平成30年7月24日(火)
10:54~11:09
於:記者会見室

冒頭発言

幹部人事異動

 おはようございます。私の方から1件ございます。

 本日、経済産業省の幹部の人事異動について閣議で承認をされました。発令は7月25日となります。
 今回の人事では、継続性、即戦力、そして省の枠を超えた実績の3点を重視させていただきました。
 継続性という面では、嶋田事務次官を初め、約半分の幹部を留任といたしました。
 一方で、即戦力という意味では、経産審議官に省内随一のタフネゴシエーターとして数多くの実績もある寺澤達也を登用することといたしました。

 また、資源エネルギー庁長官には、エネルギー政策のいくつもの主要ポストを歴任してきた髙橋泰三を起用いたします。
 省の枠を超えた実績では、経済産業政策局長に経済財政諮問会議や人生100年時代構想会議の事務局として政府全体の経済政策を取りまとめてきた新原浩朗を、そして製造産業局長には農林水産省食料産業局長を務めた井上宏司を、そして商務情報政策局長には東京電力や産革機構の経営に合計7年間関与をしてきた西山圭太をそれぞれ登用いたします。

 その他は、配付資料のとおりであります。
 なお、審議官級、課長級人事においても、継続性、即戦力、省の枠を超えた実績の3点を従来以上に重視をしてきたところであります。

 私からは以上です。

質疑応答

米国の自動車輸入制限

Q: 19日のアメリカ商務省の自動車関税についての公聴会で、各国やアメリカ産業界から改めて強い懸念が示されました。日本としては、関税の発動回避に向けてどのように取り組むお考えかを教えてください。

A: この商務省による公聴会では、外国からだけではなくて、アメリカ自身の自動車業界からも反対論が相次いだと聞いております。今後アメリカ政府がこうした米国内の声も踏まえた対応をすることを期待したいと思います。
 日本の立場としては、日本の自動車及び部品メーカーや、あるいはディーラーはアメリカ経済に多大な貢献をしているわけでありまして、仮に貿易制限的な措置が発動された場合はアメリカ自身にもダメージがありますし、世界経済にも悪影響を及ぼすことになるわけであります。いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきだと考えております。

 引き続き、こうした日本の立場について、さまざまな機会を捉えて、さまざまなレベルでアメリカ側にしっかりと説明をしながら、貿易制限措置を回避するために粘り強く取り組んでまいりたいと思っております。

テレワーク

Q: テレワークに関して2点お伺いしたいです。
 本日、テレワーク・デイですが、経産省ではどんな取組をするかというのが1点。

 もう1点、霞ヶ関では、テレワークなど働き方改革が多少遅れているかというような指摘もあると思うんですが、そういった取組に関して、経産省だけではなく霞が関全体でやらなきゃ効果がないと思うんですが、その辺の2点に関して。

A: 今年は23日から27日までをテレワーク・デイズとして、そしてちょうど東京オリンピック開会式の2年前に当たる今日、本格的なテレワークを経産省内でも実施をしていきたいと思っています。第4次産業革命ですとか人生100年時代が到来する中で、日本経済の生産性を高めていくためには、やはり時間や場所にとらわれないで多様で柔軟な働き方を可能にしていくということが重要だと思っています。
 このテレワーク・デイズ、そしてテレワーク・デイを契機として働き方改革を加速していくために、経産省においても率先してテレワークを活用した働き方改革を進めていきたいと思います。

 例えば、子供を持つ職員が自宅でテレビ会議を活用して、こちらに登庁、出勤をしている職員と一緒に政策を立案していくような形ですとか、あるいは地方に出張中の職員が遠隔地から業務を実施するなど、柔軟な働き方を実践していきたいと思います。
 今回の豪雨災害で、テレワークは緊急時対応にも威力を発揮するということを痛感しています。西日本豪雨の被災地で被災者や被災企業の支援に現場で当たっている職員ともテレワークを活用して迅速な情報共有をすることができました。現場の温度感とか感覚をテレワークでしっかり伝えてもらうことによって、閣僚である私も、この本省にいる幹部も迅速に被災地の立場に立った支援策を打ち出すことにつながったと考えています。

 さらに、リモートでの企業の打ち合わせですとか、電子申請をやりやすくするためのシステム開発など、デジタルガバメントの取組を進めていくことで、民間企業にとっての生産性向上にもつなげていきたいと思っています。

 確かに、霞が関はまだまだテレワークは遅れている面があると思いますが、経産省がまず隗より始めよの精神で、きちんとテレワークでも支障なく業務が遂行できるんだということを他省庁にもしっかりお見せをして、他省庁がそれをまねていただくことで広がっていくことも期待したいと思いますし、やはり民間企業も巻き込まなきゃだめだと思っています。スタートアップ企業や中小企業にとっては、補助金申請の問い合わせとか打ち合わせのために、わざわざ霞が関までやってくるということ自体が大変な負担になっているわけでありますから、こういう方々の問い合わせとか打ち合わせ対応にもテレワークが使えるようにして、そういう方々のこの霞が関との往復時間を節約して生産性を高めていただくということも取り組んでいく必要があるだろうと思っています。

幹部人事異動

Q: 今日の人事について、経済産業審議官の柳瀬さんが今回辞職するという、その理由と、一連の加計問題に対する対応が考慮する要素になったかどうかお尋ねしたい。

A: まず、加計学園の問題は、これは柳瀬審議官の経産審としての業務とは全く関係がありませんので、今回の人事にも何ら影響をしていないということは明確に申し上げておきたいと思います。

