平成30年6月1日(金)

 今朝の閣議で,民法の一部を改正する法律及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令が閣議決定されました。また,法務省案件として,報告が2件ありました。
 私から2件報告があります。まず,本日「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」が開かれました。
 会議において,法務省からは,「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会」において今般取りまとめられた中間取りまとめの内容を報告するなど,所有者不明土地問題に対する法務省の検討状況を説明しました。
 また,この問題に対する政府の今後の基本方針が決定され,土地所有に関する基本制度や民事基本法制の見直し等の重要課題について,期限を区切って着実に対策を推進することとされました。
 所有者不明土地等への対策を推進するに当たり,民事基本法制及び不動産登記行政を所管している法務省の役割は極めて重要です。法務省としては,この問題の解決に向け,関係省庁と連携しながら,更なるスピード感をもって対策を推進してまいります。
 次に,本日6月1日は,「人権擁護委員の日」であり,また,本年は,人権擁護委員制度の発足から70周年の記念の年に当たります。
 人権擁護委員制度は,人格識見が優れ,様々な分野で社会経験を積んだ民間の方々にボランティアで人権の擁護に携わっていただくものであり,諸外国に例を見ない制度です。
 昭和24年6月1日に人権擁護委員法が施行されたことを記念して,毎年6月1日を「人権擁護委員の日」と定め,この日を中心に全国各地で,人権擁護委員が様々な活動を行っています。
 本年も,約1万4千人の人権擁護委員が,全国各地で,国民の皆様に人権の大切さを知っていただくため,公共施設その他の会場等に特設相談所を開設して,皆さんの人権相談に応じるほか,障がい者スポーツ体験や紙芝居,パネル展示などの様々な啓発活動を行う予定です。
 報道機関の皆様方には,これを機に,一人でも多くの方々に「人権擁護委員」の存在と活動を知っていただき,国民の人権意識の高揚を図ることへのご協力をお願いします。

司法取引に関する質疑について

【記者】
 日本版「司法取引」制度についてお伺いします。本日から制度がスタートします。どのように運用し,効果を期待されるか,また今後の課題についてお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねの合意制度ですが,一定の財政経済犯罪等を対象として,首謀者の関与状況を始め,組織的な犯罪等の全容の解明に資する供述等を得ることを可能にするものであり,6月1日,本日から施行されるものです。
 最高検察庁は,本年3月19日,この制度の適切な運用を図るため,全国の地方検察庁及び高等検察庁に対し,「合意制度の運用に関する当面の考え方」を発出し,協議における本人の供述につき,裏付証拠が十分にあるなど積極的に信用性を認めるべき事情がある場合で,かつ,本人の事件についての処分の軽減等をしてもなお,他人の刑事事件の捜査・公判への協力を得ることについて国民の理解を得られる場合に限り合意制度を利用するという方針を示したところです。
 また,最高検察庁は,同日,全国の地方検察庁及び高等検察庁に対して通達を発出しました。合意制度の施行から当分の間は,この制度の利用に当たっては,地方検察庁の検事正は高等検察庁の検事長の指揮を受けることとし,更に高等検察庁としても合意制度の利用を検討するに当たっては,最高検察庁と協議することとしました。
 このように検察当局においては,施行当初は,合意制度の利用に当たって上級庁も関与し,現在の刑事司法の在り方と調和させながら,合意制度の運用実績を積み重ね,時間をかけて合意制度を定着させていく方針であるものと承知しており,合意制度の趣旨等を踏まえつつ,慎重かつ適切に運用がされていくものと承知をしています。このような運用がされていく中で,どのような課題があるかについても,検討されていくものと考えています。

(以上)