平成30年9月25日(火)

 本日の閣議において,法務省案件はありませんでした。

外国人の国民健康保険適用の不適正事案の通知制度に関する質疑について

【記者】
 外国人の国民健康保険に関する問題について,本年1月に厚労省,法務省が共同で調査を始めましたが,その後,該当例が見当たらないということで,在留外国人の偏見を助長するのではないかという指摘があります。これについて入国管理施策を所管する大臣として,見解をお聞かせください。

【大臣】
 まず事実関係を申し上げると,昨年12月,医療を受けることが真の在留目的であるにもかかわらず,在留目的を偽って在留している疑いのある外国人について,国民健康保険の窓口を有する市町村から地方入国管理局に通知する制度を試行的に運用することを内容とする通知が,厚生労働省から地方自治体に対して発出され,本年1月から運用されています。
 これまで複数の市町村から地方入国管理局に対して通知がなされていますが,現時点で調査等を終了したもののうち在留資格の取消しを決定するに至った事案はないと承知しています。
 在留外国人に対する適切な医療の確保が重要な課題であることは当然のことですが,他方で,本来の在留目的を偽って我が国に在留し,我が国の保険制度を悪用する偽装滞在外国人に対しては,厳正に対処する必要があると認識しています。
 そのため,法務省としては,引き続き市町村から通知を受けた場合は,必要な調査を行うなどした上で,在留資格取消事由に該当すると認められる外国人については,速やかに在留資格を取り消すなど,適切に対応していく所存です。

受刑者への運転免許取消等の行政処分執行対策に関する質疑について

【記者】
 危険運転致傷罪で服役した受刑者が,本来取り消されるべき免許を持ったまま出所した問題について伺います。警察庁が,長野刑務所と福岡刑務所の2件については不適切としていますが,この点,受刑者を預かる法務省の対応として,反省点などはありますか。
また,市原刑務所のケースを始め,過去をさかのぼっての調査や再発防止策についても併せてお聞かせください。

【大臣】
 長野刑務所や福岡刑務所において危険運転致傷罪で服役していた受刑者が,有効な運転免許証を所持したまま出所していた事案があったことは承知しています。
 このような事案が起きたことについては,法務省と警察庁との間で,行政処分の対象者に関する情報をやり取りする仕組みがなかったことが原因であったと考えています。
 また,交通事犯の者が収容されている市原刑務所においても,自動車運転過失傷害罪で服役していた受刑者が,有効な運転免許証を所持したまま出所していた事案が複数あったと承知しています。
 このような事案を受け,矯正局において,警察庁と協議を進め,運転免許の取消し等の行政処分が必要な受刑者の収容施設については,定期的に警察庁から照会を受け矯正局から回答する仕組み等を設けることとしたところです。
 このような対策を講じることにより,警察庁から照会を受け,過去に服役していた受刑者についても調査が可能になる上,危険運転致死傷罪だけでなく,他の重大な交通犯罪で服役している受刑者についても,適切に対処できると考えています。
 交通事犯をじゃっ起した受刑者について,運転免許の取消し等の行政処分が適切に執行されることは,極めて重要であると考えています。
 警察が対象者の収容施設をしっかりと把握し,行政処分を迅速かつ確実に執行できるように,法務省としても,警察庁としっかりと連携して適切に対応してまいりたいと思っています。詳細については矯正局にお尋ねください。

杉田水脈議員のLGBTに関する雑誌記事に関する質疑について

【記者】
 杉田水脈衆議院議員の「LGBTは生産性がない」という寄稿をめぐり,新潮社の特集や会社そのものへの批判が高まっている問題について,人権擁護を管轄する法務省としてどのように受け止めますでしょうか。

