平成30年5月22日(火)

 今朝の閣議では,法務省案件はありませんでした。
 続いて私から2点御報告します。まず1点目ですが,昨年7月に施行された「刑法の一部を改正する法律」の附則第9条に基づき,施行後3年を目途として実施する性犯罪に関する総合的な施策の検討に向け,性犯罪の実態に関する調査研究を着実に実施することが重要であると認識しています。そのため,この度,政策立案総括審議官,調査研究を行う担当部長等を構成員とする「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」を立ち上げ,本日,第1回会合を開催することとしました。
 今後,平成31年度末頃までに,本ワーキンググループにおいて,法務省において実施する各種調査研究の有機的連携を図るとともに,同調査研究における重要項目や同調査研究において把握が十分とは認められなかった項目等について,被害者の方々を含めた関係者からヒアリング等を行う予定です。また,その結果については,性犯罪に関する総合的な施策の検討に役立ててまいりたいと考えています。
 2点目ですが,本月14日から18日まで,ウィーンにおいて,第27回国際連合犯罪防止刑事司法委員会(コミッション)が開催されました。第14回国際連合犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)が,2020年4月20日から27日までの8日間に京都で開催されることが正式に決定されました。コミッションでは,各国から,京都コングレスへの支持と期待が表明されたと報告を受けています。
 この決定を踏まえ,今後,法務省としては,事務局である国連薬物犯罪事務所(UNODC),開催地である京都府・京都市や,会場となる国立京都国際会館,そして関係省庁と連携し,準備をしっかりと進め,京都コングレスの成功に向けて努力してまいる所存です。特に,未来を担う若者が参加する企画として,ユースフォーラムの開催に向け,積極的に取り組んでまいりたいと考えています。

性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループに関する質疑について

【記者】
 冒頭の発言にあった,性犯罪に関するワーキンググループについてお伺いします。現段階でどのような項目についての調査やヒアリング等が必要とお考えか,いくつか例示いただきたいと思います。
 また性犯罪の分野では,認知されていない犯罪の件数,いわゆる「暗数」と呼ばれている問題が指摘されています。実態把握のために,どのような調査を,いつ頃実施するか等についても併せてお聞かせください。

【大臣】
 法務省においては,性犯罪に関する施策検討に向けた調査研究として,性犯罪被害者の心理等についての調査研究,2点目として性犯罪被害の実態把握のための調査研究,さらに3点目として性犯罪者に対し刑事施設や保護観察所において実施しているプログラムの効果検証,さらに4点目として性犯罪に関する罰則の運用状況等についての調査などを実施することを予定しています。本ワーキンググループにおいては,各種調査研究の有機的連携及び進捗管理,性犯罪の実態把握のためのヒアリング等の実施,さらに関係府省庁との連携,情報共有を行うこととしています。
 具体的なヒアリング項目について御質問がありましたが,現在検討中であり,性犯罪の被害に遭われた方や被害者の支援を行われている方々などから,性犯罪被害者の実情や,被害者や関係者が置かれた状況,必要とされている被害者保護,支援の内容などについて伺うことを考えています。
 また海外の取組に関する調査なども行う予定としており,特にロンドンに出張した際に意見交換をさせていただいた犯罪被害者の支援を行うチャリティー団体,例えばRape Crisis England and Walesや,Victim Supportなど,こうした団体の幹部の方々と意見交換をさせていただき,それぞれの国で,この問題について,本当に様々な調査をしながら取り組んでいらっしゃるということでした。当省でも調査をしっかりと行ってまいりたいと考えています。
 2点目の暗数調査ですが,性犯罪被害の暗数を含む犯罪被害の実態調査については,本年度中に法務総合研究所において,「刑法の一部を改正する法律」の附帯決議等を踏まえ,無作為抽出により選定した全国の16歳以上の男女6,000人を対象に,犯罪被害の実情等について,主として訪問調査方式により実施することとしているところです。

【記者】
 ワーキンググループの関連ですが,上川大臣は被害者支援に関してこれまでも力を入れてこられたと思います。今後,新たに施策を検討していく上で,例えば被害者の目線で考えるなど,大臣としてどのようなポイントがあるとお考えか,教えてください。

【大臣】
 「刑法の一部を改正する法律」の附則第9条に基づき,施行後3年を目途に,性犯罪,性暴力に遭っている方々に対し,対策の在り方,また被害の実態,その他様々な観点からしっかりと調査し,その上で,政策についても反映してまいりたいと思っています。現場の声を聞く,つまり被害者の声を聞くというのは大変大事なことであると思っていますので,ヒアリングに当たっては,性犯罪の被害に遭われた方々や,その被害者の支援を実際に行っている方々へのヒアリングも実施してまいりたいと考えています。
 

加計学園問題に関する質疑について

【記者】
 加計学園の獣医学部新設を巡る問題についてお伺いします。昨日,愛媛県が提出した文書とこれまでの首相の答弁との食い違い等について報道されていますが,それについての大臣のお考えと,事実解明に向けて政府が取り組むべき行動等についてお考えがあればお聞かせください。

【大臣】
 御質問の件ですが,法務省の所掌ではないため,お答えを差し控えたいと思います。

司法取引に関する質疑について

【記者】
 6月1日から司法取引等の刑事免責制度が始まります。それについての期待や御所感をお聞かせください。

【大臣】
 「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」中の項目の1つとして,そうした捜査の手法が導入されるということになりました。この手続を適正に,しっかりと行っていくことが最も大切であると考えています。この法の趣旨,役割,そして位置付け等について,一連の法案の審査の過程の中で様々な御指摘もあったので,実際に導入するに当たっては,適正にしっかりと実施してまいりたいと思っています。
 

(以上)