平成30年9月4日(火曜日)
11時55分~12時13分
於:記者会見室

冒頭発言

今日は私からは特にございません。

質疑応答

RCEP閣僚会合

Q:幹事社から2問お願いいたします。
1問目はRCEPについてです。
先日、シンガポールで閣僚会合が開かれ、年内妥結を打ち出しました。残された課題がまだいろいろあるかと思いますが、年内妥結に向けた可能性と達成に向けてどう努力されていくかについてお伺いします。

A:RCEP閣僚会合では、年末の成果パッケージを採択して、それが達成されたことによって、実質的な妥結を目指すということで一致をいたしました。また、7月の東京会合での議論を踏まえて、残された政治的論点をいかに解決すべきかについて、閣僚プラス1といった少人数形式の会合で集中的に議論し、相当程度の進展があったと思っております。私自身、7月の東京閣僚会合、そしてバンコクの交渉官会合を経て、論点が絞り込まれてきて、議論がかなり進んでいるということを実感いたしました。
ただ、一方で残された論点は非常に隔たりが大きいことも事実であります。今後、年内の実質的な妥結に向けて、この距離をどう縮めていくかが重要になってくると思っております。

使用済MOX燃料再処理

Q:2問目です。
MOX燃料についてです。一部報道で、大手電力会社がMOX燃料の再処理費用について、費用計上を中止したとの報道があります。この事実関係の御説明をお願いいたします。

A:これは全く事実に反する報道でありまして、当該媒体に対しては、直ちに厳重に抗議をさせていただきました。電事連からも同様の抗議が行われていると聞いております。
この件については、我々の担当課が記者からの取材に真摯に回答したにもかかわらず、全く事実と異なる報道がなされたということは、大変遺憾だと思っております。
事実関係を申し上げますと、まず2016年に再処理等拠出金法という法律が成立いたしました。その法律が成立したことによって、その前後で使用済MOX燃料の再処理について、何か政策変更をしたというようなことは全くありません。
この再処理等拠出金法というのは、過去、電力事業者が資金をそれぞれの社内に引当金として積み立てていた、そのものをこの法律を施行することによって、事業者が必要な費用を使用済燃料再処理機構にきちっと拠出をしていくということになったわけであります。これはあくまでも電力自由化が進む中にあっても、再処理に係る事業を安定、継続的に実施をしていくこと、これを目的としたものでありまして、何かMOX燃料の再処理をやめるとか、そういった政策変更をしたというものでは全くありません。
機構への拠出金には、MOX燃料を含む全ての使用済燃料の再処理等の費用が含まれているわけでありまして、各事業者の、これは会計面での処理方法が変わっただけ、お金を置く場所が各事業者に置いておくか、それをちゃんと機構がきちっと預かって管理をするかと、こう変わっただけでありまして、そのことをもって、MOX燃料の再処理を断念したという報道は全く理解に苦しむわけでありまして、強く訂正を申し入れたいと、求めたいと思っております。
いずれにせよ、エネルギー基本計画にも記載されているとおり、核燃料サイクルをしっかりと推進してまいりたいと思います。

NAFTA再交渉

Q:NAFTAについてお伺いいたします。
アメリカとメキシコが大筋合意をしたようなのですけれども、自動車に関しては部品の域内調達のほか、数量の規制もあるようです。その受け止めと日本の自動車産業への影響について、コメントをお願いいたします。

A:まだNAFTA交渉については、引き続きカナダも交えて協議が継続しているわけであります。また、メキシコとの関係に関しても、この間の会見でも申し上げましたけれども、その期間ですとか計算方法とか、そういったところはまだ明らかになっていない面もあるわけでして、現段階で予断を持ってコメントをすることは控えたいと思います。
いずれにしろ、これは日本の自動車メーカーにとっても、非常に大きな影響が出る問題でありますので、アメリカ、メキシコ、そしてカナダには数多くの日本企業が進出していることから、その推移について、引き続きしっかりと注視をしてまいりたいと思います。

Q:今月中旬か下旬には、FFRの開催も予定されているかと思うのですけれども、それへの影響というのはありますでしょうか。

A:これはカナダ、メキシコはアメリカとNAFTAという形でFTAを結んでいるわけであります。日本はそうした枠組みはないわけであります。ですので、アメリカとの貿易に関する関係性とか、あるいは自動車貿易に関するサプライチェーンの状況、これはカナダ、メキシコと日本は全く異なるわけでありまして、NAFTAの交渉状況とか交渉結果が日米で交渉、話し合っているFFRについて、何か直接の影響があるということはないのではないかと理解をしております。