【大臣】
 性的指向や性自認に関する国民全体の理解が深まり,差別や偏見が解消されることについては,誰もがお互いの人権を大切にし支え合う共生社会の実現のために極めて重要であると認識しています。
 私ども人権擁護を所管する法務省としても,そのことについて,しっかりと社会における動きを見定めながら対応していく必要があると考えているところです。これまでも取り組んできたことでありますが,今後も引き続き,性的指向や性自認に関する正しい理解を促進するとともに,社会全体が多様性を受け入れる環境をつくるために,引き続き,啓発活動や適切な相談対応などの人権擁護活動に取り組んでまいりたいと考えています。

外国法事務弁護士による国際仲裁代理等に関する検討会に関する質疑について

【記者】
 本日「外国法事務弁護士による国際仲裁代理等に関する検討会」が開催されるということですが,検討状況について大臣の御所見を伺います。
 また,外弁法改正案の提出時期など,今後の国際仲裁活性化に向けたスケジュールについても併せてお聞かせください。

【大臣】
 外国法事務弁護士による国際仲裁代理等に関する検討会は,今年4月に「国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議」の中間取りまとめにおいて,「外国法事務弁護士等の仲裁に関与し得る範囲の更なる明確化やその見直しの要否を検討」するとされたことを受けて,法務省及び日本弁護士連合会の共催により設置することとしたものであり,本日,第3回が開催されているところです。
 検討会においては,我が国における国際仲裁活性化に向け,外国法事務弁護士等が手続を代理することができる「国際仲裁事件」の範囲を拡大する,また,企業間の取引紛争等に関する国際調停事件の手続についての代理を認める,といった方向で活発な議論がなされていると承知しています。
 本日,取りまとめ予定と聞いており,取りまとめの結果を踏まえ,法改正に向けて,検討を進めてまいりたいと考えています。
 御質問があった法案提出時期ですが,現時点ではまだ定まっておらず,早期の提出に向け適切に対応してまいりたいと考えています。
 また,国際仲裁活性化のスケジュールですが,この国際仲裁活性化に向けた関係府省連絡会議を中心に,具体的な施策に向け更なる検討を行うことになります。法務省としても,この連絡会議の事務局として,共同事務局である経済産業省を始めとする関係府省や関係機関と十分に連携,協力を図りながら,取組の加速化に努めてまいりたいと考えています。

新設する外局の名称に関する質疑について

【記者】
 「入国管理局」の名称についてなのですが,現在,入国管理のみの名称になっていると思いますが,4月に新しくできる外局の名称の考え方について教えてください。

【大臣】
 新たな在留資格の創設について,来年4月の外国人材の受入れ開始を目指し,関係省庁等と連携して所要の準備を進めているところであり,これに合わせて,入国管理局を組織体制の抜本的に見直し,法務省の外局を設ける方向で最終的な調整を行っているところです。
 新たな在留資格の創設に伴い,より一層外国人の在留を公正に管理する重要性が高まってくることを踏まえ,外国人が我が国に入国し,在留し,そして出国するという一連の流れを念頭に置いて,その出入国及び在留を適切に管理していくという外局の任務を国民の皆様にしっかりとストレートに御理解いただけるように,その名称についても検討を行っているところです。しかるべき時期に皆様にしっかりと御理解をいただくべく発表したいと思っています。

【記者】
 入国管理だけでなく,「出国」にこだわる理由について教えてください。

【大臣】
 新たな外国人の受入れということで,今回,入国と同時に,国内におけるある一定期間の定住,すなわち「在留」が重要となります。そして,一定の期間の在留を終えた後は在留資格の期限が切れる前に「出国」するということになり,この一連のプロセスをしっかりと名称の中でも位置付けるということが重要であると考えています。今までも,法律には「出入国」と書かれており,また,一定の期間を設定した在留資格を付与する制度だった訳ですが,「入管」と表現されていたことに端的に示されるように,在留の部分や,「出国」の部分の社会的な位置付けについては十分にその趣旨が御理解いただけなかったのではないかと思っており,その意味で,こうした新しい在留資格を創設するというこの時期に,しっかりと「在留」と「出国」ということについても,新しい組織が十分にその役割を担うことができるように,名称についても十分に検討した上で対応してまいりたいと思います。

(以上)