこの御協力をお願いし,そして処遇についても,御協力,御理解をいただきながら,50年の歴史を作ってきました。こうした施設は,地域の皆様の御理解と御協力なくしては存続できません。その大きな御理解と御協力に対して,深く深く感謝をしています。
 この開放的施設の処遇については,一般社会の生活にできる限り近い環境を実現することにより,受刑者の自発性・自立性を滋養し,ひいては受刑者が社会に戻るときの適合性を向上させるという点に大変意義があると思っています。
 今,この逃走事故についての検証・検討をしっかりと進めた上で,さらに保安警備や処遇の在り方について,徹底した見直しをしたいと思います。本日及び明日にかけて,関係地域を回り,地域の皆様,また,関係者の皆様から十分な声を聞かせていただき,皆様の声をしっかり反映ができるような形にしたいと思っています。

【記者】
 この施設では,同様の逃走事案が過去何件か起きているというお話なのですが,実際に何件起きているのでしょうか。

【大臣】
 この大井造船作業場ですが,昭和36年に開設されて以来,50年以上の歴史がありますが,今回を含め,17件20名の逃走事案が発生しています。

【記者】
 2点伺います。まず1つは,今,松山刑務所に移送されている,残りの受刑者の今後の取扱いについて伺います。

【大臣】
 まず,逃走した受刑者の捜索職員の確保,さらにこれら19名の受刑者からの事情聴取等のため,4月9日に,本所である松山刑務所に受刑者を収容しました。今後については,現在検討中です。

【記者】
 2点目ですが,今後の開放的施設について閉鎖等を検討されているのか,それとも基本的には存置という形で考えているのか,この辺の考えをお聞かせください。

【大臣】
 今回は長期にわたる逃走ということで,住民の皆様を始めとして,国民の皆様にも大変広く大きな御不安と御心配をおかけしました。今,警察が捜査をしている状況であり,法務省としては,捜査が終わった段階で,しっかりと事情聴取し,動機や様々な背景等について,検証・検討を行います。
 先ほど申し上げた,「松山刑務所大井造船作業場からの逃走事故を契機とした開放的施設における保安警備・処遇検討委員会」を設置し,その委員会において,地域の皆様,また,企業の皆様から十分にヒアリングをした上で,様々なことについて検討したいと思っています。
 先ほど御質問があった件についても,今国が進めている再犯防止施策は,受刑者が刑務所から出所した後,地域の中でしっかりと自立し,また,一人の自立した個人として生活するということ,それを地域を上げて応援をしていただくということ,このことを大きな柱にしています。大井造船作業場については,50年の長きにわたり,こういったことについて,特に地域の皆様の御理解・御協力をいただいており,ここから出所した者のここ6年の再入率は,最新のデータによると,刑事施設全体では,平均が42.8%という状況であるのに対し,10%にとどまっており,他の施設と比べて4分の1のレベルになっています。このこともしっかりと踏まえながら,本日明日と,地域の皆様の声を率直にお聞かせいただきたいと思っており,また,委員会の方でも検証・検討を重ねて,なるべく早い段階で結論を出したいと思っています。

【記者】
 向島に厳戒態勢を敷いていましたが,実際に見つかったのは広島市の中心部でした。この捜索体制についてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 逃走経路等については,警察の捜査を待ちたいと思います。いずれにしても,先ほど申し上げたとおり,向島の皆様に本当に長きにわたり御迷惑をお掛けし続けてきたので,平穏な日常生活に一日でも早く戻っていただくべく最善の努力をしていきたいとに思っています。
 また,広島市内の皆様にも,大変御迷惑をお掛けしたことを心からお詫びを申し上げたいと思います。大変申し訳なく思います。

【記者】
 再発防止策について,警察の捜査の関連もあるとは思うのですが,大体のスケジュール感,いつ頃までにまとめたいというお考えはありますか。また,今回地元を訪ねられて,具体的にどういう団体の方々と会われる予定なのでしょうか。

【大臣】
 再発防止策の策定及びその実施については,1日でも早くと考えていますが,地域の皆様のお声をよく聞きながら,警察の捜査が終わった後に,本人からの事情聴取ということになるので,それなりに時間はかかると思います。なるべく早く検証・検討を進めて,再発防止策の策定に全力で取り組み,また,その実施についても速やかに行ないたいと思います。
 出張の日程ですが,今日この後法務省を出発し,まず,愛媛県庁を訪問する予定です。また,株式会社新来島どっく大西工場等の関係施設を丁寧に回りたいと思います。
 また,向島の地域の住民の方々,あるいは学校の関係者の皆様とも直接お会いをすることができるということですので,お詫びを申し上げ,また,御意見等お寄せいただけたらと思っています。詳細については後ほど事務局からまとめて御報告させますので,よろしくお願いします。