平成30年9月4日(火)

 今朝の閣議では,法務省案件はありませんでした。
 続いて,私から1件御報告があります。年内に予定している「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の取りまとめに当たり,国民及び外国人双方の視点に配慮しつつ,多文化共生施策の企画及び立案に資する意見聴取等を実施するため,8月31日に,「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会」を設置しました。
 今後,多文化共生社会の実現に向け,外国人と共生する必要性や意義について国民の皆様の理解を得るため,この検討会において,国民の皆様から幅広く御意見を聴くなどし,多様性・包摂性を考慮しつつ,外国人の受入れ環境整備に関する各種取組の具体化について,関係省庁と連携して検討を進めていく予定です。
 年内という限られた期間ではありますが,「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の最終取りまとめに向け,法務省が司令塔的機能を果たし,スピード感を持って,集中的に,議論を行ってまいりたいと考えています。
 また,法務省においては,併せて,多文化共生社会の実現に向けて国民の声を聴くとともに新たな外国人材の受入れに関して業界ごとの必要な助言を得るため,「『国民の声』を聴く会議」を近日中に設置する予定であり,こうした会議を通じて,継続的に,幅広く,国民及び外国人双方の意見を聞いてまいりたいと考えています。
 日本で学び,生活する外国人を我が国社会の一員として誰一人取り残すことなく受け入れ,共に生きていくため,今後とも,多様性・包摂性を考慮した外国人の受入れ環境整備に努めてまいりたいと考えています。

「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」に関する質疑について

【記者】
 昨日行われた「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」についてお伺いします。昨日の会議の成果というのを,大臣はどのようにとらえていますか。

【大臣】
 昨日の会合においては,先の国会において議論がなされた状況について共有されるとともに,関係府省庁が取り組んでいる環境整備に関する施策の内容及び進捗状況について報告が行われました。
 成年年齢の引下げの意義が十分に発揮されるためには,その環境整備のための施策を徹底的に実行することが不可欠であり,議長である私からも,関係府省庁が密接な連携・協力のもとに検討を進める必要があること,例えば一定の指標を設けるなどして,各施策に取り組むに当たり具体的な効果,また,進捗状況を常に意識すること等について指示をしたところです。

【記者】
 今回成人式の在り方に関する分科会を開催するとのことですが,この分科会を設けた意義や,今後の取組について教えてください。

【大臣】
 成年年齢を18歳に引き下げた場合の影響というのは社会の様々な分野に及ぶ訳ですが,成人式の在り方に対しても影響を与えることが予想され,成人式に関しては,その時期や在り方等について検討を行うため,連絡会議の議長として,連絡会議の下に分科会を設置することとしたところです。
 分科会では,関係者との意見交換等を行った上で,平成31年度末までに関係者の意見や各自治体等の検討状況を取りまとめ,平成32年度以降,各自治体等に対し情報を発信していくことを予定しています。

【記者】
 昨日の会議の中で,慎重な議論が必要であると思われる施策や課題等があれば,具体的に教えてください。

【大臣】
 成年年齢引下げに伴い,対応すべき施策については大変多岐にわたっています。必要な環境整備の施策いずれもが重要であり,連絡会議では時宜に応じて各施策の進捗を把握していくこととしていますが,例えば,昨日の連絡会議においては,若年者の消費者教育について,消費者庁から,実践的な消費者教育の取組が全国で実施されるよう働きかけを進めていることなどが報告されたところです。
 また,成年年齢の引下げにより,18歳,19歳の若年者が,アダルトビデオへの出演を強要されることになるのではないかといった懸念が国会審議において示されたところです。今回の連絡会議から,内閣府男女共同参画局長にも構成員に加わっていただき,必要な取組について実施していくこととした次第です。
 成年年齢の引下げについては,今後の我が国の社会を活力あるものとするために重要な意義があると考えており,その意義が十分に発揮されるよう,施行日の平成34年4月1日に向け,政府一丸となって必要な施策について進めてまいりたいと考えています。

「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」に関する質疑について

【記者】
 「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会」の構成員とその開催日程を教えてください。また,この検討会とは別に「『国民の声』を聴く会議」を設置するとのことですが,その趣旨は何でしょうか。

