平成30年7月17日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件として主意書に対する答弁書が1件ありました。
 また,7月14日(土),「平成30年7月豪雨」を「特定非常災害」に指定するとともに,特定非常災害特別措置法及び総合法律支援法に基づく特別措置を適用するための政令が閣議決定されました。これにより,今回の豪雨災害に被災された方々に対し,法務省の所管に関わる次の支援措置を実施してまいります。
 まず,総合法律支援法に基づく措置として,日本司法支援センター(法テラス)において,来年6月27日までの間,被災者の方々を対象に,無料法律相談が実施されます。なお,法テラスでは,被災者の方々の生活再建に役立つ情報提供として,ホームページに「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)Q&A」の掲載を行っているほか,専用のフリーダイヤルを利用していただけるようにすることとしています。
 次に,特定非常災害特別措置法に基づく措置として,
 (1) 行政上の権利利益に係る満了日の延長(例えば,犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給申請の期間を延長する)
 (2) 期限内に履行されなかった義務に係る免責(例えば,建物の滅失登記,会社・法人等の役員変更登記等の申請ができなかった場合に不利益な取扱いとしない)        
 (3) 債務超過を理由とする法人の破産手続開始の決定の特例
 (4) 相続の承認又は放棄をすべき期間の特例
 (5) 民事調停の申立手数料の特例
 を実施します。
 さらに,これらの法律に基づく措置ではありませんが,被災地域にお住まいの外国人の方々を対象として,被災により在留資格等に関する各種手続や在留管理制度における届出が期限までにできなかった場合について,柔軟に対応することとしています。
 これらの措置が,被災者の方々の一日も早い被害回復や生活再建の一助となることを願っています。
 7月10日の記者会見で申し上げましたが,法務省においては,一部の官署で避難者の受入れや備蓄品の提供などの支援を行っているほか,13日からは尾道市向島給水拠点に刑事施設職員を派遣し,近隣住民に対する給水対応の支援を行っています。引き続き,被災者の方々への支援に貢献してまいる所存です。

「盗撮罪」新設の要望に関する質疑について

【記者】
 弁護士グループが,盗撮を性犯罪と位置付けて,刑法に「盗撮罪」を新設してほしいと訴えています。盗撮は現在,各都道府県の迷惑防止条例などで取り締まられていますが,対象が「公の場」に限定されるなどの問題点があると指摘されています。この点について大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねの「盗撮罪」を設けることについては,保護法益をどのように考えるか,処罰範囲が不当に拡大しないように,処罰の対象となる行為を明確かつ適切に定めることができるか,都道府県条例や他の法律の罰則との関係をどのように考えるか,といった観点から,慎重に検討することが必要であると考えています。
 いずれにしても,性犯罪については,今後,性犯罪被害の実情の把握等を着実に進めた上で,これらを踏まえ,関係府省とも協議しつつ,刑法一部改正法附則第9条で求められている施策の総合的な検討を行っていまいりたいと考えています。

医療観察事件の被害者に対する情報提供に関する質疑について

【記者】
 医療観察事件の被害者等に対し対象者の処遇段階等に関する情報の提供を開始したということですが,その趣旨と概要を教えてください。

【大臣】
 医療観察事件の被害者等の権利利益の保護の充実を図るため,医療観察対象者の処遇段階等の情報を提供できるよう通達を発出しました。
 これまでも,医療観察事件の被害者や御家族・御遺族の方々から,保護観察所に様々な問合せがありました。法務省においては,そうしたことを踏まえ,医療観察対象者の個人情報もしっかりと考慮しつつ,医療観察事件の被害者等にどのような対応ができるのかについて検討してきました。
 検討の結果,医療観察事件の被害者等の権利利益の保護の充実を図るため,医療観察対象者の氏名,処遇段階,これについては入院処遇・地域社会における処遇・処遇終了,当該事件が係属している保護観察所名,直近6か月間の保護観察所による面接等の回数について情報提供できるよう通達を発出し,本月9日から運用を開始したところです。今後,本通達の円滑な運用に努めたいと考えています。

離婚後の共同親権制度に関する質疑について

【記者】
 政府が,離婚後の共同親権制度の導入について検討しており,親権制度の見直しに向けた民法改正について平成31年にも法制審議会に諮問する予定である旨の報道があったと思いますが,今後の見通しについて教えてください。

【大臣】
 御指摘の報道がされたことは認識しています。現行法の下では,父母の離婚後はそのいずれか一方のみが子の親権者となるわけですが,離婚後も父母の双方が子の監護教育の責任を負うべきであるとして,離婚後も父母が共に親権者となる制度を導入すべきであるとの意見があることは承知しています。
 一方で,離婚後共同親権制度の導入に当たっては,父母の関係が良好でない場合に,親権の行使について父母の間で適時に適切な合意を形成することができないことによって,子の利益を害するおそれがあるとの指摘もなされています。
 法務省としては,今後,無戸籍者の解消に向けた取組の一環として,嫡出推定制度の見直しに向けた検討を開始する予定であり,これとも関連する親子法制の諸課題について,離婚後単独親権制度の見直しも含めて,広く検討していきたいと考えています。
 今後の見通しですが,こうした親子法制の見直しに関する具体的な日程や見直しの対象範囲については,現時点では未定です。

(以上)