日露間8項目の協力プラン

Q:来週あたりロシアのウラジオストクで開催される東方経済フォーラムについてお伺いしたいのですけれども、日露8項目の協力プランの推進状況、またそれも含めて、全体的な日露貿易の評価結果を教えてください。

A:まず、8項目の協力プランは、今年の5月で安倍総理から提案して2年を迎えたということになります。その間に130件を超える民間プロジェクトが生み出されて、その半分で具体的なアクション、これは契約というか、そういった形でプロジェクトが具体的に動き始めているのが約半分ということになりますので、着実に成果が上がってきているのではないかと思っております。
5月以降もさらに質の高い案件を進めるべく、両国で議論を重ねてきています。昨日もオレシュキン経済発展大臣との間で、テレビ会談を行いまして、進捗の確認をしたところであります。また、来るべきウラジオストクでの首脳会談へ向けて、さらに成果を積み増していくことも、確認をさせていただいたわけであります。
これから行われる日露首脳会談に向けて、両国民が成果を実感できる協力に引き続き取り組んでまいりたいと思います。

イラン制裁

Q:イラン産原油の輸入制限についてお伺いします。
石油元売り各社は、日本政府とアメリカとの交渉結果を受けて、その方針に従うと、ですから現時点でその結果を待っていると揃って言っているわけですが、日本政府は何か公の場で交渉結果について、公表なり、方針なりを示すことを近々予定していますでしょうか。

A:イラン産原油の調達に関しては、それぞれ各企業が判断をして対応をしているわけであります。その個別の企業の対応ぶりについて、コメントすることは控えたいと思いますし、政府として企業に対して何かをするというようなことはないわけであります。
いずれにしても、政府としてはイラン産原油の輸入が継続できるよう、引き続きアメリカとも粘り強く協議を行ってまいりたいと思います。

経団連の採用指針

Q:昨日ですが、経団連の中西会長が就職面接の解禁時期などを定めた採用活動の指針を廃止するという意向を表明されました。これについて、就職活動の長期化を招くとの懸念もありますが、産業政策、中小企業を所管される大臣としてどのようにご覧になられていますか。

A:まず、中西会長の御発言は、2019年のルールというよりは、2020年からのルールについて言及をされたと思っております。2019年は既に動き始めているわけでありますから、2019年については、引き続き今決まっているルールを守っていただけるものと思っております。
いずれにせよ、学生が学業に集中できる環境をしっかりと作っていくということについて、これは経済界にしっかりと御配慮をいただく必要はあるのだろうと思っております。
ただ、一方で私は従来から新卒一括採用にはいろいろな問題があると思っております。なぜ同じ時期にみんな就職活動をして、同じ時期にみんな一斉に入社をするのか、これは柔軟な働き方をこれから認めていくという観点から、大学を卒業した後、少し語学研修で短期留学をした後就職をするとか、いろいろな形があるべきだと思います。
中西会長の発言が通年採用に向けて、採用の在り方を経済界としてもう一度議論をするというような御趣旨の発言であれば、私も歓迎したいと思っています。

公文書管理

Q:先週、毎日新聞が書きました公文書管理の運用についての説明の中に、詳細なやりとりを記録する必要はないと。そこだけでなくて、取材をしていますと、運用についての説明の場で、同時に省庁間のやりとりですとか、政治家とのやりとりについては、とにかく細かくメモをとるなという、こういう指示も併せて出ていたということで、現場の職員の方々が非常にこの運用の在り方に戸惑っているとお聞きしております。
この状況を今大臣としてどの程度把握していらっしゃるか、伺います。

A:いわゆる公文書管理については、いろいろなレイヤーがありまして、まずは公文書管理法という法律があります。また、その上で公文書管理に関する施行令というのもあります。さらに、その下にはこの間12月に改訂をされましたけれども、行政文書の管理に関するガイドラインというのがあります。
それに基づいて、経済産業省として行政文書管理規則というルールを定めているわけであります。これも去年政府全体のガイドラインが年末に改定されたことを受けて、去年度内のうちに、経済産業省としてのこの文書管理規則というルールを改訂させていただきました。
このルールの中では、政策立案や事務、事業の実施の方針等に影響を及ぼす打ち合わせ等の記録についての文書を作成するものとするということを定めているわけであります。当然、この事務、事業の実施の方針等に影響を及ぼす打ち合わせ等というものの中には、当然議事録が入るわけであります。どういう経過で物事が決まっていったか、政策や法律や予算が決まっていったかということをしっかり記録に残しなさいと、それが分かるようにするために必要であるならば、議事録も当然残すということは、このルールの中に議事録という言葉は出てきていませんが、これは読めば当然そのように思えるわけであります。
ですから、そういう意味で何か議事録を作らなくていい、全く作らなくていいというルールを決めたこともありませんし、省として職員に対して議事録を作らなくていいという指導をしたということは、全くありません。