【大臣】
 検討会の構成員は,法務省大臣官房政策立案総括審議官を議長とし,多文化共生施策の企画及び立案に当たり国民及び外国人双方の意見が適切に反映されるよう,広く関係者から意見を聴くため,学界,経済界,労働界,法曹界,自治体からそれぞれ選定した有識者及び関係省庁としています。
 開催日程については,9月13日に第1回目を開催し,その後,検討状況の進捗を見ながら,年内に複数回開催し,「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の取りまとめに向けて議論を進めてまいりたいと思っています。
 2点目の御質問ですが,法務省においては,多文化共生社会の実現に向け,国民の声を聴くとともに新たな外国人材の受入れに関して業界ごとの必要な助言を得るために,この検討会と併せて,近日中に,「『国民の声』を聴く会議」の設置することとしています。
 これらの会議を通じ,継続的に,幅広く,国民及び外国人双方の意見を聴き,日本で学び,生活をする外国人を我が国社会の一員として誰一人取り残すことなく受け入れ,共に生きていくため,今後とも,多様性・包摂性を考慮した外国人の受入れ環境整備に努めてまいりたいと考えています。

【記者】
 今地方では外国人が暮らす都市や,ブラジル人,日系人を始めとして沢山の外国人労働者が住んでいる地域などがありますが,そういう自治体は検討会の構成員に入るのでしょうか。また,技能実習生の相談を受けてきた労働組合,NGOといったような,一番現場の近いところで活動する人は構成員に入るのでしょうか。

【大臣】
 既に多文化共生自治体の会議が長年にわたって積み上げられているということは承知しています。そうした自治体の動きについても十分な把握をしてまいりたいと思い,自治体の方はメンバーシップに入っています。また,様々な分野の関係者からできるだけヒアリングをさせていただきたいと考えており,その意味で今お尋ねがあったような,技能実習生のサポートなど,様々な取組を行っている機関その他の御意見もできるだけ幅広く伺いたいと思っています。

死刑執行後の遺骨の引渡しに関する質疑について

【記者】
 遺骨の引渡しについてお聞きします。一般論としてで結構なのですが,刑務所のルールはどのようなっているのかということと,また,その際の引渡先の遺族間の訴訟問題や,引き渡した後に,引き渡したことが与える影響というのは考慮されているのでしょうか。

【大臣】
 被収容者が死亡した場合には,その遺族等に対し,死亡の原因,日時等を速やかに通知することとしています。遺骨の引渡しについては,その者が収容されていた刑事施設の長において,通知をした遺族等と協議するなどして,適切に行っていると承知しています。
 いずれにしても,個別具体的な事情に応じ,刑事施設の長において,適切に対処するものと承知しています。

経団連が就職活動ルールを廃止する意向を表明したことに関する質疑について

【記者】
 昨日経団連が,2021年卒の学生から就活ルール廃止について言及したと思うのですが,司法試験でや法学部生の進路状況等,法務省に関しても影響が出ると想定されている分野があれば教えてください。

【大臣】
 経団連の会長の方からその一端が述べられたと思っていますが,どのように考えて行動されるのかということについては,詳しく承知をしていません。しかし,それぞれの団体で,様々な議論の上で決められていると思っています。いずれにしても,法務行政においては,様々な分野の新しい人材が活躍していただくということが極めて重要であると思っています。

関東大震災追悼行事に関する質疑について

【記者】
 9月1日で関東大震災から95周年でした。毎年各地で追悼行事が行われるのですが,その中で朝鮮人の虐殺についての追悼式もありました。今年,東京では小池都知事が追悼文を寄せなかったということで,色々と物議,問題があったのですが,日本政府も2008年に内閣府の中央防災会議の方の専門調査会で,朝鮮人あるいは中国人の虐殺について報告書を作っています。その当時,福田内閣だと思うのですが,大臣がちょうど公文書管理の担当をやっていたと思うのですが,そういった中で,植民地政策や戦争責任に基づくこういった差別や人種差別について,今日的な視点でどのような見解をお持ちかということと,この公文書管理担当を大臣が務めていたときにどのように報告書に関わったのかということを伺います。

【大臣】
 個別の案件について,調査等を離れ,法務大臣としてお答えするということは差し控えたいと思います。人権擁護行政を所管する法務省としては,これまでも災害に伴い,各種人権侵害の御相談があった折には,真摯に,真剣に対応してきたところであり,今後も引き続きそうした姿勢で適切に対応してまいりたいと思っています。
 なお,地震等の災害時において,虚偽の情報を流すことにより,特定の民族や国籍の人々を排斥したり,その尊厳を傷つけたり,これらの人々に対する差別意識を生じさせるようなことは,あってはならないと考えています。
 法務省としては,外国人に対する偏見や差別の解消を目指し,人権啓発活動を実施するとともに,人権侵害の疑いのある事案については,調査救済活動を行ってきたところでして,今後も引き続き,しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

【記者】
 この件の公文書管理については関係していらっしゃらなかったということですか。

【大臣】
 私の今の法務大臣としての立場でお答えのできる範囲の中で,ただいまのようにお答えしました。

(以上)