 柳瀬審議官も、非常にこれまで経産審として、特に外国との通商交渉の分野で大変な実力を発揮していただいた。その成果に関しては、私はもう120%満足をしている。特に業務と関係のない事案で国会に呼ばれるなど、個人としては大変な状況の中であったにもかかわらず、経産審としての職務はフルに果たしていただいたという意味で高く評価をしているわけであります。

 ただ、人事というのは、評価が高いからといってずっと置いておくというわけにはなかなかいかない。やはりきちっと年次を経て世代交代も図っていかなければいけないという面もありまして、そういったことを総合的に判断して、今回人事をさせていただいたということでございます。

認証機関の不正に関する報道

Q: 昨日の報道で日本適合性認定協会がイギリス系の認証団体であるロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッドの一部の規格の認定を不正のため取り消したという報道がありまして、その認定協会とロイドは一部の規格認定を取り消されたことは認めているのですが、不正があったかどうかは明らかにしていません。そのあたりについて、何か御報告があったり、あるいは認定機関で何か不正があるようなことがあれば品質保証にもかかわる問題なので、どのように御覧になっているでしょうか。

A: これは、もう報道で承知をしているだけであります。特に報告などは受けていません。なぜかといいますと、この公益財団法人日本適合性認定協会が今御指摘のロイドレジスタークオリティアシュアランスを認定して、そこに民間企業が申し込んで認証を受けているということでありますので、これは全く完全に民民の間の取引ということになります。いわゆる工業製品等のJISマークの認証とは違って、これは経済産業省、経済産業大臣は全く関与しないプロセスということになるわけであります。この日本適合性認定協会についても何か経産大臣が認定をしているということではないわけであり、純粋に民間の取組ということになるわけでありますので、これは個別の民民の事象ということであります。またいわゆる工業製品のJISマーク認証とは、これは我々、私が認証機関を認定してJISマーク認証というものが出ているわけであります。これは経済産業省として関与しているわけでありますけれども、それとはちょっと全く種類の違った事案であるということは御理解をいただきたいというふうに思います。

電気事業者の取戻し営業

Q: 電力の自由化に伴って、切り替え期間に大手電力会社が不当に安い値段を提示するなど、「取戻し営業」というのを規制する方針だということなんですけれども、大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

A: 電気の使用者が、いわゆる旧一般電気事業者から新電力にスイッチングをする意思決定をした後に、2カ月程度のスイッチング期間を利用して顧客を奪われた旧一般電気事業者が新電力には対抗困難で異例に安い小売価格を差別的に提案するなど、取戻し営業を行う事例が多いという指摘があるわけであります。

 今、専門会合において、こういった事例について旧一般電気事業者が発電コストの低い発電所の大半を保有しているという点、そして新電力が十分なコスト競争力を確保できていないという現状における差別的な廉売というのは、公正な競争を損なうのではないか、スイッチングに要する期間を短縮して、取戻し営業の機会を減少させるべきではないかというさまざまな御議論をいただいていると聞いております。
 この議題については、20日の専門会合で検討を開始したところでありまして、現段階で対策の具体案が決まったわけではありませんが、私は公正な競争条件の確保というのは非常に重要だと。これは私の出身の電気通信の世界ではこういうことはあり得ないわけであります。特に切り替え、スイッチングを希望している顧客の情報が営業部門へ流れるというようなこと自体あり得ないというふうに思っております。当然こういうスイッチングを担当する部署と営業を担当する部署の情報交換には明確なファイアウォールが立っているのが、もうこれ公正競争上当然のことだと思いますし、スイッチングになぜ2カ月も手続がかかっているのかということについても非常に疑義が大きいというふうに思っております。

 できるだけ早く、きちんとした公正競争条件が整うように、しっかりと我々としても臨んでまいりたいというふうに思っております。

サハリン1

Q: ロシアの石油大手ロスネフチが樺太沖の「サハリン1」で不当な収入を得たとして、日本の官民が出資する資源開発会社など5社に対して、総額891億ルーブルの支払いを求めて提訴したということがわかりました。
 ロスネフチ側はどういう趣旨や意図で訴えたのか、その計画にかかわる経産省として把握している事実関係があれば教えてください。

A: これは、「サハリン1」は日本にとって非常に重要なプロジェクトでありますので、まずは事実関係の把握に努めながら、関係者の協議を見守ってまいりたいというふうに思っております。

夏場の電力需給

Q: このところ暑さが続いて、電力需給についても関西電力が電力融通を受けるなどしました。改めて、この夏の、これだけ暑さが続いていますので、電力需給が大丈夫なのかどうかということと、電気の使い方、我々は何か考えることがあるのかどうか、そのあたり伺えますでしょうか。

A: 厳しい暑さが続いておりまして、電力需要が増加をしているのは事実であります。

 ただ一方で、例えば本日においても、日本全国全てのエリアにおいて需要に対して十分な供給力を確保しているところであります。仮に今後、どこかのエリアで電力不足のおそれがある場合には、電力広域的運営推進機関の指示に基づいて各電力会社間で電力融通を直ちに行う仕組みも整えているわけであります。
 今後とも電力供給に万が一にも支障が生じることがないように需給状況を注視して、必要に応じて適切な対応をとってまいりたいと思っています。

 ただ、いずれにしても、今全国いずれのエリアにおいても十分な供給力は確保されていますし、今後も確保される見通しでありますので、国民の皆さんにおいては、やはり熱中症対策を優先でしっかりやっていただきたい。何か今節電をお願いするような状況には全くありませんので、エアコンをしっかりかけて、熱中症にかかることがないような取組を最優先でやっていただきたいと考えております。

 

以上

最終更新日:2018年7月25日