Q:指導してないといっても、現場の職員複数の方々からそのような指示が出ていると、かなりの職員の方にそのような指示がもし一部の幹部からであっても回っているとしたら、これは非常に問題だと思うのですが、ここら辺は調査したり、もしくはそういう誤解のあるような解釈の中で現場の職員に指示することがないようになど、幹部の方々に通知すると、これはお考えなのでしょうか。

A:もし万が一、このいわゆる我々のルールである行政文書管理規則と不一致な、不整合な指示などが出ていれば、当然担当課にお問合せ等が来るわけであります。そういったのは一切来ていません。マスコミに対して問題提起をした職員は、報道を見る限りいるようですけれども、文書管理規則と不整合な指示等が出ていれば、当然担当課にお問合せが来たり、あるいは場合によっては、我々も内部通報のメカニズムがありますから、そういった違った指示が出ていますよということも出てくるはずですが、そういったものは全くありません。
現にこの文書管理規則が運用されて以降も、例えば審議会といった当然議事録を残すべき議事録は残っているわけでありますので、今何か運用上の問題が出ているとは考えておりません。

Q:今の公文書の件で関連して、報道であったように指示に関して言うと、打ち合わせの記録について、議事録のように個別の発言まで記録する必要はないというふうにおっしゃって、これは議事録と多分性質が違うものだと思うのですけれども、ここに関しては記録する必要がないという御認識で、世耕大臣も同じということで。

A:ですから、これは先ほども申し上げているように、これはルール、あるいは政府全体のガイドラインの中で、政策立案ですとか、事務、事業の方針に影響を及ぼす業務や打ち合わせに関しては記録を作る。それは後でちゃんと検証できるようにということであります。
検証できるようにするときに、例えば議事録を作った方がいいのか、あるいはその会議で使われた資料が残っていればいいのか、それはその都度の判断だと思います。議事録を残さなくていいという指示は全くしていません。

Q:現在の運用で問題はないということですか。

A:現在の運用で問題はないと思います。
いずれにしても、これから公文書管理監が各省庁にいろいろな調査をかけられるというふうに思っております。我々としては、後世への説明責任ということで、公文書やいろいろな政策立案の経過ということは、しっかり残していかなければいけないと思っていますから、公文書管理監の指導もいただきながら、適正な公文書管理に努めていきたいというふうに思っています。

Q:環境省は、昨日の幹部会の中で、一部報道の記事を使って、いわゆる会議で使った資料、私文書とか個人メモというふうに書いたりとか、そういう運用をしないようにという、調査はしっかりできていないのだけれども、記事をベースに通知をしたと、こういう運用は間違いですよということを聞いております。
今の大臣のお話ですと、内部の通報がないのだから、新聞にいろいろな職員の告発的な記事が載っても調査する必要はない、今の運用のままでいいのだというふうに聞こえてしまうのですが、私たち取材の現場で聞いている声からすると、こういうやり方はおかしいと、幹部の指示もおかしいのではないかという声が出ているわけですね。
これが事実誰が言ったかという特定までしなくても、こういうやり方をもし現場の職員に指示をしているとすれば、問題であるという認識のもとで、各職員に通知をして、こういう運用をしないようにということは必要だと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

A:先ほどから申し上げているように、経済産業省のルールというのは、あくまでも行政文書管理規則、これに尽きるわけであります。それと異なるような説明や指示があったということは、省内で何ら報告や通報はないわけであります。
しかも一部報道にあるような議事録を作らなくてもいいと、議事録は全て作るなというような指示が出ていれば、当然議事録は省内から消えているはずでありますけれども、審議会等、議事録を残すべきものについては、しっかり残っているわけですから、運用上の問題が出ているとは思っておりません。
いずれにしても、適切な文書管理のために改善すべきところがあれば、しっかりと改善してまいりたいと思っています。

大間原発

Q:今日、電源開発が大間原発の安全対策工事が2年遅れると公表しています。
大間原発の運転、プルトニウムの消費という意味でも、再稼動の進展という意味でも影響があると思うのですが、大臣のお考えをお願いします。

A:電源開発においては、スケジュールありきではなくて、安全を最優先で、規制委員会の審査に適切に対応していただきたいと思っています。

最終更新日:2018年9月4日