平成30年7月6日(金)

 本日の閣議においては,権利移転等の促進計画に係る土地についての不動産登記に関する政令の一部を改正する政令が閣議決定されました。

民法(相続分野)改正法案の成立に関する質疑について

【記者】
 相続に関する民法などの改正案が可決・成立しました。大臣の御所感をお願いします。
 また,この中にある自筆証書遺言の法務局の預かり制度創設についてお伺いします。遺言は遺産をめぐる紛争解決などに絶大な効果がありますが,利用が進んでいないのが現状です。新制度を普及させるために,どのようなPRを考えているのかお教えください。

【大臣】
 「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」について,本日,参議院の本会議で可決したところです。これは昭和55年以来,約40年ぶりに相続に関する規律を大幅に見直すものです。
 具体的に申し上げると,残された配偶者の生活に配慮する観点から,配偶者の居住の権利を保護するための方策等を盛り込んでいます。また,遺言の利用を促進し,相続をめぐる紛争を防止する観点から,自筆証書遺言の方式を緩和し,さらに,法務局においても,自筆証書遺言を保管する制度を創設するなどの方策を盛り込んでいるところです。高齢化が進展している社会経済情勢に対応していくものであり,重要な意義を有するものと考えています。
 また,両法律案は,国民の皆様全てに生じる相続に関するルールを見直すものであり,国民生活に大変重要な影響を与えることになるものですので,その見直しの内容等について,国民の皆様に対し,十分に周知を図る必要があると考えています。
 今後は,法務省全体として,利用可能な方策を広く活用し,改正法が適切に施行されるよう,国民各層に対しての効果的な周知活動について,徹底して行ってまいりたいと考えています。
 特に御質問のあった遺言書保管制度による遺言の利用促進に向けての取組ということで,相続登記の促進に大きく寄与するものと認識していますし,所有者不明土地問題への対応策につながるものであると考えています。そこで,PR活動としては,ホームページでの情報提供,ポスターやパンフレットの作成,また相続登記の促進のための広報との連携を含む全国の法務局を通じた情報提供,各種団体や公正証書遺言を担う公証人との連携等を図るというような形で,様々なチャンネルを利用して,幅広く広報活動を実施し,簡便になった遺言制度をより多くの皆様が御活用し,また,制度について御理解をいただけるよう,様々な取組に万全を期してまいりたいと考えています。

【記者】
 今の相続の関連で,5日の参議院法務委員会では,家族の在り方が多様に変化してきていることに鑑み,多様な家族の在り方を尊重する観点から,その保護の在り方について検討することなどを求める附帯決議が採択されました。これに対する大臣の受け止めと,施行後どのようにしてこうした指摘に応えていく考えかをお聞かせください。

【大臣】
 御指摘をいただきました衆議院,参議院の法務委員会において,様々な議論を尽くしていただいた上で最終的に採決の際に「多様な家族の保護の在り方について検討すべきである」という附帯決議がひとつ付されたところです。社会の価値観が多様化する状況ですので,家族の在り方も多様化しているということで,そのような現状を踏まえ,多様な家族をどのように保護していくのかという問題は非常に重要であると認識をしているところです。
 特に,各法務委員会においては,質疑の中で,事実婚や同性カップルのパートナーの保護が不十分ではないかという御指摘をいただいたところです。
 御指摘いただいた問題についても,審議の対象となっている相続法制の問題にとどまらない,我が国における婚姻法制をどのように考えるといった根本的な問題に関わるものであり,国民の意識を踏まえながら,慎重に検討していくべき課題であると思っています。
 法の施行状況を見て,また,今回の衆議院,参議院の法務委員会での質疑の内容について十分に検討をした中から,今後どのような形で検討を進めていくのかということについても,今の段階では決まっておりませんが,丁寧にやっていきたいと思っています。

死刑確定者7名の死刑執行に関する質疑について

【記者】
 今朝の死刑確定者7名に対する死刑執行の関連で,報復的な行為が懸念されると思いますが,御自身ですとか地元の事務所についての警備体制の強化については,どのようにお考えでしょうか。御自身のお考えでお答えください。

【大臣】
 警備の強化についての具体的な内容にかかる御質問ということで,関係機関と緊密に連携を取りながら必要な警戒等を行っていきます。そうした考え方で対応していくということに尽きると思います。

犯罪被害者団体Springの訪英調査に関する質疑について

【記者】
 犯罪被害者団体Springが訪英調査を実施するということですが,法務省としては,この点について協力など行っているのか教えてください。

【大臣】
 性犯罪の被害者団体である一般社団法人Springが,イギリスにおける民間団体の被害者支援の取組について調査に行かれるということで,本年の7月8日から13日の間の日程でイギリスを訪問する予定であるということについては承知をしているところです。
 被害者団体の方々が海外の様々な施策を参考にしながら活動の充実を図るということは,我が国においての被害者支援の充実を図る上でも大変大きな役割を果たすのではないかと思っており,大変有意義な取組ではないかと思っています。法務省としては,Springの訪英が充実したものになるように必要な協力をしてまいりたいと考えています。私も実は,訪英の折に被害者団体の皆様,性犯罪の被害者の支援団体の皆様から直接お話を聞いた上で,直接日本との間でも協力をしていくということについて話をしてきたところですので,その意味でも,そうした方々にも是非お会いしていただき,実際にその場にも行っていただいて,イギリスの民間団体がどういったネットワークを持っているのかといったことをよく調査をしていただきたいと思います。そして,これを日本での取組に役立てていくということは大変大事なことですので,法務省としても必要な協力をしていきたいと考えています。

赤坂議員宿舎における会合に関する質疑について

【記者】
 先ほどの臨時記者会見で質問のあった赤坂の宿舎での会合について,大臣個人の話ということでお答えを差し控えられたのですが,各SNS上で批判の声等が出ているようです。大臣の御所見をお伺いします。

【大臣】
 先ほどは,臨時会見ということもありましたし,私の政治家個人としての活動であるということから,お答えを差し控えさせていただいたところです。
 定例会見で御質問をいただいたので回答いたしますと,これは「赤坂自民亭」という会で,2000年当選同期が主催し,特に若い期の世代の皆さんと,いろいろな派閥を超えて宿舎に住まう人たちの間の親睦交流を図りながら,様々な勉強をしていく機会を作っていこうという趣旨で始めたものです。私自身も幹事の1人として,その中に加わってまいりました。昨日の会で27回目を数えており,安倍総理が27回目にして初めて来られるということもあり,私も幹事の1人として参加しました。かなり短い時間でしたが,大変有意義な会であったと思っています。
 いろいろな活動について,その趣旨に照らしてしっかりと対応していくというのが私の本旨とするところですので,いろいろな状況の中にあっても,しっかりとそれぞれの役割の中で活動していきたいと思っている次第です。先ほどの臨時記者会見では,そのことについて質問がありましたが,そこで申し上げたことは,今回の判断の姿勢について,また,その姿勢を表現する言葉として「鏡を磨いて,磨いて,磨いていく」という姿勢で臨むということについて,私自身,明確に自分に言い聞かせて今回の判断に至ったものであるということです。私は,今回含め過去3回判断をしていますが,いずれも法務大臣に就任をする際には,自分自身の法務大臣としての大変難しい任務について,基本的な姿勢で臨むということに一点の曇りもございません。

(以上)