平成30年5月8日(火)

 今朝の閣議では,法務省案件はありませんでした。
 私から御報告が1件あります。5月3日(木)から同月6日(日)まで,英国及びオーストリアを訪問しました。
 まず,英国についてですが,ロンドンで内務省を訪問しました。日程等の都合で残念ながら内務大臣とお会いすることはできませんでしたが,ウィルキンソン第二次官と出入国管理分野をはじめ,両当局間の協力連携体制の構築について意見を交わしました。
 また,2020年に京都で開催される国連犯罪防止・刑事司法会議(コングレス)への内務大臣等の御参加及び御協力も呼びかけました。
 さらに,世界的に著名な仲裁機関であるロンドン国際仲裁裁判所(LCIA)のシェパード議長,ランカスター事務局長らを訪問しました。連携の強化及び日本における国際仲裁の活性化に向けた施策を検討する上で必要となる協議を行いました。
 内務省及びLCIAの両組織とも,トップレベルで有益な会談を行うことができました。当局間・組織間での連携の強化に向けて確かな手応えを得たところです。
 これらに加えて,被害者支援団体幹部等との意見交換,ウォームウッド・スクラブス刑務所の訪問,現地法人企業幹部等との意見交換会を行い,再犯防止や企業法務等に関し様々な知見を得ることができたことは大きな収穫でした。
 次に,オーストリアでは,ウィーン所在の国連薬物犯罪事務所(UNODC)フェドートフ事務局長と京都コングレスに向けた連携等について協議を行いました。コングレスは,全世界からハイレベルから実務家までが一堂に会し,施策から日々の実務までを包括的に議論する唯一無二の国際会議です。コングレスの主催事務局であるUNODCの事務局長とウィーンにおいて面談することができたことは,京都コングレスにおける充実した議論に向けた大きな成果となりました。
 また,犯罪防止,刑事司法及び法の支配について,未来の担い手である若者が話し合う場としてのユース・フォーラムの実現についても,併せて意見を交わすことができました。
 法の支配を貫徹し,国際分野に至るあらゆる活動に法の支配を浸透させる司法外交を法務省が展開する上で,英国内務省もUNODCも,重要なカウンターパートです。今回の出張では,英国内務省やUNODCとの協力連携を強化できたので,省内の関係部局に指示し,具体的な施策における成果にしっかりと結びつけていく所存です。
 また,LCIAと構築した関係についても,国際仲裁の活性化に向けた基盤整備のための施策検討に活かせるよう,省内に指示するとともに,「国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議」においても,国際仲裁の活性化に大きく貢献できるよう努めていく所存です。

松山刑務所大井造船作業場における逃走事案に関する質疑について

【記者】
 刑務所からの受刑者逃走の関係で伺います。今回逃走した受刑者は,逃走中にも窃盗の罪を重ねた疑いがありますが,塀のない開放的施設への移送措置は適切であったとお考えでしょうか。また,今回の事案を受け,開放的施設へ移送する受刑者の選び方等について見直すお考えはありますか。

【大臣】
 今回の逃走事故の原因については,今後,本人や関係者からの事情聴取等も行った上で明らかにしていきたいと考えています。その中で,本人を大井造船作業場に就業させたことに問題はなかったのかという点についても,調査・検討してまいりたいと思っています。
 逃走事故の原因や対策については,現在,「松山刑務所大井造船作業場からの逃走事故を契機とした開放的施設における保安警備・処遇検討委員会」において検討しています。今回の逃走事故を踏まえ,大井造船作業場を含む開放的施設で就業する受刑者の選定の在り方についても,同委員会において検討してまいります。
 昨日,第4回委員会を開催し,私が5月1日及び2日に現地を訪問した際に地域住民の皆様や企業・学校関係者を始め多くの皆様からいただいた貴重な御意見も踏まえ,大井造船作業場における保安・警備体制等について検討したと報告を受けました。
 引き続き,開放的施設における保安警備や処遇の在り方について,しっかりと,かつ,速やかに検証・検討を進めてまいりたいと考えています。

【記者】
 昨日,矯正局が開放的施設に関して,再入率についての数字を公表しました。再入率については,一般的な刑事施設に比べ低いという数字は出ていますが,一方で,受刑態度が良い模範囚を収容しているので,元々低いのは当たり前ではないかといった指摘もあります。
 今後,検討委員会において開放的施設の在り方を検討する際に,再入率だけでは開放的施設の意義について説明できないのではないかとの指摘もありますが,意義についてもより積極的に,新しいデータなどで見ていくという考えはありますか。

【大臣】
 開放的施設は,現在,4施設を運用していますが,その施設の意義あるいは効果については,物差しの1つとして再入率が挙げられています。全体的な平均と比べて非常に低いレベルに留まっていることについては,プラスに評価して良いのではないかと思います。同時に,今回の大井造船作業場においても,模範囚を収容するという形で,特に社会に出る前のステージにおいての取組ということを踏まえた選考を行っているので,その結果として再入率が低くなるのは当たり前ではないかという御指摘についても謙虚に受け止めたいと思います。
 その上で,選び方をどうするのかということの1つのメルクマールですが,大切なのは,受刑者が社会に戻った際に,社会の一員としてしっかりと自立するということです。その意味で,今回の事案もしっかりと踏まえた上で,これからの取組において,どのような指標で,どのような評価をしながら開放的施設を運用していくのかということも含め,この委員会での検討に付してまいりたいと思います。
 

女性の積極的な政治参加に関する質疑について

【記者】
 男女共同参画推進法案が審議されていますが,女性議員の割合を増やすことの必要性,意義について,大臣の御所感をお願いします。

【大臣】
 男性も女性も,女性も男性も様々な分野において,それぞれの能力に応じて,また,それぞれの意欲に応じて活躍の場を提供することは,日本社会の活性化に向けた取組の中でも大変重要な要素と考えます。
 ダボス会議(世界経済フォーラム)が毎年発表しているジェンダーギャップ指数(GDI)は,残念ながら,日本の順位が年々下降している状況にあります。その指標の分野は4つの項目から成り立っていますが,取り分け経済分野と政治分野においての順位が非常に低い状況にあります。つまりその分野の女性の活躍が遅れているために,総合的な日本の順位を引き下げているという傾向が強く見られます。
 職業分野における女性の活躍については,法律が制定され,今,企業等でも積極的な取組をされているところですが,政治分野についても努力目標という形で,それぞれ女性の候補者並びに女性の政治家,これは国政のみならず地方の分野においても広く活躍をしていくという方向で今進めているところですので,これから先,意欲と能力のある方々がそれぞれの立場の中でどんどんチャレンジしていただくことができるように,またそれをしっかりと応援していくことができるようにしていきたいと,私自身,女性議員の1人として強く思っています。

(以上)